成蹊高等学校 入試対策
2019年度「成蹊高等学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問3つに論説文・小説・古文の3題が割り当てられるのが定例となっている。
文章量は2題合わせて8000~10000字ほど。問題数は30問前後。
問題量ではおおよそ論説文5割・小説3割・古文2割といった割合で、論説文に重点が置かれている。
設問形式は長・短合わせた記述問題が3~4割を占め、次いで記号選択、書き抜きの順で多い。漢字は例年、4~5問の出題。
論説文の読解
問題量も多く比重が大きいので、ぜひ得意分野にしておきたい。
使われる素材文は、受験生の年齢を考慮した適度な難しさのものが多い。記述問題が多いが、自分の考えを述べるようなものではなく、文中から適切な部分を抽出してうまくまとめれば答えられるオーソドックスな問題になっている。字数指定は無いが、おおむね30字~60字程度でまとめられる文量である。読解力があれば得点を狙えるので、しっかり答えて点を積み上げたい。
まずは論説文読解の基本を身につける。
形式段落と意味段落の整理。意味段落の内容をおおおまかにまとめて小見出しをつけておくと段落ごとの関係・つながりもわかりやすくなる。
要点と細部の区別。段落の最初と最後に注意して、要点に傍線を引くなど、目立つようにしておく。要旨と要約。要点を結んで全体を要約する。記述問題の答え・ヒントは多くはこの部分にあるだろう。読解問題を多くこなし、決められた字数でまとめる練習を積んでおこう。
小説の読解
こちらの分野も、主人公を小学生~中学生に設定した物語が多く、心情を理解しやすい話になっている。無理に大人向けの難解な小説を想定する必要はないので、中学生~高校生向け程度の文章で練習すれば良いだろう。記述問題も物語を丁寧に読み取れていれば、本文中に解答の手がかりがあるものがほとんどである。小説文の読解の基本力をつけておきたい。
まずは場面分け。時間・場所・登場人物などから場面の変化をマークする。登場人物の言動・情景などをヒントにその心情を読み取る。気持ちの変化があった部分は特に注意する。予断なく、文中に書かれていることを手がかりに正確に考えたい。そして、全体としての主題を考える。誰のどんな気持ちを描きたかった話なのか。記述問題で訊かれることの多い部分である。
記述問題
記述問題の多さから、この種の問題を苦手とする生徒は重いテストだと感じてしまうかもしれない。しかし、「自分の考えを述べよ」「自分の言葉で答えよ」といった小論文タイプの問題ではなく、文中から答えやヒントを探すタイプの問題である。字数も30字から60字程度とさほど長文でもない。読解力があれば点を稼げるのだから、なるべく減点されないような整った記述が書けるよう、同じような字数の類似問題でよく練習しておこう。
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2019年度「成蹊高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
現代文2題で合わせて8300字ほどに、古文630字ほどが加わる。総解答数は28問。そのうち、記述問題は長短合わせて13問。
時間は60分あるが、記述13問にはやはり時間がかかる。30~60字で形良く素早くまとめる訓練を積んでおく。
文中からヒントや答えを得られるものが多いので、傍線などで効率よく答えを探せるようにしておくと、時間のロスを防げる。
【大問1】論説文の読解
- 時間配分:28分
価値観の異なる相手や異文化とのコミュニケーションにおいて、すぐキレたり諦めたりしない「対話のための体力」が重要だと説いている。
問一 ③「随分」は平仮名で書いてしまうことが多いので、この機会に覚えてしまおう。
④「円滑」――えんかつ。「滑」はなめらかなことで、訓読みは「滑る」。
問二 機転が利く――その場に応じて、素早く適切な判断や行動ができること。
問三 前段落の「対話ではお互いが歩み寄ってお互いが変わる」という部分が当たる。話し合った結果、二人で合意点に到達するという形が望ましいのである。
問四 これからは日本人同士でも価値観が大きく異なり、暗黙の了解が通用しなくなる。そのとき「対話の体力」がないと「なあなあ」になってしまう、と述べている。「なあなあ」は慣れ合うこと。安易な妥協で終わってしまうと、十分な成果や新たな発展は望めず、社会は停滞するのである。
問五 「労働力を集約して資源を効率よく製品に変える」のが「日本の企業論理」であった。しかし、IT化が進みコピーフリーになると「過去の技術を高い精度で継承させる徒弟制度のような社会構造は意味を成さなくな」り、また、共産主義国が資本主義化して「労働市場が底抜けした」結果、「労働力がいくらでも安く手に入る」ことになった。
問七 「企業に対話力が必要になる理由」は「アイデアを生むためだけではない」と述べているので、一つは「アイデアを得るため」であることがわかる。「対話の体力」があれば若い人の豊かな発想・新しい発想について合意を形成し形にしていくことができる。もう一つは、国際化が進む現代において従業員としても顧客としても「異文化コミュニケーションを積み重ねていく」ことが求められることが挙げられている。
【大問2】小説の読解
- 時間配分:22分
自分のことを不器用で融通が利かないと思っていた主人公だったが、自然体でおおらかな光一と飼育係をしたことで徐々に打ち解けていき、光一に好意を持つ。
問一 直後で、男子はいい加減で無責任で、飼育係の仕事も途中で投げ出すだろうと思い込んでいたことが語られている。光一もそうだろうと予想して、いっしょに係をするのが嫌だったのである。
問三 A. 小学校高学年は男女間で異性を意識する年齢であり、本当は仲良くしたくても逆の態度をとったり、不自然になったりしがちである。ところが光一はそんな意識もなさそうに「あっさり」自然に背中に触れてきたのである。
問四 付き合い難くかわいげが無い子だと周囲から言われている自分を、光一のおおらかで自然体な態度がやわらかくほぐしてくれるような感覚だろうか。
問五 光一に好意を覚えるにしたがって、光一のように自然体で人と接することができない自分を、情けなく思って変わりたいと考えている。
問六 時を経た今でも当時を鮮明に思い出すのだから、光一と飼育係をして過ごした時間がとても楽しかった、忘れがたい思い出であることがわかる。
問七 コースケのどんな点が好きだったのかに注目。「堂々と歩く姿」「優しさ」「お馬鹿な格好」などは、自然と振る舞い自分にも優しく話しかけてくれてユーモアもある光一と重なっている。光一への好意が投影されているのである。
【大問3】古文の読解
- 時間配分:10分
源頼光の抜け目ないしたたかな性格を示すエピソード。
問一 「かくほどあだにはあるまじきものを」と言われて、頼信はさらにきつく金鎖でしばっている。「あだ」には①はかない②無駄だ・いい加減だ③誠実でない、などの意味がある。
問二 「頼光ののたまふ事を聞くより」とあるので、頼光の忠告でさらにがっちり縛られてしまったことに対する思いであろう。
問三 直前に書かれている鬼同丸の行動。戒めを破りほどいて天井裏に潜み、酔って寝ている頼光に襲い掛かろうとしている。しかし、頼光も「直人」ではなかったので、気配などで気づいていたのである。
問四 頼光が天井に動物がいるといって家来を呼び寄せ、これから外出するというので、今襲うことはできないと思った。
問五 逃げ出した鬼同丸が天井から狙っていることを察知したり、翌日の予定をわざと聞かせて襲ってきたところを返り討ちにしたりなど、先々の敵の動きを予測して対処法を講じている点に、頼光のしたたかで慎重な性質が現れている。
攻略のポイント
問題数も配点も多い記述問題は、苦手だからと避けるわけにはいかない。
さいわい、難易度的にも文字数的にも難問というほどではない。字数制限が無いので適切にまとめるのにコツが要るが、類似問題を多くこなして慣れておけば得点を稼げるだろう。
素材文も総計9000字程はあると予想して、スピードを意識して練習しておこう。
古文も高校レベルの問題が出るので、中学校で習ったレベルで終わるのではなく、高校初級程度の学習で力をつけておきたい。