青稜高等学校 入試対策
2015年度「青稜高等学校の国語」
攻略のための学習方法
[記述]
「青稜の記述対策」は「問題解説」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か？ 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。60～70字程度で書いてみる(青稜の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか？ 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20～30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
[解法]
前述のとおり、「多種多様な設問内容」の「青稜の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか？ その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
[速読]
全てで5000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Ｎの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
青稜に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
[知識]
「青稜の国語」では、「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる(直接出題は勿論、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか？ 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」＝「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも５年分以上)、「５割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「５割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からスタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(ＨＰから購入可能)等がオススメ。
[古典]
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。が、青稜などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2015年度「青稜高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は｢論説文｣、出典は國分功一郎｢暇と退屈の倫理学｣所収の｢『好きなこと』とは何か？｣(文字数約2600字)。小問は全10問(解答数17)｡｢選択肢｣(｢不適切｣あり)｢抜き出し｣｢空所補充｣、｢説明記述｣(｢60字以内指定｣１問)、｢漢字の書きとり｣(３問)｡問題文は３分強で読み切り、設問を15分弱で解きたい。
大問二は｢小説｣、出典は吉本ばなな｢体は全部知っている｣所収の｢みどりのゆび｣(文字数約2800字)。小問は全10問(解答数22)｡｢選択肢｣｢抜き出し｣、｢説明記述｣(｢字数指定なし｣２問、｢15字以内｣｢50字以内｣指定各１問)、｢漢字の読み書き｣(７問)｡問題文は４分弱で読み切り、設問を17～18分ほどで解きたい。
大問三は｢古文｣、出典は編者未詳｢十訓抄｣(文字数約200字)。小問は全７問(解答数10)｡｢選択肢｣｢空所補充｣、｢説明記述｣(｢10字以内｣｢25字以内｣指定各１問)｡10分程度で解きたい。
【大問一】
- 時間配分：
｢人間が豊かさを喜べないのはなぜだろうか？｣という問題提起をし、金銭的･時間的余裕を得られると｢好きなこと｣ができるようになると思いがちだが、実は自分が｢好きなこと｣が分からなくなり、それすらも企業が消費者に提供するという｢労働者の暇の搾取｣がなされ、｢資本主義を牽引する大きな力｣となっている、と論じている。
｢経済論｣だが、平易な表現で論じられており、内容も十分理解できるはずだ。
本校の特徴である｢多種多様な設問内容｣なので、設問を正確に理解して手際よく解き進めたい。
以下、いくつか確認してみたい。
[問１] ｢換言説明選択肢｣(４択)。
傍線部①｢ならば｣について、｢詳しく言い換えたもの｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡
｢ならば｣の｢原意｣だ。｢そうであれば｣ということだ(知らなくてはいけない)｡要は｢指示語｣だ。
開く(｢指示語｣が出たらすぐ開くこと)｡｢生活の余裕を使って、願いつつもかなわなかった何か好きなことをしている｣ということだと分かるはず。各選択肢の｢文末｣が(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)、そのことに結びつかないものを｢消去｣する。
選択肢は、
(ア)｢『好きなこと』ができない｣、
(イ)｢『好きなこと』にあてている｣、
(ウ)｢『余裕』が生まれた｣、
(エ) ｢『好きなこと』を求める｣｡
どうか？ すぐに(イ)以外は｢消去｣可能なはずだ｡ (イ)は他の部分の説明も特に誤ってはいない。従って、｢答え｣となる。
｢一発消去｣だ。｢選択肢設問｣では、最初に｢原意消去｣を試みること。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問５(１)] ｢換言説明抜き出し｣(｢１文の最初の５字｣指定)。
傍線部④｢消費者の感性そのものがあらかじめ製作プロダクションのうちに先取りされている｣について、｢同様の主旨｣を示す｢一文｣を｢Ⅱの文章｣より抜き出し、｢初めの５字｣を答える｡
｢抜き出し｣では、｢抜き出すべき内容｣を特定した上で｢抜き出し範囲｣を絞っていくことが鉄則。
傍線部の｢内容｣で｢製作プロダクション｣とは何か？ 分かりづらいので、｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣で確認する(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要｣という｢重要解法｣)｡
直前に｢文化産業が支配的な現代においては｣という前提がある。つまり、｢製作プロダクション｣＝｢文化産業｣⇒｢消費者｣に対して｢生産者｣だと分かる。要は、｢消費者の感性が生産者に先取りされている｣という内容だ。
次に｢範囲｣だが、ここでは指定されている。｢Ⅱの文章｣で、｢感性｣に着目すると｢好きなこと｣という表現だけが該当する。その表現に絞って探していく。すると、傍線部③の次段落に｢私の『好きなこと』は、生産者が生産者の都合のよいように、広告やその他の手段によって作り出されているかもしれない｡｣という｢一文｣がある。これだ。よつて、｢答え｣は『私の｢好き』になる｡
｢抜き出し設問｣では、｢内容｣→｢範囲｣→｢条件｣と順序立てて解いていくことが肝要だ。
＜時間配分目安：２分＞
[問５(２)] ｢具体的換言説明選択肢｣(４択)。
傍線部④｢消費者の感性そのものがあらかじめ製作プロダクションのうちに先取りされている｣について、｢この考えを具体的に反映している表現｣を、文中の｢傍線部(ａ)～(ｄ)｣の中から答える｡
問題の趣旨がつかみづらい。正確に捉えること。傍線部の内容は前問で確認したように、｢『生産者』が『消費者の感性』を先取りしている｣ということなので、｢この考えを具体的に反映している表現｣とは当然、｢生産者側の表現｣ということになる。その視点から選択肢を｢消去｣する。
(ａ)(ｂ)(ｄ)は｢消費者側の表現｣、従って、(ｃ)の｢あなたが欲しいのはこれなんですよ｣となる。
設問を正確に理解した上で、多角的視点で｢消去｣できるように練習すること。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問８] ｢条件付き理由説明記述｣(｢60字以内｣指定)。
二重線部｢人間が豊かさを喜べないのはなぜだろうか｣について、｢それはなぜか｣を説明する。
｢条件｣は、｢余裕｣という語を用いること。
先ず、この問題自体に注意すること。｢設問｣以前に、二重線部そのものが｢理由｣を問うているのだ。つまりは、その｢問題提起｣に対する｢答え｣は何かということなのだ。｢論説文｣である本文で、この｢問題提起｣がなされているのは｢序論部｣の冒頭(本文冒頭)｡要は、本文全体の｢問題提起｣＝｢テーマ｣だ。それに対する｢答え｣ということは、｢論旨｣ということになる。
｢論旨｣に関して、｢序論部｣と｢結論部｣は対応しているのだから、｢答え｣は｢結論部｣で述べられているはずだ(｢論説文｣の｢Ｎの法則｣)｡
確認する。｢……、人々は裕福になった。そして暇を得た。だが、その暇をどう使ってよいのか分からない。何が楽しいのか分からない。自分の好きなことが何なのか分からない｣とある。｢豊かさを喜べない｣ことの｢理由｣に合致している。従って、｢条件｣を踏まえた上で(ここでは｢暇｣＝｢時間的な余裕｣とすればいい)。
｢過不足なく｣まとめていく。たとえば、｢裕福になり、時間的な余裕も得たが、余裕をどう使ってよいのか、何が楽しいのか、自分の好きなことが何なのかも分からないから｡｣といった｢答え｣になる｡
｢解法｣を的確に用いて、｢条件｣に則して考えていくこと。
尚、｢説明記述｣では、正否の分岐となる｢最重要要素｣(｢理由説明｣では｢直接的理由｣)を必ず｢文末｣にすること。
＜時間配分目安：２分半＞
[問10] ｢漢字の書きとり｣(全３問)｡
平易そうだが、いざ書こうとすると……、相当に難問ぞろいだ。
波線部
(Ａ)｢ゴラク｣＝｢娯楽｣(｢部首｣に注意)、
(Ｂ)｢カクトク｣＝｢獲得｣(｢細部｣を丁寧に)、
(Ｃ)｢ショウゾウ画｣＝｢肖像(画)｣(｢肖｣、勘違いしないこと)｡
青稜では｢ハイレベルな語彙力｣が求められていると認識しておきたい。
＜時間配分目安：１分＞
【大問二】
- 時間配分：
日常に慣れてしまうことで忘れていた、ささやかだけれど、とても大切な感情──。心と体がひとつになって癒される短篇集の一篇。
本文では、玄関脇に野放図に育った｢アロエ｣を厄介だと思っていた｢私｣が、｢アロエが、切らないで、って言ってるの｣という言葉を遺して末期がんで死んでいった｢祖母｣の生き方から、生きることの実感を得ていくた姿を描いている。やや難解な語句があり、作者独特の｢世界観｣も理解しづらいかも知れない。
以下、いくつかの設問を検証する。
[問１] ｢条件付き換言説明記述｣(｢15字以内｣指定)。
傍線部①｢自分が不思議な地点にいる｣について、｢どのような地点なのか｣を説明する。
｢条件｣は、｢～地点｣に続く形にすること。
｢自分｣はどこにいるのか？ 直前直後を確認する(｢同一場面の直前直後に根拠あり｣が｢小説の解法｣の大原則)｡
｢私｣は、｢弱っている人｣の｢死の匂い｣に満ちた｢病院｣と、｢生命の発散する濃い匂い｣に満ちた｢外の世界｣を｢行き来している｣ということが分かるはずだ。つまり、｢死｣と｢生｣の世界だ。
あとは｢過不足なく｣まとめればいい。たとえば、｢死の世界と生の世界との中間の(地点)｣といった｢答え｣になる｡
｢小説｣では直前直後の｢根拠｣をしっかりと確認することが重要だ。
＜時間配分目安：１分＞
[問４] ｢条件付き心情説明選択肢｣(４択)。
傍線部④｢胸が苦しかった｣について、｢この『胸の苦しさ』はどのような感情なのか｣を答える。
｢条件｣は、｢直後のＡ『 』の部分をふまえる｣こと。先ずは｢原意消去｣をしたい｡ここは｢心情説明｣なので、各選択肢の｢文末｣が、｢胸の苦しさ｣という｢心情｣に結びつかないものを｢消去｣する。
選択肢は、
(ア)｢嘆いている｣、
(イ)｢悲しんでいる｣、
(ウ)｢重苦しさを感じている｣、
(エ)｢受け入れることが出来ないでいる｣｡
さあ、どうか？ 直接的な｢心情｣ではない(エ)は即｢消去｣、さらに、｢胸が苦しい｣のだから、(ア)(イ)も｢消去｣できなくてはいけない｡(ウ)は｢Ａ『 』｣を確認しても問題はない。よって、｢答え｣は｢(ウ)｣となる。
｢原意消去｣で｢一発消去｣。｢心情説明｣でも｢原意消去｣を活用すべし。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問７] ｢心情説明選択肢｣(４択)。
傍線部⑦｢悲しみににごった目で見た第一印象｣について、｢『私』のどのような心情を表す言葉なのか｣を答える。
ここも｢心情説明｣｡当然、｢原意消去｣する｡
前問同様に各選択肢の｢文末｣が、｢悲しみににごった｣という｢心情｣に結びつかないものを｢消去｣する。
選択肢は、
(ア)｢もがき｣、
(イ)｢耐えがたい悲しみ｣、
(ウ)｢不安定な心｣、
(エ)｢人生観の幼さ｣｡
もう大丈夫だろう。この問題でも｢一発消去｣できたはずだ。残るのは無論、(イ)のみ｡他の部分の説明も特に誤っていないので、｢答え｣になる｡
繰り返す。圧倒的な｢スピード処理｣が求められる青稜では、｢原意消去｣は｢最強のツール｣だと心得よ。
＜時間配分目安：１分以内＞
【大問三】
- 時間配分：
鎌倉時代中期の教訓説話集。全三巻で約280話を収録。｢十訓｣こと｢十ケ条の教戒｣を掲げ、その後の｢教訓書｣の先駆となった。
本文は、十ノ六十五｢唐の玄宗皇帝と月の夜の笛｣｡｢古文単語の意味｣や｢文語文法｣、そして、｢主語特定｣といった｢古文の基礎｣、さらには｢内容解釈｣も問われている。
以下、いくつか検討してみよう。
[問１] ｢換言説明記述｣(｢10字以内｣指定)。
傍線部①｢その声｣について、｢何のことか｣を説明する。
｢古文｣であっても、｢指示語｣の捉え方は変わらない。
直前を確認する。｢同じ帝、月の夜、笛吹きたまひけるに｣となっている。｢声｣＝｢笛の音｣だと分かる(｢古文単語｣では｢声｣は｢音｣の意味もある)｡あとは｢文法｣等に注意しながらまとめていく｡
ここでは、｢たまひける｣(＝｢尊敬の補助動詞｣の｢たまふ｣＋｢過去の助動詞｣の｢けり｣)に要注意。たとえば、｢帝が吹かれた笛の音｡｣といった｢答え｣になる。
｢敬語｣｢時制｣などに留意すること。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問３] ｢内容解釈選択肢｣(４択)。
傍線部③｢え吹きたまはず｣について、｢正しい解釈｣を答える。
｢え～打消し｣＝｢～できない｣は、｢文語文法｣の｢基礎事項｣｡無論、｢吹く｣のは｢笛｣｡よって、｢答え｣は選択肢(ア)｢笛を演奏なさることができなかった｣｡
｢古文｣の｢呼応表現｣はしっかりと定着させておくこと。
＜時間配分目安：30秒＞
[問５] ｢語句の空所補充選択肢｣(４択)。
本文中の空所｢ ⑤ ｣について、｢当てはまる語句｣を答える。
空所前後を確認する。｢これをかの ⑤ 、もれ聞きて、我が術のしるし……｣となっている。空所は｢もれ聞きて｣の｢主語｣、｢主語特定｣の問題だと分かる。直前の｢かの｣は｢指示語｣で、｢あの｣ということ。３行前から、｢答え｣は選択肢(イ)の｢術者｣だと特定できるはずだ。
｢主語特定｣は定番問題。確実に習得しておくことが肝要。
＜時間配分目安：30秒＞
[問８] ｢内容解釈選択肢｣(４択)。
傍線部⑨｢これよりぞ御笛の徳、きはめたまへることを知りたまひけり｣について、｢ふさわしい解釈｣を答える。
｢内容解釈｣ではあるが、先ずは｢原意消去｣を試みることは｢現代文｣と同じだ。
傍線部｢文末｣の｢知りたまひけり｣の現代語訳は、｢たまひける｣＝｢尊敬の補助動詞｣の｢たまふ｣＋｢過去の助動詞｣の｢けり｣なので、｢お知りなさった｣となる。各選択肢の｢文末｣で結びつかないものを｢消去｣する。
(ア)｢有名な話である｣、
(イ)｢知っての通りである｣、
(ウ)｢知ることとなった｣、
(エ)｢気づきなさった｣｡
すぐに分かるはず。｢尊敬｣＋｢過去｣の表現となっているのは(エ)だけだ。よって、｢答え｣になる｡
｢古文｣ても｢原意消去｣は強い味方だが、｢文法｣等の細部にこだわり｢現代語訳｣を適切にする必要がある。
＜時間配分目安：１分以内＞
攻略ポイント
●｢時間との闘い｣が最優先課題だ。
どう｢攻略｣するか？ 要は｢戦術｣だ。中でも｢解答順｣が最重要。｢時間切れ｣での｢失点｣は最悪だからだ。
大問では、｢知識｣中心の｢古文｣を優先する。｢現代文｣で、｢論説文｣と｢小説｣のどちらを先に解くかは、自分自身で事前に決めておくこと。
また、｢小問｣は｢知識問題｣からこなすのが原則。合計で5000字超の｢文章｣を｢読解｣することになる(速く正確に読み取るために、分速700字以上を目標に｢読む練習｣をすること)。｢解答数｣は50前後。全て丹念に答えることは物理的に不可能。従って、｢取れる問題を確実に押さえる｣ことが最優先で、｢取れそうにない問題は潔く捨てる｣という覚悟も求められる。
無論、｢単純ミス｣は絶対にしてはいけない。
｢合格ライン｣は50%強(本年度の｢合格者平均｣は52.5%)。｢戦術ミス｣は致命的になると心得よ。
●｢多種多様な設問内容｣に｢攻略法｣はあるのか？
｢設問内容｣を的確に捉え、それぞれに応じた｢解法｣を適切に用いることが最重要。
そのためには、基本的｢解法｣を完全習得し、自分自身の｢ツール｣にすることが必須だ。
切迫する｢時間｣の中で、いかに的確に｢解法｣を用いて解いていくかが合否を分ける。
●｢高度な語彙力｣が問われる｢総合的知識問題｣も決して侮れない。
独自に｢幅広い知識｣を常に習得していくこと。
学校や塾での学習だけでは全く不十分、｢独習｣は不可欠だ。
●｢古文｣については、 重要な｢古文単語｣の定着は勿論だが、｢内容理解｣も求められるので、｢基礎的文語文法｣は押さえておきたい。
また、｢古典常識｣も｢日本史｣を含めてなじんでおくことが必要だ。