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青稜高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「青稜高等学校の国語」
攻略のための学習方法

記述

「青稜の記述対策」は「問題解説」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。60~70字程度で書いてみる(青稜の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。

解法

前述のとおり、「多種多様な設問内容」の「青稜の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

全てで5000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

青稜に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「青稜の国語」では、「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる(直接出題は勿論、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。が、青稜などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。

従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

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2021年度「青稜高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「論説文」、出典は「教育」(2014年7月号)所収の大久保孝治「現代社会と自由時間」(文字数約4800字)。小問は全13問(解答数24)。全て「マーク方式」の「選択肢」(「不適切」「正誤判別」「空所補充」「複数完全解答」「内容合致」、「漢字の同音異字判別」あり)。問題文は6分弱で読み切り、設問を17~18分で解きたい。

大問は「小説」、出典は加能作次郎「恭三の父」(文字数約4100字)。小問は全13問(解答数20)。全て「マーク方式」の「選択肢」(「空所補充」「複数完全解答」「内容合致」「整序」、「総合的知識問題」あり)。問題文は5分強で読み切り、設問を13~14分で解きたい。

大問は「古文」、出典は作者不詳「伊勢物語」(文字数約200字)。小問は全9問(解答数15)。全て「マーク方式」の「選択肢」(「空所補充」、「主語特定」「内容解釈」「語句原意」「現代語訳」「文語文法」等、「総合的知識問題」あり)。7~8分で解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:23~24分

「教育」の専門雑誌に掲載された社会学者による論考。産業社会においては「集団の時間」が優先され「個人の時間」は軽視されるが、自分の所有する時間をどのように使うかという自由は基本的人権としてとても重要なので、自分の時間志向のあり方を改めて考えてみるべきだと論じている。やや難解な語句があるが、「※注」も活用してしっかりと内容を読み取りたい。解答数が24もある。とにかく手際よく、即断即決して解き進める必要がある大問だ。以下、いくつか確認してみたい。※尚、本文には形式段落ごとに21の番号が付されている。

[問1] 「理由説明選択肢」(4択)。傍線部①「労働市場だけではなく、家族という共同体においても、『時間を守る』ことは重要である」について、「それはなぜか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」を試みたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「理由説明」なので、「『時間を守る』ことは重要」の「直接的理由」として結びつかない「理由説明」を「消去」することになる。各選択肢の「文末」と照合していきたい(「選択肢の説明」で最も重要な要素は「文末」に記されている)。
(ア)「役割分業を担うことで『家族』の形を維持しているから」⇒「『時間を守る』ことは重要」
(イ)「共同体の絆を強固にし、それを維持していくから」⇒「『時間を守る』ことは重要」
(ウ)「時間に関するしつけ・教育が不可欠だから」⇒「『時間を守る』ことは重要」
(エ)「『時間』という規定の共有によって可能となるから」⇒「『時間を守る』ことは重要」。

さあ、どうか? 「時間」に関する「理由」なので、(ア)と(イ)は即「消去」できなくてはいけない。また、「時間を守る」のだから、「しつけ・教育」ではなく「規定」だと判別できるはずだ。「同一意味段落」で他の部分の説明を確認する(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。特に誤っている部分はない。よって、「答え」は(エ)になる。見事な「一発消去」だ。「選択肢消去」では「原意消去」が最優先だと心得よ。「選択肢設問」では先ず「原意消去」を試みることが肝要。

<時間配分目安:1分以内>

[問2] 「内容説明選択肢」(4択)。傍線部②「『時間を守れ』という規範の背後には、どの集団の時間を優先するのかという問題が存在している」について、「ここから読み取るべきこと」を答える。無論、「原意消去」からだ。ここは「内容説明」なので、「どの集団の時間を優先するのか」の「原意」と結びつかない「内容説明」を「消去」したい。各選択肢説明の「文末」を確認する。(ア)「より生産性の高い集団が優位性を保つことができるということ」、(イ)「その中(=『社会的自己』の中)から真の自分を選択することを求められるということ」、(ウ)「個人はそれ(=『集団』)に同調することが求められるということ」、(エ)「生涯特定の集団に従属していくことが推奨されるということ」。「どの集団の時間を優先するのか」ということは「集団」を「比較」することなので、「より生産性の高い集団が優位性を保つ」という説明以外は「消去」できるはず。「同一意味段落」から、他の部分の説明も特に誤ってはいないことが分かる。したがって、「答え」は(ア)だ。再度の「一発消去」。解答数が尋常ではない本校では、「原意消去」によるショートカットが必須だ。

<時間配分目安:1分以内>

[問3] 「空所補充語句選択肢」(4択)。段落の空所  X  に「あてはまる語」を答える。空所前後は「軽んじられるのは  X  の時間である」となっている。各選択肢は、(ア)「仲間」・(イ)「社会」・(ウ)「集団」・(エ)「個人」。「同一意味段落」から絞り込んでいく。直前に「学校の時間も会社の時間に準じるものとして優先的な地位を占める」とある。「会社や学校の時間」に対して、「軽んじられる」のは「何の時間なのか」というわけだ。さらに読み解いていくと、3行前から、「会社の時間」=「集団の時間」だと分かる。つまりは、「集団」に対する「語句」なので、「答え」は(エ)「個人」になると判別できる。「空所補充」では当然ながら、「同一意味段落」の「空所前後」がポイントとなるわけだ。

<時間配分目安:1分弱>

[問6] 「説明文の空所補充語句選択肢」(全3問/8択)。傍線部⑤「制度のなかで強制されている活動を一時的に停止すること、『休む』こと」に関連して、示されている「『休む』ことには字義通り『身体を休める』ことの他にどのような意味があるのかについて説明した文」の  a    c  に「あてはまることば」を答える。説明文は「自由時間は単に『休む』だけではなく、社会システムへの  a  状態から距離をとって個人の  b  性を担保するためにも、  c  自分のしたいことをする時間であるべきだ」となっている。各選択肢は、(ア)「隷属」・(イ)「抵抗」・(ウ)「特権」・(エ)「自律」・(オ)「固有」・(カ)「システムの要請と無関係に」・(キ)「システムとのバランスを保ちながら」・(ク)「システムに追随しつつ」。明確に「体言」と「用言」とに分かれているので、「文法」的に  a    b  には(ア)~(オ)、そして、(カ)~(ク)のどれかが  c  にあてはまると判別できる。さらに、「文脈」から候補を絞り込む。「自由時間は単に『休む』だけ」ではない⇒「社会システムへの  a  状態から距離」をとる⇒「『隷属』状態から距離」となり、「個人の  b  性を担保」⇒「『自律』性」だと特定できるはずだ。また、「『自律』性」を「担保するためにも、  c  自分のしたいことをする」⇒「『システムの要請と無関係に』自分のしたいことをする」があてはまると判断できなくてはいけない。したがって、整理すると「答え」は  a  =(ア)、  b  =(エ)、  c  =(カ)になる。もちろん、傍線部の「同一意味段落」の内容からも特定できるが、空所前後の「文脈」や「文法」などでも判別できるということを押さえておきたい。大幅なショートカットになる。

<時間配分目安:全問で1分半>

[問10] 「空所補充語句選択肢」(4択)。19段落の空所  Z  にあてはまる「近代的時間の特徴を端的に示した語」を答える。空所前後は「人間の時間は物理的時間のように過去→現在→未来と一方的・  Y  的に流れているわけではない」となっている。ここで、瞬時に「一方的」の「類義語」が空所にあてはまると判断できなくてはいけない。各選択肢は、(ア)「不可逆」・(イ)「不可避」・(ウ)「恣意」・(エ)「断続」。「語彙力」として、「一方的」≒「不可逆」だと判別できるはず。よって、「答え」は(ア)だ。「空所補充」では、「文脈」・「文法」以外に「知識」によっても特定できると心得よ。

<時間配分目安:全問で1分弱>

[問13] 「漢字の同音異字判別選択肢」(全6問/各4択)。示されている(a)~(f)の二重傍線部の「カタカナ」と「同じ漢字」を答える。熟語を特定し、各選択肢の「文脈」から「同じ漢字」を用いている熟語を判別する。厄介だ。注意すべきものを確認する。(a)「根カン」=「根」⇒この熟語自体は馴染みがあるはず⇒「答え」は選択肢(エ)「忘年会のカン事」=「事」⇒「会などの世話役」のことだ。(c)「スイ行」=「行」⇒「任務や仕事をやりとげること」として知っていなくてはいけないが、各選択肢がやや難解⇒(ア)「都がスイ退する」=「退」(これは分かる)/(イ)「生スイの江戸っ子」=「生」(「まじりけが全くないこと」、知らなくても不思議ない)/(ウ)「殺人未スイ」=「未」(これは既知のはず)/(エ)「詩をスイ敲する」=「敲」(「詩や文章を何度も練り直すこと」、高校入試の定番なので知っていてほしい)⇒「答え」は(ウ)。(d)「剥ダツ」=「剥」⇒難しい。そもそもこの熟語を知らず、「ハクダツ」と読めないかも。「はぎとり、うばうこと」だ⇒「答え」は(ア)「ダツ三振記録」=「三振記録」。(e)「無」=「無」⇒これ以外の熟語は未知だろう⇒「答え」は(イ)「人を超えた存在」=「人」になる。来年度以降も当然出題がある。「同音異字」だけでなく「同訓異字」「同音異義」なども、しっかりと定着させておくこと。

<時間配分目安:2分以内>

【大問二】

  • 時間配分:18~19分

酔っ払って横になった父親(浅次郎)が帰省している息子(恭三)に、届いた葉書と手紙を読ませるが、「恭三」は面倒くさがって、適当に要約して伝えると、そんな読み方があるか、と「浅次郎」は怒ってクダを巻く……こんな平凡な私生活を能登弁そのままで語り、人と人との葛藤、愛憎、父と子との遠慮がちな愛情などを綴(つづ)っている。本文では、そうした父と息子のやりとりが描かれている。明治時代の作品で馴染みのない語句もあろうが、なんとか内容は読み取れるはずだ。「心情想起整序」や「総合的知識問題」も含めた多彩な設問内容、「空所補充」「複数完全解答」といった多角的な解答形式等、バラエティー豊かな大問構成だ。以下、いくつかを検証したい。

[問4(1)] 「空所補充の語句選択肢」(4択)。「総合的知識問題」(否、「一般常識」?)。傍線部④の「家のものは今、  i  の中に入った所らしかった」の空所に「ふさわしい言葉」を答える。各選択肢は、(ア)「家」・(イ)「部屋」・(ウ)「蚊帳(かや)」・(エ)「布団」。「同一場面」から「状況」を読み取りたい(「小説」「随筆」では「同一場面の直前直後」に「手がかり・ヒント」がある)。確認すると、4行後に「『起きとりゃ蚊が攻めるし、寝るより仕方がないわいの。』と母は  i  の中で団扇(うちわ)をバタつかせて大きな欠伸(あくび)をした」と、再度同じ空所がある。であれば無論、「答え」は(ウ)の「蚊帳」だと特定できるはずだ。尚、仮に「蚊帳」とはどういうものかを知らない諸君は、確実に調べておくことが求められる。

<時間配分目安:30秒>

[問4(2)] 「問題文の空所補充語句選択肢」(4択)。「総合的知識問題」。「慣用句」だ。前問と同じ傍線部④からは、「字義通りの意味以外に、恭三が置かれた状況を物語る慣用句である『  i  』を読み取ることができる」が、「に入れるべき漢字一字」を答える。ここでは即座に「蚊帳の外」(=集団の中で大切な情報を知らされない、物事に関与できない立場におかれて無視されること)という「慣用句」が思いつかなくてはいけない。よって、「答え」は選択肢(イ)「外」になる。本校では当然ながら、こうした「知識」の定着度が合否を分けると心得よ。 ※尚、[問4(3)]ではこの「慣用句」の意味が問われている⇒「答え」は選択肢(エ)「疎外感」だ。流石(さすが)に分かるはず。

<時間配分目安:30秒>

[問6(1)] 「内容説明選択肢」(4択)。傍線部⑥「恭三はハッとした。意外なことになったと思った」について、「恭三が『ハッとした。意外なことになったと思った』のはどのような事実に対してか」を答える。先ずは「原意消去」からだ。ここは「内容説明」なので、「ハッとした」「意外な」の「原意」と結びつかない内容のものを「消去」する。各「選択肢説明」の「文末」と照合する。(ア)「(父が)どういう訳か恭三に読ませようとしたこと」、(イ)「思いの外父の機嫌を損ねてしまったこと」、(ウ)「(父が)突然豹変して怒り出したこと」、(エ)「文字も読めない父親に手紙が来たこと」。「ハッと」するほど「意外」だったのだから、「思いの外」以外は「消去」できて当然だ。「同一場面」から、他の部分の説明も特に誤ってはいないと判別できる。したがって、「答え」は(イ)になる。「小説」でも「原意消去」は絶対に必須な解法だ。

<時間配分目安:1分>

[問7] 「心情想起順序整序選択肢」(4択/複数完全解答)。傍線部⑦「呼吸がせわしくなって胸がつかえる様であった。腋(わき)の下に汗が出た」について、示されている「恭三をこのような精神状態に追い込んだもの」を、「恭三の想起した順に並び替えて」答える。何とも珍しい出題内容だ。先ずは、「同一場面」から「腋の下に汗が出た」ことの「きっかけ」をチェックしたい。直前に「生温(ぬる)い灰の香が鼻についた。蚊が二三羽耳の傍(そば)で呻(うな)った」とある。選択肢(ア)の「鼻につく灰の匂い、うっとうしい蚊の羽音」と結びつくと分かる。これが最後になる。さらに「同一場面」を戻っていくと、「浅七が蚊帳に入ってから来たもんじゃさかい、(手紙を)読まなんだのやわいの」と、「恭三」が「母」から言われている。(エ)にはそのままの言葉が説明されている。そして「恭三」は、「母」から続けて「邪魔でも一寸読んで呉(くれ)んさい」と頼まれ、ひとりで台所へ行き、「手紙」を手に取っている。(イ)の「(父の手紙を)浅七の代わりに大学生の自分が読まされることになった」と対応していることが読み取れるはず。また、「蚊帳の外」にされ、「ひとりで台所へ行った」ことが(ウ)の「三人家族の関係から弾(はじ)かれている自分」とつながると判断できる。よって、整理すると、「答え」は(エ)→(イ)→(ウ)→(ア)になる。たとえ「未知の出題内容」であっても、的確に「解法」を用いて解き進めることで「正解」できると心得よ。

<時間配分目安:2分半>

[問13] 「空所補充語句選択肢」(全4問/各4択)。下線部(A)~(D)の各空所に「当てはまるもの」を答える。「総合的知識問題」。「文脈」からの「語句の意味」判別だ。それぞれの「答え」を確認していく。(A)「胸を        。」⇒「傍線部一文一部の法則」で「文脈」を捉える⇒直前に「手紙が来て居ると聞いて恭三は」とあり、直後は「『えッ、どれッ!!』慌てて言って……」となっている⇒「答え」は選択肢(ウ)「躍らせた」だと判別できて当然。(B)「        尋ねた」⇒直前に「『何処にありますか。』と大抵其(その)在所が分って居たが」とある⇒「分かっていながら尋ねている」⇒「答え」は「特別に、わざわざ」といった意味の慣用表現である(エ)「殊更(ことさら)に」になると判別したい。(C)「(恭三の)        返事が」⇒直前の(父)「それだけか?」→(恭三)「え、それッ限(きり)です」→(父)「ふーむ」という会話のやりとりで、直後には「父の感情を害したらしい」とある⇒「答え」は(イ)の「素っ気ない」だと特定できるはず。(D)「        も承知して居た」⇒各選択肢は全て「漢数字」なので、すぐに「百も承知」という「慣用句」が思い浮かばなくてはいけない⇒「答え」は(イ)「百」⇒「言われるまでもなく、十分に承知している」という意味も定着させておくこと。本校ではやはり、幅広い「語彙力」が求められているわけだ。

<時間配分目安:全問で2分強>

【大問三】

  • 時間配分:7~8分

平安時代に成立した「歌物語」。実在した貴族である在原業平を思わせる男を主人公とした和歌にまつわる短編物語集。本文は、第八十四段「さらぬ別れ」。「避けることのできない、永遠の別れ」、すなわち「死別」のことだ。本年度は例年とは異なり、「現代語訳」や「内容解釈」よりも大学入試レベルの「古文単語」と「文語文法」の知識が特に問われている。以下、いくつか検討してみよう。

[問1] 「空所補充語句選択肢」(4択)。本文中の空所[   A   ]に「入る言葉」を答える。空所前後は「母なむ宮(=「宮様・内親王」と「※1」にある)なり[   A   ]。」だ。ここで即座に、高校入試での「文語文法の十八番」である「係り結び」だと気づかなくてはいけない。誰もが定着しているはずの、「係助詞」の「ぞ・なむ」(ともに「強意」)、「や・か」(ともに「疑問・反語」)が文中にあった場合、「係り受け」(=「結び」=内容的な「文末」、要は直接つながる)の単語が「連体形」となり、同様に「こそ」(強意)は「已然形」で結ばれるというルールだ。各選択肢は、(ア)「けら」・(イ)「けり」・(ウ)「ける」・(エ)「けれ」。「伝聞過去・詠嘆」の助動詞「けり」の、順に「未然形」・「連用形」・「連体形」・「已然形」だと判別できるはず。空所直前に「なむ」があるので、「連体形」の結びになる。よって、「答え」は(ウ)だ。本校志望者であれば、本問は必ず「正解」することが求められる。

<時間配分目安:30秒>

[問3] 「単語の意味・用法判別選択肢」(4択)。傍線部⑧の「の」と「同じ意味・用法のもの」を答える。傍線部前後は「さらぬ(=「避けられない」と「※5」にある)別れありといへば」となっている。前問と同じく「文語文法の十八番」である格助詞の「の」がポイントだと分かるはず。「の」には、「主格(~が)」・「連体修飾格(~の)」・「同格(~で)」・「準体言(~のもの)」・「連用修飾格(~のように)」といった「用法」があるのは周知のとおり。傍線部は「避けられない別れあるというので」(ここでの接続助詞「ば」は「已然形接続」になっているので、「順接確定条件」)という現代語訳になるので、「の」は「主格」だ。各選択肢をチェックする。(ア)「竹取翁といふ」=「連体修飾格」、(イ)「百千家も出できなん」=「連体修飾格」、(ウ)「月ころはさらなり」=「連体修飾格」、(エ)「雪降りたるは」=「主格」。したがって、「答え」は(エ)だ。尚、「助詞」の「意味・用法判別」は「現代語訳」には不可欠なので必ず習得しておくこと。

<時間配分目安:1分弱>

[問6] 「文の口語訳判別選択肢」(全5問/各4択)。5つの傍線部の「口語訳」を答える。重要な「古文単語」と「文語文法」の理解・定着度が問われている。特に「誤訳」しそうな3つについて「品詞分解」をして確認する。①「身はいやしながら」⇒名詞「身」(=からだ・自分・身分)+形容詞「いやし」(=身分が低い・みすぼらしい・さもしい)の終止形+接続助詞「ながら」(=~だが)⇒直後には「母なむ宮なりける」とあるので、ここでの「身」は「身分」がふさわしいと判断できるはず⇒「答え」は選択肢(ア)「官位が低かったが」。④「えまうでず」⇒副詞「え」(あとに打消しや反語表現を伴って「とても~できない」)+動詞「まうづ」(=参る・参拝する)の未然形+「打消し」の助動詞「ず」の終止形⇒「答え」は(ウ)「うかがうことは出来なかった」。⑩「なくもがな」⇒形容詞「なし」(=ない)の連用形+「希望・願望」の終助詞「もがな」⇒「答え」は(ウ)「ないといいなぁ」。尚、このレベルの「口語訳」があやしい諸君がいたら、「古文」はまだまだ勉強不足だと心得よ。

<時間配分目安:全問で3分>

[問7] 「作品説明選択肢」(4択)。「総合的知識問題」。「文学史」だ。「『伊勢物語』の説明」を答える。瞬時に「答え」は選択肢(エ)「平安時代に成立した在原業平を主人公にした歌物語」だと特定できなくてはいけない。「文学史」は頻出だ。「作品名」「作者」はもちろんのこと、「成立時期」「ジャンル」等も確実に整理定着させておくことが必要だ。

<時間配分目安:30秒>

攻略のポイント

「時間との闘い」が最優先課題だということは、これまで以上に意識したい(「解答数」が増加している)。どう「攻略」するか? 要は「戦術」だ。中でも「解答順」が最重要。「時間切れ」での「失点」は最悪だからだ。大問では、「知識」中心の「古文」を優先する。「現代文」で、「論説文」と「小説」(あるいは「随筆」)のどちらを先に解くかは、自分自身で事前に決めておくこと。また、「小問」は「知識問題」からこなすのが原則。例年、5000字超(増加傾向で、本年度はなんと約9100字)の「文章」を「読解」することになる(速く正確に読み取るために、分速750字以上を目標に「読む練習」をすること)。本年度は「解答数」も増えて59。当然、全て丹念に答えることは物理的に難しい。したがって、「取れる問題を確実に押さえる」ことが最優先で、「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。無論、「単純ミス」は絶対にしてはいけない。「合格ライン」は6割教(過去8年間の3科目合計の「合格最低得点率」は61.8%。本年度は上昇して66.7%)。「戦術ミス」は致命的になると心得よ。

●「多種多様な設問内容」に「攻略法」はあるのか? 「設問内容」を的確に捉え、それぞれに応じた「解法」を適切に用いることが最重要。そのためには、基本的「解法」を完全習得し、自分自身の「ツール」にすることが必須だ。切迫する「時間」の中で、いかに的確に「解法」を用いて解いていくかが合否を分ける。

「高度な語彙力」が問われる「総合的知識問題」も決して侮れない。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。学校や塾での学習だけでは全く不十分、「独習」は不可欠だ。

●「古文」については、 重要な「古文単語」の定着は勿論(もちろん)だが、「内容理解」も求められるので、「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「古典常識」も「日本史」を含めて馴染んでおくことが必要だ。

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