芝浦工業大学柏高等学校 入試対策
2022年度「芝浦工業大学柏高等学校の数学」
攻略のための学習方法
芝浦工業大柏高校の入試問題は、標準問題が9割であるので得点は80%を目指して欲しい。特に、数学を得意とする受験生は100点を目指して貰いたい。出題形式が『解答形式が指定』されているので、最終的な解答の『形』に注意しなければならない。しかし、その前提は問題の正解に辿り着くことであるので、第一に念頭に置かなければならないのは、『確実な数学力の向上』である。そのために何をしなければならないかを、以下に述べてみる。
徹底的な標準問題の演習を日々繰り返し行って欲しい。全国上位高校の入試問題について時間を決めて演習するのである。演習時間は、問題の難易度によっても異なるが、小問が3~4題設定されている大問であれば12~14分が目安であろう。計算問題や一行問題であれば解答時間は1~2分を目安に取り組んで貰いたい。それでは、具体的な分野を挙げて学習法を考えてみよう。
数量編で最重要分野はいうまでもなく『関数』である。特に、放物線と直線との関係をしっかり演習すること。なぜ、そのような分野が入試問題として頻出するのか。理由は、数学のあらゆる『分野』の問題を作問できるからである。例えば、放物線と直線の交点は連立方程式を立て2次方程式を解く計算力が試される。また、その2点の交点と原点を結んでできる三角形に関する問題も種々設定可能である。相似の考え方を持ち込んで解く問題、その三角形の面積を2等分する直線の式を求める問題、座標平面上にできた図形をある直線を回転軸としてできる回転体の体積を求める問題、さいころを2つ振って出た目の数だけ直線上を点P(m,n)〔mとnはともに整数〕から移動するとした場合にPが格子点(x座標、y座標が共に整数である)に移動する場合の数や、ある一定の条件を与えられ場合の確率を求める問題など、相当な分野をカバーできる問題が作問できるのである。したがって、単に放物線(2次関数)だけの問題を演習するのではなく、それ以外の分野も取り込んだ融合問題を多く(最低50題)演習するように。
また、分野を絞り込めば平面図形(相似、三平方の定理、円と直線・放物線)に関する問題も徹底して演習しておいて欲しい。図形の問題は、単に『定理』を知っているから正解に辿りつけるという訳ではないことは言うまでもない。複雑そうに絡み合う複数の図形の中から、正解に必要な図形をどのようにして見抜いてゆくか、また見抜けるかということが大事になってくる。その様な『見通し』がないと、何時間もその問題を見ていても正解どころか手掛かりとなる『ヒント』さえもつかめなくなってくる。それでは、どのようにしたら正解に辿り着ける図形を見抜けるようになるのか。一つの方法としては『結論から逆算する』という手法である。例えば証明問題であれば、最終的に『何がどうなっていれば与えられた問題が正しいと証明できるのか』ということを考えるのである。つまり、AB=CDということを証明したければ、AB、CDを含む図形(三角形や平行四辺形)の合同証明を行えばよい、という方針を立てられるかどうかということである。そのような手法を用いることで、図形編の問題の正答率は飛躍的に向上するであろう。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2022年度「芝浦工業大学柏高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】は雑問集合問題である<7分>。平方根の計算、2次方程式、データ活用、平面図形の求積が出題されている。完答を目指したい。
【大問2】は関数の問題である<9分>。直線と放物線に関連した融合問題。事前の準備をしっかり行っておくこと。
【大問3】はさいころを用いた確率の問題(データ活用)<10分>。3つのさいころを投げたときに出た目の数と紐に関する確率問題である。
【大問4】は円と直角三角形に関連した平面図形の問題<10分>。直角三角形の特性、相似、三平方の定理を駆使する。
【大問5】は空間図形(直方体)の問題<14分>。本問も平面図形の相似、辺の比等を当てはめる。
【大問1】小問集合問題
- 時間配分:7分
(1)は式の計算(平方根の計算)である<1分>。展開の公式を使用し正確に計算すること。
(2)は2次方程式の解の利用問題である<2分>。解と係数の関係をしっかり理解することが重要である。x=-a±10√2よりx+a=±10√2と変形し、両辺を2乗して考える方法にも慣れておこう。
(3)はデータ活用(度数)に関する問題である<2分>。階級、度数、相対度数などに関する概念をしっかり押さえておくこと。
(4)は平面図形の面積を求める問題である<2分>。ABCDは平行四辺形であるので、△ABC=30である。また、△AEM∽△CEBであることよりAE:CEが求められることを利用して考える。
【大問2】1次関数と2次関数に関する融合問題
- 時間配分:9分
(1)は直線の長さを求める問題である<1分>。A(−2,2)、B(12,0)であるので2点間の距離を求める式を当てはめて考える。
(2)は座標を求める問題である<2分>。OA∥BCであるので△AOB=△AOCである。OAの傾きとBCの傾きは等しいのでBCの傾き=-1となり、B(12,0)であることからBCの直線の式が求められる。y=1x2と直線BCを連立してCのx座標をも求める。
(3)は△ABCの面積を求める問題である<3分>。C(4,8)でありOA∥BCであるので、△ABC=△OBCである。このことから考えを進める。
(4)は辺の長さを求める問題である<3分>。CH⊥ABであるので、△ABC=×10√2×CH=48よりCHを求める。
【大問3】データの活用(さいころ)に関する確率の問題
- 時間配分:10分
さいころX、Y、Z(目は1~6)を同時に1回投げそれぞれ出た目をx、y、zとする。さらに、与えられた手順に従って得られるひもA、B、C、Dに関係した確率の問題である。
(1)確率を求める問題である<2分>。ひもAの長さはx㎝、ひもBの長さはycmである。ひもA=ひもBのときx=yであるので、確率は容易に求められるであろう。
(2)確率を求める問題である<2分>。3つのさいころの目の出方は6×6×6=216である。また、ひもA、B、C、Dの長さが等しくなるので、その長さは20÷4=5㎝となり、条件よりひもBはどのひもよりも長くならなければならないので、y(Bの長さ)>5となる。
(3)確率を求める問題である<3分>。ひもDの長さ=10となるとき、ひもA、B、Cの長さの合計は20-10=10となる。よって、x+y+z=10であるので、x=1、2、3、…と順番に当てはめていこう。
(4)確率を求める問題である<3分>。ひもD=2㎝、ひもAのみが2㎝、ひもBのみが2㎝、ひもCのみが2㎝である場合をそれぞれ求めて確率を出す。
【大問4】平面図形(直角二等辺三角形、円)に関する問題
- 時間配分:10分
(1)角度を求める問題である<2分>。直角二等辺三角形の底角(45°)と円周角の考えを当てはめること。
(2)辺の長さを求める問題である<2分>。△BCDは∠BCD=30°、∠CDB=90°、∠DBC=60°なので、△BCDは3辺比が1:2:√3の直角三角形であることからCDの長さが求められる。
(3)辺の長さを求める問題である<3分>。CからADに垂線CHを引くと△ACHは3辺比が1:2:√3の直角三角形であることよりAHの長さが分かる。また、△CHDは直角二等辺三角形であることからDHの長さが求められる。よって、AD=AH+DHとなる。
(4)面積比を求める問題である<3分>。BからADに垂線BIを引くと△ABIは3辺比が1:2:√3の直角三角形となり、BIの長さが求められる。また、△BIE∽△CHEとなるので、BE:CE=1:√3となる。さらに、△BED∽△AECであることを利用して、最終的には△ABC=△ABE+△BEDに基づいて考える。
【大問5】空間図形(直方体)に関する問題
- 時間配分:14分
(1)辺の長さを求める問題である<2分>。MはAEの中点であるのでAM=2であり、PからAEに垂線PJを引くと△MJP≡△PFGとなる。したがって、BP=BF-PFで求める辺の長さを考える。
(2)辺の長さを求める問題である<2分>。△EFGは直角二等辺三角形であることからEG=6√2となる。また、△MEGにおいて三平方の定理を当てはめてMGの長さを求める。
(3)面積を求める問題である<4分>。△IMG=AEGC-△AMI-△CGI-△MEGで求められる。
(4)体積を求める問題である<6分>。I—MPGQ=P—IMG+Q—IMGとなる。それぞれの三角錐の体積を求め最終的に四角錐の体積が求められる。
攻略のポイント
標準問題ばかりである。8割以上の得点を目指したい。中学数学の範囲からまんべんなく出題されている。難問はないが、基本問題が主流なので少しの計算ミスでも命取りになる。計算ミスなどの単純なケアレスミスは絶対にしてはならない。したがって、計算力をしっかりと身に付けることを最優先で行わなければならない。その際、解答時間(2分程度)を決めて集中して問題に取り組むようにする。その繰り返しの中で、例えば「2分」という解答時間を感覚的に身に付けることができるのである。押さえておきたい分野としては、2次方程式(展開・因数分解)、関数(1次関数・2次関数)、平面図形・空間図形(三平方の定理・各種定理)、場合の数・確率である。今後は、資料の活用(データ処理)にも注意したい。