渋谷教育学園幕張高校 入試対策
2018年度「渋谷教育学園幕張高校の国語」
攻略のための学習方法
論理的な思考力を付けて、本問のような論説文の入試問題で高得点を取るにはどうしたらよいか。いくつかのポイントをあげておこう。
第一に『文章を書く』ということである。何も考えなしに闇雲に文章を書いてみても、入試問題における論説文対策にはあまり効果が期待できないだろう。おすすめは「論説文の要旨をまとめる」ということである。
受験生にとって一冊の論説文〈岩波新書など〉を読んで要旨をまとめると言っても、その様なことを行う時間的余裕はないはずである。
そこで提案したいのは、論説問題の文章をまとめてみよう、ということである。それも、文章でまとめるのではなく、『箇条書き』で『単語』としてまとめていくということである。そうすれば、文章を書くという時間的な負荷も軽減され、なおかつコンパクトに論説文の内容、論旨の流れなどが手に取るように理解できるはずである。
第二に『論点を明確にする』ということである。『論点』を『筆者の主張』と置き換えてもよい。つまり、筆者は何がいいたいのかということを明確に把握するということである。具体的には、本文中で筆者が繰り返している部分や、「つまり」や「したがって」という接続詞でつないでいるような箇所は要注意である。
また、筆者の考えを丁寧に辿ることである。「丁寧」といっても時間をかければよい、というわけではない。いうまでもなく試験時間は限られており、その時間的制限の中で的確に筆者の考えや論理展開を把握しなければならない。
そのためにも、文章を読むスピード、内容を把握する力、把握した内容をまとめる要約力など、求められる「力」は相当なレベルである。これをしっかり満足のいく程度にブラッシュアップさせるためには、日頃から自分の言葉でしっかり考え、文章を書くということである。
次に、小説に関する設問についてのアプローチを考えてみよう。
まずは、心情の読み取りである。直截的に「私は……と思う」とは描写されない。人物の心の中は、情景描写であったり、その人物の一挙手一投足に現われる。そのような表現をしている部分を選び出し、人物と人物の間の精神的葛藤や同調する部分をしっかり理解しよう。そのような作業を行うことなく、小説に描かれている『人物』の内面の本質的な部分を理解するのには時間がかかるであろう。
さらに、注目すべきは『会話』である。会話のやり取りを読み進めるうちに、人物同士が相手に対してどのように感じているか、心理的駆け引きは行われているのか、といった事柄も見えてくる。全体的な内容をしっかり理解するには、そのような面の理解と分析が不可欠である。
いずれにしても、学校で扱う小説や過去問で挑戦する小説の問題に対して、人物の心情を中心に読み進める癖をつけるように心掛けること。これをうまくマスターすれば合格点は取れる筈である。
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2018年度「渋谷教育学園幕張高校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、心理学的分野の論説文の問題である<22分>。
現代社会に生きる若者たちの心理的特徴に関する論説文に関する問題。
大問2は、小説を題材にした問題である<19分>。
主に、漢字、心情把握や内容理解、40~50字の記述問題対策も必要である。
大問3は、古文に関する総合問題である<19分>。
古典文法など基本的知識問題が主である。
【大問1】教育・心理学分野に関する論説文
- 時間配分:22分
出典は、『承認をめぐる病』(斎藤環著)。
筆者である斎藤氏は精神科医でもある。自身が精神科として現代社会における若者を診療しているときに感じる、彼ら自身の「変わらなさ」に対する若者自身の確信をベースに、筆者自身が感じる若者たちの気質を展開する
問一は漢字である<2分>。
同じ漢字を書く選択肢を選ぶ5択問題である。
問二は適正語句選択問題である<1分>。
「さしたる」は、「特にいうまでの」という意味である。
問三は文章内容選択問題である<3分>。
本文でいう『センス』とは何なのか。そのセンスが「象徴」しているのは何かを考える。
問四は文章内容記述問題である<4分>。
現代の若者の大半が、今の生活に満足しているのはなぜなのかを本文に即し考える。筆者は、「若者はもはや将来に希望が描けない」と感じているのである。その裏返しで、「今」に「満足」を感じようとしているのである。
問五は文章内容把握選問題である<2分>。
現代若者が感じている「『変わらなさ』への確信」とは何なのかをしっかり把握理解すること。
問六は内容把握選択問題である<2分>。
「幸福度」、「満足感」、「希望」という言葉は、「きわめて曖昧な言葉」であるから、それらの言葉を使用する人の立場や考え方によって「意味や定義」が変わってくるのである。
問七は文章内容把握記述問題である<8分>。
100~120字の記述問題である。「変化を断念」すればするほど、「断念」した時点での感情(「幸福」や「不幸」)は、ますます増幅してゆくのである。
【大問2】小説の読解問題
- 時間配分:19分
出典は『ヘヴン』(川上未映子著)。
問一は漢字問題である<1分>。
基本的漢字の書き取り問題。
問二は心情把握選択問題である<2分>。
動物と人間の違いは何か。考えるか否かの問題である。
問三は心情把握選択問題である<2分>。
コジマが笑ったのは、どのような状況をおかしいと思ったのか。
問四は心情把握記述問題である<5分>。
「コジマ」が「満足」したのは、「僕」が「ヘヴン」という呼称を受け入れたからである。
問五は心情把握記述問題である<5分>。
「コジマ」が声が小さくなり、やがて「黙ってしまった」のは、自分たちが傷ついているということを思い出したのである。
問六は内容理解選択問題である<2分>。
「壁にかかってる時計」は、何を例えたものなのかを文脈を把握して考える。
問七は表現理解選択問題である<2分>。
本文の内容に即して、適切な選択肢を選ぶこと。キーワードにも、しっかり配慮すること。
【大問3】古文(説話)文読解問題
- 時間配分:19分
出典は『十訓抄』。
問一は現代語訳問題<3分>。
どれも基本的古典単語である。完答を目指したい。
問二は古文内容理解問題<2分>。
本文の流れに従って、a~dの主体を考える。
問三は四文字熟語問題<3分>。
私心・私欲がなく、心が清らかな状態を表す四文字熟語を考える。
問四は内容理解選択問題<2分>。
小さな火の粉から火事になったことで、実資にどのような考えをもたらしたのかを考える
問五は内容理解選択問題<2分>。
実資にとって。一軒の家が焼けたということがいかなる意味を持っているのか。
問六は現代語訳選択問題<2分>。
「数にもあらず」とは「問題にならない」ということである。
問七は内容把握選択問題<3分>。
自分には賢者としての資質・才能がないということを自覚していた実資が、賢者のごとく振る舞うことにより実資はどのように変化していったか。
問八は内容把握選択問題<2分>。
「ひとし」とは「同じ」ということであり、賢者と同じようになれるように、という意味である。
攻略ポイント
全体的に、現代文(評論・小説)の読解、古文読解が中心である。この出題傾向は例年変わらない。設問内容としては内容把握・心情把握をしっかり行えるようにして欲しい。
また、漢字、文学史、語句。古典文法などの知識問題は確実に得点できるように事前準備を怠らないように。
さらに、50~60字の記述問題も全得点に占める比重が高いので、短時間で自分の考えを本文に沿って文章に纏め上げる能力も身に付けなければならない。対策としては、とにかく記述式問題集で徹底的に演習を繰り返すことである。この対策を怠ると、本番で徒に時間だけが過ぎてしまい、満足のゆく答案に仕上げることができないであろう。