昭和学院秀英高等学校 入試対策
2024年度「昭和学院秀英高等学校の国語」
攻略のための学習方法
〇長文読解
例年、説明的文章・文学的文章の各1問ずつが出題されている。素材文の字数はおよそ計9000字。
漢字5~6問・接続詞や慣用句などの言語事項が数問、合わせて出されている。
やはり70~90字ほどある記述問題は手間がかかる。論説文・小説の両方で出題があるので、それぞれの記述のまとめ方に慣れておこう。
〇記述問題
論説文の場合、本文中の言葉・文章の他の表現への変換や詳しい説明が主になるが、各段落の要点にまとめられている場合が多いだろう。傍線部の前後・段落の最初と最後は注意すべき最重要点である。まず同じ意味段落の中で適当な箇所を探すということもセオリーであろう。
形式段落→意味段落への整理・各意味段落の要約(この際、内容を短いタイトルにしてつけてしまうとわかりやすい)・段落ごとのつながり・各段落の要旨の把握、そして全体の要約へといたる。解答の際の手間を省くためにも、上記の重要点を印・傍線で目立つようにしておくことは大変有効である。
およそ20~30字程度で一つの事柄がまとめられる場合が多いので、80字であれば3点くらいの内容を抽出してつなげれば形よくまとまるだろう。
小説の場合、心情の説明がやはり多くなる。場面・登場人物の転換があればその箇所を正確に分けておく。人物の言動や表情からその時の心情を考える。特に心情に大きな変化があった場面は要チェック。情景にも注意しながら本文で描かれているテーマを読み取る。
文学的文章の場合、文中にはっきりと説明されていないことも多い。その場合、普段から多くの小説・随筆を読み、人間のさまざまな気持ちを体験しておくことが何よりもよい勉強になるので、ぜひ読書に勤しんでいただきたい。
〇選択肢問題
本校の選択肢の問題は5択になっていて、答えを絞るのに手間はかかるが、それぞれの選択肢の内容ははっきりしており、無理に迷わせるようなものではない。本文をしっかり読み取れていれば正解を選べるはずである。
〇漢字・その他
漢字は基本的なものが5~6問程度出題される。その他、品詞やことわざ・慣用句などの言語事項も数問。高校受験用の問題集などを1冊しっかり仕上げておこう。
〇古文
単語に注釈はついているが、現代語訳などはついていないので、ほぼ大学レベルとも言える難しさである。内容は現代人にも理解しやすいものが選ばれているようなので、古典に慣れていれば読み取れるであろう。
ただし、そのためには中学校で習う量では全く足りない。高校初級~中級レベルの教材で、重要単語・基本文法を覚え、少しでも多くの古文に触れて頭を慣らしておかなければならない。配点も2割ほどと高いので、最低でも半分は正解できるくらいの力はつけておきたい。
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2024年度「昭和学院秀英高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文読解はおよそ論説文4000字・小説4800字で計8800字ほどであった。これに古文800字ほどが加わり、文量が多くなっている。
長文記述は80字・100字で2問。ここだけで10~12分ほどは要するであろうから、最初の漢字や知識問題を素早く済ませ、なるべく多くの時間を記述問題に残したい。古文も10分ほどみておいて全体の時間配分を考えたい。
【大問一】漢字の読み書き
- 時間配分:2分
1 利他 2 若干 3 逐次 4 口伝 5 統御
【大問二】論説文の読解
- 時間配分:19分
アドボカシーによって自分と他人を尊重するコミュニケーションをとる重要性と、現在の日本における親子間のコミュニケーションの問題を取り上げている。
1. アドボカシーは「対立姿勢で怒ったりケンカしたりすることとは違い」「日常会話として伝える」ものである(選択肢エ)。また、「相手と自分へのリスペクトを持ちながら」互いにとって良くなるように話し合うことが本質である(選択肢イ)。
2. 直前で「早期からのアドボカシー教育の力」を感じた例が挙げられている。はっきり自分の意見を言ってくれた方が結果として良いコミュニケーションが取れて、「率直に言ってくれて良かった」と感じることが多かったのである。
3. 「監督の決断に唯々従うスタイル」では、「自分のコントロール下にない他人の判断が自分の状態、成績や評価などに影響」する場合があり、「その人への怒り」や「自分の世界をコントロールする力はないと無力感を抱いてしまうこと」がある、述べられている。
4. 筆者は日本で育って、早期からのアドボカシー教育を受けていなかったので、他人に意見をはっきり言うことに慣れていないのである。
5. 相手と自分を共にリスペクトするコミュニケーションを通じて、物事の結果を自分のものとして納得して受け入れることができ、自分のことを自分で判断できるように成長できるのである。
6. (1) 【文章Ⅰ】海外で働く筆者の経験を説明しながら自分の子供ともそうした関わり方を模索している。【文章Ⅱ】では現在の日本の大学での望ましくない親子関係の事例を挙げている。
(2) 「相互へのリスペクトを持ったコミュニケ―ション」ができていないため、子どもを独立した一人の人間として尊重できていないことが、親からの過保護の原因となっていると考えられる。
【大問三】小説の読解
- 時間配分:19分
主人公は大学の人間関係に疲れ、一年間の予定で休学しコンビニでバイトを始めた。家族が勝手に復学を期待する中、バイト先の先輩からいつでもまた働きに来たらいいと温かい言葉を掛けられ、仕事仲間とここでもっと働けたらと思う。
1. A 父親や兄が有名大学を出て有名企業に勤める一家において、休学している主人公は「一時的なエラー」だと見なされている。
B OKという気分には程遠く、「漠然と」不安はあるが口にする根拠はない。
2. (ⅰ) 自分としては大学復帰について不安を抱えている中、家族は復帰するのを前提で話をしており、自分のことを話されているような気がしない。
(ⅱ) 家から出て働いて仕事仲間とも付き合いができた現在、家族と自分との距離感を以前より客観的に見られるようになり、新たな視点が生まれている。
3. たしかに母親が知りたがるような情報は知らないが、仕事仲間の人柄はわかっているし、一緒にいてイヤじゃないのだから、それでいいということ。
4. 普段無口で無駄話もせずきっちり主人公を働かせる厳しい先輩であるアニさんが、親も気にかけないようことを心配してくれ、やり直しがきくのだからまたここで働けばいいと思いがけなくも言ってくれて、ありがたく嬉しくて言葉が出てこなかったのである。
5. 一緒にいてイヤじゃない相手というだけで十分で、働いていた時と同様に、唐沢のことをあれこれ聞かなくてもいいと思った。
6. ア. 「一人でもけっこう平気だ」と言いながら、「世の中の一人はいけないという空気に負ける・ミジメだと思わされる」のであるから、一人でいることを好んでいるわけではない。
【大問四】古文の鑑賞
- 時間配分:12分
ある尼が描いてもらった仏が盗まれてしまった。見つからず悲しんだが、寄付を募って生き物を助けようと摂津国の浜に行った。すると置いてある箱の中から生き物の声がしたので買って助けてやろうと持ち主に聞いてみると、生き物ではないと中を見せようとしない。周囲の人が確かめてみればいいというと持ち主は逃げてしまった。箱を開けてみると、亡くなった仏の絵が入っていた。人々は尼をほめたたえ、尼は仏を元の寺に安置してさしあげた。
1. ほうじょう(放生)――捕らえた生き物を放してやること。
2. a あからさまに――ほんのちょっと・ほんのしばらく
b はやく――早い時期に・かなり前に
3. 箱の中から声がするので「畜生の類」が入っていると思って「これ」を買って放そうと思った。
4. 箱の持ち主が生き物は入っていないと言うので、それなら箱を開けて見てみようと周囲の人たちが言った。
5. 見つかった仏を元の寺に連れて帰ったのは尼である。
6. エ
7. 『今昔物語集』は説話集なので『宇治拾遺物語』と同じジャンルである。
攻略ポイント
記述問題で配点の2割を占めている。同じくらいの字数で日本語に破綻がないようにうまくまとめる練習を積んでおくこと。
2019年度から選択肢は5択にもどったが、いたずらに答えを迷わせるような意地悪なものではないので、読解力をつけて臆せず自分が正解と思うものを選べばよい。
古文も中学生向けに素材文のレベルを下げてくれるわけではないので、高校生中級くらいを目指す気持ちで高校用の教材で勉強しておくのがよい。
問題文も含めて字数は多いので、常にスピードを意識して学習すること。