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昭和学院秀英高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2014年度「昭和学院秀英高等学校の国語」
攻略のための学習方法

国学院久我山の国語について、志望者が意識して身につけておきたいものは4つある。
 
[解法]
ネックとなる「選択肢」に限らず、「昭和秀英の国語」で勝利するための基本は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
 
[記述]
「昭和秀英の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提として為すべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。40~50字程度で書いてみる(昭和秀英の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。
 
[速読]
「現代文」全体で5000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。昭和秀英に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
 
[知識]
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「昭和秀英の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
 
[古典]
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。が、昭和秀英などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

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2014年度「昭和学院秀英高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問一は「論説文」、出典は江崎保男「自然を捉えなおす--競争とつながりの生態学」(文字数約2300字)。筆者は、兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授。また、兵庫県立「コウノトリの郷公園」研究部長も務めている。理学博士。専門は動物生態学。小問は全8問(解答数は13)で、出題形式は「選択肢」「抜き出し」「記述」(3問。40字以内2問と50字以内1問の字数指定)、「漢字の書きとり」(5問)「知識問題」(1問)。問題文は3分強で読み切り、設問を20分程度で解きたい。

大問二は「小説」、出典はまはら三桃(みと)「鉄のしぶきがはねる」(文字数約2500字)。作者は児童文学作家。「オールドモーブな夜だから」で「講談社児童文学新人賞佳作」(05年)、また、本作品で「坪田譲治文学賞」(11年)を受賞している。小問は全8問(解答数は10)で、出題形式は「選択肢」(「不適切説明」あり)「抜き出し」「記述」(1問。20~30字以内の字数指定)、「知識問題」(2問)。問題文は4分弱で読み切り、設問を15~16分程度で解きたい。

大問三は「古文」、出典は清少納言「枕草子(第175段)」(文字数約330字)。小問は全7問(解答数は8)で、出題形式は「選択肢」「抜き出し」「書き下し文の記述」(1問)。7~8分で解きたい。

[大問1]論説文

  • 時間配分:20分

本書は、科学としての「生物学・生態学」=「エコロジー」の基本から説き起こし、「適応と競争」をキーワードに、エコロジカルな視点から自然と人間、そして、地域のあるべき姿を捉え直すべきだと論じている。本文では、最近「生態系サービス」という言葉が広まっていると提起し、それを利用するには過去の経験を活かして計画を立て、試行錯誤を繰り返すことが重要だと述べている。「漢字問題」「選択肢設問」等、昭和秀英らしい問題がある。以下、2問だけ考えてみたい。

[1] 「漢字の書きとり」(5問)。昭和秀英では「高度な語彙力」が必要だということが明白なものばかり。(D)の「ハイシュツ」=「排出」以外は一筋縄ではいかない。(A)「バクゼン」=「漠然」、(B)の「カンサン」=「換算」、(C)「ヨジョウ」=「余剰」、(E)「ジュンタク」=「潤沢」。「難易度の高い漢字」も確実に定着させておく必要がある。

[5] 「換言説明の選択肢」。傍線部②の「元金としての生態系いのちと利子としての生態系サービス」について、「どのようなことか」を答える(「5択」)。「選択肢の説明」が実に紛らわしい。いかにも昭和秀英の問題。「選択肢設問」は「消去法」が大原則。ここは「換言説明」なので、先ずは、「原意」で「消去」することを考える(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。「2つ」のことの「説明」だということに注意すること。「元金としての生態系いのち」と「利子としての生態系サービス」、「消去」の順序はやりやすい方からで構わないが、選択肢の「文末」に説明されている「後者」から行うのが分かりやすい。「後者」の「利子」が最初の対象となる。「比喩表現」だが、「原意」からくみ取ると「派生して生み出されるもの」ということだ。従って、これに結びつかない(ア)(エ)(オ)は「消去」できるはず。残りは(イ)(ウ)の「2択」だが、両者の「内容」は実に判別しがたい。そこで、「細部」に着目する。やはり「後者」の「説明」で、(イ)は「生命の循環」、(ウ)は「自然の循環」となっている。「生命」か「自然」、どっちだ? 傍線部直前から、「生命」だと判断できなくてはいけない。よって、「答え」は(イ)になる。昭和秀英の「紛らわしい選択肢」では、「細部」にこだわって、「消去」の「解法」を的確に用いることが重要。

[大問2]小説

  • 時間配分:15~16分

本作品は、鉄の塊に挑む手作業よりもコンピューターを信じていた、工業高校機械科「旋盤女子」の主人公・三郷心(しん)が、鉄との格闘を通して職人技の極みに魅せられていく、機械油と鉄のとがった匂いにまみれた「青春物語」。本文は、「高校生ものづくりコンテスト」の校内選考結果発表の場面。「知識問題」の手強さ、「風変わりな問題」など、昭和秀英らしさが随所に見られる。以下、いくつか検証してみる。

[1] 「空所補充の選択肢」(5問)。空所[A][B]に当てはまる「言葉」を答える(各「4択」)。[A]は「熟語」の「意味」、[B]では「慣用句」が問われている。流石、昭和秀英、一筋縄ではいかない。[A]は「文脈」も考慮する必要がある。が、直前に「ため息がもれた」とあるからといって、すぐに(エ)の「落胆」にしないこと。直後が「[A]したのは本人だけでなく」なのだから、それではつじつまが合わなくなる。で、「答え」は(イ)の「安堵」。[B]は、(ア)のまさに「一筋縄ではいかない」(「普通の方法ではできない」という意味)が「答え」。昭和秀英では「語彙力の強化」が必須だ。

[2] 「条件付き説明記述」。主人公「心」の「性別」を答える(字数指定なし)。「条件」は「本文で根拠となる部分」を「引用」すること。はぁ? なんじゃ、こりゃ。世にも不可思議な問題。昭和秀英の真骨頂発揮。普段、「性別」など気にせず読んでいるかも知れない。油断大敵だ。主人公「心」は自分のことを「わたし」と言っているので「女」だと思うが、それだけでは「根拠」が弱い。「男」が「わたし」と称しても不自然ではない。他に何かないか? ちょっと視点を変えてみたい。「前説」(「本文」前の「説明」)で何か気づかないか?「崎原さん」だけがなぜか、わざわざ「性別」が記されている(=「女子生徒」)。奇妙だ。「手がかり」か? まさに、そのとおり。「美しい部品」をつくった「亀井」ではなく、「心」がコンテストの「代表」に「選出」された後の部分に、こうある。「崎原さんが同僚から言われたみたいに『女は得だ』と思っているかもしれない」と。つまり、「亀井」が、「心」に対して「女は得だ」と「思っているかもしれない」ということだ。これこそ、確固たる「根拠」になる。これを「引用」して説明すればいい。「性別」の「表記」としては、本文に合わせて「女子」としたい。「前説」は問題を解くために「必要だからある」と心得よ(「手がかり」「ヒント」になる)。

[3] 「理由説明の選択肢」。傍線部①の「甲斐のないやっちゃな!」について、そのように言った「理由」を答える(「5択」)。設問だけでは「原意消去」はできないので、「傍線部一文一部の法則」(「傍線部が一文の一部の場合、傍線部以外が重要」という重要な「解法」)も合わせて考える。直前に「拍子抜けしたように」とある。この「原意」と直接結びつかない選択肢(イ)(ウ)(オ)は「消去」可能だと分かるはず。「発言」が「中原先生」のものだとも分かったので、次は「中原先生」の「心情」で選択肢の「前半」を「消去」することになる。「同一場面」を確認する(「小説は同一場面に根拠あり」。これは「小説」の「最重要解法」)。すると、後半に「きれいな面が出せるようになったやないか」という「中原先生」の「セリフ」があるので、(ア)は「消去」でき「答え」は(エ)になる。様々な「解法」を使って段階的に「消去」していくことが必要だ。

[大問3]古文

  • 時間配分:

本作品は何ら説明の必要はないはず。本段では、「村上天皇」に称賛されたひとりの「女房」(=「兵衛の蔵人」)に関するエピソードが描かれている。「かなづかい」「単語の意味」「敬語」など、「古文」の「基本的事項」が問われている。また、「漢文」の出題が1問あるが、超基礎的な「書き下し文」なので正解して当然。以下、2問だけ検討してみよう。

[3] 「指示語特定の選択肢」。傍線部②の「かれ」が「何を指すか」を答える(「5択」)。「古文」の「かれ」は必ずしも「人称代名詞」とは限らないことに注意すること。「もの」をさし示すこともあるのだ。「人物」にこだわっていると間違う。直前に「煙の立ちければ」とあり、「かれは何ぞ」となっているのだから、「煙」を指し示していて「答え」は(エ)となる。頭を「現代文」から「古文」にスイッチすべし。

[4] 「主語特定の選択肢」。傍線部③の「奏しける」の「主語」を答える(「5択」)。「古文」の「奏す」と「啓す」は「絶対敬語」。「奏す」は「天皇」「上皇」、「啓す」は「皇后」「中宮」「皇太子」に対してだけ使用されるということを知らなくてはいけない。ここでの対象は「村上天皇」であり、傍線部直前の歌を「奏しける」のは「兵衛の蔵人」以外はあり得ない。で、「答え」は(イ)。昭和秀英では、「敬語」も含めて「基礎的文語文法」はマスターしておくこと。

攻略ポイント

「昭和秀英の選択肢設問」、「5択」で「各選択肢の説明」が長い。これにどう対処するか? 少し考えれば誰でも分かるはず。要は、できるだけ単純な方法で、「選択肢」を少しでも「消去」しておきたいということ。「問題解説」でも指摘したが、そのために有効なのはが「原意消去」。そこで、できれば「2択」にまでしておきたい。どれほど「紛らわしい選択肢」でも、2つにまで絞り込めば間違える可能性が大いに減少するのは自明の理だ。その上で、様々な「解法」を用いて、最終的に判別していけばいい。そこでは、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが重要だ。それによって、「選択肢設問」での「失点」を防ぎ、「得点力」を安定させるべきだ。「昭和秀英の国語」の「合格ライン」は6割弱(14年度の「合格者平均」は62%。学校発表)。当然、「失点」の数が合否を分ける。

分かっていながら得点につながらない「昭和秀英の記述」。書くべき「内容」は理解できるが、うまくまとめるのは至難の業。「攻略」できるのか? 無論、可能だ。だが、「裏ワザ」など存在しない。結局は、愚直に「記述」の「練習」を続ける他ないのだ。先ずは、正否の分かれ目となる「最重要な要素」を「文末」として他の「必要な要素」を積み上げていく(積上げ方式)という手法を完璧にマスターすること。そして、「内容」から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが必要。昭和秀英では「30~50字程度」の「字数指定」が多いので、1~2つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。

「総合的知識問題」も決して侮れない。 「高度な語彙力」だけではなく、「あらゆる知識」が問われる。昭和秀英を志望したそのときから、独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。学校や塾での学習だけでは、全く不十分なので、「独習」は欠かせない。

「古文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容理解」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「古典常識」も「日本史」を含めてなじんでおくことが必要になる。

試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文のボリュームは「現代文」で5000字程度。さほど多くはないが、速く正確に読み取ることが求められることには変わりない。分速700字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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