昭和学院秀英高等学校 入試対策
2020年度「昭和学院秀英高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
例年、説明的文章・文学的文章の各1問ずつが出題されている。字数は計8000ほど(2020年度)。
漢字5~6問・接続詞や慣用句などの言語事項が数問、合わせて出されている。
やはり70~90字ほどある記述問題は手間がかかる。論説文・小説の両方で出題があるので、それぞれの記述のまとめ方に慣れておこう。
記述問題
論説文の場合、本文中の言葉・文章の他の表現への変換や詳しい説明が主になるが、各段落の要点にまとめられている場合が多いだろう。傍線部の前後・段落の最初と最後は注意すべき最重要点である。まず同じ意味段落の中で適当な箇所を探すということもセオリーであろう。
形式段落→意味段落への整理・各意味段落の要約(この際、内容を短いタイトルにしてつけてしまうとわかりやすい)・段落ごとのつながり・各段落の要旨の把握、そして全体の要約へといたる。解答の際の手間を省くためにも、上記の重要点を印・傍線で目立つようにしておくことは大変有効である。
およそ20~30字程度で一つの事柄がまとめられる場合が多いので、80字であれば3点くらいの内容を抽出してつなげれば形よくまとまるだろう。
小説の場合、心情の説明がやはり多くなる。場面・登場人物の転換があればその箇所を正確に分けておく。人物の言動や表情からその時の心情を考える。特に心情に大きな変化があった場面は要チェック。情景にも注意しながら本文で描かれているテーマを読み取る。
文学的文章の場合、文中にはっきりと説明されていないことも多い。その場合、普段から多くの小説・随筆を読み、人間のさまざまな気持ちを体験しておくことが何よりもよい勉強になるので、ぜひ読書に勤しんでいただきたい。
選択肢問題
本校の選択肢の問題は5択になっていて、答えを絞るのに手間はかかるが、それぞれの選択肢の内容ははっきりしており、無理に迷わせるようなものではない。本文をしっかり読み取れていれば正解を選べるはずである。
漢字・その他
漢字は基本的なものが5~6問程度出題される。その他、品詞やことわざ・慣用句などの言語事項も数問。高校受験用の問題集などを1冊しっかり仕上げておこう。
古文
単語に注釈はついているが、現代語訳などはついていないので、ほぼ大学レベルとも言える難しさである。内容は現代人にも理解しやすいものが選ばれているようなので、古典に慣れていれば読み取れるであろう。
ただし、そのためには中学校で習う量では全く足りない。高校初級~中級レベルの教材で、重要単語・基本文法を覚え、少しでも多くの古文に触れて頭を慣らしておかなければならない。配点も2割ほどと高いので、最低でも半分は正解できるくらいの力はつけておきたい。
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2020年度「昭和学院秀英高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文読解は論説文3600字・小説4400字の計8000字ほどであった。これに古文1000字ほどが加わり、文量が多くなっている。
長文記述は60~80字で4問。ここだけで15~17分ほどは要するであろうから、最初の漢字や知識問題を素早く済ませ、なるべく多くの時間を記述問題に残したい。古文も10分ほどみておいて全体の時間配分を考えたい。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:20分
「高原期の時代」における若者の「宿命論的人生観」は「認識論的誤謬」の一つであり、社会環境の劣悪さや自身の能力不足を新しい人間関係の構築やシェアにより補えるかもしれないと論じている。
1. A. 過程 B. 稼 C. 摂取 D. 没頭 E. 回避
3. 「特定のことに没頭」「ひたすら一つのことに集中」ではなく、「臨機応変」に。
4. Ⅰ 「社会が平坦化し、かつてのように超越的な目標を胸に抱きにくくなった」(第1・3段落)・「クルマ
は買わずにシェアすればよい」(第4段落)→アとオが選べる。
Ⅱ 努力とは本来「個人の能力不足を自己完結的に補う」営みだったが、「他者とのつながりによって
補う」「関係そのものを楽しむ」営みへと変わってきている。
5. 「恵まれた成育環境になければ目覚めることは難しい」「その環境も社会制度の設計いかんで変えていける」(第7段落)・「人間関係のマネジメント能力の高さは生得的な素質ではなく社会化による産物である(社会の変容で変わりうる)」(第8段落)→アとエが選べる。
6. 「排除されていることを当事者に意識させないような排除」とある。当時者が「自覚できない」ということであるから、オが合っている。
7. 同じ境遇・立場や考えを同じくする多くの人たちと「シェア」して補い合うのであるから、一私企業とつながっただけの選択肢ウは当てはまらない。
8. 第7段落~第9段落の適切な部分を用いてまとめられる。用語としては「認識論的誤謬」と一語でまとめられている内容である。
【大問二】小説の読解
- 時間配分:20分
骨董品店が実家である主人公の、父や古物に対する思いが描かれている。
1. Ⅰ 「唸る」には、感嘆の声を出す・ひどく感心するという意味もある。
Ⅱ 滔々と――つぎつぎとよどみなく話す様子。
2. Ⅳ 「よろこびが湧き上がる」の形容であるから「ふくふく(柔らかくふくらんだ感じ)」が合う。
3. 「骨董屋は田舎では成り立たない」「この町に食べさせてもらっている」などから、骨董の鑑識眼のある人や経済的余裕がある人がある程度いないと商売が成り立たないのだと考えられる。
4. 主人公は「生活の塊」としておしゃれでもないただの古いもの・価値がないものと思っているが、父はその品に込められた思いや持ち主の物語などを感じられることを「面白い」と感じている。
5. 店には「由緒正しい」掛け軸などもある。
6. 父の目が、自分も含めた「人」に向けられたときの恐怖である。骨董品を値踏みするように、その人間の本質を探っているように思われるのであろう。
7. 「たくさんいいものを見る」ことは、そもそも「興味」や「好き」という気持ちがあってこそできることである。
8. 父による品物の講釈を聞いている場面である。父の品物に対する情熱に同調し、「遠い昔に生まれ、人の手を伝ってここにたどりつき、やっとめぐりあえた」品物が「輝きを帯びてくる」。時代時代の雰囲気やこめられた持ち主の思い、そういったものが主人公に語りかけてくるように感じられるのであろう。
9. イ 子どもが理解できない事物をカタカナで表記し、言葉では知っていても詳しくはわかっていないことを
示す手法。
カ 品物に対する父の熱を主人公も受け止めてともに感動している。古物を輝かせる父の講釈に主人公は
敬意を覚えている。
【大問三】古文の鑑賞
- 時間配分:10分
主人のもとではよく雉を獲った鷹も、持ち主が変わると能力を発揮しなかった。動物ですら普段世話になっている人のために尽くすのであるから、ましてや人間はそうありたいものである。
2. いはむや→いわんや(まして・なおさら)
3. 「人などを以て仰せたまふべきことを」人を使っておっしゃってもよいことを「かくわざと渡らせたまへければ」わざわざ自らおいでくださったのだから。
4. 「次なりける鷹(2番目に優秀な鷹)」のことである。
5. 「え」は副詞。「え+打消しの語」で不可能を表す。
6. 「雉にあはするに必ず五十丈が内を過ぐさずして取りける鷹」雉に合わせて放すと五十丈以内で雉を捕まえる。
7. 「鷹も主を知りてあるなりけり」「いはむや人は……」鷹でさえ自分の主人が誰かを知って、その人のために能力を発揮する、ましてや人間ならば……。
攻略のポイント
記述問題で配点の3割弱を占めている。同じくらいの字数で日本語に破綻がないようにうまくまとめる練習を積んでおくこと。
昨年度から選択肢は5択にもどったが、いたずらに答えを迷わせるような意地悪なものではないので、読解力をつけて臆せず自分が正解と思うものを選べばよい。
古文も中学生向けに素材文のレベルを下げてくれるわけではないので、高校生中級くらいを目指す気持ちで高校用の教材で勉強しておくのがよい。
問題文も含めて字数は多いので、常にスピードを意識して学習すること。