昭和学院秀英高等学校 入試対策
2021年度「昭和学院秀英高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
例年、説明的文章・文学的文章の各1問ずつが出題されている。字数は計7000ほど(2021年度)。
漢字5~6問・接続詞や慣用句などの言語事項が数問、合わせて出されている。
やはり70~90字ほどある記述問題は手間がかかる。論説文・小説の両方で出題があるので、それぞれの記述のまとめ方に慣れておこう。
記述問題
論説文の場合、本文中の言葉・文章の他の表現への変換や詳しい説明が主になるが、各段落の要点にまとめられている場合が多いだろう。傍線部の前後・段落の最初と最後は注意すべき最重要点である。まず同じ意味段落の中で適当な箇所を探すということもセオリーであろう。
形式段落→意味段落への整理・各意味段落の要約(この際、内容を短いタイトルにしてつけてしまうとわかりやすい)・段落ごとのつながり・各段落の要旨の把握、そして全体の要約へといたる。解答の際の手間を省くためにも、上記の重要点を印・傍線で目立つようにしておくことは大変有効である。
およそ20~30字程度で一つの事柄がまとめられる場合が多いので、80字であれば3点くらいの内容を抽出してつなげれば形よくまとまるだろう。
小説の場合、心情の説明がやはり多くなる。場面・登場人物の転換があればその箇所を正確に分けておく。人物の言動や表情からその時の心情を考える。特に心情に大きな変化があった場面は要チェック。情景にも注意しながら本文で描かれているテーマを読み取る。
文学的文章の場合、文中にはっきりと説明されていないことも多い。その場合、普段から多くの小説・随筆を読み、人間のさまざまな気持ちを体験しておくことが何よりもよい勉強になるので、ぜひ読書に勤しんでいただきたい。
選択肢問題
本校の選択肢の問題は5択になっていて、答えを絞るのに手間はかかるが、それぞれの選択肢の内容ははっきりしており、無理に迷わせるようなものではない。本文をしっかり読み取れていれば正解を選べるはずである。
漢字・その他
漢字は基本的なものが5~6問程度出題される。その他、品詞やことわざ・慣用句などの言語事項も数問。高校受験用の問題集などを1冊しっかり仕上げておこう。
古文
単語に注釈はついているが、現代語訳などはついていないので、ほぼ大学レベルとも言える難しさである。内容は現代人にも理解しやすいものが選ばれているようなので、古典に慣れていれば読み取れるであろう。
ただし、そのためには中学校で習う量では全く足りない。高校初級~中級レベルの教材で、重要単語・基本文法を覚え、少しでも多くの古文に触れて頭を慣らしておかなければならない。配点も2割ほどと高いので、最低でも半分は正解できるくらいの力はつけておきたい。
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2021年度「昭和学院秀英高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文読解は論説文・小説ともに約3500字の計7000字ほどであった。これに古文600字ほどが加わり、文量が多くなっている。
長文記述は70字で2問。ここだけで10~12分ほどは要するであろうから、最初の漢字や知識問題を素早く済ませ、なるべく多くの時間を記述問題に残したい。古文も10分ほどみておいて全体の時間配分を考えたい。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:22分
科学とは事実の足りないところを「科学的仮説」で補ったものであるため、何が「科学的」であるかについて検証と反証を繰り返し、「仮説」と「意見」を見分ける批判的な思考を積み重ねることが大事であると述べている。
1. A 図鑑 B 駒 C 倒壊 D 公理 E 変革
2. ラテン語の「分ける」という言葉が「科学」の語源になっていることと、日本語の「分ける」が「分かる」と関連していることとが、関係ないはずでありながらつながっているように思える点を興味深いと言っているので、選択肢オが合う。
3. 「一歩踏み込んだ」とは「集めて分類しただけで終わらない、その先」ということである。その先とは法則を発見するために「分析」することであり、科学研究とはつまるところ「自然法則の解明」であると筆者は述べている。
4. 「反証が可能な理論は科学的であり、反証不可能な説は非科学的である。検証できるかどうかは問わない」という定義から考える。「検証できるかどうかは問わない」のだから、検証できることが科学的であるとしている生徒A・生徒Dは合わない。生徒Cと生徒Eの「宇宙の中で地球にしか生命がいない」・「地球にしか生命はいない」は証明されていないので反証になりえない。
5. 問4のポパーの定義を参照。その「反証可能性」が科学と非科学の境を決める基準となっていると述べられている。
6. 「反証がある(仮説が間違っている)こと」によってその仮説が「科学的である(科学的に成立する)」と認められるわけで、「否定されることで認められる」という関係が「逆説めいて」思えるのである。
7. 最後の数段落に書いてあることと選択肢オが合う。選択肢アは、見つけ出そうとしているのが「法則」である点に言及がないので合わない。
【大問二】小説の読解
- 時間配分:18分
詩人である姉の作品への世間の評価に納得できずにいた主人公は、普通の人と違う雰囲気を持つ男子に好意をもち彼なら姉の詩を評価してくれるのではと期待したが、結局彼も他の俗人たちと同じであると気づき幻滅する。
1. A 親しくもない人から初めて話しかけられた場面であるから、エが合う。
B 相手が好きなのかもしれない作者をけなしてしまったと思っているようなので、オが合う。
2. 主人公が自分の姉だと打ち明けるかどうかは「ついで」でそうしてもいいかと思っている程度のことで、まずは本をたくさん読んでいる「彼」に姉の第二作の評価を聞きたいということであろう。
3. 「大人びた」「自分の世界を大事にする」「現実世界にさほど関心がない」といった雰囲気で「変り者」と呼ばれている人のことであり、教師の発言を気にしているという点でも選択肢エが合う。
4. 「小細工」とは、「凡人だと思われたくない」ために「努力もしないでうわべだけとりつくろい人から感心されて悦に入る」といった行動のことである。そんなみせかけの振りをするくらいなら、正直に「凡人であることを隠さない」ほうがかっこいいと主人公は考えている。
5. 本をよく読み世間から距離を置いているように見える彼なら、姉の作品を先入観や世間の評判に惑わされずに読んでくれるのではないかと期待していた。しかし、他人の評価に流され、「二作目は才能が枯れる」「売れすぎると調子に乗る」など、どこかで聞いたようなありがちな「世の中の意見」を本を読みもしないで口にする彼の「凡庸」ぶりに、主人公は幻滅してしまったのである。
6. ウ――この「いやな予感」は、彼も「世の中の意見」をうのみにして無責任に作品を批判するような俗人なのかもしれないという疑念であるから、合わない。
オ――この「わかっていたのに」は、彼の意見に適当に合わせておけば仲違いせずにすんだかもしれないのに、ということである。
【大問三】古文の鑑賞
- 時間配分:10分
生前にわずかな米を借りて返さなかったせいであやうく地獄に行きそうになった僧侶のエピソードが語られる。
1. いうよう――(弟子を読んで)「言うには」
2. 「極楽の迎へ」は来ずに火の車を寄こしたということなので、この車は「地獄の迎へ」である。
3. 別当が弟子に話した内容をおおまかにいえば「地獄からの迎えが来たので何の罪かと聞いたら、米を五斗借りて返さなかったからだと言われた。その分を返そう。なので急いで米一石分の経を読んで寄進しろ(と弟子に命じた)」ということである。「~一石ずきやうにせよ」まで別当の言葉は続いているのである。
4. 鬼が答えた「この寺の物をひととせ、五斗借りて、いまだ返さね(ば)」の部分が別当の犯した罪の内容である。
5. 「その程度(米五斗)の使い込みをしたものにでも、地獄からの使いが来る」のだと、別当のことを指している。
6. 別当はあの世へ何かを持って行こうとしたわけではないので、生徒Eの発言は合わない。
7. ジャンルとしては「説話集」であるから『今昔物語』が同じである。ア・イは随筆、エ・オは物語である。
攻略のポイント
記述問題で配点の2割を占めている。同じくらいの字数で日本語に破綻がないようにうまくまとめる練習を積んでおくこと。
2019年度から選択肢は5択にもどったが、いたずらに答えを迷わせるような意地悪なものではないので、読解力をつけて臆せず自分が正解と思うものを選べばよい。
古文も中学生向けに素材文のレベルを下げてくれるわけではないので、高校生中級くらいを目指す気持ちで高校用の教材で勉強しておくのがよい。
問題文も含めて字数は多いので、常にスピードを意識して学習すること。