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巣鴨高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2014年度「巣鴨高等学校の国語」
攻略のための学習方法

本年度の大問は2問とも論説文である。論説文の特徴は何と言っても「主張の明確さ」と「論理展開の的確さ」であろう。
論説文が入試問題として採用されるのは、その様な背景がある。事前の何らの準備もなく、入試本番で論説文を読んで問題に取り組んでも、適切な内容理解と設問への解答は望めない。当然ながら、事前の入念な準備は欠かせない。

それでは、どのような文章をどのように読めばよいのか。
結論から言えば、論理的文章を丁寧に読み、自分の頭で考える、ということである。自分の頭で考える、ということは「扱われている話題に関する知識」がないと自分では考えられないのでは正解は得られない。初見の文章であろうと、初めて触れる概念であろうと、書かれている内容をキーワード(何度も繰り返し使われている言葉)、表現(筆者ならではの独特な言い回し)を中心に整理することである。

可能であれば、社会科学系、哲学系の書籍を読了することを勧めるが、時間的にも余裕がない受験生にとっては演習で行う「問題文」が最良の「読書」である。入試に扱われるような文章は、論理性にも優れ、極めて的確に解答を考えられるような文章になっている。したがって、時間の余裕のない環境では「入試問題」を精読することが最高にして効果的な論説文対策の対処方法であろう。
さらに、より自分の論理的思考力を向上させようと望めば、取り組んだ問題(論説文)について論点の流れを箇条書きで構わないので書き出してみることも有効である。これは、自分の頭の整理にもなるし、考えを文章としてまとめ上げる作業が効率よく可能となるはずである。その際に、主観的意見や考えは極力排除し、あくまでも筆者の考えの流れに則した理解をするように努力すること。
また、その様な作業を通じて習得して欲しい手法は「どのような手順とプロセスで結論に至るのか」と言いうことである。つまり「Aという事象にはBとCの背景が考えられる」という論理があった場合に、「何故Bなのか」、「何故Cなのか」を考えなければいけない。その上、BまたはCという結論を導き出すために、どのような論理をあてはめているのか、をあぶり出すことである。たとえ、それが自分の考え方と異なっていたとしても、主観的な考え方は排除して筆者の考え方を忠実に辿ることである。

なかなか時間的な余裕はないだろうが、少ない時間を見つけては新聞やテレビのニュースなどを通じて「物事の捉え方・考え方」について、考える習慣を身に付けるべきである。特に、新聞に書かれている社説を毎日読み込むことも「論理的文章を読み込む」上では、最良の練習であろう。
とにかく、過去の入試問題における論説文や学校の授業で習う国語の教科書における論説文でも、その全てが自分の論理力を高めるための最高の教材であると自覚し、真剣に取り組むことが大事である。

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2014年度「巣鴨高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問が2問。どちらも論説文である。
一つは日本語に関する論説文で、もう一つは人間に関する哲学的論説文。各大問とも解答時間は25分。
見直しをする時間的余裕はないものと考えて、本文をしっかり読み込み設問を正確に解くようにすること。論理的文章をキーワード中心に手際よく見極めながら、本文の内容を分析する。
キーワード(繰り返し使われている)の把握の仕方について、問題演習を通じて十分な練習を行っておくことで、合格点の獲得も確実なものとなるであろう。

[大問1]論説文

  • 時間配分:25分

日本語に関する論説文。出典は『日本の文学—「無声の思考」の封印を解く』(著:石川九楊)。
本文の流れについて確認しておこう。日本語の特徴は三種類の文字(漢字、カタカナ、ひらがな)を使うことであり、それぞれの「文体」を持つことでもある、とする。
三種類の文体では指示する意味はほとんど変わらないが「指し示す像の喚起力」が異なる。そして「ひらがな」の方が他の2つに比べて、像がより具体的になるのみならず、さらに心理的な描写まで加わることになる。
筆者は「文字とは文をつくり、支えるものである」と定義し、「文とはひとつの文章をなしていくスタイル」であり、「文字」とは「ひとつの文、文体をつくり支えるもの」であるとする。
最後に、ひらがなは、「つながりやすい構造」でできていて「つづけ字」でなめらかに書けるので、それができない「カタカナ」に比べると「ひらがな」の方が、思いを書きとめやすく「なめらかな思考」ができる、としている。

本文におけるキーワードは「文体」と「ひらがな」である。

問1は漢字の書き取り。全問正解したい。解答時間1分。
問2は内容把握。「文体」に注目すること。解答時間1分。
問3は内容把握。筆者の「文字とは文をつくり、支えるものである」との定義から考察。解答時間2分。
問4は内容把握の記述問題。タイムマシンとは、過去の事象をそのままの形で保存し、現在に過去をそのまま伝える役割を持つ。解答時間3分。
問5は四字熟語の意味である。正解したい。解答時間1分。
問6は返り点の問題。「レ点」のつけ方がポイント。解答時間2分。
問7は内容把握。本文中の文体についての筆者の考えを丁寧に辿ること。解答時間2分。
問8は内容把握問題。本文中の「三種類の文字を使うことは…三種類の文体が日本語の中に宿っている」の個所を考える。解答時間2分。
問9は接続詞の問題。前後をよく読み適切な接続詞を選択する。解答時間2分。
問10は内容把握(記述問題)である。「つづけ字」でなめらかに書けるか否か、そして、最終的にひらがながカタカナよりも「なめらかに考える」ことが可能である。解答時間3分。

[大問2]論説文

  • 時間配分:25分

人間に関する論説文。『私とは何か—「個人」から「分人」へ』(著:平野啓一郎)。
内容的には、「本当の自分」とは何なのか。筆者は「個人」と「分人」とに分けて考える。そして「分人」は「本当の自分」である、とする。

問1は漢字の書き取り。紛らわしい漢字もあるが完答したい。解答時間1分。
問2は四文字熟語。Bは「一日中」であることから「4×6=24」となり「四六時中」となる。解答時間1分。
問3は内容把握。本文にある「人には色々な顔がある」という個所から考察する。解答時間1分。
問4は内容把握。「ふだんの姿」が「本当の自分」ではないと考える。「個人」と「分人」を分けて考える。解答時間2分。
問5は内容把握問題。インターネットによって人間にはいろいろな顔があるという事実が明確になった、という記述から考察する。解答時間2分。
問6は、直後にある「他人から本質を規定されて…」という記述から考察する。解答時間1分。
問7は、コミュニケーションにおける「自分」のあり方を考える。解答時間2分。
問8は、3つの理由を述べた最後に書かれている内容を把握する。解答時間2分。
問9は内容把握問題。「相手との相互作用」とは「相手の理解・反応に合わせた」コミュニケーションである。解答時間3分。
問10は中学校時代の「私」が「本当の自分」であるのかを考える。解答時間2分。
問11は「本当の自分」には実態がない、ということを考える。解答時間2分。

攻略ポイント

どちらの大問も論説文であり、筆者の主張を論理的にたどっていけるかどうかがポイントである。
その際には、キーワードを迅速・的確に見つけ出し、どのような論理展開になるのかを理解すること。丁寧に筆者の主張を理解し、その裏付けとなる根拠をしっかり把握したうえで問題に取り組むことである。
また、漢字の書き取りや四文字熟語、文法知識などの知識問題は確実な得点源となる問題である。しっかり覚えることは覚えておきたい。

論理的文章をいかにしたら的確に内容把握ができるのか。唯一絶対的な方法はないかもしれないが、確実に言えることは「普段から自分の頭で考える」ということであり、考えたことを「紙に書いてみる」ということであろう。時間があれば、できるだけ自分の考えをまとめるという意味で「書いてみる」ことは重要である。

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