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巣鴨高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「巣鴨高等学校の国語」
攻略のための学習方法

例年、論説文が出題される傾向が強い。論説文の特徴は何と言っても「主張の明確さ」と「論理展開の的確さ」であろう。論説文が入試問題として採用されるのは、その様な背景がある。事前の何らの準備もなく、入試本番で論説文を読んで問題に取り組んでも、適切な内容理解と設問への解答は望めない。当然ながら、事前の入念な準備は欠かせない。

それでは、どのような文章をどのように読めばよいのか。結論から言えば、論理的文章を丁寧に読み、自分の頭で考える、ということである。初見の文章であろうと、初めて触れる概念であろうと、書かれている内容をキーワード(何度も繰り返し使われている言葉)、表現(筆者ならではの独特な言い回し)を中心に整理することである。

事前の準備として、可能であれば、社会科学系、哲学系の書籍を読了することを勧めるが、時間的にも余裕がない受験生にとっては演習で行う「問題文」が最良の「読書」である。入試に扱われるような文章は、論理性にも優れ、極めて的確に解答を考えられるような文章になっている。

したがって、時間の余裕のない環境では「入試問題」を精読することが最高にして効果的な論説文対策の対処方法であろう。さらに、より自分の論理的思考力を向上させようと望めば、取り組んだ問題(論説文)について論点の流れを箇条書きで構わないので書き出してみることも有効である。これは、自分の頭の整理にもなるし、考えを文章としてまとめ上げる作業が効率よく可能となるはずである。

その際に、主観的意見や考えは極力排除し、あくまでも筆者の考えの流れに則した理解をするように努力すること。また、その様な作業を通じて習得して欲しい手法は「どのような手順とプロセスで結論に至るのか」と言いうことである。つまり「Aという事象にはBとCの背景が考えられる」という論理があった場合に、「何故Bなのか」、「何故Cなのか」を考えなければいけない。

その上、BまたはCという結論を導き出すために、どのような論理をあてはめているのか、をあぶり出すことである。たとえ、それが自分の考え方と異なっていたとしても、主観的な考え方は排除して筆者の考え方を忠実に辿ることである。

なかなか時間的な余裕はないだろうが、少ない時間を見つけては新聞やテレビのニュースなどを通じて「物事の捉え方・考え方」について、考える習慣を身に付けるべきである。特に、新聞に書かれている社説を毎日読み込むことも「論理的文章を読み込む」上では、最良の練習であろう。

とにかく、過去の入試問題における論説文や学校の授業で習う国語の教科書における論説文でも、その全てが自分の論理力を高めるための最高の教材であると自覚し、真剣に取り組むことが大事である。

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2017年度「巣鴨高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問1は、論説文の総合問題<16分>。

大問2は、随筆の読解問題<19分>。文学分野に関する随筆である。内容的になじみが薄い文章かもしれないが、本文を読み込む力の有無がポイントである。

大問3は、古文読解である<15分>。古典文法、内容把握が主な出題形式である。文学史も一題程度出題されるので主要な作品名と作家名は押さえておこう。

【大問1】

  • 時間配分:23分

芸術分野に関する論説文の読解問題である。出典は、『素手のふるまい アートさぐる<未知の社会性>』(鷲田清一著)である。

問1は、内容把握したうえでの表現問題である<1分>。本文に記載されている「社会に登録されていないとはどういうことなのか」について考察してみよう。

問2は、内容把握問題である。

(1)「充足した独房」では、人はどのような状態に陥るのであろうか<2分>。

(2)人は社会に登録されることによって国家から義務と権利を与えられる<1分>。

問3は、内容把握選択問題である。

(1)組織の中で「財をなすこと」を目指さない「アーティスト」は、何に基づいて活動をするのかを考える<1分>。

(2)社会に登録された人たちにとって、社会登録から外れたアーティストはどのように見えるのか<2分>。

問4は、内容把握記述問題である<5分>。社会からの登録を外されたアーティストたちは、当たり前と捉えられている社会秩序の中に、何を表現しようとしているのか。

問5は、内容把握選択問題である<1分>。アーティストは、極めて多様なありかたで「事業」に参加する。

問6は、内容把握選択問題である<1分>。安部公房の小説「箱男」に登場する「箱男」とは、如何なるキャラクターとして描かれているかを理解する。

問7は、漢字問題である<2分>。基本的な漢字であるので正確に書き、完答を目指したい。

【大問2】

  • 時間配分:

文学に関する随筆の読解総合問題である。出典は、『物語る声を求めて』(津島佑子著)。内容的には馴染みの薄い文章かもしれないが、文脈を丁寧にたどり内容把握を確実に行うこと。

問1は、漢字問題である<2分>。「因果」は前世の悪行が現在の不幸の原因であると考え方(因果応報)である。

問2は、内容把握問題である<1分>。私は、子供時代に口承の物語がふんだんに生きていたことに気づいたのである。        

問3は、内容把握問題である<1分>。私は母親からヤマンバの話を聞き、眠気を誘われるのである。

問4は、内容把握記述問題である<2分>。
は、岩見重太郎を演じた私は、どのような「現実感」を味わったのか。
Bは、子どもは、岩見重太郎を演じた私のように『何』を手に入れたのか。

問5は、表現選択問題である<1分>。他愛ないとは、幼くて考えのないさまのこと。

問6は、内容把握記述である<2分>。私は、赤い鳥系の話に出てくるような子どもが「無垢」で「無知」な存在として登場する話を好まない。

問7は、内容把握選択問題である<1分>。私は口承の物語が持つ興奮や現実感のある話が好きなのである。

問8は、内容把握記述問題である<3分>。私は現実感のある話を求めているのである。

問9は、文章内容把握記述問題である<6分>。子どもは物語を通じて得られた経験が、子どもの人生を形成してしまうほど重要であるということである。

【大問3】

  • 時間配分:

古文の読解問題である。出典は、『無名草子』である。

問1は、現代仮名遣い問題である<1分>。「文」は「手紙」のことである。

問2は、古典文法問題である<1分>。「こそ」は係助詞で文末は已然形で結ぶ。

問3は、古文内容把握問題である<2分>。文脈をたどり、動作の主体として適切な語句を選択する。

問4は、古文内容把握問題である<2分>。対面と手紙での意思伝達において、どちらがどのような点で素晴らしいかを考える。

問5は、現代語訳問題である<1分>。やは、は反語表現である。したがって、「劣らない」のである。

問6は、現代語訳問題である<2分>。何もすることもない状態を「つれづれなる」と表現するのである。

問7は、内容把握問題である<3分>。「その折」とはどんな時なのかを考える。むかし、手紙を受け取った当時のことである。

問8は、古文の内容把握問題である<2分>。「たださし向かひたるほど」と手紙での他人との交流とを比較した場合の特徴を考えること。

問9は、文学史問題である<1分>。極めて基本問題である。

攻略ポイント

論理的文章に関して、「自分の頭で考える」練習をしっかり積むことである。筆者がどのような主張を、どのような根拠(考え方)で、どこまでをどのように論理展開しているのかを、丁寧に的確に追い掛けてゆくスキルを高めることが大事である。

その際には、本問でもあてはまるように「キーワード」が極めて重要である。文章の初めの段落や最終的な段落に繰り返し使われている「ことば」を抽出する方法を身に付けることである。途中の段落においても、筆者が『結論』らしき事柄の導入部分を瞬間的に見抜く力を向上させたい。

そのためにも、日頃から身の回りの事象や社会の現象に対して、高い意識を持ち自分の考えを持つようにすることが大切である。また、知識問題の分野(漢字、ことわざ、慣用表現、文法、文学史)も怠りなくしっかり押さえておきたい。

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