巣鴨高等学校 入試対策
2018年度「巣鴨高等学校の国語」
攻略のための学習方法
例年、論説文が出題される傾向が強い。論説文の特徴は何と言っても「主張の明確さ」と「論理展開の的確さ」であろう。論説文が入試問題として採用されるのは、その様な背景がある。事前の何らの準備もなく、入試本番で論説文を読んで問題に取り組んでも、適切な内容理解と設問への解答は望めない。当然ながら、事前の入念な準備は欠かせない。
それでは、どのような文章をどのように読めばよいのか。結論から言えば、論理的文章を丁寧に読み、自分の頭で考える、ということである。初見の文章であろうと、初めて触れる概念であろうと、書かれている内容をキーワード(何度も繰り返し使われている言葉)、表現(筆者ならではの独特な言い回し)を中心に整理することである。
事前の準備として、可能であれば、社会科学系、哲学系の書籍を読了することを勧めるが、時間的にも余裕がない受験生にとっては演習で行う「問題文」が最良の「読書」である。入試に扱われるような文章は、論理性にも優れ、極めて的確に解答を考えられるような文章になっている。
したがって、時間の余裕のない環境では「入試問題」を精読することが最高にして効果的な論説文対策の対処方法であろう。さらに、より自分の論理的思考力を向上させようと望めば、取り組んだ問題(論説文)について論点の流れを箇条書きで構わないので書き出してみることも有効である。これは、自分の頭の整理にもなるし、考えを文章としてまとめ上げる作業が効率よく可能となるはずである。
その際に、主観的意見や考えは極力排除し、あくまでも筆者の考えの流れに則した理解をするように努力すること。また、その様な作業を通じて習得して欲しい手法は「どのような手順とプロセスで結論に至るのか」と言いうことである。つまり「Aという事象にはBとCの背景が考えられる」という論理があった場合に、「何故Bなのか」、「何故Cなのか」を考えなければいけない。
その上、BまたはCという結論を導き出すために、どのような論理をあてはめているのか、をあぶり出すことである。たとえ、それが自分の考え方と異なっていたとしても、主観的な考え方は排除して筆者の考え方を忠実に辿ることである。
なかなか時間的な余裕はないだろうが、少ない時間を見つけては新聞やテレビのニュースなどを通じて「物事の捉え方・考え方」について、考える習慣を身に付けるべきである。特に、新聞に書かれている社説を毎日読み込むことも「論理的文章を読み込む」上では、最良の練習であろう。
とにかく、過去の入試問題における論説文や学校の授業で習う国語の教科書における論説文でも、その全てが自分の論理力を高めるための最高の教材であると自覚し、真剣に取り組むことが大事である。
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2018年度「巣鴨高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、論説文の総合問題<20分>。現代社会に関する社会学的分野からの読解問題である。
大問2は、随筆の読解問題<19分>。人生に関する哲学的分野に関する読解問題である。
大問3は、古文読解である<15分>。古典文法、内容把握が主な出題形式である。文学史も一題程度出題されるので主要な作品名と作家名は押さえておこう。
【大問1】
- 時間配分:20分
現代社会に関する社会学的分野の論説文に関する読解問題である。出典は、「社会を『共有』する」(久保田裕之著)である。
問1は、漢字問題である<1分>。どれも難解な漢字はないので、完答を目指したい。
問2は、内容把握問題である<5分>。
A.法律に明記し保障されているのは「参政権という『管理』権限」を持つことである。
B.とC.は、女性に対する固定概念(女性の居場所は家庭である)と考えるのは、「偏見や差別」が原因であることを手掛かりに考える。
問3は、内容把握表現問題である<2分>。人は外的影響を受けて、価値観などを形成するのである。
問4は、内容把握選択問題である<2分>。本文をしっかり把握し、適切な選択肢を選ぶこと。
問5は、内容把握問題である<2分>。
(1) 山や森を神聖視することで、どのようなはたらきがあったかを読み取ること。
(2) 「合理性によって『たたり』や『おそれ』といった信念・信仰」が払拭されたことで、人間は「山や森」をどのように捉えるようになったのかを考える。
問6は、内容把握問題である<5分>。
(1) 近似化によって伝統や信仰の価値はどのようになっていったのか。
(2) 人間が「伝統や共同体」から自由になったことで、どのような問題が発生したのか。
問7は、内容把握問題である<2分>。デュルケムの文章と本文の内容とを比較しながら適切な選択肢を選ぶ。
問8は、本文要旨問題である<1分>。社会学において、女性の権利保障のための制度と、我々の周りに存在する偏見や差別との関連も本文の主題である。
【大問2】
- 時間配分:19分
人生に関する哲学的分野の随筆についての読解総合問題である。出典は、『働く意味』(若松英輔著)。
問1は、漢字問題である<1分>。どれも標準的漢字ではあるが、紛らわしい漢字もあるのでケアレスミスのないように完答を目指してほしい。
問2は、内容把握問題である<3分>。
(1)「私」は自分らしくありたい思いながらも、自分に目を背けている自分に気が付くことで、どのように感じるのかを考えること。
(2)今の「私」は、昔の自分(自分に目を閉ざしていた自分)のことをどのように考えていたのか。 問3は、内容把握問題である<2分>。「私」がビジネス書に興味を失った理由は、「成功」とは何かを考えようとしないからである。
問4は、内容把握選択問題である<1分>。「色調」が同じであるということは、曲の雰囲気がどこか似ているということである。
問5は、文章内容選択問題である<2分>。「多くの成功物語の筆者」は、本当の成功の理由を語っているかどうかを考えること。
問6は、内容把握記述である<2分>。主題を考える問題である。人が病気になったとき、そのことにどのような価値を見出すのか。
問7は、内容把握問題である<8分>。
(1) 人が働き続けることが、「何」につながっていくのかを考えること。
(2) 「働き続けること」に「敬意」を払えない人は、金銭を得ることと考えるのである。
(3) お金を得ることだけを考えていると、働くこと自体に喜びを見出せなくなってしまうのである。
【大問3】
- 時間配分:15分
古文(説話)の読解問題である。出典は、『古今著聞』である。
問1は、内容理解問題である<1分>。話題となっているのは「書道の腕前」である。
問2は、古語問題である<1分>。「あまた」は、「たくさん」という意味である。
問3は、古文内容把握問題である<1分>。A、B、Cともその主語を直前の文章を読み取り正解を求めること。
問4は、内容把握選択問題である<1分>。嵯峨天皇が弘法大師の言葉を信じなかった理由は何か。
問5は、内容把握問題である<1分>。嵯峨天皇が弘法大師の書きぶりについてどのように考えているのか。
問6は、内容把握記述問題である<2分>。嵯峨天皇が絶賛していたものが実は弘法大師によるものであったことがわかり、かなわないと思ったのである。
問7は、古語単語現代仮名遣い問題である<1分>。「いきほひ」は「いきおい」になる。
問8は、古文の内容把握問題である<2分>。嵯峨天皇は弘法大師の遠謀深慮の考え方を知って、深く恥じ入ったのである。
問9は、文学史問題である<1分>。極めて基本問題である。
攻略ポイント
論理的文章に関して、「自分の頭で考える」練習をしっかり積むことである。筆者がどのような主張を、どのような根拠(考え方)で、どこまでをどのように論理展開しているのかを、丁寧に的確に追い掛けてゆくスキルを高めることが大事である。
その際には、本問でもあてはまるように「キーワード」が極めて重要である。文章の初めの段落や最終的な段落に繰り返し使われている「ことば」を抽出する方法を身に付けることである。
途中の段落においても、筆者が『結論』らしき事柄の導入部分を瞬間的に見抜く力を向上させたい。そのためにも、日頃から身の回りの事象や社会の現象に対して、高い意識を持ち自分の考えを持つようにすることが大切である。
また、知識問題の分野(漢字、ことわざ、慣用表現、文法、文学史)も怠りなくしっかり押さえておきたい。