巣鴨高等学校 入試対策
2019年度「巣鴨高等学校の国語」
攻略のための学習方法
例年、論説文が出題される。論説文の特徴は何と言っても「主張の明確さ」と「論理展開の的確さ」であろう。論説文が入試問題として採用されるのは、その様な背景がある。事前の何らの準備もなく、入試本番で論説文を読んで問題に取り組んでも、適切な内容理解と設問への解答は望めない。当然ながら、事前の入念な準備は欠かせない。
それでは、どのような文章をどのように読めばよいのか。結論から言えば、論理的文章を丁寧に読み、自分の頭で考える、ということである。初見の文章であろうと、初めて触れる概念であろうと、書かれている内容をキーワード(何度も繰り返し使われている言葉)、表現(筆者ならではの独特な言い回し)を中心に整理することである。
事前の準備として、可能であれば、社会科学系、哲学系の書籍を読了することを勧めるが、時間的にも余裕がない受験生にとっては演習で行う「問題文」が最良の「読書」である。入試に扱われるような文章は、論理性にも優れ、極めて的確に解答を考えられるような文章になっている。
したがって、時間の余裕のない環境では「入試問題」を精読することが最高にして効果的な論説文対策の対処方法であろう。さらに、より自分の論理的思考力を向上させようと望めば、取り組んだ問題(論説文)について論点の流れを箇条書きで構わないので書き出してみることも有効である。これは、自分の頭の整理にもなるし、考えを文章としてまとめ上げる作業が効率よく可能となるはずである。
その際に、主観的意見や考えは極力排除し、あくまでも筆者の考えの流れに則した理解をするように努力すること。また、その様な作業を通じて習得して欲しい手法は「どのような手順とプロセスで結論に至るのか」と言いうことである。つまり「Aという事象にはBとCの背景が考えられる」という論理があった場合に、「何故Bなのか」、「何故Cなのか」を考えなければいけない。
その上、BまたはCという結論を導き出すために、どのような論理をあてはめているのか、をあぶり出すことである。たとえ、それが自分の考え方と異なっていたとしても、主観的な考え方は排除して筆者の考え方を忠実に辿ることである。
なかなか時間的な余裕はないだろうが、少ない時間を見つけては新聞やテレビのニュースなどを通じて「物事の捉え方・考え方」について、考える習慣を身に付けるべきである。特に、新聞に書かれている社説を毎日読み込むことも「論理的文章を読み込む」上では、最良の練習であろう。
とにかく、過去の入試問題における論説文や学校の授業で習う国語の教科書における論説文でも、その全てが自分の論理力を高めるための最高の教材であると自覚し、真剣に取り組むことが大事である。
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2019年度「巣鴨高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】論説文の総合問題<19分>。
人生に関する哲学的分野からの論説文読解問題である。
【大問2】随筆の読解問題<16分>。
現代文明に関する社会学的分野に関する随筆読解問題である。
【大問3】古文読解である<15分>。
古典文法、内容把握が主な出題形式である。文学史も一題程度出題されるので主要な作品名と作家名は押さえておこう。
【大問1】人生に関する哲学的分野の論説文に関する読解問題
- 時間配分:19分
出典は、「ひとまず、信じない」(押井守著)である。
問1.漢字問題である<2分>。
標準的な漢字なので、完答を目指したい。
問2.内容把握問題である<5分>。
(1)「自由」と「平等」はなぜ両立し得ないのであるか。本質的に、両方の概念は相反する概念である。
(2)「自由」とは自分勝手にはみ出すこと、「平等」とはそのはみ出しを許さないことである。
問3.内容把握表現問題である<2分>。
「自由」とは、本文によれば自分で責任をもって「行動」することである。
問4.内容把握選択問題である<3分>。
本文に従えば、自分がやりたい事を行う「具体的な方法」が「自由」なのであり、「何もしない自由など」は存在しえないのである。
問5.内容把握選択問題である<1分>。
職人は自分が作りたいと思う「自由」に基づいて、品物を作ることができるのである。
問6.内容把握問題である<3分>。
「可能性」とは、任意の選択肢を一つ「選択」することである。そのレベルで考えれば人間は常に「選択」しているのであり、その意味では「年寄」も「若者」も差異はなく平等なのである。
問7.内容把握選択問題である<1分>。
「仕事に就いていなければ」、そもそも「仕事を辞める自由」もないのである。本文の「逆説的」がヒントになる。
問8.内容把握選択問題である<1分>。
直後にある「『可能性』や『自由』を価値のあるものにするためには、それらを追い求めてはいけないのである」とある。
問9.主題把握選択問題である<1分>。
「可能性」とはどのような状況で意味を持ってくるのかを本文に即して考えること。
【大問2】現代文明に関する社会学的分野の随筆読解総合問題である
- 時間配分:16分
出典は、『場所とモノの出会い』(池澤夏樹著)。
問1.漢字問題である<2分>。
標準的漢字の問題である。完答を目指してほしい。
問2.内容把握選択問題である<1分>。
筆者が「虚構世界」と「現実世界」の関連をどの様にして実感したのであろうか。
問3.内容把握記述問題である<3分>。
「ポケゴー」における人工的に設置されたアイテムと環境との間には何らの関係性もないのである。
問4.内容把握選択問題である<1分>。
人々のファッションを見ると「何」が分かるのであろうか。
問5.文章内容記述問題である<2分>。
「マップ」は、現在地と自分が行きたい目的地をつなぐだけのものである。
問6.内容把握選択問題である<2分>。
「マップ」を利用すれば、確かに効率的に目的地まで辿り着けるが、「寄り道」をしないことで「余分な部分」=「何か予期せぬことを発見する機会」に出会うこともないのである。
問7.内容把握選択問題である<2分>。
言葉は何かを指し示す「媒介」ではあるが、「現実」そのものではない。
問8.内容把握記述問題である<3分>。
ヒトは、言葉という人工的産物で「仮想世界」の中で生きているが、ヒトは「自然世界」の中で生きている存在なのである。
【大問3】古文(説話)の読解問題である
- 時間配分:15分
出典は、『十訓抄』である。
問1.内容理解選択問題である<2分>。
指定された動詞の主語を選択する問題である。
問2.古語問題である<1分>。
「いみじき」の意味を問う問題である。
問3.現代語訳選択問題である<1分>。
「え吹かざりけり」の意味を問う選択問題である。「吹くことができなかった」という意味である。
問4.内容把握記述問題である<3分>。
「堀河院」は「明宗の笛」を聴きたがっていたのである。
問5.現代語仮名遣い問題である<2分>。
「たへさせたまわず」の現代仮名遣いを問う問題である。
問6.古典文法選択問題である<1分>。
基本的古典文法問題である。「めでたし」の已然形を考える。
問7.内容把握記述問題である<2分>。
「楽塩」と「落縁」が「ラクエン」で同音となる。
問8.古文の内容把握選択問題である<2分>。
明宗の笛の腕前に驚いた堀河院は、どのような行為を行ったのか。
問9.文学史問題である<1分>。
極めて基本問題である。平安時代に成立した物語を選択する。
攻略のポイント
論理的文章に関して、「自分の頭で考える」練習をしっかり積むことである。筆者がどのような主張を、どのような根拠(考え方)で、どこまでをどのように論理展開しているのかを、丁寧に的確に追い掛けてゆくスキルを高めることが大事である。
その際には、本問でもあてはまるように「キーワード」が極めて重要である。文章の初めの段落や最終的な段落に繰り返し使われている「ことば」を抽出する方法を身に付けることである。
途中の段落においても、筆者が『結論』らしき事柄の導入部分を瞬間的に見抜く力を向上させたい。そのためにも、日頃から身の回りの事象や社会の現象に対して、高い意識を持ち自分の考えを持つようにすることが大切である。
また、知識問題の分野(漢字、ことわざ、慣用表現、文法、文学史)も怠りなくしっかり押さえておきたい。