東京科学大学附属科学技術高等学校 入試対策
2022年度「東京科学大学附属科学技術高等学校の国語」
攻略のための学習方法
記述
「東工大附属の記述対策」は「問題解説」及び上記のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。
最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(東工大附属の「要旨記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。
その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際はマス目のない用紙を使いたい)。
解法
「選択肢」「脱文挿入」「記述」、その他の問題も含め、「東工大附属の国語」で勝利を手中に収めるための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
大学入試にも匹敵する問題文を読まなくてはならない。
全体で5000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。
しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。
その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。東工大附属に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「敬語」等の「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「東工大附属の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。いかなる「攻略法」があるのか?
「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ、かも知れない。が、そこで諦めてしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。
先ずは、「己が実力」を悟ることだ(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。
「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。
また、残念ながら「中学入試レベル」からの再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
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2022年度「東京科学大学附属科学技術高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問?は「随筆」を題材とした「総合的知識問題」、出典は幸田文「季節のかたみ」所収の「しっぽ」(文字数約800字)。小問は全5問(解答数18)。「選択肢」のみ(「同音異字・品詞・活用形等の判別」、「複数完全解答」あり)。全てを10分程度で終わらせたい。大問?は「古文」、出典は編者未詳「宇治拾遺物語」(文字数約400字)。小問は全6問(解答数6)。「選択肢」(「現代語訳」「本文内容合致」「総合的知識問題」など)、「空所補充抜き出し」、「計算記述」。10分ほどで解きたい。大問?は「説明文」、出典は松原始「カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは狂暴、イルカは温厚って本当か?」所収の「『賢い』と『頭が悪い』」(文字数約4100字)。小問は全10問(解答数15)。「選択肢」(「換言説明」「内容説明」「考察判別」「総合的知識問題」等、「空所補充」あり)、「語句・数字記述」、「要約記述」(「51~60字指定」1問)、「考察論述」(「81~90字指定」1問)。問題文は5分ほどで読み切り、設問を25分程度で解きたい。
【大問一】
- 時間配分:
「総合的知識問題」。「漢字問題」(「同音異字」および「同訓異字」の判別)、「口語文法問題」(「品詞」および「活用形」の判別、「助詞の意味・用法判別」、「副詞の名称および同種判別」)だ。「漢字」はとても平易で、「全問正解」が必須。「口語文法」ではやや厄介な問題がある。2問を確認してみよう。
[問二] 「品詞判別選択肢」(全5問/10択)。「口語文法」。傍線部①~⑤の語の「品詞」を答える。「文法」の基本たる「品詞」、理解し定着さえしていれば何の問題もないのだが、さぼっていると「全滅」だってあり得る。紛らわしいものだけをチェックする。③「すてきです」⇒「自立語」で「活用」があり「述語」、「事物の性質や状態」などを表して、言い切りが「だ」=「形容動詞」のはずだか、「活用語尾」が「です」? おかしい! などと悩まないこと。確かに「形容動詞」の「活用形」は「だろ」「だっ」「に」「で」「だ」「な」「なら」「○」だが、丁寧な言い方をするときは、「でしょ」「でし」「です」……となる⇒「答え」は(ウ)「形容動詞」。④「その大きなシッポが」⇒紛らわしい「品詞」の典型、「形容詞」の「大きい」と混同しないこと⇒「自立語」で「活用」せず、「述語」ではなく「修飾語」だ。そもそも、「形容詞」の「活用語尾」に「な」はない⇒「体言」だけを修飾する⇒「答え」は(カ)の「連体詞」になる。本校では「文法」など出題されないと高をくくっていた諸君、今後はそれでは済まないと覚悟せよ。
<時間配分目安:全問で2分弱>
[問三] 「活用形判別選択肢」(全5問/6択)。「口語文法」。二重傍線部ⓐ~ⓔの活用語の「活用形」を答える。意外とエアポケットになっているやも知れぬ「活用形」だ。厄介なものだけを確認する。ⓓ「子育ての季節にはいると、一変して……」⇒五段活用の動詞「はいる」だとすぐに判断できる⇒「はいる」であれば「終止形」か「連体形」⇒「文末」ではないので「連体形」に決まっている⇒ではない。直後の「と」に着目しなくてはいけない⇒「と、一変して……」、「と」が「前後をつなぐはたらき」をしている。ここでの「と」は「格助詞」ではなく「接続助詞」だと判別できなくてはいけない⇒「接続助詞」の「と」は無論、「終止形接続」⇒「答え」は(ウ)の「終止形」⇒ちなみに、「格助詞」の場合は「体言(あるいは連体形)接続」だ。ⓔ「艶を失い、みる影もありません」⇒「丁寧」の助動詞「ます」だとは分かるはずだ⇒「活用形」は? すべてを暗記していれば問題ないが、そうした諸君はあまりいないのではないか?⇒そこで着目するのは直後の「ん」だ⇒何? となったとしても「文脈」を捉え、「打消し」の助動詞だと判別したい⇒「ん」=「ぬ」だ⇒ということは「打消し」が接続するので、「答え」は(ア)の「未然形」だ。尚、「活用形」が出題されたのだから、「活用の種類」も完璧にしておくべしと心得よ。
<時間配分目安:全問で2分弱>
【大問二】
- 時間配分:
鎌倉時代の代表的説話集。全15巻で197話を収録。「今昔物語」と共通のものも多いが、「仏教説話」の他、「人間滑稽譚」など民話風な説話も多い。本文は、巻三ノ二十「狐、家に火つくること」。「古文単語の意味」や「内容解釈」、そして、本校ならではの「現代語訳」の上での「計算問題」がある。また、「文学史」も問われている。以下、いくつか検討してみよう。
[問一] 「成立年代判別選択肢」(5択)。本文の出典である「宇治拾遺物語」の「成立年代と最も近いもの」を答える。「文学史」だ。本作品は「鎌倉時代」の成立。各選択肢の作品を確認する。(ア)「枕草子」⇒無論、作者は「清少納言」で「平安時代」の成立。(イ)「南総里見八犬伝」⇒作者は「曲亭馬琴」で「江戸時代」の成立。(ウ)「竹取物語」⇒作者不明で「平安時代」の成立。(エ)「小説神髄」⇒作者は「坪内逍遥」で「明治時代」の成立。(オ)「平家物語」⇒作者不明で「鎌倉時代」の成立。よって、「答え」は(オ)だ。本校では「古文」としてばかりではなく、「現代文」の問題としても「文学史」の出題があるので、しっかりと定着させておくこと。
<時間配分目安:30秒>
[問二] 「現代語訳選択肢」(5択)。傍線部(A)「鳴き侘(わ)びて」の「ここでの意味」を答える。バ行上二段活用の動詞「侘ぶ」は「古文重要単語」のひとつだ。「気落ちする。悲観する。嘆く。悩む」・「困る。困惑する」・「つらく思う。苦しく思う。せつなく思う」・「落ちぶれる。貧乏になる」・「わびる。謝る」といった多様な意味がある。したがって、「文脈」からここでの意味を特定する必要がある。傍線部の直前に「狐射まろばかされて」(=射ころがされて。*訳が付されている)とある。また、前文には「狐の腰に射当ててけり」(=[侍の射た]矢が狐の腰に当たってしまった)ともある。各選択肢は、(ア)「苦しがって鳴き」・(イ)「謝って鳴き」・(ウ)「気落ちして鳴き」・(エ)「悲しがって鳴き」・(オ)「いきりたって鳴き」。であれば、「答え」は(ア)だと判別できるはずだ。「古文」の出題がある以上、基本的な「古文重要単語」は習得しておく必要があると心得よ。
<時間配分目安:2分半>
[問四] 「数字記述」(「漢数字」指定)。傍線部(C)「町」について、ここでは距離の単位で「一町は約一〇九メートル」だが、「侍から家まで五町の距離があるとしたとき、狐から家までの距離はどのくらいになるか」を「メートルに換算して漢数字で」答える。単純な「計算」だ。先ずは「狐」の位置を確認する必要がある。直後に「この狐二町ばかり先立ちて」とあるので、「狐」は「侍」より「二町ほど」先行していることになる。したがって、「狐から家までの距離」=「三町」⇒3×109メートル=「(約)三二七(メートル)」という「答え」になる。「国語」ましてや「古文」での「計算問題」、度肝を抜かれるが、本校の特性上こうした出題もあり得ると覚悟せよ。
<時間配分目安:1分半>
[問五] 「内容解釈の空所補充語句抜き出し」(全2問。「5字以内」と「10字以内」指定)。傍線部(D)「仇(あだ)を報(むく)ふ」について、示されている「誰が誰にどのようにして仇を報いたのか」を説明している文中の空所 ・ に「あてはまる語句」を指定された文字数で抜き出して答える。「説明文」は「狐は館の侍に られた恨みを晴らすために、 焼いてしまった」となっている。本文全体から「侍が矢を狐に向かって射たところ、矢は狐の腰を射当て、それを恨んだ狐は侍の家に火をつけた」という内容が読み取れるはずだ。よって、空所にあてはまる語句を抜き出していけばいい。「答え」を確認する。 =3行目の「射当て」(3字)、 =10行目の「家に火をつけて」(7字)となる。「古文」の「内容解釈」であっても、ざっくりと「現代語訳」した後は「現代文」の解法と同様に解き進めればいい。
<時間配分目安:全問で3分強>
【大問三】
- 時間配分:
実は私たちは、動物のことを全然知らない――私たちが無意識に抱いている生き物への偏見を取り払い、真剣で切実で、ちょっと適当だったりもする彼らの生きざまを紹介している。本文では、「カラスは賢い」とよく言われるが、それを言って済ませてしまうと色々なことが見えなくなってしまうと指摘し、そもそも、生き物にとっては生き残って子孫を残せさえすれば、知能など別にいらないとも考えられると述べている。平易な文章なので、内容は難なく理解できるはずだ。本校のこれまでの出題内容と比べて、本年度はややその趣を異にしている。「考察判別選択肢」や「考察論述」など、今まで以上に「論理的思考力」が問われているのだ(やはり新傾向なのか? 要注意)。以下、いくつかチェックしたい。
[問二] 「内容説明選択肢」(5択)。傍線部②の「『カラスは賢い』で済ませてしまう」とは「ここではどういうことと考えられるか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここでは「済ませてしまう」の「原意」と結びつかない説明を「消去」することになる。各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(ア)「説明しないということ」、(イ)「解釈をしないということ」、(ウ)「検証しないということ」、(エ)「認めるということ」、(オ)「言い切ってしまうということ」。どうだろうか? 瞬時に(オ)以外は「消去」できるだろうか? そんなマジックのようなことができるはずがない? 否、できる。「済ませてしまう」は明白に「肯定表現」だ。しかし、(エ)と(オ)が「肯定」なのに対して、(ア)・(イ)・(ウ)は全て「○○しない」という「否定表現(打消し)」。であれば、後者は「消去」に決まっている。さらに、「済ませてしまう」のだから、「認める」は「消去」でいいと判別できるはず。他の部分の説明を「同一意味段落」で確認する(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。特に誤ってはいないと分かる。よって、「答え」は(オ)だ。あっという間の「一発消去」だった。「原意消去」こそ「解法マジック」だ。必ず、理解定着させ、応用できるようにしておくべきだ。
<時間配分目安:1分半>
[問三(ⅰ)] 「表現の意味の選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。傍線部③「往生際が悪い」について、「この表現の意味」を答える。「大人の語彙力」が問われている。どれほどの諸君が知っているだろうか? 「窮地に追いやられて負けを認めざるを得なくなった局面においてもなお態度や振る舞いに潔さがなく、未練を持ってぐずぐずしていたり悪あがきをしていたりする様子」という意味だ。よって、選択肢(エ)の「負けを認めざるを得ないのに、潔い態度や行動をとらずにいる」が「答え」になる。ちなみに、「往生際」とは「死にぎわ。追いつめられてどうしようもなくなったとき」のこと。また、「往生」は仏教用語で「現世を去って仏の浄土に生まれること」を言う。知らなかった諸君は合わせて覚えておきたい。本校では、あらゆる「語彙力」が求められると心得よ。
<時間配分目安:1分弱>
[問八] 「空所補充の数字記述」(全3問。各「1字」指定)。本文中の空所に「当てはまる一字」をそれぞれ答える。空所部分は「4枚カード問題」と呼ばれるものの一例だ。「片面にアルファベット、片面に数字が書かれたカード」で、「『A』・『K』・『4』・『7』の4枚のカード」について、「カードに書かれたアルファベットと数字にはルールがある。片面が母音なら、その裏側は偶数でなくてはならない」と言われた場合、「ルールが正しいことを確かめるためには、最低限、どのカードをめくらなければならないか? 正解は『A』と『a』だ。『母音の裏が偶数であること』こと、およびその対偶である『奇数の裏は子音である』ことを確かめればいい。ところが、多くの場合、人間は『b』の裏が母音であることも確かめたがる。問いをよく見ると『偶数の裏が母音』とは言っていないので、『c』の裏を確かめる必要はない」という本文になっている。何のこっちゃ? と、頭は混乱するばかりに違いない。そりゃそうだ。これは「論理学」の「命題」のひとつて、知らなくて当然だ。どうする? 諦めるか? いや、GOする!に決まっている。「母音の裏が偶数である」ことと「奇数の裏は子音である」ことを「確かめればいい」のだから⇒『A』は「母音」なので、もう1枚は「奇数の裏」を確認すればいいことになる⇒したがって、aの「答え」は「7」だ。また、「『b』の裏が母音であることも確かめたがる」ということは、bは「偶数」になるので、bの「答え」は「4」で無論、cの「答え」も同じだ。何ともややこしい問題だが、冷静に論理的に解き進めればいいわけだ。尚、本校では今後もこうした「論理的思考」を重視した出題が予想されるので、十分に鍛錬を積んでおくこと。
<時間配分目安:全問で3分強>
[問十(ⅱ)] 「条件付き考察論述」(「81~90字以内」指定)。「あなたは『賢さ』をどのようなものだと考えるか」を論述する。「条件」は「本文の主旨を推論の軸に据え」て論述すること。「考察論述」であり「あなたの考え」なので、無論、どのような「内容」にするかは自由。しかし、自由……、自由だからこそ、雲をつかむようで何も思い浮かばないかも知れない。そこで、「条件」に着目したい。「推論の軸」に据える「本文の主旨」では、「賢さ」をどのようなものとして捉えているのか? 本文全体から、「賢さ」とは「知能」のことだと判断できるはずだ。そして、その「知能」については「知能というのは生き残るための性能のひとつに過ぎない」と指摘し、「動物の知能は、その動物が必要とするものになっているはずだ」と述べられていることが分かる。こうした「主旨」を軸として、「社会的動物」である「あなた(人間)」が「賢さ」とはどのようなものなのかを「推論」して論述すればよい。ポイントは「賢さに絶対的基準はない」ということだ。そのことをしっかりと押さえた上で、あなたなりに「考え」を論述していきたい。尚、「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると心得よ。
<時間配分目安:5分>
※[問九]は「研究課程の考察選択肢」(全2問。各4択)で、傍線部⑤「人間は裏切り者の顔を覚えるのが早い」という主張が「二つの研究過程によって根拠づけられるとする場合、その研究過程とはどのようなものであり得るか」を答える問題だ。本文を正確に読み解き、文脈をたどって考察することで「過程Ⅰ」・「過程Ⅱ」を判別することは可能なのだが、各選択肢の内容が紛らわしく手間暇がかかるので、戦術的には「捨て問」で構わない。
攻略のポイント
- ●冒頭でも述べたが、本校では本年度「出題内容」および「出題形式」の大改革があった。特に唐突な「古文」の出題は、本校が第一志望の諸君にとっては「青天の霹靂(へきれき)」だったに相違ない(この成語が未知の人は確認せよ)。今後新傾向として定着するのかは即断できないが、対策は不可欠だ。学校の「古文」の授業だけでは不十分で、高校の「基本レベル」の習得は必須だ。
- ●一気に重要度を増したさまざまな「考察問題」や、細かな判別が求められた「口語文法」を含み大問として独立した「総合的知識問題」(配点が全体の4割にもなっている)も決して侮れない。十分な練習と習得がより一層必要となる。尚、「漢字問題」では3年連続で「同音(訓)異字判別」が出題された。それに対する備えも忘れないこと。
- ●「長文説明」や「論旨説明」などの一筋縄ではいかない「説明記述問題」、そして、「考察論述」はどうすれば「攻略」できるのか? 愚直に「説明記述」の「練習」を続けることに尽きる。先ずは、正否の分岐となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」の優先度を勘案し、高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるようにしたい。「合格ライン」は7割程度(学校非公表。推定)。出題数は少ないが「説明記述」「考察論述」の「配点」は大きいので(本年度は合計で10点)、「失点」はもちろん、「減点」もできるだけ防ぎライバルに差をつけておきたい。
- ●多種多様な「選択肢設問」はどうするか? できるだけ単純な方法で、「選択肢」を少しでも「消去」しておくということだ。有効なのが「原意消去」。それにより可能な限り「消去」し、その上で様々な「解法」を用いて、最終的に判別していく。したがって、基本的「解法」を完全に習得し的確に応用できるようにしておくことが重要だ。「選択肢設問」での「失点」を防ぎ、「得点力」を安定させること。
- ●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。文章量は安定していない。近年は増加傾向だったが、本年度は減少して約5300字(「出題形式」が変わったので当然だ)。無論、速く正確に読み取ることができた方がいい。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。