桐朋高等学校 入試対策
2019年度「桐朋高等学校の英語」
攻略のための学習方法
確実に合格を手にするための学習ポイントを何点かにわたり、以下に述べてみたい。
単語力をしっかり蓄える
難関校合格に求められる最低でも3500単語。具体的には、英検準2級以上のレベルである。特に、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。また、英単語の根本的な意味を把握しておくこと。例えば、natureという単語がある。大半の受験生の皆さんは「自然」と訳するだろう。もちろん、「自然」という訳をあてはめて適切である場合もあるかもしれない。しかし、難関校の英文をその内容までしっかり押さえるためには英単語の持つ“根本的な意味(根っこの意味)”を 押さえておくことである。そこで、natureの根っこの意味とは何であろう。考えてみると「自然」とは、人間の手が入っていない状態のことであり、まさに「自然な状態」のことである。何も手を入れていない状態という意味から、natureには手を入れていないもともとの状態という意味から「本質、性質、本来、元来」などの意味を含むのである。さらにその形容詞形であるnaturalには「本質的な、本来の」という意味がある。つまり、「今ある状態をさかのぼった起源的な状態」のことを指すのであり、平易な言葉でいえば「もともとの」という意味になるのであり、他の単語で考えると‘original’という単語とほぼ同じ意味となる。このように、単語の本質的な意味を折に触れて理解し、自身の知識として蓄えていくためには、「英英辞典」を使うと効果的であろう。ぜひ挑戦して欲しい。
また、受験生の多くが英語長文に苦労する。その原因として考えられる主たるものは、「文法事項」の基礎的知識が不足していること、又はその知識が十分あったとしてもそれを実際の問題にあてはめる(=アウトプット)実戦力が足りないことが考えられる。そこで、受験生が戸惑い、かつ入試長文に頻出される文法事項の中の一つである「分詞構文」について、一緒に確認してみたい。
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分詞構文を十分に理解すること
分詞が動詞と接続詞の両方の働きを持ち、その分詞の導く句が副詞句として用いられる場合、分詞構文という。具体的には、文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と考えるのである。分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。
例えば、ⅰ)について以下のような分詞構文の仕組みについて理解を深めよう。
Seeing me, the dog wagged its tail.(私を見ると(=見たとき)、その犬はしっぽを振った)
という英文を考えてみると、文の前半(条件節又は従属節という)は、接続詞が省略され、主語も後半(帰結節又は主節という)の主語と同じなので省略される、というルールに従って書かれた英文である。したがって、省略された部分を補って考えると以下のようなオリジナルな英文であることを理解して欲しい。
When the dog saw me, it(=the dog)wagged its tail.
この英文が分詞構文を用いて表現すると上記のような英文になるのである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)が受動態の場合であることも必須知識である。さらに、条件節と帰結節の主語が異なる場合も、機械的に条件節の主語を省略させるわけにはいかない。その場合には、従属節の中の主語は省略させずに残した状態(S1+~ing+~,S2+V+~)で表現するのである。これを「独立分詞構文」という。
以上、分詞構文について概観したが、興味のある受験生は高校生用の文法書で『分詞構文』の項を熟読し、実際の長文に取り組んで欲しい。
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2019年度「桐朋高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、リスニングテスト問題<10分>。
大問2は、長文総合読解問題(説明文)<14分>。映画の世界に関する総合問題である。
大問3は、長文総合読解問題(説明文)<16分>。ロボットと人間社会との係わりに関する総合問題である。
大問4は、自由英作問題<2分>。与えられた日本文を英文に直す完全自由英作問題である。
【大問2】映画と映画スターの世界における魅力についてのエッセイである。
- 時間配分:14分
(問1)適語選択問題<1分>。空欄の直前にmakeがあることより、‘make+目的語+動詞原形’を活用する。
(問2)整序問題<2分>。to不定詞を考えること。この場合の不定詞は、原因を表す副詞的用法である。
(問3)下線部和訳問題<2分>。ポイントは‘it takes +時間+to~’「~するのに(時間が)かかる」である。
(問4)適語選択問題<2分>。空欄の後に続く内容を精査すること。
(問5)適語句選択問題<2分>。映画監督が同じシーンを撮り直すのは如何なる状態の場合かを考えること。
(問6)適語選択問題<2分>。エキストラの労働時間は長く、賃金は安いのである。
(問7)指示語把握問題<3分>。同じ文の前半の内容をまとめること。itは単数を示す代名詞であるほかに、前の文章の内容を示す場合もある。
【大問3】ロボットの未来と人間とのかかわり方に関するエッセイである。
- 時間配分:16分
(問1)適文選択問題<2分>。第1段落より、ロボットが人間に代わって様々な仕事を行っているのである。
(問2)整序問題<2分>。与えられた語群より、部分的に複数の連語群に分け、最終的にそれらを組み合わせて英文を完成させる。
(問3)適語選択問題<3分>。前後の英文をしっかり読んで、迅速に適切な語を選択する。
(問4)条件英作文問題<2分>。askとtoがあるので、‘ask+人+to不定詞’の形をしっかり覚えておくように。
(問5)適文選択問題<1分>。so(だから)に注目して問題に取り組むこと。
(問6)適語選択問題<1分>。本文からキズメットが抱いた感情を把握すること。
(問7)下線部和訳問題<2分>。関係代名詞の目的格の省略、to不定詞(名詞的用法)などの文法事項に注意して“こなれた”日本語訳を考えよう。
(問8)英作問題<3分>。英語の質問に対して英語で答える問題である。質問は「あなたは機械の友人を持ちたいか。その理由は?」というものである。
【大問4】自由英作問題
- 時間配分:10分
(1)提示された日本文を「多くの人が歩いている間に、ゲームをする」と読み換えよう。
(2)本問の日本文を「あなたが周りを見ない場合、多くの問題を持つ」と読み換えよう。
攻略のポイント
英語力のレベルとしては、高校1年生レベルを超えている。単語力も英検準2級はクリアにしてもらいたい。その上で、熟語(イディオム)も英検準2級レベルのものは確実に覚えてもらいたい。文法事項としては、不定詞、関係代名詞、比較、分詞、仮定法などの内容については、高校初級レベルの知識は確実にしておきたい。さらに、長文読解力である。400~500単語の長文総合問題を15分程度を目標に、3日で2題の割合で取り組んで欲しい。