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桐朋高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2024年度「桐朋高等学校の国語」
攻略のための学習方法

設問は記述問題が大半(約90%)である。迅速で正確な読解力が求められるのはもちろんであるが、ここではどのような学習を行えば、合格できる「記述力」が習得できるかについて考えてみたい。

①読解力は記述力が基礎となる

合格点を取るための記述内容にするためには、その前提として「正確な読解力」が求められる。その読解力を得るためにも「記述力」が必要なのである。言い換えれば、「読解力」は内容のあるしっかりとした「記述力」がその基礎となっているのである。つまり、自分の考えを過不足なく「まとめられる力」とは、展開する論理を明確にしたうえで読み手に説得力を与える力である。

そのような文章を書ける能力は、物事を論理的に考えられる能力のことであり、そのような能力は正確で確実な読解力につながるからである。そのような記述力に裏付けられた読解力こそが、受験にとっては必須な「読解力」となる。

②自分の考えをまとめてみよう

自分の考えをまとめるという作業は、簡単なようで実は難しい。「今日は何をしようか」、「今日の昼ごはんは何を食べようか」というレベルにおいて、自分の考えを「まとめる」という作業は、皆さんは日常的に行っているであろう。

しかし、そのようなレベルでの考えをまとめる作業と、あるテーマに対する自分の考えや主張をまとめる作業では、その質において大きな隔たりがあるのは言うまでもない。

その隔たりとは何か。前者は「自分」が納得するか否か、後者は「他人」が納得するか否かの違いである。言い換えれば、前者は「主観的」であり、後者は「客観的」でなければならない。

受験における自分の考えをまとめるポイントは、「客観性」が不可欠な要素である。そして、客観性とは不特定多数の人たちが納得できるか否かがその指標となる。そのための一つの効果的な手法としては、「具体例を例示する」ことも有効である。そのような手法を用いることによって、自分の主張の正当性を裏付け、説得性を増すことも可能になるのである。

  • ③実際に文章を書いてみよう

本当の意味で「記述力」を高めるには、実際に文章を書いてみることである。初めから、本格的な記述・論述問題に取り組むことも必要かもしれないが、まずは日頃考えていることを文章にしてみることを勧める。その際には、まず「テーマ」を決めること。文章を書く上で、漫然と文章をダラダラ書いてみても、受験における合格水準の記述力は身につかない。やはりテーマを決めて、初めは100~150字の文章を書いてみよう。書き出しは「自分は、○○について……と考える」と結論を初めに述べるようにしよう。そうすることによって、読み手は書き手の主張に引き込まれるのである。そのような字数の文章を15~20編書くことにより、自身の文章力は確実に高まり内容も濃いものになる

そのうえで、ハイレベルの記述式入試問題の演習を繰り返してゆくことが、確実に記述式問題の合格答案を作成する結果をもたらしてくれるのである。

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2024年度「桐朋高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問一は、小説に関する読解問題である<30分>。

内容把握はもちろんであるが、本文からの抜出し問題もあるが記述対策(60~80字)をしっかり行っておくことが重要である。設問は「説明せよ」となっているので過不足ない記述答案ができるかどうかがポイント。

大問二は、哲学に関する随筆文読解問題である<20分>。

大問1同様、記述対策はしっかり行っておくこと。字数指定はないものの「わかりやすく説明」しなければならないので事前にしっかり記述対策を行っておくこと。漢字・慣用句などの知識も必ず出題されている。

【大問一】小説に関する解総合問題

  • 時間配分:30分

出典は、森絵都著『犬の散歩』。

(問一)語句問題<1分>。

   「繰り言」とは「愚痴」のことである。

   「ごまんと」とは「非常に多く」という意味である。

(問二)内容把握選択問題<2分>。

「男の言葉」は「恵利子」にとってどのようなものかを考える。

(問三)内容把握記述問題<2分>。

「瞼」を「長く閉ざしていた」ことによって、「ずっと見ないふりをして」きたということである。

(問四)ことわざ問題<2分>。

「あれこれ説明するより、とにかくその目で見てもらう」ことであり「百聞は一見にしかず」である。

(問五)内容把握記述問題<3分>。

「あれ」とは、尚美が恵利子を収容センターに連れて行ったことであり、それは何を確認するためだったのか。

(問六)内容把握記述問題<3分>。

「 」を付ける理由は一般的に「強調」するためである。本問でもあてはまる。

(問七)文脈把握問題<2分>。

恵利子にとって犬の収容施設は「惨劇」のある場所なのである。挿入するべき文の「その痛ましさ、救いのなさ」とは、犬の「痛ましさ、救いのなさ」のことである。

(問八)内容把握記述問題<2分>。

すべての犬を救いたいのだが、収容されている犬の「一割を救ってる」のであり「九割を見捨てている」のである。

(問九)内容把握抜出し問題<3分>。

イタリアンレストランにいた主婦たちが交わしている会話から恵利子はどのようなことを気づき、どのような気持ちに見舞われたのかを考える。

(問十)内容把握選択問題<2分>。

イタリアンレストランにいた主婦たちの会話から、恵利子がどのような気持ちに至ったのかを考える。結果的に、自らの生き方を振り返ったのである。

(問十一)主題問題<6分>。

恵利子は、世の中の他者と正面から向き合うこともなく、平穏無事な日々を送っていたのである。そのような自分を脱し、他者を実感したうえで自分から積極的に他者へ働きかける生き方をしていくためである。

(問十二)漢字の書き取り問題<2分>。

「不謹慎」「仰仰(仰々)」「虚勢」「請(乞)」どれも標準的な漢字である。完答を目指そう。

【大問二】哲学に関する随筆読解問題

  • 時間配分:20分

出典は、キム・ホンビ著/小山内園子訳『私たちのグラウンドを広く使う方法』。

(問一)     漢字の書き取り問題<1分>。

「据える」「絡む」である。完答をめざそう。

(問二)     内容把握記述問題<4分>。

女性が自分たちの体を表現するときどのように表現するかを考えること。私たちは、女性とは違う視点で考えているのである。つまり、「機能」ではなく「形態」の美しさでとらえるのである。

(問三)     内容把握問題<2分>。

女性は幼少期を過ぎ、一定の年齢に至ると声などが控えめになる。これは「『女らしさ』という社会的抑圧」によってもたらされた意識の変化である。

(問四)     内容把握問題<2分>。

「むやみに体重を増やしたり筋肉をつけすぎたりした」結果、「体」のことを「修理返品交換が必要な不良品」と感じていたのである。

(問五)     慣用句問題<1分>。

まったく気にしないという意味である慣用句の「意に介さない」。

(問六)     内容把握記述問題<6分>。

サッカーを通じ仲間同士が互いの体を機能面から評価し「勝利」という目標を共有することで「『女らしさ』という社会的抑圧」から解放されるのである。

(問七)慣用句問題である<2分>。あるものと比較して劣っていないという意味である慣用句の「引けを取らない」。

(問八)     内容把握選択問題<2分>。

「私」は自分の体を表現する手段として「簡潔で新鮮な表現に触れ」たことで「世界の広がり」を覚えたのである。

攻略のポイント

迅速で正確な読解力が求められる。文脈を丁寧にたどることはもちろんであるが、日頃の受験勉強においてどのような手法で勉強に取り組めば、合格できる読解力が身につくのであろうか。

一つの答えとしては文章の「見える化」であろう。日頃の文章読解において、重要だと思う箇所に傍線を引いたり、段落又は文中にある接続詞(順接・逆説に注意しながら)に印をつけるなどしたりしながら読解することである。そのような作業を積み重ねてゆくうちに、合格できる迅速で確実な読解力が身につくのである。

さらに、的確に内容を把握したうえで記述答案にまとめ上げる力が必要であるため、自分の考えを80~100字でまとめる練習を事前にしっかり行っておくことが不可欠である。さらに、そのような自分の記述答案を第三者に添削してもらうとさらに記述答案の完成度が高まるであろう。

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