桐朋高等学校 入試対策
2014年度「桐朋高等学校の国語」
攻略のための学習方法
桐朋の国語については、志望者が意識して訓練したいのは、「構成力」と「要約力」の2点だ。
一見、問題文が長いので、志望者は速読力を求められているように感じる。もちろんそれは間違いではないが、桐朋の国語の本質は、文章の構造を理解する「構成力」と、文章を定められた文字数でまとめられる「要約力」だ
構成力については、例えば【大問1】では、地道になにかを続ける人間の姿が、対比されている。「タクシーを運転する仕事を迷いなく続ける」ことと、「山登りをめげずに挑戦し続ける」ことが、しっかりと把握できていれば、あとの文章は枝葉に過ぎない。
まず志望者が身につけたいのは、問題文を読み進めながら、大事な部分にきちんとメモを書きこむ技術だ。【大問1】を何度も見返していては、時間が足らなくなる。見返すのは1周めでメモを書きこんでおく「地道になにかをし続ける場面」と、それに対する「作者の評価」だけで十分なはずだ。
また時間に余裕があるのなら、自分なりに文章を構成してみるのが一番だ。中学生は作文の機会が限られているので、自分なりに積極的に機会を設けていこう。字数は400字から800字くらいで、書き終えたらきちんと添削してもらおう。
要約力については、例えば【大問2】では「メタメッセ—ジ」という言葉を、さまざまに言い換えている。「書かれている情報以上に情報がある」や「明示的に言い表すことなく理解させる」や「表現されていないメッセージや表面に現れている意味以上のメッセージ」は、「メタメッセージ」を長くを言い換えたものだ。あるいは「軍国主義」や「インスタントコーヒーの宣伝」や「寝たきりにならない食事法」は、「メタメッセ—ジ」を具体的に言い換えたものだ。同じ意味の言葉が、本文中では繰りかえし言い換えられている。そして桐朋の「記述」の設問が求めているのは、指定された文字数に合わせて、傍線部を言い換える力だ。
長くして説明したり、短くしてまとめたり、抽象を具体に置き換えたりする。思い通りに言葉を言い換える「要約力」を磨くことで、志望者は桐朋の国語の点数を伸ばすことができるはずだ。習慣にしたいのは、なんでもよいので文章を読んだら、積極的に文字数を決めて(20字、50字、100字などに)要約することだ。文字数に合わせて書く技術は、文章を読んでいるだけでは身につかない。
速読力ももちろんあるに越したことはないが、桐朋の国語に有効なのは、自分から文章を書いていく経験だろう。
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2014年度「桐朋高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】と【大問2】ともに、文章全体を、まずは1周めを読み進めながら「知識」の問題を解き、2周めに設問されている部分を精読していくのが王道だろう。大問のどちらかだけに時間をかけすぎて、解答用紙に空欄ができることを避けたい。
目安時間については、【大問1】の(設問9)と、【大問2】の(設問10)は、小論文として準備した方がよいだろう。下書きから清書まで、二問で20分は用意しておきたい。そのためにも、択一で悩む時間を減らしておきたい。
【大問1】随筆
- 時間配分:25分
長文で、2本の随筆を読み比べる形式だ。目安時間は、(設問9)をのぞいて、15分以内だ。
「知識」の問題は、(設問2)と(設問6)と(設問10)だ。いずれも本文とはあまりの関係ない、独立した設問だ。読み進めるついでに解いてしまおう。(設問6)は難しいかもしれないが、文学史の授業で芭蕉の作風が「旅」や「わびさび」を含んだものだと覚えていれば、正答できる。
「択一」の問題は、(設問3)と(設問4)と(設問7)と(設問8)だ。傍線部の前後を精読して、着実に正答したい。
「記述」の問題は、(設問1)と(設問5)と(設問9)だ。(設問9)は一番の山場の記述問題で、答案を完璧に埋めようとすれば、時間が足りないと感じるだろう。解答用紙の他の問題をすべて埋めたあとに取り組もう。得点するために、受験者が意識しておきたいのは、対比の構成だ。「胡桃の殻のような堅牢な人生」を、肯定と否定の二つの面から評価する必要がある。受験生に読み比べを課しているのは、両方の文章の視点の違いを感じとって欲しいからだ。どちらか一方の、肯定と否定だけの記述では、あまり得点は伸びないだろう。ここには二本の随筆の要約が含まれていると考えると、見通しが良い。
【大問2】説明文
- 時間配分:22分
長文で、説明文だ。目安時間は、(設問10)をのぞいて、12分以内だ。
「知識」の問題は、(設問1)だ。同じく、読み進めるついでに解いてしまおう。
「択一」の問題は、(設問4)と(設問5)と(設問9)だ。(設問9)は傍線部の近くだけではなく、より広い範囲の箇所から判断する必要がある。
「記述」の問題は、(設問3)と(設問8)と(設問10)だ。(設問3)と(設問8)は、本文から言葉を集めて整理すればよい。対して(設問10)は、受験生は自分の中から具体例を探してこなければいけない。具体例を挙げることに苦しむ受験生は多いはずだ。
攻略ポイント
合格者の学力を考えれば、「知識」と「択一」では差がつかない。差がつくのは「記述」の設問になる。まずは答案に空白が残らないように、テストの時間配分に慣れる必要がある。最後まで解くためには、速読力もさることながら、文章の構成を把握する力が必要になる。文章のどこにどういった材料があるのか、読みながらメモを取りたい。そうすれば、文章をやみくもに見返して、時間を浪費することが避けられるはずだ。受験者は、どれくらいの文字数を、どれくらいの時間で清書できるのか、あらかじめ自覚しておこう。