桐朋高等学校 入試対策
2024年度「桐朋高等学校の数学」
攻略のための学習方法
難関校の数学において合格点を取るための学習法について、重要と思われるいくつかのポイントについて以下に述べてみたい。
(1)数の性質に関する問題には要注意
今後、出題頻度が増すであろう分野に「数の性質」がある。偶数・奇数の特性、3の倍数・9の倍数の特徴を応用する問題などの分野は、事前に十分演習を行っておく必要がある。また、無理数における整数部分・小数部分との区分に基づく問題も初見である場合は、容易に解法の糸口を見出すことが難しいため、この類の問題演習も決して怠りなく行っておくべきである。
(2)関数の問題は必ず出題
関数(1次関数と2次関数との融合問題)は数量編の分野である、という認識を多くの受験生が抱いているのではないだろうか。確かに、関数は参考書や問題集では「数量編」に分類されている。
しかし、関数の問題は平面図形や空間図形などにおける求積問題にも展開される。つまり、平面座標上にできる平面図形に関する求積問題ができる。例えば、放物線と直線とで囲まれた図形内の四角形(台形や長方形)に関する問題(その図形の面積を2等分する直線を求めさせるような問題)は、無限と言っていいほど作問の幅がある。
とはいうもののそのような問題の本質的な仕組みは図形のそれと変わらず、平面図形の原理を適用すれば必ず正解にたどり着くのである。そのときに大切になってくるのは、平面図形で扱った定理(三平方の定理・中点連結定理・接弦定理など)をいかに的確にその設問に適用できるかである。それは、図形の原理を取り入れながらも、関数における平面座標上の特性をいかに活用するかという点につながってゆくのであり、このつながりを適正に見つけ出すことができないと正解を得ることは難しいであろう。また、この平面図形について、y軸を回転軸としてできる回転体の体積を求めさせる問題にも展開できるのである。つまり、関数の問題から平面図形・立体図形へと拡張できるという意味では、関数の問題を出題することにより中学数学のあらゆる分野の設問が可能になるのである。
(3)立体図形(空間図形)に関する問題は繰り返し演習
立体図形も極めて重要である。特に、立体図形に切り口を入れた場合の切り口の面に関する面積を求める問題や、立体を平面で切り取って残った立体の体積を求める問題なども頻出である。受験生が最も苦手とする分野である。なぜ苦手とするのか。それは、例えば立方体を一つの平面で複数回切り取った残りの立体のイメージをうまく頭の中で描くことができないのが一番の原因であろう。そのような弱点をしっかり克服するためには、基本に忠実に従って問題を読み解くことである。つまり、同じ平面上に存在する2点を直線(切り口)で結んでいき、複数の平面で立方体を切り取った場合の立体がどのような形になるのかを具体的にイメージすることである。
(4)新傾向の出題にも対応できる数学力
受験数学にとって重要で不可欠な要素は、迅速で正確な計算力や柔軟な発想力であることは論を待たないであろう。しかし、今後の傾向を考えたとき、受験生に求められる「数学力」とは、従来型のスキル演習では対応できない問題である。規則性(数列)と確率の融合問題などのように、単純に公式や定理を当てはめるだけでは正解を導くことができない問題である。そのような問題に求められるのは、「柔軟な発想力」と「最後まで考え抜く持続力」、そして「複数の解法で考え抜くひたむきな努力」である。
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2024年度「桐朋高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】小問集合題<3分>。
(1)式の計算 (2)因数分解 (3)数の計算
【大問2】小問集合題<7分>
(1)2次方程式(解の利用) (2)関数 (3)確率
【大問3】連立方程式の応用<5分>
速さに関する連立方程式の問題
【大問4】関数(1次・2次関数)<7分>
(1)比例定数・座標 (2)面積比 (3)x座標
【大問5】平面図形(半円)<13分>
(1)証明 (2)面積・長さ
【大問6】平面図形(四角錐)<15分>
(1)面積 (2)体積 (3)体積
【大問1】小問集合題
- 時間配分:3分
(1) 式の計算に関する問題<1分>。
指数法則に基づき正確に計算する。
(2) 因数分解に関する問題<1分>。
一度展開し2でくくり因数分解を行う。
(3) 数の計算に関する問題<1分>。
平方根の計算である。分母の有理化を正確に行うこと。
【大問2】小問集合題
- 時間配分:7分
【大問3】連立方程式の応用問題
- 時間配分:5分
速さに関する連立方程式の応用問題である。PS=30㎞、PQ=x㎞、RS=ykmとして連立方程式を立てる。
【大問4】関数(1次・2次関数)に関する問題
- 時間配分:7分
【大問5】平面図形(半円)に関する問題
- 時間配分:13分
(1) 証明に関する問題<5分>。
弧GBに対する円周角が等しいことに目をつけること。また、△BEFはBE=BFの二等辺三角形であることより∠GAE=∠BFEであることが証明できる。
(2)面積・長さを求める問題<8分>。
①BF=BEであるので△CBFは二等辺三角形である。CからBFに垂線CHを引くと△BCHにおいて三平方の定理が成り立つことを利用する。
②FよりABに垂線FIを引くと△CBF=12であることよりFIの長さが求められる。続いて△FICにおいて三平方の定理を活用しよう。
③∠GEA=∠BEF、∠GAE=∠BFEであるので、△GAE∽△BFEとなり相似比は15:4√10 となる。面積比は相似比の2乗に等しいので△GAE:△BFE=45:32となる。よって、となる。
【大問6】空間図形(四角錐)に関する問題
- 時間配分:15分
(1) 面積を求める問題<4分>。
OA=AB=1、∠OAB=90°であることより△OABは直角二等辺三角形であるのでOB=√2 となる。同じように、△OCD、△OADも直角二等辺三角形となるのでOB=OC=BCとなり、△OBCは正三角形であることが分かる。また、OからBCに垂線OHを引くと△OBHは三辺比が1:2:√3 の直角三角形であることを利用する。
(2)体積を求める問題<4分>。
OよりABCDに垂線OIを引くと△OADは直角二等辺三角形であるので、△OAIと△ODIはともに合同な直角二等辺三角形となる。このことを手掛かりにO-ABCDの体積を求める。
(3)体積を求める問題<7分>。
M、C、Dを含む平面とOBの交点をNとする。DC∥ABよりDC∥OABとなるので、MN∥DCである。結論としては、(三角錐O-MNC)+(三角錐O-MCD)が求める体積である。
攻略のポイント
全般的には難問奇問の類の設問はない。極めて標準的な問題ばかりである。日頃から、難関校対応の問題演習を継続的にこなしてゆけば、合格点を取る学力は十分に身につくはずである。
分野的には、2次関数(直線の式である1次関数との融合問題)、平面図形(三平方の定理・円に関連した問題)、空間図形、確率の分野は特に重点的に学習するべきである。さらに、新傾向問題として規則性(数列)と確率の融合問題なども事前に十分な演習を行っておくべきである。さらには、2次方程式の解と整数の性質との融合問題、平方根と小数部分に関連した問題などは、事前に演習をしっかり行い解法へのイメージをしっかり押さえておくこと。また、問題演習においては、時間を決めて行うことも必要である。試験本番のことを考えると、大問1題につき10分前後を目安に取り組もう。