桐朋高等学校 入試対策
2014年度「桐朋高等学校の数学」
攻略のための学習方法
桐朋の数学については、基本的な計算や定理を理解したうえで、志望者が特に意識して身につけたいのは2点だ。
「丁寧な途中式」と「図形の解法」だ。
「丁寧な途中式」については、日頃から書けるように努めていきたい。
中学のカリキュラムでは、解答の数字だけではなく、その過程を書かせるものは、主に「証明」と「作図」に限られる。これらの単元は、授業を受けてさえいれば、自然と経験を積むことができる。それにたいして、【大問3】のような「文章題」や、桐朋が好む「関数と図形の融合問題」は、その途中式が採点されることはあまりないはずだ。過去問を繙いてみれば、受験生に、過程の途中式を答えさせる問題は、広い単元から出題されている。つまり「証明」と「作図」だけではなく、「関数」や「場合の数と確率」や「平面・立体図形」からの出題に、今後も受験生は対応していかなければならない。
そこで一番良い方法は、普段から数学の問題を解く時に、きちんと途中式を書き、確認してもらうやり方だ。先生をはじめとして、周囲に添削できる人間がいる場合は、積極的に活用していこう。
さらに解答の数字が合っていても、もし別の解法があるのなら、手間を惜しまずに身につけていきたい。【大問2】のように、解法を選ぶことで、素早く解答まで辿りつけるようになるからだ。
「図形の解法」については、完璧にしておきたい。
桐朋の数学は、一問一問は難しくないので、全体の正答率が(あるいはいかに解けない問題を減らすかが)合格点への分かれ目になる。目標点を、安定して合格できる70点とするのなら、分からなくてもよい設問は、3,4問くらいだろう。
例年、【大問4】から【大問6】にかけては図形を扱い、受験者は図形の解法をひらめく必要がある。さらに各設問は、誘導する形に配置されているので、解法をひらめかないと、大きな失点につながりやすい。例えば【大問4】と【大問5】は、(設問1)でつまづけば、そのあとに続く問題にはほぼ解答できないだろう。
したがって、図形の学習においては、やみくもに難問に挑戦するのではなく、基本的な解法を、漏れなく利用できるようになっておきたい。解法のひらめきは、何もないところから何かを思いつくのではなく、将棋の定石のように、ある定まった形を体得しておけば、自然と見えるようになるものだ。より難しい問題に挑戦するよりも、類題を多くこなすことで、受験者の図形を見るセンスは磨かれていくだろう。
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2014年度「桐朋高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】から【大問6】まで、順番に解いていけばよいが、すぐに解法が思い浮かばない問題は、1周めでは飛ばそう。2週めに見直しをしながら、再び取りくむのがよいだろう。特に時間をかけなければいけない問題はないが、その分、全体の正答率を上げる工夫は必要だ。全ての問題を、きちんと2周して見直せる速度があれば、安心して合格点が取れるはずだ。
【大問1】小問集合
- 時間配分:5分
計算の規則さえ理解していれば答えられるだろう。ここを正答できなければ、見直しがしっかりできていないと肝に命じよう。
【大問2】小問集合
- 時間配分:8分
基本的な理解があれば答えられる。しかし【大問1】とは異なり、答えに辿りつくまでの時間は、受験生の工夫に委ねられている。
例えば、(設問1)は、「x」に代入する数字を、「1」,「2」,「3」と順番に増やしていけば、正解を得ることができる。しかし「540」を素因数分解して、「2×2×3×3」が含まれていることを見抜かなければ、受験生は時間を浪費してしまうだろう。
【大問3】方程式
- 時間配分:6分
方程式の文章題で、途中式まで含めて採点される。典型的な「過程の考え」の問題だ。珍しい形式なので、志望者はあらかじめ対策をしておきたい。図形の問題だけが「過程の途中式」を問われるわけではない。
【大問4】立体図形
- 時間配分:8分
立体図形で、それぞれの設問が、次の設問の誘導になっている。(設問1)と(設問2)は、「二等辺三角形の対辺に引いた中線は垂線になる」と気づければ、あとは計算していくだけだ。(設問3)は、平面BMCと直線ADが垂直に交わることに気づけるかが勝負だろう。
【大問5】関数と平面図形の融合問題
- 時間配分:8分
関数と平面図形の融合問題で、図が与えられていないため、受験者は自分で描く必要がある。
設問の平面図形の条件を、うまく関数の条件に言い換えられるかで、解答時間は変わってくる。
目安は8分以内だ。
【大問6】平面図形
- 時間配分:8分
平面図形で、相似の証明が含まれている。
(設問1)の証明は、平面図形のさまざまな単元の知識を、組みあわせる必要がある。「円」の単元からは「直径の円周角は90度」であることを、同じように「平行線と角」の単元からは「錯覚が等しければ、二直線は平行」であることを、利用する。(設問1)が解答できれば、(設問2)はその流れで解答できるだろう。
攻略ポイント
解法は標準的なものがほとんどで、奇を衒ったものは出題されていない。中学の範囲の数学をきちんと学習し、演習を積めば解くことができるだろう。苦手分野が残っていると苦しいかもしれない。
受験者に差がつくのは、計算間違いをしないなどの「計算の精度」と、きちんと見直しまでできる「時間配分」になるはずだ。過去問を演習して、試験に慣れておく必要がある。計画性のある受験生なら、安定して合格点が取れる試験構成ではないだろうか。