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出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「桐朋高等学校の数学」
攻略のための学習方法

難関校の数学において合格点を取るための学習法について、重要と思われるいくつかのポイントについて以下に述べてみたい。

(1)数の性質に関する問題には要注意

今後、出題頻度が増すであろう分野に「数の性質」がある。偶数・奇数の特性、3の倍数・9の倍数の特徴を応用する問題などの分野は、事前に十分演習を行っておく必要がある。
また、無理数における整数部分・小数部分との区分に基づく問題も初見である場合は、容易に解法の糸口を見出すことが難しいため、この類の問題演習も決して怠りなく行っておくべきである。

(2)関数の問題は必ず出題

関数(1次関数と2次関数との融合問題)は数量編の分野である、という認識を多くの受験生が抱いているのではないだろうか。確かに、関数は参考書や問題集では「数量編」に分類されている。

しかし、関数の問題は平面図形や空間図形などにおける求積問題にも展開される。つまり、平面座標上にできる平面図形に関する求積問題ができる。
例えば、放物線と直線とで囲まれた図形内の四角形(台形や長方形)に関する問題(その図形の面積を2等分する直線を求めさせるような問題)は、無限と言っていいほど作問の幅がある。とはいうもののそのような問題の本質的な仕組みは図形のそれと変わらず、平面図形の原理を適用すれば必ず正解にたどり着くのである。

そのときに大切になってくるのは、平面図形で扱った定理(三平方の定理・中点連結定理・接弦定理など)をいかに的確にその設問に適用できるかである。それは、図形の原理を取り入れながらも、関数における平面座標上の特性をいかに活用するかという点につながってゆくのであり、このつながりを適正に見つけ出すことができないと正解を得ることは難しいであろう。また、この平面図形について、y軸を回転軸としてできる回転体の体積を求めさせる問題にも展開できるのである。

つまり、関数の問題から平面図形・立体図形へと拡張できるという意味では、関数の問題を出題することにより中学数学のあらゆる分野の設問が可能になるのである。

(3)立体図形(空間図形)に関する問題は繰り返し演習

立体図形も極めて重要である。
特に、立体図形に切り口を入れた場合の切り口の面に関する面積を求める問題や、立体を平面で切り取って残った立体の体積を求める問題なども頻出である。受験生が最も苦手とする分野である。

なぜ苦手とするのか。それは、例えば立方体を一つの平面で複数回切り取った残りの立体のイメージをうまく頭の中で描くことができないのが一番の原因であろう。
そのような弱点をしっかり克服するためには、基本に忠実に従って問題を読み解くことである。つまり、同じ平面上に存在する2点を直線(切り口)で結んでいき、複数の平面で立方体を切り取った場合の立体がどのような形になるのかを具体的にイメージすることである

(4)新傾向の出題にも対応できる数学力

受験数学にとって重要で不可欠な要素は、迅速で正確な計算力や柔軟な発想力であることは論を待たないであろう。
しかし、今後の傾向を考えたとき、受験生に求められる「数学力」とは、従来型のスキル演習では対応できない問題である。規則性(数列)と確率の融合問題などのように、単純に公式や定理を当てはめるだけでは正解を導くことができない問題である。そのような問題に求められるのは、「柔軟な発想力」と「最後まで考え抜く持続力」、そして「複数の解法で考え抜くひたむきな努力」である

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2022年度「桐朋高等学校の数学」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

【大問1】小問集合題<6分>
(1)式の計算 (2)連立方程式 (3)数の計算
【大問2】小問集合題<6分>
(1)2次方程式の応用 (2)関数 (3)確率
【大問3】2次方程式の応用<7分>
距離・速さ・時間に関する問題
【大問4】関数(1次関数と2次関数)<7分>
(1)比例定数 (2)辺の長さ (3)座標
【大問5】平面図形(円)<10分>
(1)相似証明 (2)長さと面積
【大問6】空間図形(正六角柱)<14分>
(1)面積 (2)体積 (3)体積

【大問1】小問集合題

  • 時間配分:6分

(1)式の計算に関する問題<2分>。
指数法則に基づき正確に計算する。

(2)連立方程式に関する問題<2分>。
それぞれの方程式について、分配法則を用いてカッコをはずし、もう一方の方程式は6を乗じて分母を払うことから始める。

(3)数の計算に関する問題<2分>。
展開の公式を用いて正確に計算すること。

【大問2】小問集合題

  • 時間配分:6分

(1)2次方程式の応用に関する問題<1分>。
長方形の横の長さ=xとし、縦の長さ=x+5とすると面積が25㎡なので、x(x+5)=25が成り立つ。

(2)関数(傾き、変域)に関する問題<2分>。
y=ax-3におけるxの変域が-3≦x≦-1のとき、yの変域が3≦y≦bである。このとき、a、bの値を求める。a<0、a>0の場合に分けて適する値を考える。

(3)さいころに関する確率の問題<3分>。
大きいサイコロの目をa、小さいサイコロの目をbとして、さいころをふって出た目の和(a+b)㎝の分だけ、1辺の長さ=1㎝の正方形の辺上を動くものとしたとき指定された点にある確率を求める。

【大問3】2次方程式の応用問題

  • 時間配分:7分

(1)文字式の利用に関する問題<3分>。
初めに兄の動いた距離を求める。すなわち、弟がP地を出発してから12分後に兄は弟を追い抜いたのでその時間は(12−x)分である。兄の速さ=80m/分なので兄の動いた距離は、80×(12−x)mとなる。弟はこの距離を12分で移動したのである

(2)2次方程式の応用に関する問題<4分>。
PQ間の距離=2400m、兄のPQ間にかかる時間=2400÷80=30分となることから考えを進める。最終的に、xの2次方程式を解くことになるが題意より方程式の解についてその適性を考えること。

【大問4】関数(1次関数と2次関数)に関する問題

  • 時間配分:7分

(1)比例定数に関する問題<2分>。
点Pよりx軸に垂線PHを引くと、∠AOP=60°となるので、△OPHは3辺比が1:2:√3の直角三角形になる。

(2)辺の長さを求める問題<2分>。
題意のQを定めると、△BOQは△AOPを原点中心に回転移動させていることがわかる。したがって、∠BOQ=∠AOP=60°となり、y軸に関してOPとOCが対称な位置関係にある。よって、点P、点Cの座標の値が求められる。順次、平面図形の原理(三平方の定理など)をあてはめて求める辺の長さを算出する。

(3)座標を求める問題<3分>。
求める四角形の面積は、△OPC+△RPCであり、R(t、√3t2)であることよりtの値を求める。

【大問5】平面図形(円)に関する問題

  • 時間配分:10分
  • (1)相似証明問題<4分>。
    同じ弧に対する円周角が等しいことより、2組の角がそれぞれ等しいので△BED∽△BFCとなる。

    (2)長さ・面積を求める問題<6分>。
    題意の通り条件を図の中に線分を引き考えると、AD、ABはそれぞれO、Oの直径となるので、∠ABD=∠ACB=90°となる。よって、△ABDにおいて三平方の定理をあてはめまずはBDの長さを求めよう。
    △BED∽△BFCであるので、BE:BF=BD:BCが成立する。また、△EFBに三平方の定理をあてはめよう。
    四角形ADBE=△ABD+△AFB-△EFBである。

【大問6】空間図形(正六角柱)に関する問題

  • 時間配分:14分

(1)面積を求める問題<3分>。
四角形BB’FF’は長方形である。また、△MNB’=BB’FF’-△NBB’−△MFN−△MB’F’である。本問の立体図形に平面図形の原理をあてはめると、△ABNは3辺比が1:2:√3の直角三角形になる。このことより、BN、FNの長さが求められる。

(2)体積を求める問題<4分>。
A’D’とB’F’の交点をN‘とする。そのとき、D’N’⊥ BB’FF’であるので三角錐D’-MNB’の底面を△MNB’とすると高さはD’N’となる。

(3)体積を求める問題<7分>。
Pを通りMB’D’に平行な平面とNB’、ND’、NMとの交点をそれぞれQ、R、Sとする。さらに、本問の立体に平面図形の原理をあてはめると、三角錐R-SNQ∽三角錐D’-MNB’の相似比はNS:NM=1:9となる。最後は、体積比が相似比の3乗になることを利用する。

攻略のポイント

全般的には難問奇問の類の設問はない。極めて標準的な問題ばかりである。日頃から、難関校対応の問題演習を継続的にこなしてゆけば、合格点を取る学力は十分に身につくはずである
分野的には、2次関数(直線の式である1次関数との融合問題)、平面図形(三平方の定理・円に関連した問題)、空間図形、確率の分野は特に重点的に学習するべきである
さらに、新傾向問題として規則性(数列)と確率の融合問題なども事前に十分な演習を行っておくべきである。さらには、2次方程式の解と整数の性質との融合問題、平方根と小数部分に関連した問題などは、事前に演習をしっかり行い解法へのイメージをしっかり押さえておくこと。
また、問題演習においては、時間を決めて行うことも必要である。試験本番のことを考えると、大問1題につき10前後を目安に取り組もう

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