高校受験プロ家庭教師 弱点克服・志望校入試傾向対策
高校受験専門プロ家庭教師が語る

桐蔭学園高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「桐蔭学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法

解法

「桐蔭の選択肢」で勝利するための鍵は、「問題解説」でも触れたように「消去」の際に「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。が、桐蔭などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。前述のとおり塾での学習でも不十分なので、「独習」をする他ない。

「古文単語」では「大学入試基礎レベル」(300語程度)を定着させ、「文語文法」は「動詞」「形容詞・形容動詞」は当然として、「助動詞」「助詞」の「意味・用法・接続」、さらに「敬語」までも理解しておく必要がある。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。

なお、「古文」強化用のテキストとしては、「高校用」の「ステップアップノート30——古典文法基礎ドリル」(河合出版)や、「古文単語」定着用として「重要古文単語315」(桐原書店)などが推薦できる。

速読

全てで6000字程度(「選択肢説明」ではそれ以上)を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。桐蔭に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「桐蔭の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか?

「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題があり、難易度も高い。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からスタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

2023年度「桐蔭学園高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「漢字問題」 小問は全2問(解答数6)
「同音漢字判別」と「漢字の意味判別」。3分ほどで解きたい。

大問は「論説文」、出典は伊藤亜紗「手の倫理」(文字数約4900字) 小問は全9問(解答数10)
「内容説明」「理由説明」「空所補充」「本文内容合致」「総合的知識問題」など(「不適切」「組み合わせ」あり)。問題文は6分程度で読み切り、設問を20分弱で解きたい。

大問は「古文」、出典は無住法師「沙石集」(文字数約780字)および「現代文」で酒井紀美「夢語り 夢解きの中世」(文字数約610字) 小問は全8問(解答数12)
「内容解釈」「内容説明」「理由説明」「主語特定」「複数文章照合」など。22分弱で解きたい。
以上は、全て「マークシート方式」の「選択肢設問」。

【大問一】

  • 時間配分:

「同音漢字の判別」は例年どおりだが、それに加えて「漢字の意味判別」の出題がある。それぞれを確認してみたい。
[問(1)] 「同音漢字の判別選択肢」(全4問/各4択)
示されている[A][D]の各文の傍線部の「カタカナ」と「同じ漢字」をそれぞれ答える。各文の「文脈」から傍線部の熟語を特定し、各選択肢で「同じ漢字」を判別する。「4問」ではあるが、結局「20の熟語」が分からなくてはいけないということだ。ただ、本年度は例年よりとても平易。よって、「全問正解」が必須。2問だけチェックしておく。

[B] 「飛行機のソウジュウ」=「操」、各選択肢は、(1)「工場現場のジュウキに不用意に近づいてはいけない」=「機」/(2)「キョジュウ地を変えた=「居」/(3)ジュウライの方法」=「来」/(4)ジュウオウ無尽に空を飛び回った」=「横無尽」⇒「答え」は(4)(1)の「重機」は分かりづらいか? また、「縦横無尽」は「四字熟語」として定着させなくてはならない。

[C] 「人口は減少ケイコウ」=「向」、(1)「カウンセリングにおいてケイチョウすることが重要」=「聴」/(2)「科学のさまざまなオンケイ」=「恩」/(3)「農業でセイケイを立てていく」=「生」/(4)「伝統芸能をケイショウする」=「承」⇒「答え」は(1)。悩みそうな熟語はない。
尚、「生計」「政経」「成形」「整形」「西経」……、「同音異義語」は頻出だ。
平易から難解まで、本校ではあらゆる「漢字力」が問われると心せよ。

                                    <時間配分目安:2分>

[問(2)] 「漢字の意味判別選択肢」(全2問/各4択)
示されている[E][F]の各文の傍線部とは「異なる意味」の「漢字」をそれぞれ答える。「多義語」の判別だ。「文脈」を正確に読み取る必要がある。検証する。

[E] 「自然災害が起こる」=「今までなかったものが新たに生じる」という意味。
各選択肢は、(1)「鉄道開業の点となった新橋」/(2)「言語の源」/(4)「不注意に因する事故」⇒これらは全て「新たに生じる」意味。
(3)「山頂に続く道は伏が激しく」⇒ここでの「起」は「高く持ち上がる」という意味だ。したがって、「答え」は(3)

[F] 「運営スタッフについて学年を問わず募る」=「質問する」という意味。
各選択肢は、(1)「簡易にシンを受けられる」=「診」/(3)「厳しくセキされた」=「責」/(4)「素朴なギ」=「疑問」⇒これらは全て「質問する」。
(2)「高齢者施設をホウ」=「訪」⇒ここでの「問」は「尋ね訪れる」という意味だ。よって、「答え」は(2)
「多義語」については頻出なので、正確に定着させることが肝要だ。

                                    <時間配分目安:1分>

【大問二】

  • 時間配分:

人が人にさわる/ふれるとき、そこにはどんな交流が生まれるのか?――相手を知るために伸ばされる手は、表面から内部へと浸透しつつ、相手との境界、自分の体の輪郭を曖昧(あいまい)にし、新たな関係を呼び覚ます。目ではなく触覚が生み出す、人間同士の関係の創造的可能性について論じている。本文では、我々は、その接触面から相手の自分に対する態度を読み取っているので、「よきさわり方/ふれ方」、つまり、「触覚の倫理」とは何なのかを考える必要があると指摘している。「哲学論」で多少難解な語句はあるが、「※注」も活用して内容を理解したい。「理由説明」「内容説明」「空所補充」「本文非合致」、そして、「総合的知識問題」と多種多様な「設問内容」の小問が並んでいる。以下、いくつかを検証する。

[問2] 「空所補充の語句選択肢」(4択) 「総合的知識問題」
「慣用句」だ。本文中にある空所 に「当てはまる語」を答える。空所前後は「『 にさわる』というと必ずしも怒りを外に出さず、イライラと腹立たしく思っている状態を指します」となっている。
各選択肢の語句は、(1)「核心」・(2)「腫物(はれもの)」・(3)「琴線」・(4)「神経」。「イライラと腹立たしく思っている状態」を表現するのであれば、即、「神経にさわる」だと特定できるはずだ。よって、「答え」は(4)だ。「不愉快な感情を刺激する。腹立たしく思う」ことだ。
ちなみに、(3)の「琴線」を用いた「琴線に触れる」(=心の奥に秘められた感じやすい心情を刺激して,感動や共鳴を与えること)という「慣用句」も定番だ。
尚、本校では「慣用句」に限らず、「故事成語」・「ことわざ」・「四字熟語」なども頻出なので、完全定着させておくこと。

                                <時間配分目安:全問で30秒>

[問4] 「空所補充の語句組み合わせ選択肢」(4択)
本文中の空所 に「当てはまる語」の「組み合わせ」を答える。空所前後は「『ふれる』が 的であるのに対し、『さわる』は 的である」だ。そして、直後には「これが坂部の主張です」とあることから、空所部は「坂部の主張」だと分かる。直前の段落に「引用」がある。確認する。「ふれることは直ちにふれ合うことに通じるという相互性」、「さわるということの場合は内-外、自-他、受動-能動、さわるものとさわられるものの区別がはっきりしてくる」とある。
各選択肢の語句の組み合わせは、(1) -相互 -一方・(2) -意識 -無意識・(3) -能動 -受動・(4) -非人道 -人道。無論、「相互(的)」と「一方(的)」があてはまると特定できるはずだ。したがって、「答え」は(1)になる。本問のように、筆者自身の論述ではなく「引用文」に関して問われる場合があるので注意したい。

                                   <時間配分目安:1分強>

[問6] 「理由説明選択肢」(4択)
傍線部「冒頭に出した傷に『ふれる』はよいが『さわる』は痛い、という例は、より一般的な言い方をすれば『ケアとは何か』という問題に直結します」について、「なぜか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則なので、先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「理由説明」なので、「『ケアとは何か』という問題に直結する」ことの「直接的理由」として、各選択肢の「文末」が結びつくかどうかで「消去」する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。つまり、「文末」⇒「だから」⇒「ケアとは何か」とつながるかどうかだ。確認してみる。

(1)「人間関係が崩れる危険性を常にはらんでいるから」。
(2)「自身の幸福感に直接影響を与えるものであるから」。
(3)「相手に対して心を閉ざしてしまうものだから」。
(4)「過剰な負担を抱えていることが少なくないから」。

判別できるか? 「ケア」の「原意」は「世話すること」だと知っているはずで、当然、「相手」に対しての問題になるわけだ。だとすれば、「相手に対して心を閉ざしてしまう」と説明されている(3)以外は「消去」だと判別できなくてはいけない。そのことは傍線部直後の「ケアの場面」についての論述からも分かる。「同一意味段落」で他の部分の説明を確認しても特に誤ってはいない(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。したがって、「答え」は(3)でOKだ。なんと、見事な「一発消去」ではないか!「原意消去」は必ずマスターして使いこなせるようにすること、

                                   <時間配分目安:1分半>

[問7] 「内容説明選択肢」(4択)
傍線部「ブラインドランの体験」について、「この体験によって筆者はどのようなことに気づいたのか」を答える。「原意消去」からだ。しかし、「ブラインドラン体験」とは何かが分からないこの段階では、流石(さすが)に無理だ。そこで、「傍線部一文一部の法則」で「手がかり」を求める(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。直前から、「視覚障害者向けのランニング伴走で、自分がアイマスクをして目の見える人に伴走してもらう体験」だと読み取れる。こうした「体験」と結びつかない「内容説明」を「消去」する。各選択肢の「文末」と照合したい。

(1)「視覚だけが他者と関係する手段ではないということ」、(2)「日常がより鮮明に捉えられるということ」、(3)「自立の根源的な意味を理解することができるということ」、(4)「経験したことのないような快感を得ることができるということ」。

「視覚障害者向けのランニング伴走」「自分がアイマスクをして」「伴走してもらう」のだから、「視覚だけが他者と関係する手段ではない」以外は即「消去」可能だと判別できなくてはいけない。念のために、他の部分の説明を「同一意味段落」で確認して、特に誤ってはいないと分かるので、「答え」は(1)になる。若干変則的ではあったが、結果的には「一発消去」だ。この解法に習熟することが合格へのショートカットだと心得よ。

                                   <時間配分目安:1分半>

※尚、[問9]は「本文内容非合致選択肢」(4択)だ。「4人の生徒の文章」の中で「本文の内容を明らかに誤読しているもの」を答える。典型的な「本文内容非合致判別」だ。本文は「論説文」なので「論旨非合致」ということになる。「論旨」が簡潔にまとめられているのはどこか? 「論説文」の類型によって、「頭括型」は「序論部分」、「尾括型」は「結論部分」、「双括型」は「序論部分」+「結論部分」となる。本文は明らかに「尾括型」なので、「結論部分」と各選択肢の説明とを照合すればいい。ちなみに、「消去」に際してのキーワードは無論、「ふれる」と「さわる」だ。

【大問三】

  • 時間配分:

鎌倉時代の仏教説話集。庶民を教化・啓蒙するために、説話を随所にまじえながら仏法の趣旨を説いたもの。「和歌説話」「笑話」「動物説話」なども多く内容は多彩だ。本文は巻第六第十三話「亡父、夢を子に告げて借物を返す事」。例年同様の「主語特定」「内容説明」「理由説明」「本文内容合致」等が問われているが、最後に本校としては初出の、内容が関連する「現代文」の文章と照合する設問が待ち構えている。心して解き進めたい。以下、いくつか検討してみよう。

[問2] 「内容説明選択肢」(4択)
傍線部に「夢さめて」とあるが、「『かの一人の子』は夢からさめて、まずどのように行動したのか」を答える。設問内容は現代語訳をするまでもなく理解できる。そこで、先ずは「現代文」同様に「傍線部一文一部の法則」に「手がかり」を求める。直後に「(かの一人の子は)親の時よりの後見(うしろみ)に、事の子細を尋ねければ」とある。「後見」=「後見人」と「※注」にあるので、簡単に現代語訳」すると「(かの一人の子は)親の時からの後見人に事(夢)の詳しい事情を尋ねたところ」となる。ここでのポイントは、「ければ」=「間接過去」の助動詞「けり」の已然形+「順接確定条件」(~から・ので/~すると・~たところ。ここでは「単純接続」)の接続助詞「ば」になる。各選択肢の「文末」と照合する(これまた「現代文」と同じ)。
(1)「後見人を訪ねた」、(2)「お墓参りに行った」、(3)「借金の返済のために出かけた」、(4)「相談の手紙を送った」。
当然ながら、「答え」は(1)になる。「古文」といえども「現代語訳」のあとは、「現代文」の解法を適用すればいいということだ。

                                    <時間配分目安:2分>

[問4] 「理由説明選択肢」(4択)
傍線部「この物、いかでか我が身に給ふべき」について、「『かの子息』はなぜこのように考えたのか」を答える。とにもかくにも、先ずは傍線部を「品詞分解」をして「現代語訳」をする。「この/物/いかで/か/我/が/身/に/給ふ/べき」⇒連語「この」+名詞「物」+副詞「いかで」(=どうして)+係助詞「か」(ここでは「反語」)+代名詞「我」(=私)+格助詞「が」(ここでは「主格」)+名詞「身」(=自分)+格助詞「に」+ハ行下二段活用の動詞「給ふ」(=いただく。「四段活用」の「給ふ」は「尊敬語」だが、「下二段活用」の場合は「謙譲語」。ここでは「文脈」的に「謙譲語」になる)の終止形+「推量」の助動詞「べし」の連体形⇒訳すと「この物を、どうして私自身でいただくだろうか、いやいただかない」となる。どういう「状況」なのかを「同一場面」から読み取っていく。
前問の「かの一人の子」(=あのひとりの息子)の「父」が、「かの子息」(=あの子息)の「父」から「借りていた物」を、「かの一人の子」が「かの子息」に返そうとしている「状況」が読み取れるはずだ。こうした内容を踏まえて、各選択肢の「文末」が「直接的理由」として結びつくかをチェックして「消去」すればいい。

(1)「立派なものを受け取ることに抵抗があるから」、(2)「父が貸したものを自分が受け取る理由がないから」、(3)「あの世に行った時に父に責められてしまうから」、(4)「うかつに受け取るわけにはいかないから」。

もちろん、(2)以外は「消去」できなくてはいけない。「同一場面」を改めて確認して、他の部分の説明も誤っていないと判断できる。よって、「答え」は(2)でOKだ。
尚、「現代語訳」の前提となる「品詞分解」はしっかりと練習しておくことが重要。

                                    <時間配分目安:2分>

[問5] 「内容説明選択肢」(4択)
傍線部「夢の告げ」について、「その内容」を答える。ここでの「夢の告げ」は前記の「か一人の子」が見た「夢」の内容だとすぐに分かる。その「夢」の場面を確認する。「かの一人の子」の「亡父」が「夢」の中で、「某殿(それがしどの)の物をいくいくら借りて、返さざりしほどに、あの世にて責めらるるが堪へがたきに、かの子息のもとへ返すべし」と告げていると分かる。「現代語訳」をする(「品詞分解」は省略。各位でチャレンジしてほしい)。「誰々さんのものをいくらいくら借りて返さなかった状態で、あの世で責められることが堪えられないので、(誰々さん)の子息に返してくれ」となる。各選択肢説明の「文末」と照合する。

(1)「(誰々さん)の子息に説明しに行ってほしい」、(2)「(誰々さん)の子息に(借りた)ものを返しに行ってほしい」、(3)「(誰々さん)の子息におわびに行ってほしい」、(4)「後見人に相談に行ってほしい」。

何ら悩む必要はない。「返しに行ってほしい」以外は「消去」に決まっている。他の部分の説明も特に誤ってはいないと分かる。したがって、「答え」は(2)だ。「現代文」同様に「文脈」を正確にたどることが肝要だ。

                                   <時間配分目安:2分弱>

[問7] 「内容説明選択肢」(4択)
傍線部「心ある人は、涙を流してぞ感じける」について、「『心ある人』は何に心を動かされたのか」を答える。「状況」を確認すると、直前に「『……至孝(しいかう)の志、世間の理(ことわり)も、深くわきまえ存ずるにこそ』と、ほめののしりけり」とある。つまり、「心ある人」は「ほめののしりけり」(=盛んにほめ騒いだそうだ)ことの内容に「心を動かされた」ことになる。そして、その内容は、「至孝の志」(=最高の親孝行の誠意)と「世間の理」(=世の中の道理)とを、「わきまえ存ずるにこそ」(理解していること)だ。「至孝の志」と「世間の理」という2つの「キーワード」に着目して、各選択肢説明を確認する。

(1)「親が借りたものでも子が誠実に返そうとしたこと」、(2)「(奉行人=裁判官役)がそれぞれの立場を尊重したこと」、(3)「親が子を思う気持ちが強く、子もまた親の思いを理解していること」、(4)「自分の親の思いを大切にしており、倫理的な規範も心得ていること」。

「至孝の志」と「世間の理」の両方に言及しているものは(4)だけになる。よって、「答え」だ。いくつかの「要素」がある場合は、それら全てを確認する必要があると心得よ。

                                   <時間配分目安:2分半>

[問8] 「関連文章を踏まえた上での本文合致選択肢」(4択)
示されている文章(現代文)は「中世(鎌倉時代)における夢の役割」について論じた「夢語り 夢解きの中世」の一部だが、「これを読んだ上での本文についての説明」を答える。ポイントは、「現代文」と「本文」(古文)の内容両方を関連づけて論及しいるかどうかということになる。選択肢設問それぞれを丁寧に読み解いていく。
すると、「借りたものを返しに行ってほしいと告げる父の姿」は「夢の中の世界」のことだと「かの一人の子」は認識しているが(「本文」での「夢の告げ」に関しては[問5]で確認済み)、それは「現実に匹敵する重みがある」と考え(「現代文」に「夢は現実に自分たちが生きている世界に匹敵する重みと価値をもったもの」との言及がある)、ものの返却にこだわった」と説明されている(4)だけが、「現代文」と「本文」の両方を関連づけて論及していると判別できるはずだ。したがって、「答え」は(4)だ。本問は本校初出の「複数文章照合問題」になっている。「本文」の文字数約780字、「現代文」の文字数約610字を丁寧に照合していく必要があるので、とても手間がかかる。しかし、来年度以降の出題も十分に予想できるので、しっかりと理解しておいてほしい。

                                   <時間配分目安:3分半>

攻略のポイント

●判別が紛らわしい「選択肢設問」。どのように「攻略」するか? 各選択肢全体を対象として検討していたのでは混乱するばかりだ(「100字以上」の説明もままある)。そこで威力を発揮するのが「ブロック消去」。「最後のブロック」から「消去」していくわけだが、具体的な「消去」の「根拠」は、「設問内容」に応じた「解法」の適用がポイント。したがって、基本的「解法」を完全に習得し、的確に応用できるようにしておくことが重要だ。特に、「原意消去」が最優先となる。限られた「時間」でいかに「解法」を用いて解いていくかが、合否を分ける。

●配点比率が高い「古文」(本年度は「現代文」とほぼ同じで43%)の「攻略法」も重要だ。もちろん、「中学レベル」の学習ではとても追いつかない。中堅クラスの「大学入試」に対応できなくてはならない。「古文重要単語」や「文語文法」「古典常識」まで幅広い「知識」が求められる。特に「文法」では「助動詞」「助詞」の「意味・用法」・「接続」が肝要なので、徹底的に習得しておくこと。

●初出の「2つの文章」を関連づける設問(複数文章照合問題)は明確に「大学入学共通テスト」を意識しているので、来年度以降に向けてしっかりと復習をしておきたい。

●あらゆることが問われる「総合的知識問題」も決して侮れない。直接的な出題は無論、問題文の内容理解でも「高度な語彙力」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要。学校や塾での学習だけでは全く不十分。「独習」は欠かせない。

●「解答形式」にも注意が必要だ。全て「マークシート」なので、「解答」を記入する際には十分に確認すること。「マークシート」に慣れておくことが肝要。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意を要する。問題文は全体で5000~6000字ほど(本年度は約6300字)。当然、速く正確に読み取ることが必須条件となる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

桐蔭学園高等学校の科目別
入試対策一覧

TOP

創業以来、
最高峰のプロ教師陣を輩出

TRADITION
SINCE 1985

1985年法人設立以来、プロ家庭教師のクオリティーにこだわり続け、現役プロ教師の中でもトッププロと呼ばれる真の実力を兼ね備えた合格実績豊富な家庭教師のプロだけをご紹介しています。
特に中学受験·大学受験·医学部受験専門のプロ教師のクオリティーに自信があります。