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桐光学園高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「桐光学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法

解法

「理由説明」にしても「記述」にしても、「桐光の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「桐光の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提として為すべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる(桐光の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。

その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。

ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際はマス目のない用紙を使うこと)。

速読

「現代文」全体で8000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

桐光に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「桐光の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。

「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。

今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。

が、桐光などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。また、「漢文」でも同様に「基本的事項」は定着させておくこと。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

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2023年度「桐光学園高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「漢字の書きとり」。小問はなく解答数5。2分弱で丁寧に終えたい。

大問は「論説文」、出典は戸谷洋志「スマートな悪  技術と暴力について」所収の「『スマート』さの定義」(文字数約4200字)。小問は全8問(解答数9)。「選択肢」(「空所補充」、「不適切」、「具体例判別」、「総合的知識問題」あり)、「説明記述」(1問。「60字以内」指定)。問題文は5分強で読み切り、設問を15分ほどで解きたい。

大問は「小説」、出典は彩瀬まる「新しい星」所収の「月がふたつ」(文字数約4000字)。小問は全7問(解答数9)。「選択肢」(「総合的知識問題」あり)、「説明記述」(2問。ともに「字数指定」なし。各「50字ほど」の解答欄」)。問題文は5分程度で読み切り、設問を14分程度で解きたい。

大問は「古典」、出典は<甲>(古文)が作者不詳「源平盛衰記」巻十九(文字数約450字)、<乙>(漢文)は劉向選「古列女伝」巻五(文字数約200字)。小問は全5問(解答数8)。「選択肢」(「現代語訳」、「内容解釈」、「内容合致」、「空所補充」、「組み合わせ」、「複数解答」あり)、「抜き出し」(1問)、「返り点記入」。10分弱で解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:2分弱

「漢字問題」。3年連続で「書きとり」のみ。昨年度より難易度は若干下がり、本校の標準レベル。よって、「全問正解」が必須だ。

[問] 「漢字の書きとり」(全5問)。
示されている各文の二重傍線部の「ひらがな」を「漢字」に直す。確認する。

(1)「害虫をくちくする」=「駆逐」⇒これは書けて当然⇒「逐」は「遂」ではないので注意すること。
(2)「彼はとくいな才能の持ち主だ」=「特異」⇒「同音異義語」に要注意⇒「得意」では「文脈」として不自然だ。
(3)「知性をかくとくする」=「獲得」⇒「高校入試」の定番。
(4)「飛行機のとうじょう口」=「搭乗(口)」⇒「搭」の「同音異字」に注意せよ⇒「塔」ではない。
(5)かいもく見当もつかない」=「皆目」⇒やや難解か?⇒あとに打消しの語を伴って「全く・全然」という意味なので、覚えておきたい。

本校ではやはり、「高度な語彙力」が求められていると心得よ。

【大問二】

  • 時間配分:15分ほど

 私たちの日常を多くのスマートなものが浸食しているが、そうであるべきなのだろうか?
そこで問われているのは倫理である――スマートさが抱えるネガティブな側面について、つまり「スマートな悪」について分析している。本文では、「smart」は「鋭い」、さらに「賢さ」
と意味合いを変化させてきたが、語源は「痛み」であり、「余計なこと」を取り除くということから「鋭い」という意味へ転化が引き起こされたのではないかと考察している。哲学的論
考で分かりづらい言い回しがあるが、何とかして「内容」を理解したい。「選択肢」も「記述」も「内容説明」が中心の大問構成。以下、いくつか確認してみよう。

[問二] 「内容選択肢」(4択)。
傍線部(2)「痛みを感じていない状態と、痛みを感じている状態の違い」について、「『違い』を説明したもの」を答える。
「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」を最優先に考えること)。
しかし、傍線部だけでは流石(さすが)に無理だ。「傍線部一文一部の法則」に「手がかり」を求めたい(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。直後に「(違いは)散逸と集中の対比によっても理解できる。」とある。「違い」が明確になった。各選択肢は、前半に「痛みを感じていない状態」、後半で「痛みを感じている状態」のが説明されているので、それぞれと照合する。
(ア)「集中力を欠く」⇔「意識がすべて痛みに注がれ」、(イ)「(感覚を)統一することができる」⇔「(感覚を)統一することが難しくなる」、(ウ)「集中することができる」⇔「意識が散漫になる」、(エ)「集中力注ぐことができる」⇔「他の感覚への意識が生じる」。「散逸」⇔「集中」なのだから、「集中力を欠く」⇔「意識がすべて痛みに注がれ」以外は即「消去」できると判別できなくてはいけない。
念のために、「同一意味段落」で他の部分の説明を確認する(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。特に誤ってはいない。したがって、「答え」は(ア)になる。
本問は変則的だったが、先ずは「原意消去」だと心得よ。
<時間配分目安:2分半> 

[問五] 「内容説明選択肢」(4択)。
傍線部(6)「少なくともこのような必要性への執念のうちに、スマートさという言葉が抱える『痛み』の反響が聞き取れる」について、「その説明」を答える。
無論、最初に「原意消去」を試みる。ここは「内容説明」なので、「反響が聞き取れる」という表現の「原意」と結びつかない「説明」を「消去」することになる。各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。
(ア)「感受性が反映されている」、(イ)「願望がある」、(ウ)「恐怖感がある」、(エ)「意志が表れている」。「反響」「聞き取れる」ということは「感受性が反映されている」以外は問題なく「消去」できるはずだ。「同一意味段落」で他の部分の説明を確認して、特に誤ってはいないことが分かる。よって、「答え」は(ア)だ。見事な「一発消去」だ。
やはり、「原意消去」は使える。完璧にマスターして使いこなせるようにせよ。
<時間配分目安:1分強>

[問六] 「内容説明記述」(「60字以内」指定)。
傍線部(7)の「『世界』」について、「ここでの『世界』とはどのようなものか」を説明する。「傍線部一文一部の法則」で「手がかり」を確認したい。直後に「(『世界』とは)そうした製品がネットワークを織りなす空間に他ならない」とある。まさに、「ここでの『世界』」の説明そのものだ。
「指示語」があるので開く(「指示語」が出たら即開くこと)。直前から、「そうした製品」=「特定の文脈においては使わざるをえず、使い方がすでに決定されている製品」だと読み取れる。次に、「ネットワークを織りなす」とはどういうことなのかを、「同一意味段落」で捉えていく。直後に、そうした製品の「世界」は「私たちの生活スタイル全体を徹底的に規定」しているが、「私たちが気づくことも認めることもできない」と述べられている。
こうした内容を整理して、「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「特定の文脈での使い方が決まっている製品により私たちの生活全体が徹底的に規定されながらも気づかず認めることもできない空間。」(60字)といった「答え」だ。
尚、「説明記述」では「最重要要素」を必ず「文末」することが肝要だと心得よ。
<時間配分目安:3分半>

[問七] 「空所補充の語句選択肢」(4択)。
「総合的知識問題」。「語句の意味」。本文中の空所四角のX に「入る言葉」を答える。空所前後は「どれほど四角のX的に聞こえようとも、痛みと不感症は一体なのである。」この「文脈」に合致する「原意」の「語句」を選択する。
各選択肢は、(ア)「悲観」・(イ)「合理」・(ウ)「必然」・(エ)「逆説」。「痛み」を感じているのに「不感症」なのだから、「真理に背くようでいながら、実際には真理をついている説」「間違っているようだが正しい説」を表す「逆説」が「答え」だと判別できなくてはいけない。
尚、万が一にもそれぞれの「語句」について曖昧(あいまい)なものがあった諸君は完全に「語彙力不足」だと自覚して、精進せよ。
<時間配分目安:1分弱>

[問八] 「具体例判別選択肢」(複数解答。5択)。
傍線部(8)「痛みと不感症は一体なのである」について、「その具体的な事例」を「二つ」答える。「傍線部一文一部の法則」で確認すると、「この意味」において「痛みと不感症は一体」だと分かる。「指示語」を開くと、「この意味」=「人間は自分が享受しているサービス以外には、何も感じることができなくなるという意味」だと読み解ける。傍線部はそうした内容だと認識して、「具体的な事例」を判別していく。
各選択肢を丁寧に読み取っていけば、(ア)の「地図アプリで容易にたどり着けるようになった」「一方で」「目的地以外の場所に対する意識は遮断され」と、(ウ)の「検索エンジンを利用して、検索上位の自分が欲しい情報をすぐに選ぶ」「一方で」「本当に正しい情報なのか、検索下位に有効な情報がないかということを考慮しなくなる」が、ふさわしい「具体的な事例」だと特定できるはず。
したがって、「答え」は(ア)(ウ)になる。
尚、本文内容を的確に捉え、「具体例」にあてはめるという設問は本校に限らずひとつのトレンドなので、しっかりと練習しておくことが肝要だ。
<時間配分目安:2分半>

【大問三】

  • 時間配分:14分ほど

 生きていく過程で遭遇する苦しみを経験した大学の合気道部の仲間4人の物語の連作短編集の一篇。本文では、夫の「良輔(りょうすけ)」と中学受験を控えた娘「菜緒(なお)」との三人暮らしの「茅乃(かやの)」が、乳がんの再発に伴う薬の副作用で思うように体が動かないことに苦悩している姿を描いている。分かりやすい文章なので内容は理解できるはずだ。多彩な内容を問う「選択肢設問」と、「様子説明」の「記述設問」という大問構成だ。以下、いくつかを検証する。

[問一] 「語句の意味の選択肢」(全2問/各4択)。
「総合的知識問題」。
傍線部(a)「わななく」・(b)「居たたまれない」の「本文における意味」を答える。「原意」(=「本来の意味」)での特定を優先させ、それが困難な場合は前後の「文脈」から判断していく。
「答え」を確認する。「わななく」⇒知っていたい言葉だ=「恐怖・緊張・寒さなどのためにからだが震える」⇒(a)の「答え」は選択肢(ウ)「震える」。「居たたまれない」⇒「高校入試」の定番=「じっとしていられない。恥ずかしい思いをしたため、その場から逃げ出したい」ことだと知っていなくてはいけない⇒(b)の「答え」は(ウ)「落ち着かない」となる。本校ではこの程度の「語彙力」は必須だと心得よ。
尚、「文脈」にこだわり過ぎると,「原意」からかけ離れてしまって誤答となる場合があるので、要注意。また、「多義語」には十分注意すること。
<時間配分目安:全問で1分>

[問四] 「心情説明選択肢」(4択)。
傍線部(3)「おばあちゃんみたい、と苦く笑う」について、「この時の『茅乃』の心情」を答える。
先ずは「原意消去」をしたい。ここでは「心情説明」なので、「苦く笑う」という「動作」の「原意」に結びつかない「心情」を「消去」していきたい。
各選択肢の「文末」をチェックする。(ア)「希望を抱いている」、(イ)「落ち着きを取り戻している」、(ウ)「羞恥(しゅうち)心を紛らわそうとしている」、(エ)「自嘲(じちょう)気味になっている」。「苦く」「笑う」のだから、瞬時に「自嘲」以外は「消去」だと判別できなくてはいけない。「自嘲」=「自分で自分の欠点・ふるまい等をあざけり笑う」ことだと定着しているはずだからだ。「同一場面」で他の部分の説明を確認する(「小説」では「同一場面」に「ヒント・手がかり」がある)。特に誤ってはいないと分かる。したがって、「答え」は(エ)だ。本問は見事な「一発消去」だった。
やはり、「原意消去」は「正解」へのショートカットだ。確実に使いこなせるようにすること。無論、相応の「語彙力」が必要なことは言うまでもない。
尚、「小説」での定番である「心情把握」は、「セリフ」⇔「ト書き」⇔「動作」⇔「情景」の連関で捉えるのが定石だ。
<時間配分目安:1分強>

[問五] 「状況説明選択肢」(4択)。
傍線部(4)「怒りがじくりとこめかみを這(は)いあがり、脳を痺れさせる」について、「この時の『茅乃』について説明したもの」を答える。無論、「原意消去」から。ここでは「脳を痺れさせる」という「比喩表現」の「原意」と結びつかない「状況」を「消去」していきたい。
各選択肢の「文末」と照合する。(ア)「冷静な対応ができなくなっている」、(イ)「目を背けようとしている」、(ウ)「思案している」、(エ)「頭が真っ白になっている」。「脳」が「痺(しび)れている」ということは「脳の感覚が失われ、運動の自由がきかなくなっている」状況だと分かる。よって、(ア)以外は「消去」可能だ。「同一場面」から、他の部分の説明も特に誤ってはいないと判断できる。故に、「答え」は(ア)になる。ここでも華麗なる「一発消去」。
やはり、「原意消去」は本校合格のための必須ツールだと心得よ。
<時間配分目安:1分>

[問七] 「様子説明記述」(全2問。ともに「字数指定」なし。各「50字ほど」の解答欄)。
傍線部(X)「黒い川に飲み込まれて」・(Y)「真っ黒い川にこぽりと沈む」について、この二つはそれぞれ「『茅乃』のどのような様子を表現したものか」を説明する。
典型的な「比喩表現換言説明」だ。両者に共通している「黒い川」とは何か? 「同一場面」の「状況」から、癌の進行により近づきつつある「茅乃」の「死」だと分かる。では、それぞれどのような「様子」を表現したものなのかを、前後の「文脈」が読み解いていきたい。
(X)の直前には「天寿を全うさせてくれる新薬が開発される期待を捨てずにいる」「それを捨てたら(圧倒的な黒い川に飲み込まれて)」とあり、直後の「自分が自分でなくなってしまう気がする」につながっている。そして、(Y)の前では「私が早く死んだ方が、夫も娘も楽になれるんじゃないか」と自暴自棄になっており、「踏み出した足が深みにはまり、頭のてっぺんまで(真っ黒い川にこぽりと沈む)」と続いている。
前者では「生きることを期待し自らを奮い立たせようとしている」が、後者では「生きることを諦め絶望している」ことが読み取れるはずだ。そうした「状況」における「黒い川」だということを明確にして簡潔にまとめていく。たとえば、(X)は「天寿を全うできる新薬に期待して自らを奮い立たせようとしているが、死の恐怖に負けそうになっている様子。」(50字)、(Y)は「夫や娘にとっては自分が早く死んだ方がいいと自暴自棄になり、絶望して生きることを完全に諦めている様子。」(50字)といった「答え」になる。
尚、「比喩換言説明記述」は本校に限らず頻出なので、繰り返し練習しておく必要がある。
<時間配分目安:全問で5分半>

【大問四】

  • 時間配分:10分弱

 「問題文<甲>」(古文)は鎌倉時代の軍記物語。源平の興亡、盛衰を多くの挿話、伝説、中国故事をまじえつつ描いている。「平家物語」の異本の一種。「謡曲」「浄瑠璃」など後の文学への影響は大きい。全四十八巻。「問題文<乙>」(漢文)は中国の「堯(ぎょう)」「舜(しゅん)」の時代より戦国末までの模範や戒めとするに足る「婦女の逸話」を列叙している。
尚、「問題文<甲>」と「問題文<乙>」の内容は連関している。
一昨年度まで本校の「古典」は難化傾向だったが、本年度は昨年度同様に「古文」も「漢文」も標準レベルだ。いくつか検討してみよう。

[問一] [古文]「語句の現代語訳選択肢」(全2問/各4択)。
<甲>の傍線部(a)「すべからく」・(b)「いかがせん」について、「その解釈」をそれぞれ答える。本校志望者であれば定着しているはずの「基本的古文単語」および「基礎的文語文法」の知識で解ける。「品詞分解」をして「答え」を確認していく。
「すべからく」=サ行変格活用の動詞「す」の終止形「す」+「推量」の助動詞「べし」の未然形+接尾語「く」⇒一語化したもの=意味は「当然」⇒「答え」は選択肢(ア)「かならず」。(b)「いかがせん」=副詞「いかが(如何)」(=どのように)+サ行変格活用の動詞「す」の未然形「せ」+「推量」の助動詞「む」の終止形「む」の発音表記「ん」⇒よって、現代語訳は「どのようにするだろうか」⇒「答え」は(ア)「どうすればいいのだろうか」。
やはり、本校志望者であれば「古文単語」と「文語文法」は基本レベルを完全習得すべきだ。
<時間配分目安:全問で1分>

[問四(1)]  [漢文][古文]「同一内容の表現抜き出し」(「5字」指定)。
<乙>の傍線部(2)「不 孝 不 義」について、「その内容は<甲>ではどのように表現されているか、その一文を探し」、「最初の五字」を抜き出して答える。傍線部の直前から、「不孝」=「父を殺すこと」、「不義」=「夫を殺すこと」だとすぐに分かるはずだ。このことを押さえた上で、<甲>を読み取っていくことになる。すると、傍線部(a)の次の行の最後から始まる「夫の命を助けんとすれば父の命危うし、父が身を育まんとすれば夫の身亡びなんとす。」という一文に目が留まるはずだ。本校合格に向けて「古文の基本」を習得している諸君ならばすぐに、「夫の命を助けんとすれば父の命危うし」=「夫の命を助けようとすると父の命が危険」⇒「不孝」、「父が身を育まんとすれば夫の身亡びなんとす」=「父の身を守ろうとすると夫の身がきっと亡ぶだろう」⇒「不義」と解釈できるに違いない。よって、「答え」は「夫の命を助」となる。
本校対策としての「古文の習練」が功を奏する良問だ。
<時間配分目安:2分強>

[問四(2)]  [漢文]「返り点記入」。
〈乙〉の傍線部(2)「欲 以 身 当 之」は「身を以て之に当たらんと欲す」と訓読するが、これを参考にして「返り点」を記入する(「送り仮名」は不要)。「書き下し文」から考えて、「身」→「以」→「之」→「当」→「欲」の順に読むと分かるはずだ。したがって、「答え」は「欲二 以レ 身 当一レ 之」(*「二」・「レ」・「一レ」が「返り点」)となる。
「返り点」「書き下し文」は「漢文」の「基本のキ」で、当然ながら「再読文字」や「置き字」などについてもしっかりと習得しておくことが肝要。
尚、「書き下し文」では「付属語(助動詞・助詞)」を「平仮名」とし、当然、「歴史的仮名遣い」で表記すること。
<時間配分目安:1分>

攻略のポイント

「多種多様な設問内容」。どう対処するか?
無論、「設問内容」に応じた「解法」の適用だ。基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが重要。それによって、「得点力」を安定させたい。本校の「合格ライン」は6割弱(過去10年間の「SAコース」男女合計の「合格最低得点率」の平均は58.7%。本年度は57.0%)。「解法」の応用で、「失点」「減点」を防いでいきたい。

「字数指定なし」の「説明記述」。いかに「過不足なく」まとめ、「攻略」するか?
「裏ワザ」などないので、愚直に「記述」の「練習」を続ける他ない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターし、「内容」の優先度が高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「20~100字程度」の「解答欄」と幅があるので、どのような「字数」にも対応できるように練習しておくことが肝要だ。

「古文」「漢文」の「攻略法」は?
重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「古典常識」も「日本史」を含めてなじんでおくことが必要になる。「漢文」でも、「返り点」「訓点」「書き下し文」「基礎的句法」などの基本的知識は押さえておくこと。特に近年は「返り点記入」が頻出なので、特に入念に準備しておくこと。

試験時間は50分。
時間配分にも細心の注意をすること。問題文は「現代文」で8000字程度(本年度は約8200字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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