筑波大学附属高等学校 入試対策
2024年度「筑波大学附属高等学校の数学」
攻略のための学習方法
思考力の育成
数学の思考力は、質の高い演習によって、成長する。演習にさいして、気をつけたいのは2点になる。
1つめは、類題を多く解くことだ。
生徒が、公式をただ暗記して、解答しているかどうか、試す方法がある。設問の問い方を変えたり、文字や数字を変えたりしてみて、正答率が変わるかどうかで、判断できる。
正答率が変わる生徒は、公式を丸暗記し、設問に機械的に反応しているだけであって、自ら思考していない可能性がある。
正答率が変わらない生徒は、自ら思考して、正答までたどりついている。
生徒同士には、明らかに思考力の差があるが、その原因としては、類題の演習量がある。教材として、類題がたくさん収録されている、厚めの問題集に挑戦し、思考力を鍛えていこう。
2つめは、はじめて見た設問を、じっくりと考える習慣をつけることだ。
わからなくとも、すぐに解答を見たりせずに、ある程度の時間を定めて、悪戦苦闘する経験が大事になる。そのような経験にふさわしい教材は、各種の過去問になる。筑波大付属駒場はもちろんのこと、他校の過去問も積極的に教材として活用し、上質な演習をしていこう。
答案の完成度を上げる
本番で安定して得点できるように、答案の完成度を上げる訓練を積んでいこう。
多くの志望者は、一問一問を解くことに満足しがちで、答案全体の完成度を意識するのは、受験の後半(中学3年の夏休みくらい)からだ。もっと早めに受験生として意識を持ち、答案の完成度を上げる技術を身につければ、有利になる。答案の完成度は、2つの面から確認しておきたい。
1つめは、設問ごとの時間配分だ。
時間配分ができていない志望者は、過去問を解いてみると、後半に簡単な設問があっても、得点できていない。つまり、前半の設問に時間をかけすぎていて、後半の設問にまで、手をつけられていない状態だ。
受験では、答案全体の得点が、評価される。したがって、答案全体の得点を上げるために、それぞれの設問を解くべきか、あるいは解かないべきか、判断力が重要になる。
過去問の演習は、そのような判断力を鍛える良い教材になる。
2つめは、見直しの技術だ。
まずは答案全体でどれくらい見直しが必要になるのか、目安の時間を決めよう。あらかじめ時間を決めておくと、本番で迷いが生まれにくい。
そして、見直しが効率的にできるような工夫をしよう。計算式を再利用したり、図形やグラフを確認しやすいように、丁寧に準備しておこう。
志望校への最短距離を
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2024年度「筑波大学附属高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
今年度は、超難問は出題されておらず、本校にしては取り組みやすいといえる。それでも、情報を整理する力、処理能力など高いレベルが要求されている。50分ですべての問題を解くのは容易ではないだろう。スピードと正確さが重要といえる。
【大問1】文字式の利用
- 時間配分:8分
紙を重ねてから二つ折りにして冊子を作る。このときの冊子のページ番号について考えていく。
(1)では、ページ番号15が書かれている紙の、15以外のページ番号を答える。同じ面に書かれているページ番号の和が必ず21であることに注目すればよい。
(2)以降では、各ページに出席番号を2つずつ掲載する。
(2)では、紙に掲載される出席番号の最小値と最大値を、文字式を使って表す。
(3)では、掲載する出席番号を1つだけ間違えた設定になる。同じ紙に掲載される出席番号の和が173になったことから、どの出席番号を間違えたのかを考える。間違えなかった場合の和との誤差に注目するとよい。
【大問2】資料の整理
- 時間配分:9分
23人のハンドボール投げの記録についての問題で、平均値、中央値、四分位数などを考えていく。累積度数については23人分のデータが与えられているが、個人の記録については20人分のデータしか与えられていない。
(1)では、記録の最大値と最小値を答える。度数分布表を作れば答えがわかる。
(2)では中央値を答える。度数分布表と20人のデータから判断できる。
(3)は、四分位数についての問題。与えられた情報と度数分布表を見比べればよい。
(4)では、与えられていなかった3人のデータを求める。(3)までに分かったことと、平均値に注目することで求めることができる。
【大問3】平面図形
- 時間配分:7分
座標上の平面図形についての問題。
(1)ではOEの長さを求める。三角形OABが正三角形なので、EはOAの中点であることが分かる。
(2)は相似な三角形を見つける問題。
(3)ではBFの長さを求める。(1)(2)を振り返れば難しくない。
(4)ではBの座標を求める。三角形BFDの辺の長さに注目すればよい。
【大問4】立体図形
- 時間配分:14分
立方体の切断に関する問題。
(1)では、四角形EPNHの面積を求める。単純な平面図形の問題である。
(2)は立体の断面図を書く問題。切断面をきちんと捉えることができれば、それほど難解ではないだろう。ただし、やや手間はかかる。
(3)では、切断されて残った立体の体積を求める。立方体の体積から、削った部分の体積を引けばよい。
【大問5】文章題
- 時間配分:12分
速さに関する文章題。関数のグラフを書いて考えるとよい。
(1)では、列車Aの進んだ道のりを表す式などを求める。
(2)では、列車Bが等速になるまでの時間を求める。長めの問題文を整理して、2次方程式に持ち込む。グラフを書いて考えると解きやすい。
(3)では、列車Aと列車Bが同じ時間で同じ距離を走る場合について考える。グラフを書いて考えないと解きにくい。
攻略のポイント
難しすぎる問題はなく、適度に難しいレベルの問題が多いので、点差はつきやすいと思われる。どの大問も、序盤のミスは大問全体に影響を与えることになるので注意したい。スピードと正確さが問われる内容である。
【大問1】【大問3】は短時間で終わらせて、他の問題に時間を残したいところ。
【大問2】【大問4】は慌てず、じっくり取り組んだ方がよいだろう。
【大問5】はグラフを活用しながら、楽に解くことを考えながら取り組むとよい。