筑波大学附属高等学校 入試対策
2022年度「筑波大学附属高等学校の数学」
攻略のための学習方法
思考力の育成
数学の思考力は、質の高い演習によって、成長する。演習にさいして、気をつけたいのは2点になる。
1つめは、類題を多く解くことだ。
生徒が、公式をただ暗記して、解答しているかどうか、試す方法がある。設問の問い方を変えたり、文字や数字を変えたりしてみて、正答率が変わるかどうかで、判断できる。
正答率が変わる生徒は、公式を丸暗記し、設問に機械的に反応しているだけであって、自ら思考していない可能性がある。
正答率が変わらない生徒は、自ら思考して、正答までたどりついている。
生徒同士には、明らかに思考力の差があるが、その原因としては、類題の演習量がある。教材として、類題がたくさん収録されている、厚めの問題集に挑戦し、思考力を鍛えていこう。
2つめは、はじめて見た設問を、じっくりと考える習慣をつけることだ。
わからなくとも、すぐに解答を見たりせずに、ある程度の時間を定めて、悪戦苦闘する経験が大事になる。そのような経験にふさわしい教材は、各種の過去問になる。筑波大付属駒場はもちろんのこと、他校の過去問も積極的に教材として活用し、上質な演習をしていこう。
答案の完成度を上げる
本番で安定して得点できるように、答案の完成度を上げる訓練を積んでいこう。
多くの志望者は、一問一問を解くことに満足しがちで、答案全体の完成度を意識するのは、受験の後半(中学3年の夏休みくらい)からだ。もっと早めに受験生として意識を持ち、答案の完成度を上げる技術を身につければ、有利になる。答案の完成度は、2つの面から確認しておきたい。
1つめは、設問ごとの時間配分だ。
時間配分ができていない志望者は、過去問を解いてみると、後半に簡単な設問があっても、得点できていない。つまり、前半の設問に時間をかけすぎていて、後半の設問にまで、手をつけられていない状態だ。
受験では、答案全体の得点が、評価される。したがって、答案全体の得点を上げるために、それぞれの設問を解くべきか、あるいは解かないべきか、判断力が重要になる。
過去問の演習は、そのような判断力を鍛える良い教材になる。
2つめは、見直しの技術だ。
まずは答案全体でどれくらい見直しが必要になるのか、目安の時間を決めよう。あらかじめ時間を決めておくと、本番で迷いが生まれにくい。
そして、見直しが効率的にできるような工夫をしよう。計算式を再利用したり、図形やグラフを確認しやすいように、丁寧に準備しておこう。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2022年度「筑波大学附属高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
昨年度は、特殊な事情により出題範囲が限定され、問題の難易度も抑えられていた。今年度の問題は、質的にも量的にもハードで、例年の難易度に復活したといえる。50分ですべての問題を解くのは難しいので、時間の使い方と問題の難易度の見極めが重要である。
【大問1】数の性質
- 時間配分:10分
自然数の累乗の一の位についての問題。
(1)は、問題文において定義された記号<n>について、きちんと理解できていれば易しい。
(2)は、条件を満たす自然数を5つ答える問題。条件を満たす自然数は6つ以上あるが、条件を満たしていれば、どの自然数を答えても正解である。とはいえ、小さい自然数から順に5つ答えるのが一般的であろう。
(3)は<n>=<nの2乗>を満たす自然数について考える問題。10以下の自然数について、<n>と<nの2乗>の対応表を書くと解きやすくなる。
(4)は、<n>と<nの2乗>を含む2次方程式についての問題。(3)で書いた対応表を(4)でも利用するとよい。
【大問2】平面図形
- 時間配分:8分
本校らしく、平面図形に関する様々な知識を駆使して解く必要がある。
(1)はBCの長さを求める問題。円の性質と角度に注目すると、三角形BCEが二等辺三角形であることに気が付く。
(2)はBDの長さを求める問題。三角形OBDに注目し、三平方の定理が利用できるように補助線を引くとよい。
(3)では三角形OCDの面積を求める。CDの長さを求めることによって、三角形OCDの面積を直接求める方法が考えられる。方べきの定理を利用すると楽だが、利用しないのであれば、相似な三角形に注目して考えることになる。なお、三角形ABCの面積が求めやすいので、三角形ABCの面積の何倍になるかを考えてみる方法も有効である。この場合は、辺の長さの比を考えることがポイントとなる。
【大問3】条件整理
- 時間配分:13分
信号のある交差点を渡る問題。横断歩道を2つ渡らなければならず、信号のタイミングを考えるのが大変である。
(1)は易しい問題で、短時間で答えを求めることができる。
(2)(3)はかなり面倒な問題。まずは、信号の色の変化する様子を表にしてみる必要があるだろう。
【大問4】点の移動、立体図形
- 時間配分:9分
円柱があり、その2つの底面の周上を2点が動く設定になっている。
(1)では、2点が合わせて1周分動くまでの時間を求める。比を使って考えればよい。
(2)では、20秒後の三角形PBQの面積を求める。ひたすら三平方の定理を使い続けるしかない。
(3)では、15秒後の四面体ABPQの体積を求める。三角形ABQを底面として考えるとよい。
【大問5】資料の整理
- 時間配分:10分
テストの点数を箱ひげ図にまとめた問題。
(1)は、四分位範囲を求める問題。四分位範囲が何か分かっていれば易しい。
(2)は平均値を求める問題。第二四分位数(中央値)が、50より大きく60より小さいことはすぐに分かる。テストの点数が必ず5の倍数であることに注目すると、第二四分位数がいくつになるのか、ある程度絞り込むことができる。そこからは見た目で判断するしかない。
(3)以降は、(2)と似たような作業をすることになる。残された時間で最後までやりきるのはなかなか難しいと思われる。
攻略のポイント
取り組みやすい問題は少ないが、比較的易しい大問は、【大問1】【大問2】である。まずは、これらの問題でしっかり点数を稼いでおきたい。
【大問3】~【大問5】はハードな大問ばかりである。
【大問3】は複雑な問題で、考え込むと時間がどんどん失われていく。簡単な(1)は確実に解くとして、(2)以降は一旦後回しにすることも検討したい。
【大問4】は、【大問3】以降では最も完答しやすいだろう。本校の受験生のレベルの高さを考えると、できれば完答したい。
【大問5】は(1)は確実に正解しなければならない。(2)以降は、【大問3】(2)(3)と比較して解きやすく感じる方を優先的に解けばよいだろう。