早稲田大学高等学院 入試対策
2023年度「早稲田大学高等学院の英語」
攻略のための学習方法
長文読解における留意するべき点ついて、以下に述べてみたい。
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①正確な文法事項についての理解と知識を蓄えよう
「自分は文法が苦手で、文法問題の得点は安定しない」、「文法知識がなくとも、英文が自然と読める」という声を耳にすることがある。
これらの「声」に共通しているのは、どちらも「文法事項に重点を置いていない」ということである。特に、後者の「英文が自然と読める」という状況は、実は「本当は英文が読めてはいない」のである。
例えば、接続詞の‘as’について少々考えてみたい。接続詞のasには、時(~のとき)、理由(~なので)、譲歩(~だけれども)、様態(~のように)、時の経過(~につれ)という基本的な意味がある。
英文における接続詞のasは、上記のうちのどの用法であるかの判断をしなければならない。受験生の中には、上記用法を一つ一つ当てはめて「これが何となく当てはまるかな、しっくりいくな」という程度の判断で、意味を決めてはいないだろうか。
このやり方は合理的ではない。
原則的には、接続詞を用いた文章なので「条件節(従属節)」と「帰結節(主節)」とがあるから、これらの2つの英文の日本語訳を考え、日本語でつなぐ方法を考えてみる。
具体的には、‘As I broke the vase , I was scolded by my mother.’という英文を考えてみよう。まずは、2つの節を別個に訳してみると「私は花瓶を壊した」と「私は母に叱られた」になる。これらの日本文を自然な日本語感覚で考えると、「私は花瓶を壊したので、母に叱られた」という「理由」でつないだ文章になることは容易に想像がつく。
また、上記用法のうち「譲歩」に関しては、条件節の中で「倒置」が行われるのである。例えば、‘As kind he was , he did such a thing.’については、‘he was kind’ではなく、‘kind he was’と倒置が用いられている点が特徴である。また、「~するにつれ」という意味になる場合には、ⅰ)変化を表す動詞が使われている場合、ⅱ)thanなし比較級が使用されている場合がある。
ⅰ)の変化を表す動詞とは、increase、decrease、develop、growなどが代表例である。これらの動詞は、時間的間隔のあいた2点間における変化を表すので、当然そのような状況のもとでは、「~するにつれ」となるのである。
また、ⅱ)の比較級は従来型のそれとは少々内容が異なるのである。従来型の比較級とは、時間的に今この時(=時間的変化はない)における異なるAとBという2つの事象を捉えて比較するのであるから、比較の対象基準となるものが必要になり、それがthan以下に表現されるのである。
言い換えれば、この場合は時間的に水平方向(時間変化がない)に関することだけなのである。従って、そこには「時の経緯」はない。
一方、thanなし比較も存在する。これは時間の経過の中で、AがA’になるということであり、時間的水平方向とは対照的に時間的垂直方向での変化である。
具体的には「太郎はより背が伸びた」という内容の文であり、ここには時間の経過があり「A⇒A′になった」ということである。従って、thanなし比較級が含まれる条件節が‘As’で導かれる場合には、「~につれ」となるのである。
以上、‘As’について、用法を中心に述べたがその他にも様々な文法に関連した事項があるので、日々の学習の中で一つ一つ習得していってほしい。
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2023年度「早稲田大学高等学院の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問Aは、文法総合問題<8分>。
出題内容は、適語選択問題、和文英訳適語補充問題、誤文訂正問題である。
大問Bは、長文(説明文)総合読解問題<18分>。
出題内容は、表題選択、書き換え、英文解釈、整序、内容正誤、要旨把握となっている。
大問Cは、長文(物語)総合読解問題<10分>。
英問英答が7題である。
大問Dは、長文(物語)総合読解問題<14分>。
英問英答が6題、テーマ自由英作文が1題である。
【大問A】文法総合問題
- 時間配分:8分
基本的な文法事項、イディオムは確実に覚えること。完答を目指そう。
Ⅰ 適語選択問題<3分>
(1)時制の問題である。過去のある一点までに「決して~したことがなかった」という経験を表わしたいので過去完了形にする。
(2)「~の殆どが」という表現にしたいので、Most of ~である。
(3)使役の能動態の英文を受動態に書き換える際に、「to + 動詞」という形になるのでto practiceが正解である。
(4)間接疑問文における語順の問題である。「疑問+主語+動詞」という語順になることを正確に覚えておこう。
(5)to不定詞の否定形に関する問題である。to不定詞の否定形は、not to ~になる。
Ⅱ 和文英訳適語補充問題<2分>
(1)「減っている」という表現なので、現在進行形の形にする。
(2)構文的には、分詞構文である。従属節と主節の主語(本問ではI )が同じであるので、従属節のI は省略されJudgingとする。
(3)rideには「車に乗せること」という名詞の意味があり、Do you need a ride home ?で「家まで送りましょうか」という意味になる。
(4)「冗談だよ。真に受けないで」の「受ける」に相当する単語はtakeである。
(5)「無理な要求だね」は、「無理な要求」=「要求が多過ぎる」と読み替えてask too muchと考える。
Ⅲ 誤文訂正問題<3分>
(1)2つしかない場合、1つはoneであるが、残りの1つはthe otherである。よって、anotherをthe otherとする。
(2)前にある肯定文を受けて「~もそうである」とする。従って、so is my grandfatherとする。よって、doesをisにする。
【大問B】説明文の英文読解総合問題
- 時間配分:18分
Ⅰ タイトル選択問題<2分>
タイトルを選択させる問題。本文内容を正確に把握したうえで適切な選択肢を選ぶ。本文の内容は、日本の中学・高校における色々な部活動を外国人の親の立場から述べた内容になっている。
Ⅱ 書換適語選択問題<2分>
(1)「生徒の行動をimproveする」のであるから、「生徒の悪い行動を減らす(=reduce)」と考える。
(2)「クラブは、生徒たちが友人になる機会を提供する」という趣旨の英文であるので、「友人となることを可能にする」と与えられた英文を読み替える。enable 人 to ~ を使う。
(4)「ニアは…することに価値があるか疑問視している」という英文なので、「…することに価値があるか」という英文にする。
(5)「彼はこれらの興味をやり遂げた」という英文であるので、「~することに成功した」という英文にしたい。succeeded inとする。
(11)「同じ道をたどった」という英文であるので、「同じことをやった」という英文にしたい。same thingとする。
Ⅲ 適語補充問題<2分>
the second situationが何を指しえているかを問う問題である。直前の段落冒頭のClubs offer a chance …がthe first situationであり、その次の英文であるThey seem, … ,and mealsがthe second situationである。
Ⅳ 整序問題<2分>
(6)ポイントは形式目的語構文を作ることである。make+it+形容詞+~toはよく出てくる構文なのでしっかり覚えておくこと。
(9)知覚動詞構文を作る。see+目的語+動詞の原形で「目的語が~するのを見る」となる。
Ⅴ 適語選択問題<2分>
(7)ポイントは時制の問題である。wasと同じ時制を選択するので、allowedとなる。
(8)空欄の前の2つの英文は相反する内容になっている。従って、この空欄にはhoweverが入る。
(11)基本イディオムの問題である。graduate fromで「卒業する」となる。
Ⅵ 適文選択問題<2分>
A ニアは部活についてどのような感情・考えを持っているのかを考える。部活の必要性については「懐疑的」なのである。
B 子供がバスケット部にも入ったことで、筆者は「自分の考えが間違っていた」と思ったのである。
Ⅶ 内容理解問題<2分>
ヒントとなる英文は、第6段落目の最後の英文である。Not a lot of studying took place during this time in his school career, but he did develop good multi-tasking skills.である。つまり「多くの時間を勉強に費やせなかったが、一度に多くのことができるようになった」のである。
Ⅷ 内容一致問題<2分>
本文の内容を踏まえると「全員がクラブに入らない、タニアの息子の学校はチームを作ることができるだけの十分な生徒がいない」という英文にしたいので、「もし~しなければ」というunlessが適切である。
Ⅸ 内容正誤問題<2分>
ア 「子どもたちに自分(親)の母国とつながりを持っていて欲しい、と思っている外国人の親がいる」
オ 「どんな部活でも長期間やっている場合、大学入試に役立つ」
【大問C】物語の長文総合読解問題-英問英答-
- 時間配分:10分
Ⅰ.「娘たちが幼いころ、金色の毛をした犬は毎日何をしていたか」という英問である。
Ⅱ.「どうして王子は娘たちを家から連れ出したのか」という英問である。
Ⅲ.「一つ目の宮殿で娘に会おうとしたとき、金色の毛をした犬に何が起こったのか」という英問である。
Ⅳ.「金色の毛をした犬について、どれが正しいか」という英問である。
Ⅴ.「一つ目の宮殿にいる娘について正しいのはどれか」という英問である。
Ⅵ.「二つ目の宮殿にいる娘について正しいのはどれか」という英問である。
Ⅶ.「王子についてどれが正しくないか」という英問である。
【大問D】物語に関する長文総合読解問題-英問英答-
- 時間配分:14分
攻略のポイント
設問形式や長文の内容を見てみると、それほど難易度の高い問題ではない。解答するために必要な知識(単語・イディオム・文法)に関しても、その8割以上は基本的事項であり、受験生の殆どにとっては「周知の事実」であろう。ただし、合格するためには「単なる知識」を超えた「理解」が求められる。例えば、前置詞の理解である。‘down’や‘on’や‘with’などの前置詞が、根本的にどのような意味を有するのかについての知識をベースに、英文中においてどのような意味を持たされているのかについての「考察」を適切に行わなければならない。英問英答の設問形式にも十分慣れておく必要がある。