早稲田大学高等学院 入試対策
2018年度「早稲田大学高等学院の数学」
攻略のための学習方法
特殊単元に対応する
高校受験には、教科書だけでは対応しにくい単元が、登場する。
例えば、【大問2】には関数と図形の融合問題が、【大問3】には直角三角形の発見が、【大問4】には数の性質が、それぞれ登場している。
このような単元は、学校の定期テストの得点ではなく、難易度の高い模試の得点を参考にしよう。模試の得点から、学習すべき単元を絞りこめる。
教材については、単元ごとにまとめられた教材もあるが、市販のものだけでは対応できない場合もある。もし不安があれば、家庭教師に相談し、自分に合った教材を推薦してもらうといいだろう。
解法にこだわる
演習において、ただ正解であることに、満足してはいけない。正解か不正解かではなく、どのような解法を選んだのか、その過程にこだわりを持ちたい。
例えば、【大問4】は選んだ解法によって、解答時間が変わってくる。また【大問1】の(2)と(3)は、計算の技術そのものが問われている。
洗練された解法は、計算の手順が省略できるだけではなく、単純なミスを減らすことにもつながる。結果として、全体の得点の安定に貢献する。
教材については、別解が豊富に紹介されている参考書や、計算の技術がたくさん紹介されている問題集を選ぼう。何度も解きなおすことで、解法に精通することができる。
思考力の育成
数学の思考力は、質の高い演習によって、成長する。演習にさいして、気をつけたいのは2点になる。
1つめは、類題を多く解くことだ。
生徒が、公式をただ暗記して、解答しているかどうか、試す方法がある。設問の問い方を変えたり、文字や数字を変えたりしてみて、正答率が変わるかどうかで、判断できる。
正答率が変わる生徒は、公式を丸暗記し、設問に機械的に反応しているだけであって、自ら思考していない可能性がある。正答率が変わらない生徒は、自ら思考して、正答までたどりついている。
生徒同士には、明らかに思考力の差があるが、その原因としては、類題の演習量がある。教材として、類題がたくさん収録されている、厚めの問題集に挑戦し、思考力を鍛えていこう。
2つめは、はじめて見た設問を、じっくりと考える習慣をつけることだ。
わからなくとも、すぐに解答を見たりせずに、ある程度の時間を定めて、悪戦苦闘する経験が大事になる。そのような経験にふさわしい教材は、各種の過去問になる。早大学院はもちろんのこと、他校の過去問も積極的に教材として活用し、上質な演習をしていこう。
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2018年度「早稲田大学高等学院の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は50分で、得点は100点満点と推定される。
大問数は4問で、設問数は12問と、かなり少ない。すべての設問に記述が要求されているが、解答時間には余裕がある。
一問一問をじっくりと思考していく試験構成となっている。
【大問1】数の性質
- 時間配分:10分
(1)無理数の整数部分については、求め方を理解しておきたい。
(2)設問文のルールにしたがって、まずはさまざまなnの値を代入して、検討してみよう。
【大問2】関数と平面図形の融合問題
- 時間配分:14分
設問文では、図形とグラフが与えられていないので、受験者は手描きする必要がある。
また、具体的な数字ではなく、抽象的な文字を扱うので、慣れが必要だ。
このように、具体的な数字から、抽象的な法則へと、思考を広げていくのが、早大学院の特徴だ。
(1)と(2)正答したい設問だ。日頃は数字でしている計算を、文字でできるようになっておきたい。演習教材をしっかりと選んでおこう。
【大問3】円、特殊な直角三角形
- 時間配分:12分
平面図形の分野から、さまざまな解法が組み合わせて出題されている。一つ一つの解法は単純なものだが、図形がいくつも重ねられているので、しっかりと見抜くための訓練をしておきたい。
(1)直角三角形のうち、角度が30度・45度・60度の特殊な直角三角形が登場してきているのに、気づきたい。
(2)まずは角ADPが直角であることに気づきたい。そこから、弧APの円周角に注目しよう。隠された図形の発見は、早大学院では頻出の解法となっている。
【大問4】数の性質
- 時間配分:14分
数の性質の単元は、毎年、出題されている。やみくもに計算しても正答にはたどりつけず、そもそも解法が浮かぶのか浮かばないのかという勝負になる。純粋に思考力がある生徒を求めていると考えられる。
(1)と(2)正答したい設問だ。まずは設問文の指示通りに、最大公約数と最小公倍数を求めてみよう。
(3)まずは数字の組み合わせを検討し、そこから、数字の順列を検討するとよいだろう。やみくもに計算しても、解答できるかもしれないが、時間をかけすぎてしまう恐れ
がある。解法のセンスが求められている。
攻略ポイント
受験者の合否を分けるのは、数学の思考力になる。
はじめて見た設問に、それまで学んだ解法を応用できるかどうかで、かなりの点差が開く。
解法が思い浮かぶか浮かばないかの勝負になるので、数学を公式の暗記で乗り切ってきたり、計算が早いだけの受験者は、歯が立たなくなる。
受験者との相性がはっきりと得点に反映される試験構成であり、また標準的な模試の成績は、参考にならない。それまでの学習の質が問われており、数学の学習方法そのものを見直す必要も出てくるだろう。