早稲田大学高等学院 入試対策
2019年度「早稲田大学高等学院の数学」
攻略のための学習方法
難関校攻略のための最重要事項は、問題演習において「最後まで自分の頭で考える」という姿勢である。自分の頭で考えるということは、安易に解答・解説に頼らないということでもある。問題を見て考えて解法への道筋が見えてこないと、すぐに解答・解説を読んでしまうことはないであろうか。この文章を読んでいる受験生の中にも、そのような経験をしたことがあるのではないだろうか。最後まで自分の頭で考え、たとえ正しくなくとも(ある時期まではその方がむしろ好ましいが)自分なりの答えを導くことである。そのようなプロセスを経て得られるものは、正解を導く上での「的確な発想力」である。それでは、以下に数学の受験勉強における重要項目について考えてみよう。
- (1)数学には「定石」がある
定石とは問題の解答を得るために必ず辿るべき「プロセス」である。つまり、そのプロセスさえ過たず正確に辿れば、必ず正解に辿り着けるということである。それでは、どのようにしたら正解を得るための「定石」を習得することができるのであろうか。ポイントは2つある。1つは、標準問題を何度も反復して演習をすることである。そして、回数を重ねるごとに、解答時間を縮めて瞬発的に問題を解く鍛錬を積むことである。その結果、初見の問題を見た瞬間に「解法のプロセス」が見えてくるのであり、どの方向へ第一歩を踏み出せば良いのかについて正確な判断ができるようになるのである。この「定石」を習得するための作業が、上位校の数学の入試問題を解く上では基礎力となる。その上に高度な問題演習における「正しい見通し」を立てられる「力」が付くのである。
- (2)導き出すべき「答え」から逆算する
設問で求められる状況があった場合、その状況が言える(成立する)ためには「何が言えなければならないのか」ということを考えるのである。例えば、四角形が円に内接していることを証明したい場合には、それを証明するために何を言えばよいのかを考えることである。そして、そのためには与えられた諸条件より何が言えるのかを考えるのである。つまり、与えられた四角形の∠ABC=90°であった場合、辺ACは四角形が内接する円の直径になっているということに気づき、発想を膨らませることができるか否かが勝負を分ける。つまり、ゴールから逆算してゆくとそれはスタートに辿り着けるのである。そのような手法をぜひ身に付けて欲しい。
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2019年度「早稲田大学高等学院の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】独立小問問題<10分>
数の計算、整数の性質に関する問題である。整数の性質の問題は発想力が求められる問題である。
【大問2】関数(時間と距離・図形と運動)に関する問題<10分>
関数の式を求める問題、速さや移動距離を求める問題である。
【大問3】空間図形(球と六面体)に関する問題<10分>
六面体に内接する2つの球に関する問題である。
【大問4】整数の性質に関する問題<20分>
整数の性質に関する問題や2次方程式の応用問題である。
【大問1】独立小問問題
- 時間配分:10分
(1)数の計算問題<5分>
分母に分数が含まれる計算問題。落ち着いて計算ミスがなければ完答できるであろう。
(2)整数の性質に関する問題<5分>
自然数の桁に関する問題である。自然数nに関し、T(n)=n+S(n)という条件に合致するnを求める 問題や、自然数の性質に関する応用問題である。
【大問2】関数(時間と移動距離)
- 時間配分:10分
(1)関数の式を求める問題<2分>
時間(t)と距離(S)との関係はまさに関数である。Sはtの2乗に比例するので、S=at2と表現できる。 初めに、比例定数であるaを求めること。ただし、0≦t≦10という条件を忘れないように。
(2)関数の式を求める問題<3分>
10<tのときは、Sはtの1次関数となる。よって、S=at+bとおいて条件より求める関数の式を導くこ と。最終的にSとtの連立方程式を解くこと。
(3)速さと長さを求める問題<5分>
Sとtの関係式から与えられた条件を加味し、問われている数値を求めること。
【大問3】空間図形に関する問題
- 時間配分:10分
(1)長さを求める問題<2分>
六面体に内接する半径1の球と半径4の球が内接している場合における指定された直線の長さを求める問題で ある。立体図形を真横から見た平面図形に置き換えて考えると、求める長さは2つに球の直径の和であることが 判明する。
(2)面積を求める問題<3分>
内接する2つの球と内接面までの距離は、三平方の定理を用いて表しその結果を用いて求めたい平面EFGHの面積を求めること。
(3)体積を求める問題<5分>
平面ABCD∥平面EFGHであることより、六面体の側面の辺の延長線を結んだ正四角錐を考えること。
【大問4】整数の性質に関する問題
- 時間配分:20分
(1)整数の性質に関する問題<2分>
与えられた条件の定義に従い、f(35)がどの様な仕組みで計算するのかを落ち着いて考えること。
(2)整数の性質に関する問題<3分>
素数であるpに関する問題であり、pと最大公約数が1である自然数が何個あるかを考えよう。
(3)整数の性質に関する問題<3分>
pもqもともに素数であることから、(1)と同様に考えて答えを導こう。
(4)式の計算に関する問題<4分>
本問の手掛かりとして、(3)の結果を的確に応用すること。(3)の結果は、f(pq)=pq−p−q+1である。
(5)2次方程式の応用問題<3分>
x2−ax+b=0の解が、x=p、qのときに、左辺は(x−p)(x−q)=0という式が成立するのでそれを展開し、与えられた2次方程式とにおいて、係数比較法をもちいてaとbをpとqを用いて表すことができる。
(6)2次方程式の応用問題<5分>
p+q=216、pq=11663であることより、pとqを2解に持つ2次方程式を考える。
攻略のポイント
出題分野的には、計算(方程式、式の値)、関数(1次関数、2次関数)、立体図形、整数の性質問題の分野である。ただし、合格点を取るためには、これらの分野の単純な演習スキルだけでは歯が立たないであろう。そのようなスキル演習が必要であり、問題解法の基礎になることは言うまでもない。大切なことは、そのスキル演習からさらに一歩踏み込み、数学的な原理理解(公式的発想)の質を深めることである。つまり、自分で公式の原理を理解し、公式が出てくるまでの解法のプロセスをしっかり把握した上で、自身で公式を導き出せるようにすることができるようになれば最高である。