早稲田実業学校高等部 入試対策
2018年度「早稲田実業学校高等部の国語」
攻略のための学習方法
語彙力
語彙力については、どちらのご家庭からも、似たような質問を受ける。「どのように語彙を増やしたらいいですか？」という質問は、学習方法を、求めている。「語彙力はどれくらい必要になるのですか？」という質問は、目安を求めている。
語彙の学習方法については、まずは王道はないと知っておこう。語彙はいきなりは増えず、日ごろから品質の高い言葉に触れておくことが、大事になる。具体的には、読書をすることと、言葉を調べる習慣を持つことが、有効だ。どちらもできていない生徒は、当然、語彙量が少なく、受験では不利になってきた。語彙は、すべての基礎になるので、読解力や記述力よりも、優先したい。
語彙の目安については、早稲田実業の志望者は、まずは漢字検定を２級まで取っておこう。そのあと、もし余裕があるのであれば、類義語・対義語・文法・文学史などの問題集を、それぞれ１冊仕上げておきたい。
読解力
早稲田実業は、文学・哲学分野からの出典が多い。したがって、これらの分野の入門書や小説を、読書に選んでおくとよいだろう。日常ではあまり用いられない「テクスト」「時間」「記号」などの言葉を、自分で説明できるようになっておきたい。
また、最近では「読書が大事とわかってはいるが、どの本を選んでいいのかわからない」という家庭が増えてきた。書籍の販売点数が増し、かつ書籍が消費財として扱われるようになったからだろう。そのような状況に対応するために、毎年、担当した生徒には、ブックリスト（受験までに読んでおくべき本の一覧）を提供している。早めに声をかけてもらえれば、生徒の読解力を計画的に育てていくことができる。
教養の獲得
早稲田実業の水準の文章ともなると、読解には、教養が必要となる。
例えば【大問２】では、メディア論の教養が必須となっている。メディア論においてテクストとは、従来の書物に限定されず、「読書」「インターネット」「メール」「SNS」「絵文字」などの記号を含んだより広範な概念として理解したい。書物がどのように変容していくかは、今後の受験文章でも頻出となる題材でしょう。
学校の出題傾向に合わせて、毎年、読解教養の講座を、オーダーメイドで作成している。期間は３か月で、受験本番前に、どのような文章が出題されても、読めるようになっておこう。特に、過去問を解くたびに、読解の得点が不安定になっている受験者は、声をかけてほしい。
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2018年度「早稲田実業学校高等部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は６０分で、得点は１００点満点だ。
大問が３つで、現代文が２問、古典文が１問の構成となっている。
文量は標準的なので、読解時間は十分にある。先に知識問題を埋めてしまって、最後に記述を清書する順番がよいだろう。
【大問１】 長文読解（物語文 約５０００字）
- 時間配分：28分
出典は、堀辰雄の「麦藁帽子」であり、学校生活を送る少年の、ひと夏の恋物語が題材になっている。
思春期の生徒の心の機微を扱かった物語が、近年は選ばれるようになってきている。読解のためには、文学的な表現に、慣れておきたい。
（１）と（２）受験者の語彙力を試す設問だ。全問正解できなかった場合は、漢字と慣用句を復習しておこう。
（４）「お前」の対応は、主人公がふたたび田舎を訪れてから、描かれている。主人公が変化しているように、「お前」も変化しており、物語のなかでどのように時間が進んでいるのか、整理しておきたい。
【大問２】 長文読解（説明文 約３０００字）
- 時間配分：22分
出典は、菅啓次郎の「本は読めないものだから心配するな」であり、読書に対する姿勢が述べられている。読書といっても、やや記号論よりの視点から文章が描かれている。
記号論は、受験では頻出の分野なので、読解のために、しっかりと教養を獲得しておきたい。
（２）文章全体の内容を、あらかじめ要約しながら、読んでいこう。文章全体を何度も見返していると、時間がかかりすぎてしまう。あらかじめ文章を読みながら、段落ごとに表題をつけておくと、見返す時間を省略できる。
（４）有名な古典作品については、しっかりと読んでおこう。
（１２）筆者の述べている「テクスト」がどのようにして変化していくのか、まとめればよい。ちなみに、テクストは、単純に文章のことではないので、しっかりと区別しよう。
【大問３】 長文読解（古文 約６００字）
- 時間配分：10分
出典は、「をぐり」だ。一度は殺害された小栗判官が、閻魔大王の計らいで、ふたたび現生に復活し、見事に仇討ちを果たすというのが、おおまかなあら筋となる。
単純な物語なので、話の筋は理解しやすい。
（６）古文では、主語が省略されることが多い。主語を補って読む訓練をしておこう。
（７）古文教養として、日本の旧国名を押さえておこう。
（９）古文教養として、日本の文学史を整理しておこう。
攻略のポイント
受験者の合否を分けるのは、語彙力と読解力になる。
語彙力は、設問で直接に問われる場合もあるが、読解力の支えとして、高い水準のものが要求されている。そもそも、しっかりとした書き言葉に慣れておかなければ、読解ができない。また、読解力は、いくつかの文章のなかから、意味を正確に分析できるようになっておきたい。
普通の国語の授業で読解力を鍛えながら、もう一方で、高度な文章に対応するための、教養講座を３か月は受講しておくことを推奨する。