出典は、『卑怯者』（著者：有島武郎）。

 （問一）文章内容理解問題＜3分＞。
「子供」が起こした「騒ぎ」について、その経過を時系列に並び替える問題である。初めは、子どもが立ち上がった拍子に、扉の掛け金が外れてしまったのである。

（問二）文章内容理解問題＜２分＞。
傍線直前に「それまでは、」とあるので、その時間的範囲をしっかり捉えることが重要である。

（問三）心情把握選択問題＜２分＞。
「彼」は、子どものことを気の毒に思い、手を貸してやろうという優しい気持ちになりかけたのであり、その気持ちは「親切心」であろう。

（問四）漢字問題＜２分＞。
「ヒを鳴らす」とは「非を鳴らす」であり、意味としては「強く非難する」である。この「非」は、「非の打ちどころがない」の「非」である。

（問五）内容把握選択問題＜1分＞。
子どもは、泣くに泣けずに立っていたのである。その心情は「あまりの心の転倒」で、泣くことすらできなかったのであろう。

（問六）文章把握選択問題＜2分＞。
「彼」の心情としては、出来事の一部始終を見ていたので「子ども」を弁護してあげたい気持ちと、そのことによって自分＝彼が「騒ぎ」に巻き込まれることが嫌だという「相反する気持ち」であった。

（問七）文章内容把握選択問題＜3分＞。
「彼」が配達夫をその外見からどのように見ていたのかを考える。「労働者風の男」だったので、「子ども」を責め立てるであろうと思ったのである。

（問八）文章内容把握選択問題＜３分＞。
「彼」は子どものために、配達夫に対してきちんと説明をしようと考えていたが、最終的には説明もせずにその場を逃げ出すという「卑怯な行動」に出たのである。

（問九）心情把握選択問題である＜３分＞。
「彼」が「子ども」に手を貸してあげたならば、状況も変わっていただろうが、「彼」は周囲の目を気にして手を貸してあげなかったのである。

（問十）表現選択問題＜3分＞。
「彼」は目の前の事象に対して想像力を働かせて推測する癖がある。

（問十一）文学史問題＜1分＞。
有島武郎と同じ「白樺派」に属する作家を選択する問題である。

出典は、『言語学講義』（著者：加藤重広）。
現在、急速に発展してきている「AI翻訳」に関する論説文である。人間の言語能力のとの対比において、言語学における新たな考え方を提示する。

（問一）漢字の書き取り問題＜2分＞。
基本的な漢字である。「タンテキ」は「端的」、「フカケツ」は「不可欠」、「キバン」は「基盤」と書く。

（問二）接続詞選択問題＜3分＞。
文脈をたどりながら、逆接、順接、例示、又は結論を述べようとしているのかの識別を行なうこと。

（問三）内容把握選択問題＜2分＞。
本文にある「種々雑多な使用実績がまずあり、規則はあとからできてくる」という考え方と、「規則でできる限り説明して、説明できないところだけ頻度に基づく試用実績を導入する」という考え方の関係性を考える。

（問四）文章内容理解記述問題＜6分＞。
「哲学的な議論」とは何か、「実用性が先行」するとは何かを本文に即して考える。つまり、「人間にとって」はどうなのかを考えのベースに置くと解答しやすいであろう。

（問五）内容把握記述問題＜6分＞。
「人の言語」と「AI翻訳」における類似点に関し、本文に即して考えること。どちらも「種々雑多な使用実績がまずあり、規則はあとからできてくる」のである。

出典は、『宇治拾遺物語』。

（問一）仮名遣い問題＜1分＞。
「いかやうに」は「いかように」であり、「ゐ」は「い」である。

（問二）古典知識選択問題＜2分＞。
「比叡山」は滋賀県大津市（近江国）、「清水」は京都市（山城国）に属する。

（問三）現代語訳選択問題＜3分＞。
２．「今」については、この個所では「さらに」という意味である。
４．「え」は、後に打消しの言葉を伴って「否定」の意味を表わす。

（問四）内容把握選択問題＜3分＞。
１．「情けなく、悲しく思った」背景には、僧が見た夢が僧が行った努力に見合う程度のものではなく、非常に落胆しているのである。
２．夢の中での神の言葉を信じ、どのような展開になるのかを見届けようとしているのである。

（問五）内容把握抽出問題＜2分＞。
文脈を捉え、動作の主体をしっかり把握すること。

（問六）内容把握選択問題＜１分＞。
僧は、情けないと思いながらも、仕方がないと思い「自棄」になっているのである。

（問七）内容把握選択問題である＜2分＞。
僧は、とり立てて立派とはいえないが、満ち足りた（＝たのしき）生活を送っていたのである。

（問八）内容理解問題である＜2分＞。
僧は三百日の寺社巡りを行なって、ついに十分な褒美を得たのである。したがって、参詣は時間をかけじっくり行なうべきである、というのが本文の趣旨である。