早稲田実業学校高等部 入試対策
2016年度「早稲田実業学校高等部の数学」
攻略のための学習方法
[計算力の強化]
計算力は、3つの面から確認しておきたい。
1つめ、計算の精度だ。計算問題では、解法が同じであっても、計算式の数字が細かくなると、正答率が下がる。これは、志望者の数学の理解力が原因ではない。同じ理解力を持った志望者同士でも、作業が正確にできる者と、そうでない者がいることが原因だ。一問一問を理解できていても、正確に計算結果を出せるとは、限らない。したがって、志望者は、計算の精度を、意識して上げておくべきだ。
2つめは、計算の持久力だ。一問一問の計算の精度とは別に、答案全体で、計算の精度にばらつきがある。試験時間の全体を通じて、集中力は一定ではなく、さらにどの問題を見直すかという判断にも、ばらつきがある。答案全体で、ミスを減らすという訓練が必要になる。
3つめは、計算の工夫だ。計算の手順を、できるだけ減らせるように、計算の工夫ができるようになりたい。例えば【大問1】の(1)や【大問5】の(1)は、計算の工夫をすることで、時間が短縮できる。短縮される時間は、わずかなものかもしれないが、答案全体で考えれば、答案の完成度に影響を与えている。
[答案の完成度を上げる]
本番で安定して得点できるように、答案の完成度を上げる訓練を積んでいこう。多くの志望者は、一問一問を解くことに満足しがちで、答案全体の完成度を意識するのは、受験の後半(中学3年の夏休みくらい)からだ。もっと早めに受験生として意識を持ち、答案の完成度を上げる技術を身につければ、有利になる。答案の完成度は、2つの面から確認しておきたい。
1つめは、設問ごとの時間配分だ。時間配分ができていない志望者は、過去問を解いてみると、後半に簡単な設問があっても、得点できていない。つまり、前半の設問に時間をかけすぎていて、後半の設問にまで、手をつけられていない状態だ。受験では、答案全体の得点が、評価される。したがって、答案全体の得点を上げるために、それぞれの設問を解くべきか、あるいは解かざるべきか、判断力が重要になる。過去問の演習は、そのような判断力を鍛える良い教材になる。
2つめは、見直しの技術だ。まずは答案全体でどれくらい見直しが必要になるのか、目安の時間を決めよう。あらかじめ時間を決めておくと、本番で迷いが生まれにくい。そして、見直しが効率的にできるような工夫をしよう。計算式を再利用する等、図形やグラフを確認しやすいように、丁寧に準備しておこう。
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2016年度「早稲田実業学校高等部の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は60分で、得点は100点満点だ。大問数は5問で、単元ごとに整理されている。設問数は17問と少なめに見えるが、要求されている計算量は多い。すべてが一問一答形式で、解答の数値だけが求められる。
処理速度の速い受験者が、有利な試験構成となっている。
【大問1】出題単元:四則計算、方程式の文章題、平面図形
- 時間配分:
小問集合であり、解法の工夫によって、解答時間が短縮できるようになっている。
(1)かけ算の順番を工夫すれば、計算の手順を節約できる。
(2)次数のもっとも低い文字Cに注目して、整理してみよう。
(4)二等辺三角形の発見が大事になる。すぐに解法が見つからなかったら、後回しにする判断力も必要になる。
<時間配分目安:12分>
【大問2】出題単元:平面図形、円と接線、魔法陣
- 時間配分:
(1)円同士が接する設問はよく見かけるが、こちらは円と半円が接するという珍しい設問だ。用いる解法は変わらないので、落ち着いて解こう。まずはそれぞれの円の中心から、接点に向かって垂線を下ろそう。
(2)いわゆる魔法陣と呼ばれる単元だ。左の縦列の数字の和が0となるので、他の行と列の和も、それぞれと0なることがわかる。設問自体は難しくないのだが、解答時間が取られてしまう可能性があるので、後回しにしてもよい。
<時間配分目安:14分>
【大問3】出題単元:数の性質
- 時間配分:
(1)3087と2088の公約数を検討していけば、正答はできる。しかし、しっかりとした根拠まで理解しておきたい設問ではある。
(2)まずは一の位に注目して、差が7となる自然数の組合せを考えてみよう。
<時間配分目安:12分>
【大問4】出題単元:関数と平面図形の融合問題
- 時間配分:
受験に頻出の、関数と平面図形の融合問題だ。
(1)ここまでは単純に計算を繰り返すことで、正答にたどりつける。しかし、のちの設問のことを考えると、なんらかの法則が隠されていることに気づきたい。
(2)それぞれの三角形の底辺が平行であることに注目しよう。
(3)前問の結果から、法則を導き出せるかどうかが大事になる。受験者によって差がつく。
<時間配分目安:12分>
【大問5】出題単元:立体図形、三平方の定理
- 時間配分:
(1)相似な立体図形の、辺と体積の比の関係を利用すれば、解答時間が短縮できる。
<時間配分目安:14分>
攻略ポイント
受験者の合否を分けるのは、解答の速度になる。
作業手順の多さから、ほとんどの受験者は、すべての設問を埋めることはできないだろう。同じ理由から、見直しの時間も十分には残らない。一問一問に腰を据えて、じっくりと考えていくのではなく、少しでも解法の浮かばない設問があったら、次々に飛ばしていく方針が有効だ。計算の速度と、効率的な解法を選ぶことで、とにかく一問でも多く正答を拾っていける受験者が、有利になる試験構成だ。