早稲田実業学校高等部 入試対策
2018年度「早稲田実業学校高等部の数学」
攻略のための学習方法
計算力の強化
計算力は、3つの面から確認しておきたい。
1つめ、計算の精度だ。計算問題では、解法が同じであっても、計算式の数字が細かくなると、正答率が下がる。これは、志望者の数学の理解力が原因ではない。同じ理解力を持った志望者同士でも、作業が正確にできる者と、そうでない者がいることが原因だ。一問一問を理解できていても、正確に計算結果を出せるとは、限らない。したがって、志望者は、計算の精度を、意識して上げておくべきだ。
2つめは、計算の持久力だ。一問一問の計算の精度とは別に、答案全体で、計算の精度にばらつきがある。試験時間の全体を通じて、集中力は一定ではなく、さらにどの問題を見直すかという判断にも、ばらつきがある。答案全体で、ミスを減らすという訓練が必要になる。
3つめは、計算の工夫だ。計算の手順を、できるだけ減らせるように、計算の工夫ができるようになりたい。例えば【大問1】の(1)や【大問5】は、計算の工夫をすることで、時間が短縮できる。短縮される時間は、わずかなものかもしれないが、答案全体で考えれば、答案の完成度に影響を与えている。
答案の完成度を上げる
本番で安定して得点できるように、答案の完成度を上げる訓練を積んでいこう。
多くの志望者は、一問一問を解くことに満足しがちで、答案全体の完成度を意識するのは、受験の後半(中学3年の夏休みくらい)からだ。もっと早めに受験生として意識を持ち、答案の完成度を上げる技術を身につければ、有利になる。
答案の完成度は、2つの面から確認しておきたい。
1つめは、設問ごとの時間配分だ。時間配分ができていない志望者は、過去問を解いてみると、後半に簡単な設問があっても、得点できていない。つまり、前半の設問に時間をかけすぎていて、後半の設問にまで、手をつけられていない状態だ。
受験では、答案全体の得点が、評価される。したがって、答案全体の得点を上げるために、それぞれの設問を解くべきか、あるいは解かないべきか、判断力が重要になる。過去問の演習は、そのような判断力を鍛える良い教材になる。
2つめは、見直しの技術だ。まずは答案全体でどれくらい見直しが必要になるのか、目安の時間を決めよう。あらかじめ時間を決めておくと、本番で迷いが生まれにくい。そして、見直しが効率的にできるような工夫をしよう。計算式を再利用したり、図形やグラフを確認しやすいように、丁寧に準備しておこう。
志望校への最短距離を
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2018年度「早稲田実業学校高等部の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は60分で、得点は100点満点だ。
大問数は5問で、単元ごとに整理されている。設問数は19問と少なめに見えるが、要求されている計算量は多い。
すべてが一問一答形式で、解答の数値だけが求められる。
処理速度の速いの受験者が、有利な試験構成となっている。
【大問1】四則計算、数の性質
- 時間配分:11分
小問集合であり、解法の工夫によって、解答時間が短縮できるようになっている。
(1)与えられた式に、直接代入するのではなく、あらかじめ式を因数分解してから、代入しよう。
(2)文字をそのまま代入できるので、慣れておきたい。
(3)素因数分解を用いた解法に、慣れておきたい。
【大問2】方程式の文章題、平面図形、円と接線
- 時間配分:11分
(1)典型的な連立方程式の文章題で、難易度は易しい。特に記述は求められていないので、素早く解いてしまおう。
(2)平面図形から、円の単元からの設問だ。解法は標準的なものだが、図形がいくつか重なっているので、注意したい。
【大問3】連立方程式の文章題
- 時間配分:10分
設問文が独特で、戸惑った受験者も多かったはずだ。まずはパーセント表示(割合での表示)と人数表示(標本数での表示)について、整理しておきたい。
【大問4】立体図形、切断図
- 時間配分:14分
(1)正答したい設問だ。立体図形に惑わされずに、点A・点Gを含む平面図形を、切断しよう。
(2)点A・点G・点Eを含む平面図形を、切断しよう。切断図がしっかりと描けるかどうかが勝負になる。
【大問5】関数と平面図形の融合問題
- 時間配分:14分
受験に頻出の、関数と平面図形の融合問題だ。設問文では、図形とグラフが与えられていないので、受験者は手描きする必要がある。また、具体的な数字ではなく、抽象的な文字を扱うので、慣れが必要だ。
このように、具体的な数字から、抽象的な法則へと、思考を広げていくのが、早実の特徴だ。
(3)正答したい設問だ。日頃は数字でしている計算を、文字でできるようになっておきたい。演習教材をしっかりと選んでおこう。
(4)前問の結果から、法則を導き出せるかどうかが大事になる。受験者によって差がつく。
攻略ポイント
受験者の合否を分けるのは、解答の速度になる。
作業手順の多さから、ほとんどの受験者は、すべての設問を埋めることはできないだろう。
同じ理由から、見直しの時間も十分には残らない。
一問一問に腰を据えて、じっくりと考えていくのではなく、少しでも解法の浮かばない設問があったら、次々に飛ばしていく方針が有効だ。計算の速度と、効率的な解法を選ぶことで、とにかく一問でも多く正答を拾っていける受験者が、有利になる試験構成だ。