山手学院高等学校 入試対策
2022年度「山手学院高等学校の数学」
攻略のための学習方法
本校の入試問題の傾向は非常にはっきりしており、対策は立てやすい。対策は立てやすいというものの、特定の分野に偏った学習ではなく、幅広い分野をしっかり学習しなければならない。つまりオーソドックスな学習方法が最も有効ということである。出題傾向が安定しているので、過去問での学習は非常に効果的である。
なお、本校の実際の問題冊子は余白がかなり広いので、計算スペースは十分に与えられている。普段の学習では、途中式をていねいに書いて演習するのがよいだろう。
計算力の強化
計算問題・方程式を解く問題が、複数題出題されていることからわかるように、計算力の有無をしっかり見ようという意図が強く感じられる。計算力は数学の基礎であるから、計算力をおろそかにするわけにはいかない。計算は素早く正確に処理できなければならない。
したがって、日頃から少しずつでも計算練習を行っておく必要がある。計算を間違えたときは、単なるミスと思わずに間違えた原因をきちんと確認する姿勢が重要である。そのような地道な努力の積み重ねが、計算力を高めることにつながることを忘れないようにしたい。
小問集合について
本校の【大問3】では、多くの小問が出題されている。幅広い分野から出題されているが、難問はあまり出題されていない。まずは、苦手分野をなくしておくことが大切である。
夏休みまでに、苦手分野を極力なくすようにしておきたい。秋以降は、特定の分野に的をしぼった学習だけでなく、幅広い分野の問題演習も随時行うとよい。
関数について
本校では、関数の大問が必ず出題されている。したがって、関数の学習を十分に行う必要があることはいうまでもない。問題の難易度は、(1)は基本的なレベルであることがほとんどである。その他の設問も、典型的な問題が多く、きちんと学習すれば得点できるレベルである。標準的な問題に数多く取り組んでおくことが重要である。
なお、図形分野の知識が必要になる設問が少なくないので、関数以外の分野も早めに学び終えておくことが望ましい。
確率について
確率は大問でよく出題されている。最初の設問は基本的だが、最後の設問は難易度が高い場合がよくある。この分野での難易度の高い問題は、正解できなかったとしても影響は小さい。難しい問題まで演習することよりも、標準的なレベルの問題を確実に正解できるようにしておくことを優先したい。
関数・確率以外の分野について
どの分野も、私立校向けの標準的な問題集を仕上げれば対応できるレベルである。難問にじっくり取り組むのではなく、標準的な問題を素早く解くことを重視した学習がよい。しかし、ときにはやや難しい問題に取り組んでみることも、思考力を鍛えるためにはよいだろう。
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2022年度「山手学院高等学校の数学」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
例年、基本~標準レベルを中心とした出題になっている。また、出題傾向にも変化が少なく、土台がしっかりしていれば取り組みやすい。
今年度もほぼ例年通りの出題であった。後半の大問は、例年よりやや取り組みやすく感じられる。
問題の質・量を考えると、50分という試験時間は妥当である。順調に解き進めることができれば、最後まで解き切ることができるだろう。
【大問1】計算問題
- 時間配分:5分
(1)は文字を含まない計算。
(2)は平方根の計算問題。
(3)(4)は文字式の計算。
【大問2】方程式
- 時間配分:3分
(1)は1次方程式。はじめに、両辺を12倍しておくとよい。
(2)は連立方程式。
(3)は2次方程式。まずは、式を展開して整理する必要がある。工夫する余地はないので、素直に計算するしかない。
【大問3】小問集合
- 時間配分:16分
(1)は因数分解。
(2)は1次方程式を利用する文章題。本の全体のページ数をxとおくとよい。
(3)も1次方程式を利用する文章題。典型的な問題である。
(4)は数の性質の定番問題。
(5)について。3つの自然数のうちの2つの積が与えられており、そこから3つの自然数がいくつなのかを考えていく。
(6)は2次関数の変域に関する問題。
(7)は場合の数。3桁の整数が何通り作ることができるかを求める。
計算で求めるなら、各位の数字がすべて異なる場合と、同じ数字を2回使う場合とに分けて考える必要がある。この問題の場合、すべて書き出す方法でもすぐに答えがわかる。
(8)は円に関する問題。円周角の性質に注目すればよい。
(9)は立体図形の問題で、回転体の表面積を求める。
【大問4】関数
- 時間配分:6分
二次関数の標準的な問題である。
(1)は直線の式を求める問題。基本的な問題である。
(2)では、三角形OAPの面積が三角形OBPの面積の2倍となるような点Pの座標を求める。APとPBの辺の長さの比に注目すればよい。
(3)は、問題文で与えられた条件を満たすような点の座標をすべて求める問題。解法を迷うような問題ではないだろう。
【大問5】確率
- 時間配分:6分
1~9が書かれたカードから2枚を選んで2桁の整数を作る問題。ただし、十の位の数字の方が一の位の数字よりも小さくなるようにしなければならないことに注意する必要がある。
偶数となる確率、3の倍数となる確率、素数となる確率を求めることになるが、いずれも調べ上げることで答えが求められる。
【大問6】立体図形
- 時間配分:14分
いずれも、三平方の定理を利用する問題である。
(1)は三角形CDEの面積を求める問題。三角形CDEは二等辺三角形なので、ECの長さを求めるところがポイントになる。三角形ABCに注目して、三平方の定理を利用すれば、ECの長さを求めることができる。
(2)では、三角形CEFの面積を求める。(1)とあまり変わらない問題である。
(3)では、点Aから三角形CEFへ引いた垂線の長さを求める。(2)から、三角すいACEFの体積を考えればよいことは明らかである。三角すいACEFの体積は正四面体ABCDの体積の何倍かを考えることで求めることができる。
攻略のポイント
【大問1】【大問2】の計算は落とせない。
【大問3】~【大問5】は基本~標準レベルの問題が続いており、例年よりは取り組みやすい。とはいえ、数学の結果の明暗を分けるのは、これらの問題と思われる。「どの分野の(標準的な)問題に対してもきちんと対応し、正確に処理すること」。これが最大のポイントといえるだろう。
【大問6】はある程度の応用力が要求されている。数学が苦手な受験生は、可能な範囲で取り組んでおき、他の問題の見直しに時間を使う作戦も有効である。