プロ家庭教師インタビュー オンライン指導って実際どうなの?
と思う方必見
プロ家庭教師に聞く、
オンライン指導のメリット
コロナ禍をきっかけにオンライン指導が普及してはや数年。リーダーズブレインでもその割合は大きくなり、経験と実績のある教師も増加。オンライン指導はますます進化してきています。
「……でも、オンラインって実際どうなの?」
そんな保護者様の不安にお答えすべく、オンライン指導の経験豊富な高橋先生に、オンライン指導ならではのメリットについて語っていただきました。
インタビュー 目次
Professional of Leaders’Brain
高橋先生
■プロフィール
東京大学卒
難題の入試問題にどれだけ泥臭く食らいつけるか…最初の攻め方がダメでも、第2・第3の矢を繰り出すしつこさと対応力を鍛えます。
教務:現在、オンライン指導でバリバリ活躍中の高橋先生に、経験に基づく貴重なお話をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
高橋:よろしくお願いいたします。
こういうお話は大好きなので、長くなってしまったらごめんなさい(笑)
教務:是非語りつくしてください!(笑)
それでは早速本題に入りますが、オンライン指導がどんどん増えている昨今、オンラインならではのメリットや、対面指導との違いとはどんなところでしょうか。
高橋:はい、オンライン指導は生徒にとって自分ひとりで考える時間が持てる=問題に集中できるというメリットがあることに加え、疑問点を言語化する能力、つまり自主性の向上という副効果があると感じています。
一方で、ご家庭全体のメリットとしては、他人が家に入ることでの負担がゼロになるとともに、生徒の課題を共有しやすいという点もあります。
また、教師のパフォーマンスもいろいろな面で対面指導時より高くなる、という総合的な効果も期待できます。
教務:盛りだくさんですね!
まずは最初にあげていただいた『生徒にとってのメリット』ですが、これは具体的にどのような例がありますか?
生徒にとってのメリット
目の前の問題に集中できる
高橋:まず大きなメリットとして、生徒が教師の存在感を必要以上に感じなくて済むことです。私はかなり圧の強い人間だと自覚しておりますが(苦笑)、たとえ教師がそういうタイプでなくとも、生徒にとって横で誰かがずっと見ていることは、大人の想像以上にプレッシャーとなる場合もあります。見られていると間違えるというのは、ナイーブな生徒にはよくある現象です。つまり、生徒の意識の大部分がそばにいる大人に奪われてしまっているわけで、これは本末転倒。演習時に目の前の問題に集中できるのはオンラインならではのメリットと感じています。
教務:確かに、思い返せば私も小中学生くらいの頃、個別指導の先生が横にいると間違えてしまうので書くことをためらっていた記憶があります。オンラインだとその圧迫感のようなものが少なくなるのですね。
高橋:そのようですね。心理的なことなので気にしない子は気にしないのだと思いますが、やっていることは同じでも、画面の向こうというだけで違うものと感じるのは、人間の面白いところですね。
教師としても、対面指導だとお互いに逃げ場がない状態なのでじっと見ていることになりますが、オンラインなら生徒がひとりで考えたいときに一人にしてあげられる。これは大きいです。
教師のノートがそのまま見られる
高橋:教師のノートを正位置で見られるのも良いことです。
これはおそらくあまり意識されない点でしょうが、非常に大きなメリットです。教師の手元カメラの活用により、解説を正位置で見られることは、理解を大きく後押しします。対面指導では、向かい合わせの場合はお互いに手元が正反対に見えてしまう。90度や横並びだとやや見やすいですが、やはり人のノートをそのまま見るには及ばない。これは特に理数系の対面指導の障壁となる部分ですが、解説をタイムラグなく正位置で見られるオンライン指導では、それがないため非常に便利です。
教務:確かに、それが当たり前と思っているので普段は気にしていませんが、いざ比べてみると見やすさにだいぶ違いがありますね。自分のものとして見ている感覚を持てそうです。
真の双方向授業ができる
高橋:メリットはまだまだあります。
そもそも、本来子供や若者というものは発信したい存在です(例外はあります)。対面授業ではどうしても教師が教える比重が大きくなってしまうのですが、例えばホワイトボード機能や画面共有機能の付いたオンライン指導ツールでは、真の意味での双方向授業が可能です。
あとで科目別のメリットにも触れてお話ししますが、生徒と教師が同時にひとつの教材に書き込めるのは対面では成し得なかった体験であり、生徒もノリノリになります。ちなみに、私はその書き込んだものを授業後にデータとして家庭に送っていますが、これは大いに喜ばれております。
教務:これも心理的な、感覚的なものだと思いますが、なぜかデジタルなものだと触りたくなる、やってみたくなる好奇心に駆られますよね。特にスマホやタブレットでネットに触れるのが当たり前になった今の子供たちだと、その感覚はより強いのかもしれませんね。
リフレッシュタイムで集中がつづく
高橋:あとは、これはよくよく考えればというメリットですが、休憩時間を取る際にお互いリフレッシュしやすいです。
特に小学生は集中がもたないので、対面指導でも途中でコーヒーブレイクを入れることがあります。ただ、その間講師が外に出ているわけにもいかず、結局お茶を飲みながら雑談ということになります。もちろん雑談タイムもリフレッシュにはなると思うのですが、いったん一人になることの効果は非常に高いです。
現在、小学生は2時間授業の間に10分休憩(カメラ&マイクをオフ)を取り入れていますが、集中の持続という面で高い効果を感じています。
生徒の言語化能力が伸びる
高橋:そして最大の特長が次にお話することで、生徒の言語化能力の向上が見込めることと、生徒の甘えを無くせることです。これは教師の授業の仕方次第でもありますが。
私の場合、オンライン指導では疑問点を言葉にすることを生徒に多く求めます。対面だと黙りこくって教師が察することを期待し甘えがちな子、もっと言えばイエスノーも言えない子が、オンラインでくり返し言語化を求めていくうちに、「自分はどこがわからないのか」がきちんと言えるようになります。
もちろん対面指導の良さとして、非言語コミュニケーションが成り立つということもあります。でもそれは、依存型の子には諸刃の剣です。学年問わず、結局のところ受験が「自分ごと」にならないと伸びしろは少ない。オンライン指導を通してきちんと言葉にしないと伝わらないのだと子供が理解することは、非常に大きな成長だと考えています。
教務:なるほど。それこそ日本人特有の「察する文化」というものが、もちろん素晴らしい文化ではあるけれども、時には弊害となってしまうということですね。その逆を意識的にかつ自然に行えるオンライン指導は、学力だけでなく生徒の根本的なコミュニケーション能力や主体性を育ててくれそうですね。
細かなリクエストにも対応しやすい
高橋:そのほか、例えば試験前に30分だけ追加で質問教室を行うなど、細かなリクエストにも対応しやすいです。これは対面指導だと必要になる教師の移動時間がなくなることで、その余白で融通をきかせやすくなるからですね。
また、どんな教材や資料等でも、所有している物ならすぐに取り出せることもメリットのひとつです。私の仕事場は文字通り壁一面書棚ですが、必要に応じてそこからすぐ関連書籍を取り出せるのはありがたいですし、それは生徒のためにもなっていると感じます。対面指導がメインだった時期は、その日に必要な教材を10キロくらいリュックに詰めて移動していましたが(笑)、そこまでしても「ああ、今あれがあれば」ということはたくさんありました。
そもそも、これまで移動時間が取れなくて指導の依頼を受けられないことも多々ありました。移動時間がゼロになることで、全国どこにいても良い教師の授業が受けられるようになったことは、ある意味革命だと思います。地方在住の子供や若者に大きく門戸が開かれたということは、オンラインの一番の功績だと考えます。
教務:ありがとうございます。
次に、保護者にとってのメリットはいかがでしょうか。
保護者にとってのメリット
教師訪問の負担がなくなる
高橋:まずシンプルに、家に他人が入ることへの負担がゼロになります。事前の片付けや、場合によってはお茶を頂けることもありますが、それがなくなるのは大きいのではないでしょうか。
生徒の課題を認識しやすい
それは前置きとして、保護者が生徒の課題を教師と共有、認識しやすくなるのはメリットだと感じます。オンライン指導だと、扱う教材や資料を事前に保護者から送ってもらう場面が多々あります。その際、保護者自身に選別作業をして頂くため、自ずと生徒の課題を目にして把握できるようになる。言い換えれば、対面だとある程度教師に丸投げしやすいということです。その意味では、対面指導でも事前の整理・共有をするのは効果的ではあるのですが、お忙しいご家庭も多いですので無理強いは出来ません。ですが、オンライン指導だとある程度は対応して頂かないといけないため、必然的にそのような効果が生まれます。
教務:一見、資料を送らなければいけないというデメリットにも感じますが、そのような副産物があることでメリットと捉えることが出来る、それも自然な形で、ということですね。ほかにはいかがでしょうか。
生徒の課題を客観的に捉えられる
高橋:保護者が生徒の課題に対して客観的になれるというのもあると思います。対面指導および面談では、会っていることからの安心感が生まれます。オンライン指導だと客観的にならざるを得ない部分があり、それは特に保護者の関与の比重が高い中学受験においてはプラス要素です。
対面の場合、「対面授業をした」という事実だけで、教師・保護者・生徒ともにやったつもりになりがちな側面があります。オンライン指導ですと、教師側も生徒の課題把握とその解決法について保護者がより正確に捉えられるようにと努めますし、そうすると保護者も現状を把握しやすくなるので、むしろオンライン指導の方が相乗効果で授業内容が濃くなることさえあると感じています。
教務:それぞれに役割があり、能動的に取り組んで授業を作り上げていくことが成功のカギと言えそうですね。
科目ごとのメリットもあると伺いましたが、それについてはいかがでしょうか。
高橋:私の担当可能な科目に限った話になりますが……
科目ごとのメリット
〔国語〕
国語についてはディスカッション型の授業が可能になりました。これは私独特のメソッドで一般化はできないかもしれませんが、対面指導で問題を解かせると、生徒は基本的に設問しか読まず、本文と格闘することができていないことが多いです。教師もまた、つい「そこに書いてあるよ」という教え方になってしまうのではないでしょうか(先ほどの察する文化ですね)。
しかし、国語こそ自分で考えることが肝要。そして自分の考えを言語化することが目標です。その点、オンライン指導ではとことん本文を読ませ、自分の考えを自分の言葉で話させることが可能になりました。また、説明的文章の分析では、私がオンライン上のホワイトボードに表を書いて生徒が自主的に埋めていく、などの双方向授業もできるようになりました。国語こそオンラインでやるべき、とすら感じています。
〔算数&数学〕
算数や数学では、「ノートに図を書きましょう」といくら言っても書かない生徒も、なぜかオンラインのホワイトボードには嬉々として書きます。ホワイトボード機能を活用した双方向授業で、生徒の姿勢が受け身から能動に変化しているのを感じます。一緒に考えるかたちが取れるのは、オンラインならでは。図形問題は、ホワイトボードに双方向で書いているうちに「わかった!」となりますし、文章題も視える化することで理解度が段違いになります。参加型授業ができるのが、やはりオンラインの大きなメリットです。
〔理科〕
理科の図示化については算数や数学と同様ですが、さらに理科では実験ができます。教師が自宅で教材をすぐに取り出せるのと同様で、生徒がどうしても理解できなければ、私は家の中のものを持ち出して実験をします。もちろん対面指導でもそれは可能ですが、対面の場合は「今日は〇〇をする」とわかっていないとなかなか準備はできません。オンラインであれば、即座に準備し実験を行うことが可能です(もちろんどの先生もやっているというわけではありません)。
教務:実験を行えるというのは面白いですね。
生徒の能動性と表現力が成長することで、授業の質も飛躍的にアップしそうだと感じました。大きくまとめれば、『双方向/参加型』と『臨機応変な対応』が重要なキーワードのようですね。
最後に
教務:今回のインタビューでは、たくさんのメリットや事例が聞けました。オンライン指導に対するイメージが沸かない、対面指導と比べてどうなんだろう?と感じている方にとって、貴重なお話になったと思います。
高橋:まだまだ言語化出来ていないメリットや手法があるかもしれないので、またこのような機会で気付きを得て、日々の指導に活かしていけたらと思います。
教務:もちろん対面には対面の良さがあります。生徒の個性やご家庭の環境、社会情勢などに合わせて柔軟に選択して頂くのが一番ですが、
進化しつづけているオンライン指導、ぜひたくさんの方に体験して頂きたいです。
本日は、お時間を頂きありがとうございました
高橋:ありがとうございました。