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浦和明の星女子中学校 入試対策

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2018年度「浦和明の星女子中学校の算数」
攻略のための学習方法

問題を解くスピード

1月受験校の中にあって、難易度女子校ナンバーワンを誇る浦和明の星中学の算数。どのような対策を施せば合格ラインを突破できるのか。

明の星のテストで試されている2つの大きなポイント、これは早いうちにクリアしておかなければならない。
それは「問題を解くスピード」「標準的な問題における正答率の高さ」である。

まずは、「問題を解くスピード」。
与えられた時間に対する設問数から見て、1問に2分はかけられない。
過去問対策を始めてみて最初に感じることは、時間が足りないということであろう。
算数の問題を解くにあたり最も大切なことは「正しい答えを導くこと」で、それは誰でも分っていることだろう。しかしテストの場合にはそこに制限時間内でと言う条件が加わる。正しい答えを出せても、あまり時間がかかってはテストにおける勝者にはなれない。

実際、明の星の問題をみてみると、前半はそれほど難易度の高い問題は出てこない。受験勉強をしっかり積んできた生徒であれば、既視感のある問題が半数以上あるだろう。また、見たことがないような問題であっても、解いていけば、やはり解き方に覚えがある問題がほとんどだと思う。しかしこれらの設問を2分以内で解くとなると、やはりきつい作業になる。一行問題とはいっても問題文を読む時間、解くための作業にはそれなりの時間がかかってしまう。通常の感覚であれば 最低3分は欲しいところだ。
しかし、それでは合格は果たせない。3分を2分、いやできれば1分台で消化していけるようにしていかなくてはならない。

どうすればよいか。ことじっくり考えて正解を出す「深味のある生徒」には深刻な問題である。
それは、問題を解くにあたり、コンパクトな解法と自覚的に早く作業をするという訓練が必要だ。
そもそも女子最上位校の算数は、速読即解型の学校が多く、明の星もその代表の一つである。だから、2月校対策も兼ねてのスピード練習は必然的に大切であるということになる。

省略

コンパクトな解法とはすなわち、無駄の少ない解き方ということだ。
女子の受験生の中には、問題文を読んで、表などに数値をまとめ、式をていねいに書き、計算も生真面目に行って、きれいに解答を書くという生徒も多いだろう。また、それは受験生として褒められてきたスタイルである。読めない字を書き、自分だけにしか分らない式のようなものから答えだけひねり出してくる男子A(不特定多数の生徒 である)に比べればよほど模範的な解き方と言える。

しかし、その方法では今回は間に合わない。どこかで省略できる部分を作りたい。
過去問対策のはじめのうちは時間不足でもよい。
そのうちだんだんと質・量になれてきたら、「条件反射的に解ける」問題では、作業を少しずつ省いてみよう。
はじめはミスを生むだけで正答率の低下を招くかもしれないがそういう時期も必要になる。でない限り、人の倍の速さでは解けないものだ。ていねいにやることは無駄ではない、とても大切なことであり、普段の勉強の中では継続していきたい。しかし実践的な立場に立った場合には、もう一つの顔「速読即解」スタイルが必要となる。

しかもあくまでも、自覚的に行うことが必要だ。マイペースという言葉に甘えず、「早く正しく解く」ということを念頭に置いて問題にあたろう。
しかしそれも、「標準的な問題における正答率の高さ」が伴っていなければ何もならない。模擬テストにおける前半3分の2までの問題や、偏差値60レベルの問題は早いうちに自分のものにしておきたい。
典型的問題が出されて一から考えているようでは合格はおぼつかない。
全範囲、すべての単元において実力の底上げを図っておこう。

推理・速さ・水そう・割合と比

次に、明の星の後半の問題について考えてみよう。
大切な単元は次の4つである。
「推理する問題」
「速さの問題」
「水そうを使った問題」
「割合と比の問題」
これらの分野が来年度以降すべて出題されるとは限らないが、複数問出されることは間違いないところだ。

「推理する問題」は、明の星の特徴ともいうべきところで、場合の数の色合いが濃い場合もあるがやはり推理させる要素が入っている。
この手の問題は、問題文自体が長くなりがちなので、前半の即解で貯金した時間を十分に使ってしっかりと与えられている条件を頭の中に入れることだ。「ああ、わかった、わかった」と早合点して始めてしまっても、計算が要らない問題においては勘違い(計算があると意外とミスに気づきやすいものだ)、または完全な解答に至らないことがままある。
次に今まで練習してきたどの問題に近いかを考え、解き方をチョイスする。
そして問題を解いていくわけだが、算数ができる子にありがちなタイプ、早急に答えを求めないで、条件に合わせて答えを探していくという姿勢が必要だ。すぐ答えが出ないものでイライラする場合もあるだろう。しかし、推理算は得点を重ねておきたいところである。試行錯誤しながらも解答にたどり着きたい。

「速さの問題」では、旅人算と他の文章題との融合に注意したい。数の性質・規則性・グラフなどがそれにあたる。また、速さの問題でも条件が複雑な場合が多いので、あせらず問題の意図 をよく理解して解法にあたりたい。ただ、設問によってはかなり難易度が上がるときがある。そういった場合、うまくみきりをつけて解ける問題に時間を費やすのが賢いやり方だ。

「水そうを使った問題」も狭い範囲ながらよく出されている。仕事算風なもの、図形的に解くもの、30年度は【大問2】がそれにあたる。受験生が苦手としやすい内容だが、少なくて典型的な出題には対応できるよう、力をつけておきたい。

「割合と比」は範囲も広く、また、入試問題としての歴史も長いので、どうしても難易度自体が高いという傾向にある。普通の問題では誰もが解けてしまうからだ。慣れているようで、初見に近い問題が出されることもあろう。問題文を理解した上で、解けそうな設問にはつきあう、 作業があまりにも煩雑そうであればパスするという見極めが必要になる。

まとめ

以上、明の星の算数について述べてきたが、受験生にとって厳しい要求であることは百も承知している。
実際、前半を20分で通過し、後半に時間を費やすということは言うは易しだが、行動するとなると大変である。

しかし合格ラインが60%、問題の易しい年だと70%という高い水準でのテストである以上、受験生もまた高みに登らなくては合格はあり得ない。自らを奮い立たせてがんばろう。
残された時間をそれこそ無駄なくコンパクトに使って、浦和明の星合格を掴み取って欲しい。

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2018年度「浦和明の星女子中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が5、小問が19。
若干問題量が少なめになった昨年度に比べても問題量が減り、50分で解ききるにはスピードが要求される点においては変わりはしないものの以前ほどの圧倒的なボリューム感はなくなった、といえよう。しかしそれはこの学校が易化したことを意味するわけではない。合格最低点から考えると、この水準の問題を短時間で正答していくのは容易ではない。それほど急いで解く必要はないが「早く、正確に」は最低限要求されるスキルだ。

【大問1】小問集合

  • 難度:
  • 時間配分:16分
  • ★必答問題

計算問題から、手応えのある図形まで、さまざまなジャンルの問題が並ぶ。ここを長くて20分、できれば15分程度で通過したい。本年度の解答欄は「8」あった(昨年度は「10」)ので,1問当たり2分前後でこなしていきたい。

(1)は,「11」の「倍数」が目につくので、そこに着目して式をまとめてから解いてもよいだろう。ただ、それを無視して計算してもさほど時間の差は感じない。

(2)は「つるかめ算」。じゃんけんの回数を求めさせるところが工夫されている。

(3)補助線を引いて斜線部分の面積を求める類いのもの。受験までに何度も解いてきたであろう問題の域は出ない。

(4)は「周期算」でここまでの4問では最も手間がかかる。まず、丸と三角がともにつく日付の周期を求め、その上で水曜日になるものを探していく。4月1日が日曜日にもかかわらず「最初の水曜日」を求めさせるのであてはまるものを書き出していくのがベスト。所要時間2分では終わらないかも。

(5)は「平均算」の標準レベルのもの。条件の割にはすんなり解けてしまう。

(6)は大問1番のハイライトになる問題で、ここをうまくこなせたかどうか。ウサギとカメを1つおる時間を2:3として、「仕事算」として扱うのがよい。ただし、ここで失点はやむを得ないかもしれない。

(7)は「立体の切断」で見取り図が書かれているのでそこに切断面を書き加えながら上から1段ずつ切断されている立方体の数を調べていく。(ア)は問題なく解けただろう。差がついたのは(イ)の方で、図1の切断面をうまく使えたかどうかが課題。

<時間配分目安:16分>

【大問2】立体図形(水そうグラフ)

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

水が入っている水そうの中に立体を沈めていくという典型的な問題であり、難易度も高くない。当校受験生であれば必答しておきたい大問である。

(1)は立体が水の中に沈んだ分だけ水の深さが深くなり、そこに目をつけて水そうの底面積を求めるというストレートな出題。日頃の成果の見せ所だ。

(2)も難度は上がらず、立体の形状から水の深さ10cmのところで上下に分けて水の深さを求めればよいというもの。

どちらも普通に受験勉強を積んできた生徒であれば難なくこなせたものと思われる。

<時間配分目安:6分>

 

【大問3】速さの問題(ダイヤグラム)

  • 難度:
  • 時間配分:10分

本年度はこの【大問3】が解けたかどうか、にすべてが集約されそうだ。この、条件が複雑な問題の指示をグラフをうまく使ってこなせたかどうか、センスも問われるところ。また、答えるところは3つあるものの、はじめの1つを答えるのが難しいので「全か無か」の解答用紙となる可能性が高い。大きく差がついた問題で、逆にここを切り抜けた生徒はかなりの確率が合格できたものと思われる。

要するに、グラフの後半部分が「三角形の相似形」になっている点に注目できたかどうか、である。それがひらめけば相似の問題としては簡単なのだ。また、答えも面白いように求まっていく。速さの問題として正面から受け止め、線分図などに条件をまとめていった生徒は苦戦を強いられたであろう。

<時間配分目安:10分>

【大問4】食塩水の問題

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

難易度はそこそこ高いものの多くの生徒にとっては既視感のある、解きやすい問題であったことだろう。

(1)は平易そのもの。

(2)がポイント。食塩水間のやりとりの問題では、それぞれに含まれている食塩の重さと食塩水全体の重さをしっかりとつかみながら解いていかなくてはならない。そういう点、この問題はレベル的に試金石となっているので不正解だった生徒はちゃんと復習しておこう

<時間配分目安:8分>

【大問5】規則性・数の性質

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分

浦和明の星らしい、推理する力も必要な規則性の問題。例年ラストに出題される傾向にあり、本年度もしめくくりにふさわしい出来となっている。

(1)は実際に計算してみよう。
9×9=81、99×99=9801、999×999=998001
となるので、答えはそのまま書けばよいが、計算結果から「積のそれぞれの数の和」が前から「9」「18」「27」となっていることに気づいておきたい。

(2)(1)のことから、各位の数がすべて9である数をかけ合わせた積の、それぞれの数の和は「1桁→9×1=9」「2桁→9×2=18」「3桁→9×3=27」となっていることがわかる。したがって、100桁の場合、9×100=900となる。

(3)は解いてびっくり、(1)(2)と同じ結果がもたらされるのだ!それさえわかれば、同じように答えを求めることが出来る。

最後まで正解できただろうか…

<時間配分目安:10分>

攻略のポイント

例年どおり,すべての設問を難易度別に5段階に分けてみた。おおよそ、こんな具合の分け方である。
◎…必ず正解しておきたい問題
○…やや難易度は上がるが合格するためにはあてておきたい問題。
△…容易に解ける問題ではない。できればあてておきたい問題。
▲…難易度が高いまたは短時間では解けない。実力者向き。
×…捨て問。

これを当てはめてみると、

◎…【大問1】(1)(2)(3)(4)(5),【大問2】(1)(2),【大問4】(1),【大問5】(1)
○…【大問1】(7)ア
△…【大問1】(6)(7)イ,【大問4】(2)、【大問5】(2)(3)ア・イ
▲…【大問3】(1)ア・イ(2)

このうち◎と○の設問をすべて正解すると受験者平均「60.8」点を超え、合格点と考えられる「65」点近くには到達することが出来る。
本年度は△レベルの、やや難度が高い問題の層が厚かったのが特徴で、算数の得意な生徒に若干有利な年だったと思われる。
しかしながら、超難問は見当たらず、標準的な問題での正答率が重要視される学校であることは間違いない。普段から中程度の問題を多く解き、分野によって苦手を作らないという姿勢が大切である。

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