青山学院横浜英和中学校 入試対策
2023年度「青山学院横浜英和中学校の国語」
攻略のための学習方法
[問題構成]
大問は5つ。大問1・2が漢字の読み書きや熟語・慣用句など、大問3が文章を並べ替える文脈の問題、大問4が説明的文章の読解、大問5が文学的文章の読解、というのがここ数年の定型となっている。
説明的文章約3300字・文学的文章約5200字の計8500字ほどの文量(2023年度)があり、これに並べ替え1000字ほども加わるので、速読が求められる。
問題数は35問ほど。選択肢と書き抜きが中心で、記述問題は2~3問、説明的文章・文学的文章どちらの分野でも出題されている。字数は20~80字ほどの指定があるが、マス目が無い問題では多少の増減は許される。
[説明的文章の読解]
論説的随筆文や説明文がよく用いられている。分野は人文科学や社会科学が多い。内容はそれほど難解なものではないが、約3200字(2023年度)あり抜き出す箇所や要点・要旨を探すのにも範囲が広い。読解を進めながら重要点や答えになりそうな部分に目星をつけて傍線を引いておくなど、手際よく正解を見つける工夫が必要である。
論説的文章の読解のこつをつかんでおこう。
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の内容を小見出しのように書いてしまうとわかりやすい。
要点と細部――段落の中で最も重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておこう。説明や言い換えなどは細部にあることが多い。
要約と要旨――要点をつなげて要約ができる。要約のなかで筆者の最も言いたいことが要旨である。つまるところ、要旨を読み取るのが一番の目的である。
[文学的文章の読解]
小説の出題が多い。主人公が小学生~高校生くらいに設定されている話がよく用いられており、受験生にもなじみのある舞台が描かれ、読みやすい内容になっている。
7000~9000字ほどもある本文は、場面の切り替えも多く読み取るべき人物の動きや心情も多くなる。素早く正確に読めるように、普段から読書量をなるべく多くするよう意識したい。
小説の読解の技術を高めておこう。
人物の整理――人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
場面の変化――時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もある。
心情の把握――人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
主題の理解――作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれるテーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くことだろう。
[文脈の問題]
ばらばらにした文章を正しく並べ替える問題が出されている。素材文は700~800字ほどあり、ここも文量に含める必要がある。文章の論理的な流れを読み取る能力を問うもので、題材として説明文が多く使われている。論理的な文章を多く読んで、文脈のつながりをよく見ておこう。
[文量]
素材文が15000~16000字にもなる場合がある。かなりの速さになるが、分速700字程度で見落としなく正確に読めるように練習しよう。
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2023年度「青山学院横浜英和中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は33問。読解問題では21問あるが、選択肢と書き抜きにそれほど時間は取られないだろう。やはり長文をいかにすばやく読み終えるかが大事になる。記述問題に少しでも多く時間を残せるよう、ペース配分に慣れておきたい。
【大問一】漢字の読み書き
- 難度:標準
- 時間配分:【大問一】~【大問三】合わせて8分
- ★必答問題
1. 温情 2. 授受 3. 善後(策) 4. てんぴぼ(し) 5. やしな(う)
【大問二】熟語・慣用句
- 難度:標準
- 時間配分:【大問一】~【大問三】合わせて8分
- ★必答問題
問一 風紀
問二 1. アだけ反意語で、他は同意語である。
2. ウは意味が合っていない。
問三 1. 風の便り。「風のうわさ」は間違った言い方で、正式な言葉ではない。
2. 横車を押す――道理に合わないことを無理に押し通すこと。
【大問三】文脈の理解
- 難度:標準
- 時間配分:【大問一】~【大問三】合わせて8分
- ★必答問題
仕事・食事・寝る…だけの生活では満足できない気がする→そういう点でボランティアは役立つ(イ)→例えばボランティアした側が助けられた気持ちになることがある(エ)→ボランティアする人にもそれぞれの心労があるかもしれない(ウ)→そんな人にとって参加した側が救われるメカニズムがボランティアには存在するのである(ア)。
【大問四】論説的随筆文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:20分
- ★必答問題
本を読むことの意義を述べている。
問一 「泥棒が主人公の本を読んだからといって、人は泥棒にならない。」「たとえ小説の……僕も泥棒になろうと思う人はたぶんいない。」と前の文を補強している。
問二 本の中では、地域・国・時間を超えて、自分とは異なるさまざまな登場人物と対話できると筆者は述べている。
問三 1000年経っても2000年経っても「人は本質的に変わらない」とある。2000年前のカエサルの考えは現代でも有効かもしれないのである。
問四 教訓は役に立つ良いものだが、教訓ばかりの本はつまらないという意味で「皮肉」を込めて丁寧語「ご(御)」をつけている。
問五 本を読むと「いままで気づかないようにしていたものが見えてくる」「世界が違って見える」→選択肢エ。
問六 ⑤ 「たしかに」古代生物の知識は日常には役立たないかもしれない。
⑥ 何でも知っている気になっている。「また」そうじゃないと安心できない。
⑦ ただの「鳥」だったものが「シジュウカラ」だと認識できる。「つまり」世界が違って見える。
問七 それまで知らなかったもの・気づかなかったことが見えてきて、「世界が違って見える」。何も知らずにTシャツを着ていた時とは自分自身が異なっているため、周囲が違って見えるのである。
問八 人はふだん自分自身についてあまり意識していない。「ところが本を読むと、とたんに自分のことも気になってくる」。
問九 直後に「顔」の話を始めているので、「表情」を話題にしていると考えられる。
問十 示されている例は「~でない」という、登場人物とは異なる「自分」である。
問十一 ア・イ 共感する・しない、受け入れる・受け入れないは読者の自由であるというのが筆者の意見である。
エ 教訓ばかりの本は退屈だと筆者は言っている。
【大問五】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
主人公と母方の叔父と、性による決めつけを嫌う主人公の母親との会話を通したやりとりの一場面が描かれている。
問一 この時主人公が気になったのは、「重々しさ」を感じたと自ら表現している「書いておけ」という叔父の言葉の真意である。
問二 まず、書くことで「今までぼんやりとしてとりとめもなかった考えが、きちんとした骨格を持」つと述べている。さらに学校での例を示して、書くときには「自分の言葉が通じていなかったら嫌だ」といった気遣いをしなくて済むので気が楽だ、とも言っている。
問三 「端倪すべからず」は「短絡的に判断してはいけない」という意味で、軽く見てわかったような気になってはいけない・馬鹿にできないといった意味で用いられる。
問四 希望的観測――自分に都合のよい、そうあってほしいという希望にもとづいた観測。
問五 親の影響で普通の子供が使わないような表現を使ったことで、自分専用の語録が作られたり、話が通じずに苦労した経験があったことが示唆されており、学校用と家庭用で言葉を使い分けていたことが述べられている。書く場合にはそんな気遣いはしなくてよいわけである。
問六 刃物を操ることをカッコイイと言った主人公を男の子らしいといったノボちゃんの「刃物=男」というイメージの決めつけを、母は嫌ったのだと思われる。
問七 母(ノボにとっての姉)からのお礼(ブリのこと)について、これは「自分と主人公」の間のことで、「姉」が礼を言う必要はない、とノボちゃんは言っているのである。
問八 刃物を使えることをカッコイイと言った主人公を「男の子」だなと、刃物=男といった性による決めつけを無意識にしており、姉の言葉でそれに気づいて主人公に対して謝っている。
問九 母の「刃物操るのに男も女もないわよ」やノボちゃんの「男の子云々は確かにな。ごめん」などの発言から、母は男らしさ・女らしさといったジェンダーの決めつけが嫌いなのだとわかる。
問十 普段のノボちゃんは「姉(母)に対する愚痴がボロボロ出てきて」僕にも深く「共感できる」ところなのだが、この時のノボちゃんは姉の言葉に理解を示し「思いやり深く」なっている。
問十一 ノボちゃんが家に来たのはこの一ヶ月ほどの間に一回きりだった。「その一回というのが……渡されたブリを持ってきたときだ」。主人公にブリを渡すのが目的だったのである。
攻略のポイント
本校のように本文の文量が多い場合、読むのに時間がかかり過ぎて本来わかったはずの問題を解く時間が足りなくなってしまった、という事態は避けたいところである。速読は訓練で上達できる技術なので、早めに対応を進めておこう。
また、読解の技術として、ポイントになる部分をすばやく見つけられるようにしておくことも大事なので、要点や重要部分をマークするコツをつかんでおきたい。
言語事項も一定の配点を占めるので、基本的なレベルでよいのでひととおりは頭にいれておこう。
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