青山学院中等部 入試対策
2016年度「青山学院中等部の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
本校の試験は大問が5~6問と多めである。漢字1題・長文読解3題・詩1題といったパターンがここ数年続いている。長文は文学的文章1問と説明的文章2問という組み合わせが多い。
文章量は文学的文章が多めで4000~5000字、説明的文章が1500字ほどで2問あるので、計8000字ほど、多い年だと9000字超にもなる。
総解答数は40問程度。2016年度では41問中、記号選択20問・書き抜き10問・記述1問・その他といった設問の割合になっている。書き抜きは字数指定のあるものが多い。
長文読解
本校の高い偏差値からすると、素材文や設問の難易度は比較的低いと言える。難解・長大な問題で受験生をふるいにかけるのではなく、小学校6年間で培った適正な国語力を測ろうとしている印象を受ける。
説明的文章は1問が1500字ほどと軽めの文章で、選択肢問題もいたずらに迷わせるような意地悪な内容にはなっていない。
文学的文章も5000~6000字と文量は多いが、内容は小学6年生にも理解しやすい設定やストーリーのものが多く、読みやすい。
設問形式は記号選択と書き抜きが大半を占めるので、解答にさほど時間は取られない。
全体として、文章・設問ともに難し過ぎない設定で、適正な実力でテンポよく解いてゆく試験と言えるだろう。簡単過ぎず、難し過ぎず、中学入試としてよく練られた問題である。
ただし、文章量・問題数は決して少なくはないので、スピードは十分につけておく必要がある。
以上のような点をふまえて、長文読解の基本に沿って演習に取り組む。段落・要旨・要約や場面・情景・人物の心情とテーマなど、文学的文章・説明的文章の読解テクニックを身に付ける。
記述問題も30字程度の軽めのものが出題されるが、全体の要約が必要なものやあまりに難しい心理を説明するような重い記述問題ではないので、同程度の字数の記述問題で練習して慣れておけば、それほど手間取らないだろう。
詩
必ず詩の問題が1問出されるのが本校の特徴である。他校ではまったく見られない場合も多いので対策がおろそかになりがちだが、配点でも2割ほどを占めるので、大きく失点するわけにはいかない。
特別に難解な問題が出されるわけではない。中学入試レベルの教材で良いので、詩に特有の表現や技法に慣れておくこと。詩に多く触れて想像力を養うことは、長文読解にも大きく資するところがある。
漢字・その他
漢字は5~6問出題される。難しい漢字ではないので、標準的な漢字教材を1冊仕上げておけば対応できるだろう。
その他、接続詞・ことわざ・慣用句などの言語事項が2~3問合わせて出題される。全般的な国語の学習や読書を通じて覚えられるレベルであろう。
まとめ
選択肢問題と書き抜き問題が多いので、類似問題で慣れておく必要はある。全体の文章量と問題数の多さから、スピードも必要とされる。
その他の点は、中学入試として適切な難易度で整えられているので、普段の学習で手を抜かず、読書にもできるだけ親しむ習慣も持てば、自信を持って試験に臨めるであろう。
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2016年度「青山学院中等部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
説明的文章2問で3000字・物語文5300字で計8300字ほど(2016年度)。設問が意地悪なものではないので、特に説明的文章2問はテンポよく解き進んで、文量の多い物語文に時間を残したい。詩はそれまでの学習で十分に慣れておけば時間はかからない。漢字も標準レベルで手間取ることはないだろう。
【大問1】漢字の書き取り
- 時間配分:1~2分
標準レベルの問題。さっさと進める。
【大問2】説明的文章の読解
- 時間配分:11分
時間をテーマに江戸時代の人々の暮らしについて説明している。
問一 「彼ら」は前の文で出てきている。「売り声」がヒント。
問四 営業開始の時間である。職人が「気合を込める」のだから、仕事に対するやる気を表している。
問五 ここは設問の条件「(・・・するから)に続くように」が大きな手がかり。「する」につながる箇所である。外商なので、雨が降れば仕事は終わりである。
問六 ここは勘違いして悩んでしまった人もいたかもしれない。訊かれている意味は、文中での使われ方(雨が降りそう)ではなく、慣用句として辞書に載っている意味(先行きに不安が有る)である。
問七 「手鎖」は現在で言う手錠で人の自由を奪うものである。自然に合わせて柔軟に時間を捉えていた江戸時代人からすると、現代人は窮屈に思えるだろう。「腕時計」はまさに「手鎖」のイメージ通りである。
【大問3】詩の鑑賞
- 時間配分:8分
厳格だった祖父母との思い出。祖父の職業がポイント。
問一 一度あめ玉を取り上げられているので確認している。
問三 「わいろ」をもらってはいけない職業。どの職業もそういえばそうなのだが、わずかなおすそ分けすら拒絶する祖母の行動から祖父の職業の厳格さが推し量れる。
問四 ③上で説明してしまったが、通常こんなものはわいろにはならないと思われるものまで、祖母は突き返してしまうのである。
【大問4】論説文の読解
- 時間配分:11分
効率ばかりを追い求め働く喜びを得られなくなってしまった社会。
問一 多くの人達が言う「今の社会は生きづらい」という言葉と、ここでの職人たちの「生きやすく、楽しい人生ではなかった」の言葉は、似てはいるが意味が違うことに注意。職人たちは自分の仕事に生きがいと誇りを持っている。ここは単純に職人としての仕事上の苦労があったという意味であろう。
問六 傍線Fの部分が訊かれているので、(技が)人間に付属する――の「技」の部分が解答に含まれてしまってはいけない。設問で聞かれたこと(範囲)に正確に答えるということである。
問八 選択肢アも悪くはなさそうだが、テーマである「働くことの喜び」は何によって得られたと文中に書いてあったか。
【大問5】小説の読解
- 時間配分:19分
作者のO・ヘンリは短編小説の名手。読みやすい話が多いので、一読をお薦めする。
問一 自分のような上流階級ではない人。難しく言うと「市井(しせい)の人」などという言い方もある。一般人。
問三 青年がそれまでと違って「遠慮がち」な態度になったのは、自分が裕福であることを隠し、立場を変えて女性に主導権を譲ったからである。女性の話に合わせている。
問五 「非人間的な眼ざし」は青年を蔑むような視線である。女性(上流階級のフリをしている)は青年(本当は裕福である)を貧乏だと思っている。
問八 女性はまだ高貴なレディを演じている。
問九 「下手」は3種類の意味・読みがあるのでよく覚えておく。
問十 読者が読んでいて、女性が本当は上流階級ではないのではないかと疑い始めるところ。女性が妙な動揺を見せる場面がある。
問十二 女性がレストランの出納係の席に着く場面・青年が運転手付きの車に乗り込み命令する場面。最後の一行ですべてが明らかになる展開の意外さを、うまく解答に盛り込む。
攻略ポイント
記述問題も含めて極端な難問が無いので、手を付けさえすれば得点できる可能性は高くなる。まずはスピードをつけて、最後までやり通す手際の良さを身に付ける。
記号選択・書き抜き問題の多さを考慮して、類似の問題を多くこなすことも重要である。詩の鑑賞に慣れておくことも忘れずに。
こつこつと手を抜かずに身につけた実力があれば合格圏に到達できる試験である。文学的文章・説明的文章の両方とも、苦手意識を持たずに地道に勉強に取り組んで欲しい。
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