青山学院中等部 入試対策
2018年度「青山学院中等部の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
本校の試験は大問が5~6問と多めである。漢字1題・長文読解3題・詩1題といったパターンがここ数年続いている。長文は文学的文章1問と説明的文章2問という組み合わせが多い。
文章量は文学的文章が多めで4000~5000字、説明的文章が1500字ほどで2問あるので、計8000字ほど、多い年だと9000字超にもなる。2018年度は文学的文章7500字を含む、計12000字にもなり、文章量は増加傾向にある。
総解答数は40問程度。2018年度では39問中、記号選択14問・書き抜き7問・記述4問・その他といった設問の割合になっている。また、「自分の言葉で」適語を考える問題も数問みられる。書き抜きは字数指定のあるものが多い。
長文読解
本校の高い偏差値からすると、素材文や設問の難易度は比較的低いと言える。難解・長大な問題で受験生をふるいにかけるのではなく、小学校6年間で培った適正な国語力を測ろうとしている印象を受ける。
説明的文章は1問が1500字ほどと軽めの文章で、選択肢問題もいたずらに迷わせるような意地悪な内容にはなっていない。
文学的文章も5000~6000字と文量は多いが、内容は小学6年生にも理解しやすい設定やストーリーのものが多く、読みやすい。
設問形式は記号選択と書き抜きが大半を占めるので、解答にさほど時間は取られない。
全体として、文章・設問ともに難し過ぎない設定で、適正な実力でテンポよく解いてゆく試験と言えるだろう。簡単過ぎず、難し過ぎず、中学入試としてよく練られた問題である。ただし、文章量・問題数は決して少なくはないので、スピードは十分につけておく必要がある。
以上のような点をふまえて、長文読解の基本に沿って演習に取り組む。段落・要旨・要約や場面・情景・人物の心情とテーマなど、文学的文章・説明的文章の読解テクニックを身に付ける。
記述問題も30字程度の軽めのものが出題されるが、全体の要約が必要なものやあまりに難しい心理を説明するような重い記述問題ではないので、同程度の字数の記述問題で練習して慣れておけば、それほど手間取らないだろう。
詩
必ず詩の問題が1問出されるのが本校の特徴である。他校ではまったく見られない場合も多いので対策がおろそかになりがちだが、配点でも2割ほどを占めるので、大きく失点するわけにはいかない。
特別に難解な問題が出されるわけではない。中学入試レベルの教材で良いので、詩に特有の表現や技法に慣れておくこと。詩に多く触れて想像力を養うことは、長文読解にも大きく資するところがある。
漢字・その他
漢字は5~6問出題される。難しい漢字ではないので、標準的な漢字教材を1冊仕上げておけば対応できるだろう。
その他、接続詞・ことわざ・慣用句などの言語事項が2~3問合わせて出題される。全般的な国語の学習や読書を通じて覚えられるレベルであろう。
まとめ
選択肢問題と書き抜き問題が多いので、類似問題で慣れておく必要はある。全体の文章量と問題数の多さから、スピードも必要とされる。その他の点は、中学入試として適切な難易度で整えられているので、普段の学習で手を抜かず、読書にもできるだけ親しむ習慣も持てば、自信を持って試験に臨めるであろう。
ただ、2018年度では文章量が増え、問題の難易度が高くなった印象がある。今後の傾向に注意しておかれたい。
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2018年度「青山学院中等部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
今年度の読解問題は論説文2題・詩・小説という構成であった。物語7500字・論説文5000字の計12000字ほどと、小説の文量が特に多くなっている。ことばの知識は漢字や詩の技法、慣用句やことわざなどが数問出されている。
詩や論説文は解ける問題をてきぱきこなし、最後の長い小説になるべく急いで目を通して、設問にはひととおり手をつけたい。100点を目指す必要はないので、答えられそうな問題なのに解く時間が無かった、という事態は避けたい。
【大問1】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:1分
「タイシャク」などは、「貸し借り」の意味だと気づかなかった人もいたかもしれない。
<時間配分目安:1分>
【大問2】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
- ★必答問題
【大問二】論説文の読解
物体としての体ばかりが意識される現代に、純粋な精神の存在にも考えをめぐらすべきだと説いている。
(1)傍線Aのあとで、「身」が「体」「身分・立場」「心」の意味でも使われると具体的に3例をあげてい き、次の段落の冒頭の「このように」以下で3例をまとめている
(2)「御身」は「あなたの身体」である。尊敬を表す「御」がつく言葉に慣れておこう。
(3)直後に「身」のみで心身一元的だと言っているので、Dには「心」が入る。
(4)「死語」はもう使われなくなった古い言葉。現代では「心」はほぼ「精神」という意味でしか使われない。
(5)心は体と切り離せないので体とともに滅ぶが、霊は体から出ていってしまう。つまり、「切り離されている」のである。
(5)筆者は、体の唯物化が進んで精神面が希薄になる傾向に危惧を覚えている。その解決には「心」でも「身」でもない、純粋な精神である「霊」を想定することも必要だと筆者は考えているのである。
<時間配分目安:9分>
【大問3】詩の鑑賞
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
源じいの家に棲みついた座敷童への思いを通して、都会化してゆく京都の街への感慨が表現されている。
(2)「何百年も前の冷え切った空気」や「古ぼけた天井や壁」といった雰囲気での「ほこり」だから、ウの
「よどんでいた」が表現として合う。
(4)もうすぐ取り壊される源じいの家は近代化されていく町並みの象徴である。居場所を失ってゆく座敷童の心
情を考える。
(5)①「元気だったかい?」というあいさつで、しばらく会っていなかったことがわかる。
④近くにある「冷たく無機質なビル」と対になっていることに気づいただろうか。「温かみ」 や「ぬくも
り」といった意味の言葉が入る。
<時間配分目安:10分>
【大問4】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:10分
日本人の行動を律している「世間の目」について、欧米との比較を交えて論じている。
(1)直前で述べられている欧米社会での神の存在の大きさとは「対照的に」、日本は無宗教なのである。
(2)漢字で書けば「内弁慶」。
(3)「目」にあたる部分だけを書き抜けばよい。文章の後半に日本人が世間の「何」を気にしているかが述べら
れている部分があるのでそこを使う。
(5)「相手」のことを考えるのは「和」「調和」「協調性」などを重んじるからである。そのような日本人の考
えを端的に表現した十八字の部分が最後部にある。
(6) イ 文の前半も後半も文意と合わない
エ 「行動が委縮気味」とは書かれていない。
オ 欧米の影響や個人主義を見習おうとしているなどとは書かれていない。
<時間配分目安:10分>
【大問5】小説の読解
- 難度:難
- 時間配分:20分
- ★必答問題
好恵の誕生会での出来事で、主人公や好恵や好恵の母親がどのような思いを抱いたかが丁寧に描かれている。
(1) 「不文律」は明文化されていない決まり事。強制力はないが、守るべきと思われるもの。
(3) 誕生会らしい飾りのひとつもない好恵の部屋に入った時に「どうもおかしい」と予感している。
(5) ①好恵の「どうしたの」という声の響きにも、この心情は表れている。
②これ以降の好恵や母親の行動は、誕生会での仕打ちが原因でぎくしゃくしてしまった友人たちとの関係
を修復するという目的があると思われる。仲直りしたいのだが、誕生会の出来事が強烈でいまだに尾を引
き、ぎこちなくなってしまうのであろう。
(7) 娘の誕生会での自分の行動が、娘と友達の間に亀裂を作ってしまったことを感じていたのだろう。そのお
詫びの意味も込めて、訪ねてきた主人公に食事をごちそうすることで、娘との仲直りのきっかけにしてほ
しいと考えているようである。そのことは主人公も途中で気づいている。
(9) ①相手にされたのと同じことを相手にし返す。目には目を、歯には歯を。
②好恵や母親の気持ちに気づいてからは特に、仲間外れにしてしまったことを後悔している。「~感」に
つながる漢字2字なので、「罪悪感」や「自責感」などが考えられる。
<時間配分目安:20分>
攻略ポイント
前年度にも増して文章量の多い試験となった。問題の難易度も若干あがった印象を受ける。素材文の長文化は難関校全般に見られる傾向なので、スピードを意識した演習をこなして、最後までやり通す手際の良さを身に付けていただきたい。
とはいえ、今年度のように文量が多いと時間切れの恐れは出てくる。無理そうな問題には早めに見切りを付けて、できる問題を確実に答えるのも作戦である。
こつこつと手を抜かずに身につけた実力があれば合格圏に到達できる試験である。文学的文章・説明的文章・詩のそれぞれに、苦手意識を持たずに地道に勉強に取り組んで欲しい。
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