青山学院中等部 入試対策
2019年度「青山学院中等部の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
本校の試験は大問が5~6問と多めである。漢字1題・長文読解3題・詩1題といったパターンがここ数年続いている。長文は文学的文章1問と説明的文章2問という組み合わせが多い。
文章量は文学的文章が多めで4000~5000字、説明的文章が1500~2500字ほどで2問あるので、多い年だと10000字超にもなる。2019年度は文学的文章5400字を含む、計11000字にもなり、文章量は多い傾向にある。
総解答数は40問程度。2019年度では39問中、記号選択17問・書き抜き8問・記述1問・その他といった設問の割合になっている。また、「自分の言葉で」適語を考える問題も数問みられる。書き抜きは字数指定のあるものが多い。
長文読解
本校の高い偏差値からすると、素材文や設問の難易度は比較的低いと言える。難解・長大な問題で受験生をふるいにかけるのではなく、小学校6年間で培った適正な国語力を測ろうとしている印象を受ける。
説明的文章は1問が1500~2500字ほどの文章で、選択肢問題もいたずらに迷わせるような意地悪な内容にはなっていない。
文学的文章も5000~6000字と文量は多いが、内容は小学6年生にも理解しやすい設定やストーリーのものが多く、読みやすい。
設問形式は記号選択と書き抜きが大半を占めるので、解答にさほど時間は取られない。
全体として、文章・設問ともに難し過ぎない設定で、適正な実力でテンポよく解いてゆく試験と言えるだろう。簡単過ぎず、難し過ぎず、中学入試としてよく練られた問題である。ただし、文章量・問題数は決して少なくはないので、スピードは十分につけておく必要がある。
以上のような点をふまえて、長文読解の基本に沿って演習に取り組む。段落・要旨・要約や場面・情景・人物の心情とテーマなど、文学的文章・説明的文章の読解テクニックを身に付ける。
記述問題は30~50字程度のものが出題されるが、全体の要約が必要なものやあまりに難しい心理を説明するような重い記述問題ではないので、同程度の字数の記述問題で練習して慣れておけば、それほど手間取らないだろう。
詩
必ず詩の問題が1問出されるのが本校の特徴である。他校ではまったく見られない場合も多いので対策がおろそかになりがちだが、配点でも2割ほどを占めるので、大きく失点するわけにはいかない。
特別に難解な問題が出されるわけではない。中学入試レベルの教材で良いので、詩に特有の表現や技法に慣れておくこと。詩に多く触れて想像力を養うことは、長文読解にも大きく資するところがある。
漢字・その他
漢字は5~6問出題される。難しい漢字ではないので、標準的な漢字教材を1冊仕上げておけば対応できるだろう。
その他、接続詞・ことわざ・慣用句などの言語事項が2~3問合わせて出題される。全般的な国語の学習や読書を通じて覚えられるレベルであろう。
まとめ
選択肢問題と書き抜き問題が多いので、類似問題で慣れておく必要はある。全体の文章量と問題数の多さから、スピードも必要とされる。その他の点は、中学入試として適切な難易度で整えられているので、普段の学習で手を抜かず、読書にもできるだけ親しむ習慣も持てば、自信を持って試験に臨めるであろう。
ただ、2018年度以降では文章量が増え、問題の難易度が高くなった印象がある。今後の傾向に注意しておかれたい。
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2019年度「青山学院中等部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
今年度の読解問題は論説文2題・詩・小説という構成であった。
物語5400字・論説文2題で5600字の計11000字ほどと、小説の文量が多くなっている。ことばの知識は漢字や詩の技法、慣用句やことわざなどが数問出されている。
詩や論説文は解ける問題をてきぱきこなし、最後の長い小説になるべく急いで目を通して、設問にはひととおり手をつけたい。100点を目指す必要はないので、答えられそうな問題なのに解く時間が無かった、という事態は避けたい。
【大問1】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:2分
(2) 「留守」は読みの問題でもよく出される。
(3) 「紀行」「機構」「気候」「寄港」など、同音異義語の問題もよく見る。
【大問2】詩の鑑賞
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
(1) 男⇔女の対称、行数や形式においての類似など二つの対比となっている「対句」の技法。
(2) 驚きや注目などで目を大きく開くこと。
(3) 「ドラマ」は「ありふれた日常」との対比で「特別な祝うべき出来事」を表している。
「街のざわめき」は「いつも」のままだが、「結婚」という「ありふれた」「特別な」出来事を祝っているようにも感じられるのである。
(4) 「無常」という言葉を思い浮かべる。この世には「変わらないもの=常」は無いのだという真理である。
(5) ②第五連~第七連に注目。結婚という祝うべき日にもどこかでだれかが死んでゆく。この世界はその人たちが作り育て、残してくれたものだ。そこには辛い現実もあるかもしれないが、結婚とは二人でその残された「世界を受け取った」ということでもあるのだ。
【大問3】説明文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
年齢により時間経過の感覚が異なる仕組みを説明している。
(1) 「感覚」について言っているのではない点に注目。通常、人は時間を「年号とか日付とか手帳といった外部の記憶をもとに初めて認識できる」とあり、これが「そもそも」人が現実に時間を把握する方法である。
(3) 「内部にある、この時間感覚」→「体内時計」と表現を進めている。
(5) 要は「体内時計=基礎代謝の速度」と「実時間のずれ」が説明できていればいいのだが、内容的に合っている箇所は複数あり、その中で字数ぴったりになるのは空欄F直前の「私たちの~遅くなる」の部文である。
(7) ア 理由部分が本文の説と逆なので×。
ウ 本文に書かれていないことが多く含まれている。
エ 代謝速度の「上昇」ではなく「下降」が関係しているので×。
【大問4】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:13分
- ★必答問題
すぐに謝罪するという日本人の行動が、個人の責任を追及しない「場の責任」という発想に基づくものであると説いている。
(1) 「本音」と「建て前」。
(3) 直後の段落で説明されている。欧米人・アラブ人は責任追及・正当性を競うことが大事で、日本人は責任追及より場の雰囲気を良くすることを重視する。エの内容が合っている。
(4) ア 「すべてにおいて」とは言っていないので×。
ウ 「欧米人」ではなく「日本人」。
エ 「謝罪しない」は逆。
(6)「これを可能にしていること」とは「非を認める」ことに対する日本人の認識であろう。それを説明している文が五段落にある。
(7) 欧米人・アラブ人の態度は日本人からすると「あまりに利己的で見苦しい」とある。イも間違いではないが、エが最も適切である。
【大問5】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:18分
- ★必答問題
私立中学に入った主人公の悩みを、出身小学校の先生である水野先生が理解してくれ、主人公の両親へ説明してくれることになる。
(1) 「二人(両親)をいら立たせて、悲しませて」とあるので、主人公はエのようないらだちは感じていないだろう。
(3) 単刀直入。漢字を間違えないように。
(4) 「おことばですが」は相手の言葉に反論する時の言い方。水野先生の「原因はお父さんにある」という発言に異を唱える、夫を擁護するような内容になっているはずである。
(5) 私立中学への進学を支持していないことが態度に表れている部分を探す。学園祭や体育祭を見に来てくれないことが書かれている。
(6) 直接には、父親の私立中学への無理解や主人公への非協力を改めてほしいという要望であろう。父親への配慮としては、父親の小学校での熱心な振る舞いを認めている点が挙げられる。
(7) 入試の合格を報告したときに、水野先生が特に喜んでくれたという部分がある。自分の出身校へ生徒が進学することがうれしかったのだろう。
(9) 軍隊などの激しく厳しい行軍を指す言葉で、無理な計画による行動などの意味で使う。
(11) 「いい歌が聴けてよかった」などの発言から、父親は水野先生の行動や発言を不快に思っておらず、反発してはいない様子が見てとれる。自分の非に気づいたのであろう。主人公もそんな父親の変化を感じて、わだかまりを捨てて声をかけている。
攻略のポイント
最新年度も文章量の多い試験である。問題の難易度も高い。素材文の長文化は難関校全般に見られる傾向なので、スピードを意識した演習をこなして、最後までやり通す手際の良さを身に付けていただきたい。
とはいえ、今年度のように文量が多いと時間切れの恐れは出てくる。無理そうな問題には早めに見切りを付けて、できる問題を確実に答えるのも作戦である。
こつこつと手を抜かずに身につけた実力があれば合格圏に到達できる試験である。
文学的文章・説明的文章・詩のそれぞれに、苦手意識を持たずに地道に勉強に取り組んで欲しい。
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