青山学院中等部 入試対策
2022年度「青山学院中等部の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
本校の試験は大問が5~6問と多めである。漢字1題・長文読解3題・詩1題といったパターンがここ数年続いている。長文は文学的文章1問と説明的文章2問という組み合わせが多い。
文章量は文学的文章が多めで4000~5000字、説明的文章が1500~2500字ほどで2問あるので、多い年だと10000字超にもなる。2022年度は文学的文章6000字を含む、計13000字ほどにもなり、文章量は多い傾向にある。
総解答数は40問程度。2022年度では43問中、記号選択18問・書き抜き8問・記述1問・その他といった設問の割合になっている。また、「自分の言葉で」適語を考える問題も数問みられる。書き抜きは字数指定のあるものが多い。
長文読解
本校の高い偏差値からすると、素材文や設問の難易度は比較的低いと言える。難解・長大な問題で受験生をふるいにかけるのではなく、小学校6年間で培った適正な国語力を測ろうとしている印象を受ける。
説明的文章は1問が1500~2500字ほどの文章で、選択肢問題もいたずらに迷わせるような意地悪な内容にはなっていない。
文学的文章も5000~6000字と文量は多いが、内容は小学6年生にも理解しやすい設定やストーリーのものが多く、読みやすい。
設問形式は記号選択と書き抜きが大半を占めるので、解答にさほど時間は取られない。
全体として、文章・設問ともに難し過ぎない設定で、適正な実力でテンポよく解いてゆく試験と言えるだろう。簡単過ぎず、難し過ぎず、中学入試としてよく練られた問題である。ただし、文章量・問題数は決して少なくはないので、スピードは十分につけておく必要がある。
以上のような点をふまえて、長文読解の基本に沿って演習に取り組む。段落・要旨・要約や場面・情景・人物の心情とテーマなど、文学的文章・説明的文章の読解テクニックを身に付ける。
記述問題は30~50字程度のものが出題されるが、全体の要約が必要なものやあまりに難しい心理を説明するような重い記述問題ではないので、同程度の字数の記述問題で練習して慣れておけば、それほど手間取らないだろう。
詩
必ず詩の問題が1問出されるのが本校の特徴である。他校ではまったく見られない場合も多いので対策がおろそかになりがちだが、配点でも2割ほどを占めるので、大きく失点するわけにはいかない。
特別に難解な問題が出されるわけではない。中学入試レベルの教材で良いので、詩に特有の表現や技法に慣れておくこと。詩に多く触れて想像力を養うことは、長文読解にも大きく資するところがある。
漢字・その他
漢字は5~6問出題される。難しい漢字ではないので、標準的な漢字教材を1冊仕上げておけば対応できるだろう。
その他、接続詞・ことわざ・慣用句などの言語事項が2~3問合わせて出題される。全般的な国語の学習や読書を通じて覚えられるレベルであろう。
まとめ
選択肢問題と書き抜き問題が多いので、類似問題で慣れておく必要はある。全体の文章量と問題数の多さから、スピードも必要とされる。その他の点は、中学入試として適切な難易度で整えられているので、普段の学習で手を抜かず、読書にもできるだけ親しむ習慣も持てば、自信を持って試験に臨めるであろう。
ただ、2018年度以降では文章量が増え、問題の難易度が高くなった印象がある。今後の傾向に注意しておきたい。
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2022年度「青山学院中等部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
今年度の読解問題は論説文2題・詩・小説という構成であった。
物語6000字・論説文2題で7000字の計13000字ほどと、どちらの文量も多くなっている。ことばの知識は漢字や詩の技法、慣用句やことわざなどが数問出されている。
詩や論説文は解ける問題をてきぱきこなし、最後の長い小説になるべく急いで目を通して、設問にはひととおり手をつけたい。100点を目指す必要はないので、答えられそうな問題なのに解く時間が無かった、という事態は避けたい。
【大問一】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:2分
- (1) 勇み足――調子づいて、やり過ぎ失敗したりすること。
(2) 縁結び
(3) 旗手――団体などで、そのしるしとなる旗を持つ人。
(4) 愛媛
(5) 落丁――書物や雑誌などのページが一部欠けていること。
(6) 付和雷同――他人の言動にすぐ同調すること。
【大問二】詩の鑑賞
- 難度:標準
- 時間配分:11分
- ★必答問題
勉強が得意ではないのに憧れだけはあって、できる自分を想像してしまう自分を自嘲しながらも、そんな自分を肯定している。
(1) 成績が良く皆から憧れられている自分を想像し、自分に陶然とした気持ちになっている。
(2) 皆から憧れられているのであるから、「見上げ」られているのである。
(3) 勉強がたいしてできないくせに憧れて妄想している自分に対して、「何やってるのよ」という自嘲のアッカンベーであろう。
(4) 勉強ができて皆から憧れられているという理想(Ⓓ)の自分を空想していたが、現実(Ⓔ)は55点であった。理想とは程遠いがあこがれ(Ⓕ)だけは一人前に持っている自分。この詩は自分を客観視して、自分のよくないところを自ら嘲り笑っているわけであり、自虐的であると言える。
【大問三】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
- ★必答問題
孤児となり自らに閉塞してしまった男の子の、問題の原因が名前にあったことが解き明かされる。名前は無条件でその人の存在を認めるものでなくてはならず、他人に認められることで人は「自由な主体」となるのだと述べられている。
(1) 逆説――真理に背いているように見えて、実は一種の真理を表している表現。
たくさんの自由があるような世界で、息詰まるような感覚を覚えるのはなぜか、とある。この自由でありながら自由でない(不自由)という感覚を「牢獄」と表現したのである。
- プラスであろうとマイナスあろうと、意味が込められてしまうと真の「名前」ではなくなってしまう。無条件にその存在を認めている「アルマン」こそがこの男の子の真の「名前」なのである。
(4) 同じ内容を3段落後で、「アルマンと呼びかけることは誰かがその存在を一〇〇%認めてあげること」と言い換えている。これがドルトが施した治療だったのである。
(5) 賢い子として生きてほしいという意味を込めてフレデリックと名付けられたら、賢くないとフレデリックではないという意味も発生してしまうのである。
(6) 「自由な主体」になるためには自分の存在を認めてくれる他人が必要なのであり、「他人がいなければ自由もない」のである。
(7) 名前〔Ⅰ〕とはその人の存在を無条件で認めてくれるものである。生まれてすぐ(ふつうは)親という全幅の信頼〔Ⅱ〕を寄せた身近な人から存在の一〇〇%の承認〔Ⅲ〕を得る。成長するにつれ、その他人の眼差しが内面化され自分で運命を選んだかのような気分になり、自分で人生を引き受けるという責任〔Ⅳ〕を持った大人として生きようとするときに、人は「自由な主体」となるのである。
(8) イ. 最後の段落内容と合わない。
ウ. 自分より格の高い他人がいる「だけ」では、自由な主体は得られない。他の存在から認められることが必要である。
エ. 本文では考察されていない内容である。
【大問四】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:9分
胎児は聴覚野が完成する前から、母の胎内で母の発音体感に同調するように体感を得ており、語感はそれがもたらす脳のイメージであることを説明している。
(1) 生返事――気持ちのこもらない、いい加減な返事。
(2)「ママは、あかちゃんがんばってって、ゆった」という息子の言葉に驚いた。それは、「彼が胎内記憶を語っているのだと確信した」からである。
(3) 子どもたちが語る胎内記憶には多く「母を選んできた」という確信的なイメージがあり、最初の記憶から「母=人生を選んで生まれてきた」という意識で始まっているのである。
(4) 「胎児がことばを知るのは耳からだ」→「つまり聴覚野が完成してから、ヒトはことばに出会うのだ」。
(5) 聴覚野完成後は外部音声を感知して記憶することが可能になる。「しかし」ことばの真髄が母体の運動や振動などの体感に由来するとしたら、それはもっと早い時期に起こることになる。
(6) ことばは母親から命のすべてを使って授けてもらうもの、とある。母親の胎内で「命伝て」で「転写」されたものなのである。イの「転生」は生まれ変わることなので意味が合わない。
(7) エ. 聴覚が完成する前から母から語感・体感を得ているが、記憶として脳に残されているのは聴覚完成後である。
【大問五】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:13分
- ★必答問題
母との朝の決まり事を恥ずかしく感じるようになった主人公だが、母が落胆すると思い、なかなかやめたいと言えずにいた。祖父に相談すると、亡くなった父との思い出を語ってくれ、父が自分と同じ悩みを持っていたという話を聞いて、主人公は母にはっきり考えを伝えようと決める。
(1) おじいちゃんはやめなくていいと言ってくれたが、主人公は本心でやめたいと思っているので、おじいちゃんの意見を聞いても煮え切らないのである。
(2) 「おもむろに」はゆっくりと、の意味。
(3) 「うまくことばにできない、いやだとか、はずかしいとかじゃない、今のぼくにはなんか違う…」といった気持ち→「サイズの合わない服を着ていて、気持ちよく体を動かせないような違和感」と表現している。
(4) 自分と同じ問題に直面していたであろう父の発言を早く聞きたいと期待している気持ちであろう。
(5) ① 煮え切らない主人公の様子に、「うつむいたぼくの顔を、おじいちゃんはそっとのぞきこむ」と、心配しているようである。
② おじいちゃんが主人公の目を見て「なつかしい人を見つけたみたい」な表情をしている場面がある。この時おじいちゃんは、孫の中にその父親(渉)の面影を見ているのである。また、情景描写でおじいちゃんが空を見ながら渉を思い出している部分があり、その時目を向けている「うすい雲がとけた空」が渉を暗示しているとも考えられる。
③ もうやめると母には伝えたが、「きょうでおしまい、自分の言葉を心の中でくり返してみる」・「さみしく思っているのは、どうやらぼくのほうみたいだ」と、自分に言い聞かせるように気持ちを整理しようとしている。
(6) ア. やめると伝えた時の母親のさっぱりした態度から、「子離れできない」は合わない。
イ. 物語は主人公の視点で書かれているので、「客観的」ではない。
ウ. 父親を亡くした悲しみからはすでに立ち直っている様子である。
攻略のポイント
最新年度も文章量の多い試験である。問題の難易度も高い。素材文の長文化は難関校全般に見られる傾向なので、スピードを意識した演習をこなして、最後までやり通す手際の良さを身に付けていこう。
とはいえ、文量が多いと時間切れの恐れは出てくる。無理そうな問題には早めに見切りを付けて、できる問題を確実に答えるのも作戦である。
こつこつと手を抜かずに身につけた実力があれば合格圏に到達できる試験である。
文学的文章・説明的文章・詩のそれぞれに、苦手意識を持たずに地道に勉強に取り組んで欲しい。
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