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青山学院中等部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「青山学院中等部の国語」
攻略のための学習方法

問題構成

本校の試験は大問が5~6問と多めである。漢字1題・長文読解3題・詩1題といったパターンがここ数年続いている。長文は文学的文章1問と説明的文章2問という組み合わせが多い。

文章量は文学的文章が多めで4000~5000字、説明的文章が1500~2500字ほどで2問あるので、多い年だと10000字超にもなる。2023年度は文学的文章12000字を含む、計14000字ほどにもなり、文章量は多い傾向にある。

総解答数は40問程度。2023年度では39問中、記号選択16問・書き抜き9問・記述1問・その他といった設問の割合になっている。また、「自分の言葉で」適語を考える問題も数問みられる。書き抜きは字数指定のあるものが多い。

 

長文読解

本校の高い偏差値からすると、素材文や設問の難易度は比較的低いと言える。難解・長大な問題で受験生をふるいにかけるのではなく、小学校6年間で培った適正な国語力を測ろうとしている印象を受ける。

説明的文章は1問が1500~2500字ほどの文章で、選択肢問題もいたずらに迷わせるような意地悪な内容にはなっていない。

文学的文章も6000~10000字ほどと文量は多いが、内容は小学6年生にも理解しやすい設定やストーリーのものが多く、読みやすい。

設問形式は記号選択と書き抜きが大半を占めるので、解答にさほど時間は取られない。

全体として、文章・設問ともに難し過ぎない設定で、適正な実力でテンポよく解いてゆく試験と言えるだろう。簡単過ぎず、難し過ぎず、中学入試としてよく練られた問題である。ただし、文章量・問題数は決して少なくはないので、スピードは十分につけておく必要がある。

以上のような点をふまえて、長文読解の基本に沿って演習に取り組む。段落・要旨・要約や場面・情景・人物の心情とテーマなど、文学的文章・説明的文章の読解テクニックを身に付ける

記述問題は30~50字程度のものが出題されるが、全体の要約が必要なものやあまりに難しい心理を説明するような重い記述問題ではないので、同程度の字数の記述問題で練習して慣れておけば、それほど手間取らないだろう。

 

必ず詩の問題が1問出されるのが本校の特徴である。他校ではまったく見られない場合も多いので対策がおろそかになりがちだが、配点でも2割ほどを占めるので、大きく失点するわけにはいかない。

特別に難解な問題が出されるわけではない。中学入試レベルの教材で良いので、詩に特有の表現や技法に慣れておくこと。詩に多く触れて想像力を養うことは、長文読解にも大きく資するところがある。

 

漢字・その他

漢字は5~6問出題される。難しい漢字ではないので、標準的な漢字教材を1冊仕上げておけば対応できるだろう。

その他、接続詞・ことわざ・慣用句などの言語事項が2~3問合わせて出題される。全般的な国語の学習や読書を通じて覚えられるレベルであろう。

 

まとめ

選択肢問題と書き抜き問題が多いので、類似問題で慣れておく必要はある。全体の文章量と問題数の多さから、スピードも必要とされる。その他の点は、中学入試として適切な難易度で整えられているので、普段の学習で手を抜かず、読書にもできるだけ親しむ習慣も持てば、自信を持って試験に臨めるであろう。

ただ、2018年度以降では文章量が増え、問題の難易度が高くなった印象がある。今後の傾向に注意しておかれたい。

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2023年度「青山学院中等部の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

今年度の読解問題は論説文1題・詩・小説2第という構成であった。

小説12000字・論説文1800字・その他で計14000字ほどと、文量も多くなっている。ことばの知識は漢字や詩の技法、慣用句やことわざなどが数問出されている。

詩や論説文は解ける問題をてきぱきこなし、最後の長い小説になるべく急いで目を通して、設問にはひととおり手をつけたい。100点を目指す必要はないので、答えられそうな問題なのに解く時間が無かった、という事態は避けたい。

【大問1】漢字の書き取り

  • 難度:標準
  • 時間配分:2分

(1)   預(ける)

(2) 高層

(3) 領収書

(4) 誤(る)

(5) 帰属

【大問2】詩の鑑賞

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分

戦後の困難に耐えながら立ち直っていく人々を凧になぞらえて表現している。

 

(1) 人々の様子を風に抗いあるいは乗りながら上がっていこうとする凧に例えた「比喩(ひゆ)」の技法である。

(2) 年代的に、太平洋戦争後の日本のことを表現した詩だと読み取れる。

(3) この「風」は戦後を生きる人々にとっての、時にはつらく時には後押ししてくれるような社会状況の向きの比喩であろう。よい時は「順風」、悪い時は「逆風」に例えられるわけである。

(4) . 戦争で破壊され荒(すさ)んでしまった社会で徐々に立ち直ってゆく人々を「凧が揚がる」ことに例えたのである。

(5) 「物事が動き出して良い方向へと向かっていく様子」であるから、徐々に明るさを増してゆく「夜明けの空」のイメージが合う。

(6) 文の前半と後半が入れ替わっているので「倒置法」が使われている。

(7) 倒置は後ろに置く部分がより強調されるという効果がある。この場合は「鳴っている唸り」という音の表現が、困難に立ち向かう人々の前のめりの姿という映像を想起させるのである。

【大問3】論説分の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

パラスポーツについてよく考えることで、障害をめぐる決めつけや思い込みに気づかされると筆者は述べている。

(1)【1】 ブラインドであるからこそ研ぎ澄ませる力、「つまり」見えないことを前提とした常識・価値・知恵や能力。

  【2】 ちょっとブラインドサッカーがうまくなったところで「もちろん」視覚障害者の気持ちを完璧には理解できない。でも、「ちがい」と向き合い想像する手助けにはなる。

(2)   ウ. 「車いすバスケット」「ブラインドサッカー」といった呼称は、健常者でも条件を同じにすれば対等に戦えるという「誤解」を招く表現であるといえる。障害があるからこそ培われる優れた能力が考慮されていない言い方だからである

(3) ブラインドサッカーは「見えない」からこそ研ぎ澄まされる感覚を駆使して戦われているということに健常者はふだん気づかない。見えることを前提とした「あたりまえ」のように感じているその「常識や価値観が見事に転倒される」(第七段落冒頭)ことが傍線Bの「ショック」にあたると考えられる。

(4) 三字なら「関の山」などもよさそうだが、二字で「~結末」という意味であれば「おち」が入る。

(5) 健常者では獲得できない能力である。内容が合う部分は数か所あるが、字数が合うのは第三段落の「周囲の~能力」の部分である。

(6) . パラスポーツにおいては、障害者は健常者には得られない優れた能力を使って戦っているのであり、障害はスポーツに不利であるはずだという多くの人の常識は覆されてしまうのである。

(7) ほんの短時間体験しただけでパラスポーツを理解したような口を利くのは、障害者にとって「あたりまえ」の動きや状況判断が障害者ゆえの体験やトレーニングを通じて獲得された特別なものなのだということを理解していない浅はかな態度なのである。

(8) . テレビ番組を例に挙げて説明している第四段落以降の筆者の意見に合致している。

【大問4】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

母が亡くなってからの父の変化に、主人公はそれまで気づかなかった父の新たな内面を見る。

(1)   人間万事塞翁が馬――馬をめぐって幸福と不幸が入れ替わるように訪れたという中国の故事をもとにしたことわざ。人間の幸・不幸は予測できないのだから、安易に心をとらわれない方がよいという意味。

(2) 毎年繰り返される正月の母の父に対する恒例の小言であり、聞き飽きている主人公は真剣に耳を傾けていないのである。

(3) 突然家族が亡くなって葬儀の準備・応対に追われる状況は、会社でのトラブルに対処しているようなもので考える余裕などないのであろう。

(4) 庭いじりなど興味がないと公言していた手前、娘から指摘されてばつが悪いと感じながらも、亡き妻の代わりにイギリスには行ってやりたいという覚悟を変えない様子が、ちょっと乱暴な仕草に表れているのである。

(5) 何か興味を持ってそちらに意識を向けてくれた方が、100%自分が相手をしなくて済むので主人公は楽なのである。

(6) ① 庭は母ひとりが自分の好みに合わせて好きなように世話していた「母の趣味で飾られた庭」であった。

   ② 庭の手入れを楽しみにしている気持ちが、文末の「軽い足取り」に浮き出ている。

   ③ 旅行先での父の様子から、表面上は平気なふりをしていたが妻を亡くしたことを悲しんでいる本心がわかる。庭の手入れをすればいやでも妻の死が想起され、つらくなってしまうと考えて避けていたのだろう。

    内心は父をうっとうしく思っている主人公だが、庭があることで父の母への想いを確かめられ、父との関係も良くなることが想像される。「一緒に暮らせて嬉しい」と思える日が来ることを予感させる終わり方である。

【大問5】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:16分
  • ★必答問題

絵本が好きなあまり本を黙って持ち帰ってしまった少年と、主人公と図書館員の女性のやり取りが描かれる。

(1) 「思い立ったが吉日」や「善は急げ」が思い浮かぶが、ひらがなで六字なので後者が正解。

(2) 本を盗んだ犯人を見つけるためとはいえ、「図書館を利用してくれる人たちを疑ったり、見張るようなことは、してほしくない」と美弥子さんが発言している。

(3) 問題(2)を参照。主人公たちの犯人捜しのような行動を悲しく思っている。

(4) の「挽回するための方策」、の「感激」、の「事態の変化に不安」などは主人公の「頭の中を回って」はいない。

(5) 「変ですか?」という質問に、「変ではない」と答えてもらって、男の子でありながら絵本が好きでもおかしくないと肯定してほしい。

(6) 異なるアプローチで目標を達成したという点で、「北風と太陽」のパターンと同じである。

(7)  「警官」「刑事」などが考えられるが、「取り締まる」イメージがあるのは「警官」の方であろうか。

   ② 「あの…」と声をかけてきた時の男の子は「思いつめたような表情」であった。

   ③ 内容が当てはまる箇所はいくつかあるが、「イラストを描いた村田さん」に呼応して二十一字で抜き出せる「男の子のファンがいても、全然恥ずかしくない」の部分が正解となる。

攻略のポイント

最新年度も文章量の多い試験である。問題の難易度も高い。素材文の長文化は難関校全般に見られる傾向なので、スピードを意識した演習をこなして、最後までやり通す手際の良さを身に付けていただきたい

とはいえ、文量が多いと時間切れの恐れは出てくる。無理そうな問題には早めに見切りを付けて、できる問題を確実に答えるのも作戦である。

こつこつと手を抜かずに身につけた実力があれば合格圏に到達できる試験である。

文学的文章・説明的文章・詩のそれぞれに、苦手意識を持たずに地道に勉強に取り組んで欲しい。

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