青山学院中等部 入試対策
2017年度「青山学院中等部の算数」
攻略のための学習方法
典型問題
青山学院中等部は、2月2日に屹立する共学校の「雄」であり、その存在感は長い間変わることはない。かつては2科目受験の最難関校として高い倍率を維持し、4科目になった現在でも不動の人気を誇る難関校の一つである。
そして、その算数の入試問題は、これもまた長い間なじんできたスタイルを変えることなく、いわゆる「青学の算数」の足跡を残してきた。
しかし近年、試験時間の変動に伴い問題数も減少し、問題の難易度もいささか変化が見られる。一言で言えば「やさしくなった、取り組みやすくなった」ということだ。
難問にカテゴライズされる大問は減り、テストの後半であっても「問題集」でよく見かけるような典型題が顔を覗かせている。手元にある教材に載っている「標準問題」を多く解いていけば、とりたてて青学対策をしなくても「いいセン」まではいけるはずである。
標準的な問題を、高い正解率で解けるようにする。難問を解けるようになるよりははるかに容易なことである。つまり、高度なテクニックや高速スピードがなくても青山学院を受験することは出来るようになったと言える。
本年度の問題は、珍しく大幅に受験者平均点を下げ、問題の難化が進んだように見えるが、そうではなくて、受験生の質が低下したのでは、という気がしないでもない。
解法を身につける
そうは言っても、たやすく合格できるわけではない。中学受験生の中では抜きんでた力が必要であることは変わりない。
そのためには、まず「標準的な問題」の解法をできるだけ多く身につけること。
分からない問題があれば、塾や家庭教師の先生に質問するだろう。そのときに、先生方はすぐ答えてくれるはずだ。しかもその問題に最も適した説明もつけて。
それがなぜ可能かというと、先生方はその問題を見たあと、考えていないからだ。見た瞬間に、解き方が頭の中から舞い降りてきて、それを口にしているだけだ。つまり、解き方を「覚えている」と言うことになる。「そんなの当たり前じゃないか」という生徒は、その先生方に一歩でも近づくことが合格への道だと考えて欲しい。
「解法を身につける」ということはそういうことで、問題を見て読んで「考える」のではなくて「解き方が浮かんできて、それを実践できる」ということだ。
さて、先生たちにどこまで肉薄できるか?
スピード練習
解き方を身につけたら、今度はスピード練習と言うことになる。
青学の場合、平易になったといっても、約3分間で問題文を読み、解き方を浮かべ、実践して答えを解答用紙に書き込んでいかなくてはいけない。
そのための訓練としては、普段から解く速さを意識的に上げていくしかない。問題集を10問解く場合でも、それまでは40分かけていたところを、35分、30分…とかける時間を減らしていき、今の半分くらいのペースで解けるようにしておこう(もちろん正答率は変えずに)。
青山学院の場合、時間的なアドバンテージは非常に大きい。見直しにも時間がかけられるし、よもやの難問にも時間がかけられる。
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2017年度「青山学院中等部の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が14、小問が16。例年、同じ程度の水準・同じ分量で出題されている。
本年度は昨年度よりは問題の難易度が上がったものの、過去問をしっかり解いていれば十分にこなせるレベルである。
しかし、1問にかけられる時間は3分程度で、どの分野でもよどみなく解いていったとしても時間に余裕はない。速読即解の能力が必要になる。
【大問1~3】 計算問題
- 難度:易
- 時間配分:4分
- ★必答問題
【大問3】の複数の□をまとめる問題は苦手としやすいのでここでそのチェックをしておこう。3問ともきっちりと正解しておきたい。
【大問4】単位の換算
- 難度:易
- 時間配分:2分
今年も出題された青学名物「単位の計算」。
本年度は面積の単位なので比較的やりやすかったと思う。haにこだわらず、自分がやりやすい単位に直してあとからhaに直せばよい。
【大問5】分数
- 難度:易
- 時間配分:2分
この問題ももう見慣れたもので、しっかりと受験勉強を積んできたものであれば間違えようがない。片方は「かける」、片方は「割る」となっている点も問題ないだろう。
【大問6】条件の整理
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
ここでようやく考えなくては解けない問題に遭遇した。「つるかめ算」か「割合」かなどと解き方で迷うところだが結局は当てはまる数を探すという方法によるしかない。
Aが1、…から調べていくと、A=4のとき、B=15となって、9本のアイスキャンディーがもらえる組み合わせに当たることになる。Bの棒だと3人で1本しかもらえないことになるが、はたしてどのようにして食べたのかが気になる。
【大問7】年齢算
- 難度:易
- 時間配分:3分
年齢算の基本の確認にはもってこいのレベルであり、必ず正解しておきたい問題だ。
【大問8】角度
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
青学算数の過去問の中でもひときわ目立つのがこの折り返した図形の角度を求めるという問題だ。これまでの問題の中では最も水準が高いが過去問研究をしてきた生徒にはちょうどよいレベルの問題になっている。
しかし、問題文中にある「正方形の折り紙を対角線で半分に切ったもの」という箇所を見落とすと解けない。図形の問題では、図が与えられるとどうしても図のみに目が行きがちになるが、ヒントは意外と問題文にあることが多いので注意したい。
【大問9】ニュートン算
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
ニュートン算としては標準的な問題。ただし与えられている数字が少ないので、初めにできている行列を100(1時間40分)と30の最小公倍数300とおいて式を立てると計算がすべて整数になりスムーズに進む。
【大問10】平面図形の面積
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
単発ではよく出てくる等積移動の問題だが、4つとも移動して初めて求められる形となる。
ここは出来不出来の差が出たと思われるのできっちり正解しイニシアチブを取りたい。
【大問11】速さ(図形上の点の移動)
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
【大問10】に引き続き、差がついた問題だ。3つの点が重なる問題は解いてきたことと思うが4つの点が重なるとなると初めての可能性もある。
しかし、解き方は同じで2つずつの点が重なる時間を調べて、あとは時間に規則を見つける。重なる点の選び方は重なる時間が整数になるPとQ、RとS、PとRなどがよいだろう。
【大問12】割合と比
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
大きな表を見た時にはギョッとなるものの、聞かれていることは極めて基本的な割合の問題。
9人が(10-8=)2割に当たることが分かれば正解まではもう少し。
【大問13】水そうとグラフ
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
こちらも【大問12】同様、問題文と図が仰々しいわりには聞かれていることは標準的だ。
(1)は必ず正解しておきたい。
(2)は少しひねってきた。①と②の部分以外は、小石を入れてもグラフは変わらない(全体の時間は短くなるが)ということがわかれば正解まで到達できたであろう。
【大問14】速さの問題(通過算)
- 難度:やや難
- 時間配分:6分
- 最後の問題は解いた経験がなさそうな問題なので、失点してもやむをえまい。
与えられた速さと時間の単位もそろえなくては解けない。時間に余裕がある生徒はじっくり考えて正解を求めてみよう。
その時間が見つからなかった生徒ははじめに戻って見直しだ。
攻略ポイント
本年度に限って科目ごとの平均点が発表されていないので推測になってしまうが、4科目の合格最低点から見て、算数の合格点は「男子→60点、女子→70点」くらいかと思われる。
設問数は16問なので、11・12問程度正解すれば、そのレベルに到達する。
設問の難易を5段階で分けてみた。
◎(平易)>○>△>▲>×(超難問)という分類で、本年度の問題に関しては以下の通りになった。
大問1・2・3・4・5・6・7・9・12…すべて◎か○
大問8・9・10・11・13(1)・13(2)・14(1)…△
大問14(2)…▲
このうち、◎と○の設問にすべて正解すると受験者平均点くらいに、△以上の問題を3問解ければ合格ラインに達する計算だ。本年度の問題は昨年のものよりは後半にやや難しい問題も混ざっているので、8割取れれば算数の力はかなりある。
青山学院の算数で合格点を取るためには、標準的な問題を効率よく解き、さらに標準以上の問題にも手が出せれば十分だろう。あまり難しいことに時間を割かないほうが良い。
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