青山学院中等部 入試対策
2018年度「青山学院中等部の算数」
攻略のための学習方法
典型問題
青山学院中等部は、2月2日に屹立する共学校の「雄」であり、その存在感は長い間変わることはない。かつては2科目受験の最難関校として高い倍率を維持し、4科目になった現在でも不動の人気を誇る難関校の一つである。
そして、その算数の入試問題は、これもまた長い間なじんできたスタイルを変えることなく、いわゆる「青学の算数」の足跡を残してきた。
しかし近年、試験時間の変動に伴い問題数も減少し、問題の難易度もいささか変化が見られる。一言で言えば「やさしくなった、取り組みやすくなった」ということだ。
難問にカテゴライズされる大問は減り、テストの後半であっても「問題集」でよく見かけるような典型題が顔を覗かせている。手元にある教材に載っている「標準問題」を多く解いていけば、とりたてて青学対策をしなくても「いいセン」まではいけるはずである。
標準的な問題を、高い正解率で解けるようにする。難問を解けるようになるよりははるかに容易なことである。つまり、高度なテクニックや高速スピードがなくても青山学院を受験することは出来るようになったと言える。
本年度の問題は、珍しく大幅に受験者平均点を下げ、問題の難化が進んだように見えるが、そうではなくて、受験生の質が低下したのでは、という気がしないでもない。
解法を身につける
そうは言っても、たやすく合格できるわけではない。中学受験生の中では抜きんでた力が必要であることは変わりない。
そのためには、まず「標準的な問題」の解法をできるだけ多く身につけること。
分からない問題があれば、塾や家庭教師の先生に質問するだろう。そのときに、先生方はすぐ答えてくれるはずだ。しかもその問題に最も適した説明もつけて。
それがなぜ可能かというと、先生方はその問題を見たあと、考えていないからだ。見た瞬間に、解き方が頭の中から舞い降りてきて、それを口にしているだけだ。つまり、解き方を「覚えている」と言うことになる。「そんなの当たり前じゃないか」という生徒は、その先生方に一歩でも近づくことが合格への道だと考えて欲しい。
「解法を身につける」ということはそういうことで、問題を見て読んで「考える」のではなくて「解き方が浮かんできて、それを実践できる」ということだ。
さて、先生たちにどこまで肉薄できるか?
スピード練習
解き方を身につけたら、今度はスピード練習と言うことになる。
青学の場合、平易になったといっても、約3分間で問題文を読み、解き方を浮かべ、実践して答えを解答用紙に書き込んでいかなくてはいけない。
そのための訓練としては、普段から解く速さを意識的に上げていくしかない。問題集を10問解く場合でも、それまでは40分かけていたところを、35分、30分…とかける時間を減らしていき、今の半分くらいのペースで解けるようにしておこう(もちろん正答率は変えずに)。
青山学院の場合、時間的なアドバンテージは非常に大きい。見直しにも時間がかけられるし、よもやの難問にも時間がかけられる。
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2018年度「青山学院中等部の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が14、小問が16。
本年度も例年とまったく同じ分量であったが、意外だったのは、問題の質が大幅に上がったことである。近年は標準的な問題が大半を占めていた当校のテストであったが、本年度は大変に骨のある問題が並んでいて受験生は面食らった可能性がある。大昔の「青学算数」に戻ったようだ。ここ数年の過去問対策だけではカバーしきれなかったところもあり、ふだんの学習レベルが試されることとなった。もちろん、時間配分にも余裕はなく、実力者優位の問題構成となっている。
【大問1~3】 計算問題
- 難度:易
- 時間配分:4分
- ★必答問題
嵐の前の静けさのような、凪いだ海のような計算問題で注意すべきこともない。このあと波乱の展開が待っていようとは思いもつかないようなすべり出しである。
<時間配分目安:4分>
【大問4】植木算
- 難度:易
- 時間配分:3分
- ★必答問題
全体の長さを求めても結果的には正解できるが、のりしろの長さの和は等しい、ということを使えば短時間で答えを求めることが出来る。基本的な問い。
<時間配分目安:3分>
【大問5】売買損益の問題
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
入試問題における定番。ここでは定価を①とすると、計算がやや簡単だった。が、仕入れ値を①としてもさして難度は変わらない。ここまでは確実に全問正解しておきたい。
<時間配分目安:3分>
【大問6】割合と比
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
前の問題同様、全体の値を①として式を立てて問題を解いていく、標準的な問題。正解してもらいたいのはやまやまだが、テスト全体としてみるとこの問題から点差が開き始めると思われる。間違えた生徒は必ず解き方を身につけておこう。
<時間配分目安:3分>
【大問7】平面図形
- 難度:易
- 時間配分:3分
- ★必答問題
規則性の問題を含む、円周を求める問題。両端のおうぎ形を中心角240度のものに、間のおうぎ形を中心角60度×2として求めれば良い。円周率の計算はまとめておけるように。
<時間配分目安:3分>
【大問8】差集め算(つるかめ算)
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
【大問8】から問題が急に難しくなり、最後までその質は落ちないのでここからが正念場だ。はたして、いくつ正解できるか…
ももやみかんの個数が奇数であることからA・B・Cのつめあわせを数を限定して上で、それぞれの個数の差に目をつけて「差集め算」として解いていくか、またはももの総数から3種類の「つるかめ算」として解いていくか、道が分かれる。
結果的には「差集め算」のほうが早く正解にたどり着くことが出来るが「つるかめ算」のアプローチも悪くはない。いずれにしても、ここは正解できるかどうかがポイントになる問題で、点差が開いたことは確実だ。
【大問9】平均算
- 難度:やや難
- 時間配分:4分
全教科の科目数がわからないので面積図を使った平均の問題と言うことになるが標準を上回る難易度であり、ここも点差が開く問題となった。
算数と国語の点数の差が24点、またそれぞれの科目をのぞいた平均点の差が3点(=1.75+1.25)という条件から科目数が一挙に求められると答えまではすぐ、となるものの、いつもの解き慣れている平均の面積図問題とは異なるので脂汗を流したことだろう。
<時間配分目安:4分>
【大問10】角度
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
青学算数の過去問の中でもひときわ目立つのがこの折り返した図形の角度を求めるという問題だ。ただし高い難易度を誇った昨年度の問題に比べると、本年度は標準的な問いなので後半ではあるもののぜひ正解しておきたい。折り返す前の「等しい角に印をつける」作業はぜひ習慣づけておきたい。
<時間配分目安:3分>
【大問11】水の深さと体積
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
問題自体が難しいかどうかと言うより、問題文の意味を理解できるかどうかが大切な問題で、内容か理解できればそれほど難しい問題ではない。しかしその前ではじかれてしまう可能性が高そうだ。
与えられている図は直方体Aが今まさに直方体の容器に入っていくところだが、このとき同時に水が注入されていく。そして、Aが底面まで沈んでいき、水深が増える中を今度は上昇、そしてその途中で容器の中の水が満水になるという流れだ。典型的な問題では水ははじめから入っているあるいは満水の場合が多く、水がこぼれでもしない限り水量に変化はないという問題が多いので今回は苦労したことだろう。
満水になったときの、Aが容器の中に入っている長さを求めればそこまでに動いた長さ(44+44-容器の中の長さ)もわかるので答えまで到達することが出来る。
しかしここは【大問8】同様レベルが高く、合格点から鑑みとて失点もやむなしかもしれない。
<時間配分目安:5分>
【大問12】平面図形の面積
- 難度:標準
- 時間配分:3分
おうぎ形の面積から三角形の面積を2つひけば色のついた部分の面積が求まることはすぐわかるので、ポイントは引き算する三角形のうち面積がわかりにくいほうが直角二等辺三角形だと理解できるかどうか、にかかっている。それがわかれば簡単に解けるし、気づけないといくら考えても正解には行き着けない。点差が開く問題といえよう。
<時間配分目安:3分>
【大問13】立体図形
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
立体図形の体積や表面積に比をからめた問題で、実際の大きさが表記されていないのでわかりにくい問題となっている。しかし青学の問題をずいぶん前のものから解いてきた生徒には案外なじみのある内容かも知れない。
(1)では、切り分けたあと、アとイの表面積の和が32(=3×4+5×4)とわかればしめたもの!7:9に比例配分するとア・イ側面の高さの比が2:3とわかるので、底面積が等しいことから、体積比も2:3とわかる。
(2)今度は側面積の和が16(3×2+5×2)になることからこれを2:3にわけて底面積との和を求めていく。答えがハンパになるので心配は募るものの解き方は合っているので次に進もう。
<時間配分目安:5分>
【大問14】速さの問題(旅人算)
- 難度:難
- 時間配分:3分
-
(1)では2人がすれ違うまでに泳いだ距離の比から速さの比が求まるので50mを比例配分すれば簡単も正解できる。
難しいのは(2)で、この設問もまたアンタッチャブルなものとしてパスもやむなし。
はじめに戻って答え合わせを行っていこう。<時間配分目安:3分>
攻略のポイント
本年度もまた科目ごとの平均点が発表されていないので推測になってしまうが、4科目の合格最低点から見て,算数の合格点は「男子→50点,女子→60点」くらいかと思われる。
設問数は16問なので、8~10問程度正解すれば、そのレベルに到達する。
設問の難易を5段階で分けてみた。
◎(平易)>○>△>▲>×(超難問)という分類で、本年度の問題に関しては以下の通りになった。
大問1・2・3・4・5・6・7・10…すべて◎か○
大問12・14(1)…△
大問8・9・11・13…▲
大問14(2)…×
こうしてみると、本年度は問題の難易の差が大きかったことがわかる。合格点を考えると、◎と○の設問にすべて正解するとおおよそ男子の合格最低点、△以上の問題を2問解ければ女子合格ラインに達する計算だ。
青山学院の算数で合格点を取るためには、標準的な問題を効率よく解き,さらに標準以上の問題にも手が出せれば十分だろう。あまり難しいことに時間を割かないほうが良い。
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