青山学院中等部 入試対策
2020年度「青山学院中等部の算数」
攻略のための学習方法
典型問題
青山学院中等部は、2月2日に屹立する共学校の「雄」であり、その存在感は長い間変わることはない。かつては2科目受験の最難関校として高い倍率を維持し、4科目になった現在でも不動の人気を誇る難関校の一つである。
そして、その算数の入試問題は、これもまた長い間なじんできたスタイルを変えることなく、いわゆる「青学の算数」の足跡を残してきた。
しかし近年、試験時間の変動に伴い問題数も減少し、問題の難易度もいささか変化が見られる。一言で言えば「やさしくなった、取り組みやすくなった」ということだ。
難問にカテゴライズされる大問は減り、テストの後半であっても「問題集」でよく見かけるような典型題が顔を覗かせている。手元にある教材に載っている「標準問題」を多く解いていけば、とりたてて青学対策をしなくても「いいセン」まではいけるはずである。
標準的な問題を、高い正解率で解けるようにする。難問を解けるようになるよりははるかに容易なことである。つまり、高度なテクニックや高速スピードがなくても青山学院を受験することは出来るようになったと言える。
本年度の問題は、珍しく大幅に受験者平均点を下げ、問題の難化が進んだように見えるが、そうではなくて、受験生の質が低下したのでは、という気がしないでもない。
解法を身につける
そうは言っても、たやすく合格できるわけではない。中学受験生の中では抜きんでた力が必要であることは変わりない。
そのためには、まず「標準的な問題」の解法をできるだけ多く身につけること。
分からない問題があれば、塾や家庭教師の先生に質問するだろう。そのときに、先生方はすぐ答えてくれるはずだ。しかもその問題に最も適した説明もつけて。
それがなぜ可能かというと、先生方はその問題を見たあと、考えていないからだ。見た瞬間に、解き方が頭の中から舞い降りてきて、それを口にしているだけだ。つまり、解き方を「覚えている」と言うことになる。「そんなの当たり前じゃないか」という生徒は、その先生方に一歩でも近づくことが合格への道だと考えて欲しい。
「解法を身につける」ということはそういうことで、問題を見て読んで「考える」のではなくて「解き方が浮かんできて、それを実践できる」ということだ。
さて、先生たちにどこまで肉薄できるか?
スピード練習
解き方を身につけたら、今度はスピード練習と言うことになる。
青学の場合、平易になったといっても、約3分間で問題文を読み、解き方を浮かべ、実践して答えを解答用紙に書き込んでいかなくてはいけない。
そのための訓練としては、普段から解く速さを意識的に上げていくしかない。問題集を10問解く場合でも、それまでは40分かけていたところを、35分、30分…とかける時間を減らしていき、今の半分くらいのペースで解けるようにしておこう(もちろん正答率は変えずに)。
青山学院の場合、時間的なアドバンテージは非常に大きい。見直しにも時間がかけられるし、よもやの難問にも時間がかけられる。
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2020年度「青山学院中等部の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が14、小問が16。本年度も例年と同じ分量であったが、問題の質は、一昨年度「難」・昨年度「標準」と比べるとその中庸に当たるレベルとなり、合格に必要な点数を考えると、男子は60%、女子は70%の得点となるだろう。
前半が標準的・後半が難易度の高い問題という図式に変わらないものの、本年度はやや「易」「難」の問題が入り交じっており、問題選択が合否のカギを握った。中盤にあっても難易度が高いと感じた問題は深追いせず、与えられた50分間でまんべんなく問題に目を配り、解ける問題をしっかり正解して先に進もう。そうすれば、時間不足になると言うことはあるまい。
【大問1~3】計算問題
- 難度:易
- 時間配分:3分
- ★必答問題
本年度も取り立てて解説が必要にならない基礎レベルの計算問題だった。最近の傾向から計算問題は今後もこの水準で落ち着くものと思われる。確実に得点したい。
【大問4】単位
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
前半では、この【大問4】と【大問7】は得点差がつくところである。「青学の単位換算」に関してはこれまでの過去問演習で慣れていると思われるが今回もまた計算ミス・ケタのミスなどを誘うレベルである。本年度はさらに面積の縮尺もからめてきている。要注意だ。20mmを2cmと表すと、降水量がcm3で求められるので、それを500cm3(=500mL)でわればペットボトルの本数が出る。
【大問5】相当算
- 難度:易
- 時間配分:3分
- ★必答問題
これはきわめて基本的な問題で、考え方も容易に浮かんでくるだろう。割合がからむ集合の問題は、線分図に条件をまとめて解くやり方をおすすめする。
【大問6】割合
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
こちらも割合を使った問題になっているが、素直に入っている水の値を求めていけば答えにつながるというやはりイージーモードの問題になっており正解必須の問題。かえってはじめの水量を1とおいて…と相当算風に考えていくと時間を費やしてしまうことになる。
【大問7】旅人算
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
比を用いることなく、速さの公式を駆使して二人の間の距離を求めていく良問で、応用がかった「旅人算」の良い勉強になる。
450÷90=5(分)
(90+60)×5=750(m)…ひろし君が学校に着いたときの二人の間の距離
750+60×8=1230(m)…さらにその8分前の二人の間の距離
ただし、ひろし君は5分先に家を出ているので
(1230-90×5)÷(90-60)=26(分後)…二人の間の距離が1230mになる時間
このことから、ひろし君は、家から学校まで(26+5=)31分かかったことがわかる。
正解すれば前半での貴重なアドバンテージとなる。
【大問8】平均算
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
この問題では、平均を使い出す前、つまり割合から女子の人数を求める方がポイントになっていて、それが求まれば男子の人数も出て、あとはオーソドックスな平均算で答えが出せるようになっている。はじめは女子の人数は全体の64%なので、男子:女子は36:64=9:16、欠席した男子を加えると女子の人数は全体の60%となるので40:60=2:3、ここで女子の比をそろえると比1あたりの人数が求まる。あとは計算に気をつけさえすれば良い。
【大問9】速さと比
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
エスカレーターを使った速さの問題は「流水算」の応用問題として解いたことがあると思う。しかしいつもの問題とは違いかかった時間の比を求めなければ答えが出ないので苦戦を強いられるところだ。思わずつまってしまったら先に進むということも考えて良い、はじめての大問である。
【大問10】平均算
- 難度:易
- 時間配分:4分
- ★必答問題
青山学院中等部ではしばしば平均を使う難問が出題されてきたが、本年度の2問はいずれも基本的な解法を確認するレベルのそれに落ち着いている。ここでも3種類の平均の面積図解法になるが、青学志望者にとっては赤子の手をひねるようなものだろう。どうしても3種類はイヤ、という御仁はAとBの平均を先にとれば2つにまとめられる。テストはもう後半戦に入っているがここは落とせない大問だ。
【大問11】図形の平行移動
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
直角二等辺三角形に向かって、2つの正方形が移動していき、3枚が重なる面積を求める問題なので受験生たちはおそらくおそるおそる正方形を動かしていったことだろう。はたして、どんな複雑な図形が表れるのか…そして、正しく移動し終わったときの感想は「なあんだ。助かった」。そして、安堵の気持ちをもって計算に取りかかれたはずだ。直角二等辺三角形のあつかいさえ間違えなければ平易な求積問題である。とんでもない難問になる可能性を秘めながらも、結果的には優しく点数をくださる問題となった。ところで、この移動で正しい作図が出来なかった生徒は猛省して作図の練習をしておこう。
【大問12】平面図形(まわりの長さ)
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
本年度「折り返した図形の問題」は「角度」ではなくて「まわりの長さ」、しかもおうぎ形の弧だけで形成されているのであまり難しさは感じられない。弧ADは中心角が90度、あとの弧AE、EO、ODはいずれも中心角が60度のものである。円周率の計算はしっかりとまとめて計算できるようにしておきたい。
【大問13】立体図形(容器と水)
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
この内容でもかつては難問をいくつも排出してきた青山学院中等部だが、今回は「やや難」にとどまった。いずれの問いにも、小細工することなく手前の平面図形の面積を求めていくという解法で答えまで行き着く。【大問11】と同じく、直角二等辺三角形のあつかいに気をつけたい。
図1から、手前の長方形の面積を(10×13.7=)137(cm2)と求めておき、図2では6cm×アの長方形と右側の四角形にわけ、底辺10cm、高さ5cmの直角二等辺三角形から底辺・高さとも4cmの直角二等辺三角形をひいて右側の四角形を求め、137から引けば答えにつながる。図3では137から底辺10cm、高さ5cmの直角二等辺三角形をひいて大きな台形を残し、上底と下底の差が10cmとわかれば答えも求まっていくだろう。
標準レベルを超えてはいるので2つともの正解は求めないがどちらかはあてておきたいところだ。
【大問14】集合算
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
2年連続して最後の締めくくりは「集合算」の難問となった。そして、昨年度同様(2)は「難」レベルの問いになっているので(1)は答えを出しておき残った時間は答え合わせに当てるのが現実的か。
(1)では、あんパンとクリームパンだけに話をしぼると、それぞれの売れた個数からまず8個ずつ引く(500円で3個とも買った人の数)。さらにあんパンからは26個、クリームパンからは32個をひくと、パンを2個買った生徒の数だけが残るので答えが求められることになる。
攻略のポイント
本年度もまた科目ごとの平均点が発表されていないので推測になってしまうが、4科目の合格最低点(男子178点・女子200点)から見て,算数の合格目標点は「男子→60点,女子→70点」くらいになるだろう。
設問数は16問なので、10~12問程度正解すれば、そのレベルに到達する。
設問の難易を5段階で分けてみた。
◎(平易)>○>△>▲>×(超難問)という分類で、本年度の問題に関しては以下の通りになった。
大問1・2・3・4・5・6・8・10・11・12…すべて◎か○
大問7・9・13・14(1)…△
大問14(2)…▲
前述通り、本年度は「易」「難」の問題が入り交じっており、問題選択を誤ると点数に大きく響く年度となった。合格点を考えた場合、◎と○の設問にすべて正解すると男子の合格ラインは超え、△以上の問題を2問解ければ女子合格ラインに達する計算だ。
青山学院の算数で合格点を取るためには、普段から標準的な問題を効率よく解き,(女子の場合は)さらに標準以上のやや難しい問題にも手が出していければよいだろう。男子難関校にあるような、あまり難しい問題に時間を割かないほうが良い。
志望校への最短距離を
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