｢漢字の読み書き｣(｢書き取り｣８問と｢読み｣２問)。｢傍線部①～⑧のカタカナを漢字で、⑨･⑩の漢字をひらがな｣で答える。

本年度はなかなか厄介だ。例年と比して難易度が高い。注意すべきものを確認する。

②｢書類をイチランした｣＝｢一覧｣

⇒｢覧｣は誤字の頻度が高いので要注意｡

③｢関係機関によるササツ｣＝｢査察｣

⇒難問、｢状況を視察すること｣という意味も押さえておくこと。

⑤｢相続税のエンノウを申し出ないと｣＝｢延納｣

⇒馴染みがないだろうが、｢文脈｣から判断したい｡

⑥｢流派の家元のことをソウケと呼ぶ｣＝｢宗家｣

⇒知らなくて当然、｢捨て問｣でいい。

⑦｢政治家は国民の思いがどこにあるかリュウイして｣＝｢留意｣

⇒｢ある物事に心をとどめて、気をつける｣という意味と合わせて定着させたい熟語｡

⑨｢目の敵にして｣＝｢かたき｣

⇒｢憎んで敵視すること｣＝｢目の敵｣という用法で覚えておきたい｡

⑩｢一念発起｣＝｢ほっき｣

⇒｢あることを成し遂げようと決心する｣という定番の｢四字熟語｣だ。

曖昧(あいまい)なものがあった諸君は、未だ本校の求める｢語彙レベル｣には達していないと心得て、精進せよ。

高校３年生でサッカー部員の｢宮島大地(＝ぼく)｣は一度も公式戦に出場したことがないが、母を亡くしてから同居している｢絹子伯母(おば)さん｣には｢レギュラー｣だと嘘(うそ)をついていた――家族、仲間、将来……、迷いながら自分だけのポジションを探し出していく物語。本文では、｢伯母さん｣が交際相手の｢田崎さん｣という男性を招き、｢ぼく｣に紹介した日の出来事が描かれている。｢前説｣と｢注｣で物語全体の背景が説明されているので、内容は分かりやすい。本校らしい多種多様な小問が並ぶ。｢設問内容｣にひねりが加えられているので注意したい。以下、いくつかを検証してみたい。

[問一]　｢空所補充の漢字記述｣(｢１字｣指定)。本文中に２箇所ある空所 Ａ に｢入る同じ漢字一字｣を答える。

空所前後を確認したい。｢製 Ａ 会社で働いてます。新聞とか本とかカタログとか、そういうものにつかう Ａ をつくる会社です｣となっている。まるで｢社会｣の問題だ。当然、｢答え｣は｢紙｣だと分かるはずだ。意表を突く問題だが、臨機応変に対応したい。

＜時間配分目安：30秒＞

[問二]　｢心情説明選択肢｣(４択)。傍線部①｢何一つ問題を起こさない、よく出来た高校生だ｣について、｢大地はこれを聞いてどう思ったか｣を答える。

｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡ここは｢心情説明｣なので、｢よく出来た高校生だ｣という表現の｢原意｣を考え、その｢反応｣としての｢心情｣と結びつかない各選択肢の｢文末｣を｢消去｣していきたい(最重要要素は選択肢の｢文末｣に記されている)｡確認する。

(ア)｢白けた気分になった｣､

(イ)｢残念だった｣､

(ウ)｢おもしろくなかった｣､

(エ)｢心配になった｣｡

どうだろうか？ ｢よく出来た高校生｣といわれたときの｢反応｣なのだから、(イ)と(ウ)は｢消去｣できるはず。残り２択だ。

次に、｢同一場面｣から｢消去｣の｢手がかり｣をつかみたい(｢小説｣は｢同一場面の直前直後に手がかり･ヒントあり｣が鉄則)。直後の３段落で、｢大地｣の｢反応｣が語られており、最後の段落に｢ぼくは限界を迎えつつあった｣とある。そこから、｢大地の機嫌をとろうとするのがわかり｣と説明されている(ア)は｢消去｣で、｢実際の自分を知って失望させるのではないか｣となっている(エ)がふさわしいと判別できる。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、｢答え｣は(エ)でいいい。本問は｢２段階消去｣となったが、先ずは｢原意消去｣を試みることが肝要。

＜時間配分目安：２分半＞

[問五]　｢空所補充の理由説明記述｣(｢10～15字以内｣指定)。傍線部④｢すごい理屈だ｣について、｢このように思った理由を説明した文中の空所                   に入る表現｣を｢十字以上十五字以内｣で記述する。｢説明文｣は｢担任の先生の言葉はいろいろな意味にとれるが、伯母さんは                   から｡｣となっている。

｢同一場面｣から｢状況｣を読み取りたい。直前から、｢伯母さん｣の｢あの先生がうそをついてまで大地をほめたいと思ってくれたってことなんだから｣という言葉に対して、｢大地｣が｢すごい理屈だ｣と思っていることが分かるはずだ。また、直後には｢前向きすぎる｣とある。つまり、｢伯母さん｣は｢先生の言葉｣の真意は何であれ、｢ほめられた｣と｢前向き｣に捉えているわけだ。こうした内容を空所に合わせて簡潔にまとめる。

たとえば、｢(担任の先生の言葉はいろいろな意味にとれるが、伯母さんは)強引に前向きなほめ言葉と考えた(から｡)｣(15字)といった｢答え｣だ。｢小説｣では、前後の｢文脈｣を正確に読み取ることが肝要。

＜時間配分目安：２分＞

[問八]　｢内容説明選択肢｣(４択)。傍線部⑥｢田崎さんは、伯母さんと結婚するんですか？｣について、｢大地は田崎さんとの今後の関係をどのように考えているか｣を答える。

先ずは｢原意消去｣だが、本問で直接問われているのは傍線部ではなく、｢問題文｣の方だということに注意したい。よって、｢田崎さんとの関係｣という｢原意｣と結びつかないものを｢消去｣することになる。各選択肢の｢文末｣を確認する。

(ア)｢田崎さんに自分の気持ちを伝えようと思っている｣､

(イ)｢田崎さんにそのこと(不満だということ)を言ってよいかどうか迷っている｣､

(ウ)｢田崎さんとどのくらいの距離を取るべきか探ろうとしている｣､

(エ)｢田崎さんに気に入られようとしている｣｡

｢(田崎さんとの)関係｣ということは、(ウ)以外は｢消去｣できなくてはいけない。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、｢答え｣は(ウ)だ。ここでは｢一発消去｣、やはり、｢原意消去｣は活用すべきだ。

＜時間配分目安：１分＞

子どもと向き合う大人たちに大切にしてほしいこととは？――あふれる情報や人の意見に惑わされずに生きるにはどうすればよいかを自由な発想で論じ、｢考えるヒント｣を指摘している。

本文では、｢自分で考えることの大切さ｣を､｢天気予報｣や｢予言｣などの具体例を挙げながら論じている。やや難解な語句があるが、｢注｣を活用して内容を理解したい。本大問は、｢抜き出し｣を含めて設問内容で｢換言説明｣が半分以上を占めているので、｢原意絶対優位の原則｣を特に意識したい。いくつかを確認しよう。

[問一]　｢換言説明抜き出し｣(｢５字以内｣指定)。傍線部①｢そもそも『予報』なんですから、ほんとうのことはわからない、という大前提があります｣について、｢この『大前提』を筆者は別の個所でどのように言いかえているか｣､｢それを表すもっとも適切な表現｣を｢五字以内｣で抜き出して答える。

｢抜き出し設問｣では、｢抜き出すべき内容｣を特定してから｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。｢内容｣は傍線部のとおりで、｢ほんとうのことはわからない｣ということだ。｢範囲｣は｢同一意味段落｣(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢手かがかり･根拠｣がある)。ここでの｢同一意味段落｣の範囲には注意したい。本文冒頭から最初の｢中略｣の次段落までになる(通常は｢中略｣をはさまないが、ここでは内容的に後の段落も含まれると判断したい)。丁寧に探していくと、その｢中略｣後の段落の中ほどに｢明日のことや、一寸先の闇について、想像はできても……｣という部分がある。｢闇｣と｢わからない｣が結びつく。｢字数｣もＯＫだ。したがって、｢一寸先の闇｣が｢答え｣となる。尚、｢抜き出し｣では、｢候補｣はひとつとは限らないので、必ず｢抜き出し範囲｣の全てを確認することが肝要だ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問三]　｢空所補充の表現選択肢｣(４択)。｢総合的知識問題｣。｢ことわざ｣だ。本文中の空所   Ｂ   に｢入れる表現｣を答える。

空所前後を確認する。｢このことわざは、   Ｂ   という意味｣だ。｢指示語｣があるので開く(｢指示語｣が出たら即開くこと)。直前から、｢このことわざ｣＝｢おぼれる者は藁(わら)をもつかむ｣だとすぐに分かる。誰もが知っているはずだ。｢答え｣は選択肢(ア)の｢役に立たないものでも、困っているときはすがってしまう｣だ。本校志望者は｢ことわざ｣に限らず、｢故事成語｣｢四字熟語｣なども確実に定着させておくことが求められる。

＜時間配分目安：30秒＞

[問五]　｢換言説明選択肢｣(４択)。傍線部③｢人を信じさせる魔力がありました｣について、｢どういうことか｣を答える。

典型的な｢換言説明｣だ。無論、｢原意消去｣が最優先｡｢魔力｣という｢比喩表現｣の｢原意｣と結びつかない選択肢を｢消去｣していく。｢文末｣と照合する。

(ア)｢出来事が起こりうること｣､

(イ)｢心から頼りきること｣､

(ウ)｢信じたくなること｣､

(エ)｢冷静な判断ができなくなること｣｡

｢信じさせる魔力｣なのだから、｢信じたくなる｣以外は即｢消去｣できるはずだ。他の部分の説明も特には誤っていない。よって、｢答え｣は(ウ)となる。本問も｢一発消去｣だった。畏るべし！｢原意消去｣｡的確に用いることにより時間を短縮せよ。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問十一]　｢換言説明記述｣(｢40～50字以内｣指定)。傍線部⑨｢見る方は、その『本』を制作者が調理したものを見ています｣について、｢それはどういうことか｣を｢四十字以上十五十字以内｣で説明する。

この｢換言説明｣も｢調理したもの｣という｢比喩表現｣がポイントとなる。先ずは、何の｢制作者｣なのかを｢同一意味段落｣から読み解きたい。前の２段落から、｢テレビや映画｣の｢制作者｣だと分かる。また、ここでの｢本｣は｢台本｣のことだとも判明する。では、どのように｢調理｣したのか？ ２段落前で｢テレビや映画は、受け身で見ることができ｣｢見る人があまり考えないでも楽にわかる、あるいは知ることができるように作られている｣と説明されている。これらが説明すべき要素ということになる。あとは、｢指定字数｣を考慮して｢過不足なく｣まとめていきたい。

たとえば、｢テレビや映画を見る側は、制作者が台本に基づき作ったものを、あまり考えずに受け身で見ているということ｡｣(50字)といった｢答え｣になる。｢換言説明記述｣では、｢元の文｣の各要素をできるだけ忠実に｢換言｣することが肝要だ。

＜時間配分目安：３分＞