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麻布中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「麻布中学校の理科」
攻略のための学習方法

知識よりも現象を理解する力、考える力を問う意図が明らかな設問である。「一度解いた問題を確実に解けるようにしていく」という一般的な学習アプローチが通用しないどころか、そうした学習観が当たり前になっているとかえって問題を解きにくい。

今では塾で志望校別の対策が提供されることも多いが、受講するにせよ「教わったことをできるようにする」のではなく、「教わっていないことをできるようにする」ことが対策の主要なテーマであることを頭に置いておきたい。

そうは言っても、標準的な問題集に掲載されているような知識や解法は身につけておく必要がある。そこでお薦めしたい学習法が、「未習単元の問題を、参考書の解説を見ながら自力で解く」というものである。特に5年生までの学習段階では有効だろう。その際、「正解できるかどうか」や「正しく理解できるかどうか」はあまり重要ではない。あくまでも「考える手がかりを自ら探す」姿勢と力を身につけるのが目的である。

6年生の段階で対策を始める場合、未習内容が少なくなるため練習が難しい。もちろん、既に学習した範囲の理解が危ういようなら復習が必要だが、その際にも参考書を片手になるべく自力で解決させるのが良い。
一方、きちんと学力が身についているのであれば、高校の教科書や問題集を用いた同様の練習が考えられる。特に生物や化学は高校で学習する内容を手直ししたものが出題されやすいので、役に立つこともあるだろう。
ただし、この場合もポイントは知識の獲得にあるのではない。「知らないからといってあきらめない」という思考習慣を身につける、この一点に尽きる。

全般に、知識面で言えば標準的な問題集をこなせるレベルで十分である。どちらかと言えば、本番で考えさせられることを覚悟しておこう。ただし、分野ごとに身につけておくと役立つ視点があるため、以下を学習の参考にして欲しい。
また、時事的なテーマは狙われやすいので、実験や発見の内容について大まかに知っておくと良い。

生物分野

生物の持つ仕組みや特徴が「生きていくうえでどのように役立つのか」という視点を持って学習を進めておきたい。また、実験・観察に関する考察問題やグラフの読み取りは重点的に練習しておくこと。

地学分野

天体運動や気象の仕組みを地球の自転や公転と関連付けて説明できるようにしておくこと。特に、天体は作図できることが重要である。地層については複数地点の柱状図からある地点の柱状図や距離を推定させるような問題に慣れておこう。

物理分野

物理では大問3における「慣性→坂道」の置き換えのように、「つまりこの状態と同じ」と単純化できるかどうかが鍵になる。そのような視点を持つためには、応用〜発展レベルの問題にたくさん触れておくことが望ましい。正しい答えを出すこと以上に、「こういうパターンはこう捉える」というセオリーを押さえる意識で学習を進めること。

化学分野

本年度に出題が見られた原子や分子の話は本来小学生の学習範囲を超えるのだが、モデル図の形をとって中学入試では度々出題される。化学反応の問題でよく使われるので、練習して慣れておきたい。高校化学範囲の出題としては、他に中和熱・溶解熱などが挙げられる。

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2017年度「麻布中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は4題、小問数は33題で40点満点。試験時間が50分であることを考えると余裕があるように思われるかもしれないが、単純に知識を答えれば済むような設問はほとんど見られず、長々とした説明や実験の理解をもとに考えさせる問題が多いことから、全問を丁寧に解答すると時間はほとんど余らないだろう。

【大問Ⅰ】化学分野:原子核のつくり

  • 難度:やや難
  • 時間配分:15分
  • ★必答問題

原子核のつくりや核壊変の知識を学んだことのある小学生はごく少数だろう。つまり出題者が見たいのは、問題文を丁寧に読み込んで理解する力である。

問1 ニホニウムの名称を問うだけの時事問題。知らなければお手上げ。

問2 長々とした原子核モデルと粒子X(α粒子)についての説明が理解できていれば、単なる引き算の問題だと分かる。

問3 200秒時点の数を半減させるのみ。あっさり解いてしまいたい。

問4 問題文で「0秒後→50秒後」、「50秒後→100秒後」の割合が共に(  a  )という文字で表されていることに注目したかどうか。この点に気付けば、(  a  )×(  a  )=0.5となるような値を考えれば良いと分かる。

問5 問2を解く際に読んだはずの文章中にある、「核どうしはおたがいに反発します」の記述が鍵。

問6 36万×80兆個の核Eを発射することで新しい核が1つ得られる。1秒あたり2兆個の核Eを1000日間発射し続けると、2兆×60×60×24×1000個の核Eを発射することになるから…あとは割り算するだけ!分数式を用いて約分しながら答えを求めるのは言うまでもない。

問7 ◯(陽子)が113個の状態から8個減っていることに注目。粒子Xが1回放出される度に◯が2個ずつ減ることから、粒子Xの放出は4回と分かる。

問8 これも情報処理力が問われる問題。まず、「図4に示した核Eを核Fにぶつけ」たことで、40+126=166個の●を持つ核が作られる。次に「●が1つ放出され」たことで●の数が166−1=165個となった後、問7の結果から●を2個持つ粒子Xが4つ放出されるので、最終的な●の数は165−2×4=157個となる。

【大問Ⅱ】生物分野:植物の発芽と成長

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分

知識問題は中堅校と同等かそれ以下のレベル。どちらかと言えば、実験や表を理解する力、考察する力が重点的に問われている。

問1 本問では「日かげを好むもの」に当てはまるのがコケとキノコだけなので分かりやすい。ただ、日かげを好む種子植物(ドクダミなど)もきちんと覚えておくこと!

問2 種子の発芽条件は基本中の基本。

問3 「約70%の雑草は…光があたるようになると、それを感じ取り、発芽し始めます」というリード文の記述と問2の解答を参考にすれば、土をほり返す処理が他よりも発芽条件を改善しそうだと分かるはず。

問4 日あたりの良い場所では「日中の温度が上がる」点をふまえて考えれば良い。

問5 それぞれの選択肢の記述と、実験結果もしくは表の数字とを見比べれば簡単に答えられる。

問6 実験Dとは逆に、赤色光を遠赤色光よりも強くすることを考える。この際、比較したい条件以外の要素(この場合は赤色光の強さ)を同じにするのは実験の基本。

問7 仮説2が正しいとすれば、発芽に必要な赤色光の強さは遠赤色光との強弱関係にかかわらず一定となるはずである。

問8 「水」を答えても間違いとは言えないのだが、問2(発芽条件)の存在を考えると、「発芽には必ずしも必要とされない」光と肥料の2点を答えるのが無難。なお、「養分」と言ってしまうと種子に貯えられた養分との区別がつかなくなる。教科書通りに「肥料」と答えておく方が良いだろう。

【大問Ⅲ】物理分野:物体の運動

  • 難度:やや難
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

慣性がテーマ。前半は乗り物の減速や加速に伴う物体の動きを考えさせる定番の問題。球は床の動きと無関係に全体が慣性に従うが、転がらない物体や人は接地面が床と同じように動く一方で上方は慣性に従うという動きのズレが発生し、倒れようとする点を押さえておく。
問6以降は、慣性を坂道で止まっている際にかかる力と同じように考えさせる問題である。特に問7と問8はこの視点に気付かないと正解するのが難しい。

問1 急停止に伴い、ボールは全体が慣性に従って前に動き続ける。水とうはかごと接している部分が自転車と同時に停止する一方で上方が前に動き続けようとするため、前のめりに倒れてしまう。

問2 慣性の説明自体は親切なことに(!)リード文で示されている。よって、ここでは自転車の急停止によるボールと水とうの動きが、「止まり続けようとする性質」と「動き続けようとする性質」のうち、後者に関係することを答えるのがポイント。

問3 台車を急発進させると、ボールは床の動きに関係無く止まったままである一方、台車に固定された人形は床と同じ動きをする。人形Aとボールとの距離が変わらないということは、人形Aも動いていないことを意味する。よって、人形Aは台車に乗っていない。また、台車を前方に急発進させると人形Bがボールに近づくことから、人形Bはボールの後方に固定されていると分かる。

問4 床が動くことに関連する現象を考えれば良い。

問5 つり革については、人と同じように考えれば後方へと振れると分かる。問題は人がどちらの足へ体重をかけるかだが、多くの人は自身の経験に照らして後足と答えるのではないか。しかし、これは単に体が後ろへ倒れようとしてバランスが崩れた結果、後足に体重がかかっているだけである。バランスをとるためには前足に体重をかけて後ろ向きの力を打ち消す必要がある。

問6 後方への力がはたらくのは上り坂で停止しているときである。

問7 問6の視点を応用し、下り坂の斜面にどんぶりと水そうを置いて考える。解答用紙を左下に傾けて作図すると簡単!

問8 問7と同じく、下り坂の斜面に水そうを置いて考える。水よりも比重の小さいピンポン玉は、傾斜にかかわらず浮力によって上向きの力で押し上げられ、水面に対して垂直な方へと向くことになる。慣性によって生じる現象を「浮力」と呼ぶのはためらわれるが、水とピンポン玉の比重の大小が問題になるという点で、考え方は同じである。

問9 急発進時は上り坂、急停止時は下り坂での力のかかり方を考えれば良い。

【大問Ⅳ】生物分野:生物の進化

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

問1 国語の問題。「進化」について、リード文に「子孫を残すときに少しずつ姿を変える」と書いてあるので、昆虫の変態が「子孫を残すときではない」点を指摘する。

問2 算数の問題。面積比、体積比は相似比をそれぞれ2回、3回かけた値となる。(3)については、直前の文から酸素を取り入れる量が4倍、酸素の必要量が8倍となることが読み取れるので、必要量の半分しか酸素を取り入れられなくなると分かる。

問3 グラフから二酸化炭素濃度の低下を読み取る。二酸化炭素減少の原因と結果については「光合成で消費される」、「温室効果ガスである」という知識から推測できるはず。

問4 肺ほう、小腸の柔毛、植物の根毛と言えば表面積。その他、食物を噛みくだいて消化しやすくしたり、氷や砂糖などをくだいて水に溶けやすくしたりするのも同様。

問5 問2と同じような問題だが、「体内で生産される熱の量は体積に比例する」という点が文中に書かれていない。知識として覚えておく必要がある。

問6 「ある同じ面積で支えなければならない体重」=「圧力」と解釈できたかどうかがポイント。長さが2倍になると、体積に比例して体重も8倍に、足の裏の面積は4倍になる。よって、圧力は8÷4=2(倍)。

問7 知識問題と見せかけて、現象の因果関係を問う問題。「いん石が地球にしょうとつし、ちりやほこりが舞う」→「太陽光がさえぎられ、植物が光合成できなくなる」→「えさとなる植物が減り、草食動物が減少する」という流れを理解できれば答えられる。

問8 酸素と二酸化炭素の交換の効率を良くするポイントは、「A:1回の呼吸でより多くの空気を出し入れできる」、「B:酸素を多く含む動脈血と、二酸化炭素を多く含む静脈血が混ざらないようにする」の2点。アはA、ウとエはBに関係する。ヒトは皮ふ呼吸をしないので、念のため。

攻略のポイント

小問が33問存在するのに対し、配点が40点しかない。ほとんどの配点が1点となるので、確実に解けそうな問題の見極めが得点率を上げる鍵になる。

ただし、「解けそうな問題」=「解きやすい問題」ではない。文章や表を丁寧に読んで理解すれば答えを出せる問題がほとんどだが、扱う情報の量が多い。また、知識のみで即答できるような問題が少ない一方で、大問1のように未知の事柄をその場で理解したり、大問3のように小問の流れから発想の手がかりを得ることを要求されたりする問題が多い。

知識ではなく、「粘り強く情報を読み込む力」と「得られた情報をもとにその場で考える力」が差をつけるポイントになる。

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