麻布中学校 入試対策
2020年度「麻布中学校の算数」
攻略のための学習方法
本校の入試問題は、思考力や発想力が必要で、特別な才能がないと厳しいなどと評されることがある。たしかに思考力や発想力は必要だが、特別な才能が必要だとは考えられない。本校の問題で要求されるのは、
論理的にじっくり考えること
本質を深く追求すること
算数を楽しむこと
である。この要求に応えていくことで、思考力や発想力が養われていく。逆に、答えを出すためだけの問題演習しかしていない者にとっては、合格への道のりは険しい。標準的な問題がスラスラ解けることは大前提として、質の高い学習を心がけたい。
なお、秋以降になると、麻布特有の問題や分野の枠にとらわれない問題での演習が中心になりやすいので、苦手分野は早めに克服しておきたい。
平面図形の対策
正六角形・正三角形をしきつめた図を利用する問題など、本校特有の問題もよく出題されている。本校特有の問題は、一般的なテキストでは触れられることが少ないので、過去問には多めに触れておくとよい。
速さの対策
本校では、ほぼ毎年のように速さの大問が出題されている。難問はあまり見られないが、適度に差が付く問題が出題されることもある。毎年出題されている割には目立たない分野だが、苦手にしておくと差をつけられやすい。
数の性質の対策
標準的な問題から難問まであらゆるレベルの問題が出題されている。本格的でテーマのはっきりした良問も多い。本校の問題は、解法暗記だけに頼った学習では対応しにくい問題が多い。
普段の学習においても、問題の背景やテーマについて、本質的に深く考える習慣を身につけておきたい。時間のかかる学習法ではあるが、丁寧で深い学習をすることによって、本校での算数に対応できるようになる。
規則性の対策
この分野も数の性質と同様に、本質を深く考える学習が求められる。単に規則を見つけて解くだけでなく、どうしてその規則が成り立つのか、原因をしっかり分析することが大切である。一般的な問題集などには、原因などについての説明は載っていない場合が多い。しかし、そこまで自力で考えておくことをおすすめしたい。考えても分からければ、信頼できる指導者に質問するとよい。
解答形式は記述式が多い
本校は、式や考え方を記述する問題が多い。部分点が設定されているはずなので、採点者に伝わるような書き方をする必要がある。
実物の入試問題を見ると、考え方を書くスペースが、問題ごとに異なっていることに気がつく。過去問演習では、このスペースの違いにも注目するとよい。解答欄の大きさを見ることで、手間のかかりそうな問題か予想できる場合がある。
したがって、過去問演習は、実物と同じ形式での演習が理想的である。本校の学校説明会では、入試問題実物が購入できるので、入手しておくとよい。また、各塾の麻布向け模試に参加するのもよい経験になるだろう。
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2020年度「麻布中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
前半と後半で、問題の難易度差が大きいことが多い本校。今年度は、例年ほど難易度の差は大きくない。全体としては、近年の中では比較的取り組みやすいように感じられる。しかし、解き方次第で易しくも難しくもなる問題もあり、意外とてこずった受験生も一定数いたのではないだろうか。
なお、特定の問題に時間を使いすぎなければ、60分の試験時間は適切であろう。
【大問1】比
- 難度:易
- 時間配分:2分
2つの空欄に当てはまる数を求める問題で、比の性質を利用する。本校受験生であれば、難しくないはず。
【大問2】平面図形
- 難度:標準
- 時間配分:6分
面積に関する問題。(1)(2)と2問あるが、本校では珍しく(1)と(2)に関連がない。
(1)は、扇形から直角三角形の面積を引くのみ。直ちに答えを求めることができる。
(2)は、イとエの面積の和から、ウとオの面積の和を引く問題。面積の和は求めることができないので、工夫が必要になる。ポイントに気づいてしまえば、難しい問題ではないが、多少手間取った受験生もいたことだろう。(1)を利用することにこだわってしまうと、方針が見えてこないので要注意。
【大問3】場合の数
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
1~6の数字を、条件に合うように並べる問題。
(1)は偶数と奇数を交互に並べる問題。取り組みやすい問題である。
(2)では、(1)の条件に加えて、3で割った余りが同じになる数字が隣り合わないようにする。奇数1、3、5の間に、偶数を入れる方法が何通りあるかを考えてみるとスムーズに解くことができる。この問題の場合、素直に全部調べてしまう方法でも構わないだろう(それほど時間もかからない)。
【大問4】食塩水
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
容器AとBから取り出した食塩水を混ぜる問題。
作業1と作業2の結果から、容器AとBの濃さと作業1の後にできる食塩水の濃さを求める。面積図などを書いてみると考えやすい。注目ポイントは、作業1と作業2では、容器Bから取り出した食塩水の重さが同じことである。
【大問5】図形の移動
- 難度:標準
- 時間配分:14分
- ★必答問題
円が移動したときに通った部分の面積を求める問題。
(1)(2)ともに、正しく図を書くことができれば、答えを求めるのは難しくないはず。多少時間がかかっても、きちんと作図することが重要である。
【大問6】点の移動
- 難度:やや難
- 時間配分:16分
一定の動きをする2点の速さと、すれちがう回数の関係についての問題。速さがア:イのとき、2点は合計ア+イm動いて止まることに気づくことがポイント。
(1)は易しい問題。
(2)では、途中ですれ違う回数が14回になるような、2点の速さの比を考える。合計1m動くごとにすれ違うことから、2点が動いた長さの和(すなわちア+イ)が分かる。
(3)では点の動き方が変わり、合計2m動くごとにすれ違うようになる。ただし、基本的な考え方は(1)と同様である。
(4)は(2)と同じような問題で、速さの比ウ:エを求める。この問題の本質がつかめていれば、ウとエの和が2通りしかないことに気づくだろう。その先は難しくない。
攻略のポイント
【大問1】~【大問3】は時間をかけすぎないことが重要。少し考えても方針が立たないときは、一旦後回しにした方がよいだろう。後で冷静に考え直してみると、あっさり解ける可能性もあると思われる。
【大問4】は、差が付きやすい難易度の問題。この問題の得点が、明暗を分けることも考えられる。
【大問5】は、丁寧に作業すれば得点できる問題なので、この問題は落とせない。多少時間がかかるのはやむを得ない。とはいえ、必要以上に時間をかけずに済むようにはしたいところ。
【大問6】は、少なくとも(1)(3)は正解しておきたい。(2)(4)は出題者の想定通りに解かないと考えにくいようになっている。
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