※全2問

下線部(ア)に関連して、地図上に示されている(ａ)(ｂ)の｢流域｣にあてはまる｢河川の名前｣を答える。

(ａ)は福島県を源流として新潟県で日本海へ注いでいる。新潟県＝｢信濃川｣ではアウトだ。｢信濃川｣の源流は長野県。｢答え｣は｢阿賀野川｣となる。｢阿賀野川｣⇒｢新潟水俣病｣の連想だけでは太刀打ちできないので要注意。

(ｂ)は琵琶湖を水源として大阪湾に注いでいる。無論、｢淀川｣だ。ちなみに、滋賀県内では｢瀬田川｣､京都府では｢宇治川｣と呼ばれていることも押さえておきたい。尚、下線部で説明されている｢分水嶺｣は意外と知られていない。｢流域面積｣の基準となるので、しっかりと理解しておくこと。

※３問/３択/複数完全解答

下線部(ア)に関連して、地図上に示されている①②③の３都市を結ぶ(あ)(い)(う)の各グループにあてはまる｢１月と７月の雨温図｣を､選択肢(Ａ)(Ｂ)(Ｃ)の中から答える。

普段見慣れている｢雨温図｣(｢棒グラフ｣と｢折れ線グラフ｣が合体したもの)とは全く違うので、とまどわないこと。
(あ)は①｢新潟市｣②｢前橋市｣③｢東京｣､(い)は①｢上越市｣②｢松本市｣③｢静岡市｣､(う)は①｢鳥取市｣②｢高松市｣③｢高知市｣｡

①は全て｢日本海側｣､③は全て｢太平洋側｣なので、なかなか判別しづらい。そこで②に着目すると、(Ａ)のみが｢１月の気温｣が｢０℃以下｣⇒｢松本市｣＝(い)と判断できるはずだ。
残りでは、③の｢７月の降水量｣を比較すると、(Ｃ)は(Ｂ)の倍になっているので、｢東京｣ではなく｢高知市｣だと判別可能だ。

従って、｢答え｣は｢(あ)＝(Ｂ)｣｢(い)＝(Ａ)｣｢(う)＝(Ｃ)｣になる。｢設問｣がややこしいので要注意だ、また、見慣れない｢統計資料｣であっても、焦らずに正確に読み解くことが重要。

※4択

下線部(イ)｢取手市｣について、｢利根川で分断されてしまった地区のために、取手市が特別に行っていること｣の説明で｢あきらかな誤りがあるもの｣を答える。

｢取手市が特別に行っていること｣？　はっ？　そんなこと誰も知っているはずないし、各選択肢はどれも｢もっともらしい｣ものばかり。お手上げだ！　どうする？　

待てよ、設問に｢図２を参考に｣とある。確認する。
｢利根川をはさんでの取手市の地形図｣だ。よく見ると、｢橋｣は｢自動車道｣と｢鉄道｣だけ。ということは、選択肢(う)｢水道橋をかけている｣は明らかに｢不適切｣ではないか。
よって、｢答え｣になる。要は、｢地形図読み取り問題｣だったわけだ。

｢自らが知らない、分からないこと｣⇒｢他の受験生も知らないはず｣⇒｢知らなくても解けるはず｣と、発想の転換をすることが本校では肝要だ。無論、｢設問｣を的確に利用することも忘れずに！

※字数指定なし。解答欄２行。１行＝30字程度

下線部(エ)｢関所｣について、｢江戸幕府が関所を設けた理由｣を説明する。

｢条件｣は｢信長と秀吉が関所を廃止した理由と比べる｣こと。典型的な本校の｢説明記述｣だ。内容は誰もが知っている平易なものだが、どのように簡潔にまとめるかがポイントとなる。

平安時代末期が起源とされる｢関所｣は室町時代には｢通行税｣をとることが目的となっていたが、織田信長は商工業を発展させるために｢楽市楽座｣とともに｢関所の廃止｣を実施し、豊臣秀吉もそれを継承した。
しかし、江戸幕府は｢入鉄砲に出女｣というように、江戸の｢防衛｣や｢治安維持｣のために｢関所｣を活用した。といったことはおおよそ知っているはずだ。

あとは、うまくまとめればいい。たとえば、｢信長と秀吉は商工業発展のために関所を廃止したが、江戸幕府は関所を復活させ江戸の防衛や治安維持のために活用しようとしたから。｣といった｢答え｣になる。

｢設問条件｣に合わせいかに分かりやすくポイントを説明するかが重要だ。

※字数指定なし。枠の小さい解答欄２行。１行＝20字程度

下線部(ケ)｢自由民権運動｣について、｢当時の五日市で自由民権運動が盛んだったのはなぜか｣を説明する。

これまた、いかにも本校といった設問だ。誰も知るはずもない。与えられている｢情報｣を結びつけ、組み合わせていけるかが問われている。

設問には｢秩父と横浜を結ぶ街道からほど近い五日市｣とあり、｢リード文｣には｢秩父などで生産された生糸の行き先は横浜｣とある。
もう､ピンときたはずだ。明治時代、｢生糸｣は最大の輸出品であり、｢横浜港｣がその輸出港だ。当然、｢横浜｣には欧米人が多く居住している。そして、｢自由民権運動｣は欧米の｢人権思想｣に基づいている。

ということで、たとえば、｢近くの秩父と貿易港の横浜を行き来する人々によって欧米の人権思想が伝わっていたから。｣といった｢答え｣になる。
ここでも、自分の知っていることと、与えられた｢情報｣をいかにうまく結びつけるかが問われている。

※80字以上100字以内

本校おなじみの最後の長文自由記述。｢境｣を越えて｢異なるもの同士が接し交わることが、活力を生むことにつながるのはなぜか｣について｢君の考え｣を述べる。

｢条件｣は｢具体的な例｣を挙げること。｢自由記述｣なので何を書いてもいいが、そうなると逆に｢何を書けばいいのか｣と途方に暮れてしまうだろう。
そこで、手がかりとなるのは無論、｢リード文｣だ。ここでは特に｢境を越える動き｣に注目したい。
[問12]にあったように、｢欧米の思想｣という｢異なるもの｣に接することで、｢五日市のごく普通の人｣が｢歴史に残ること｣を成し遂げている。そのように、｢異なるもの同士が接し交わること｣で人を動かし、新たな発想を生み、行動につながるということだ。

そうした視点で、｢年齢｣｢性別｣｢場所｣｢趣味｣……､｢境｣のある｢具体例｣を挙げて｢君の考え｣を述べること。｢ヒントはリード文にあり｣と心得よ。