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中央大学附属横浜中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「中央大学附属横浜中学校の理科」
攻略のための学習方法

[独特の問題形式]

近年、特に話題を集めている中央大学附属横浜中学。その入試科目-理科においても、注目すべき点をいくつか持っている。

分野別の対策も必要ではあるものの、まずはその形式上の特徴をとらえた上で細かな対策も並行して行っておくことが大切であろう。
テスト時間は35分で100点満点、問題数は30問台と数値だけを並べてみると標準的な分量に感じるわけだが、実際に問題にあたってみるとその予測ははずれていることがわかる。

1つは、問題文(リード文)・設問文が長いことが挙げられる。はじめの設問に入るまでに時間がかかるのである。また、途中から条件が付与される場合は、これもまた長い文章を読んでからの問答となっている。

2022年度【大問2】、2021年度第2回【大問1】、2020年度第2回【大問3】【大問4】、2019年度2回【大問3】などの大長文問題や、2018年度1回【大問1】は、長い問題文などを読んだ上に「実験結果」・「コンデンサー」を理解した上で前に進まないといけない。ただし、もししっかりと理解して問題を進めたとしても時間制限ギリギリの8分~10分はかかってしまうのではないか。

さらに設問が選択肢だとすると、選択肢の数が多いのも特徴である。ふつうは4択・5択がせいぜいではあるものの、その倍くらいの中から選び出すことも珍しくない。複数の解答が含まれる選択肢もあるので、これも時間がかかる要因となる。

これらの特徴は、俯瞰的な数字だけでは把握することが難しい。
一言で言えば、問題量が多いというよりは問題文が長い、といえよう。

[テスト形式から戦術を決めよう]

また、テスト形式における特徴としては
前半が「物理・化学」分野の大問、後半が「生物・地学」分野の大問と固定されている事実である。「前半→物理化学・後半→生物地学」型のテストを行う学校においては、後半の「生物・地学」の大問から手をつけた方が時間を有効に使えることが多い。ただし、問題文の長さに比して平易な設問も散見するのでそれを見つけて解いていくのも作戦として取れる。

[難問対策]

先にも述べたように、中央大学附属横浜中学は今伸び盛りの学校であり、それにつれて合格基準も高くなってきている。ただし、理科の問題に関しては2020年度の問題を頂点としてこの2年間はやや易化する傾向にある。

ただし、今後のことを考えると再度難問が増えるという可能性も秘めている。特に前半の「物理・化学分野」の大問には注意が必要で、過去問対策として中央大学附属横浜の問題をやることは当然として、もう少しレベルの高い問題を出す学校(付属上位校など)の問題に触れておくことも大切になるだろう。

しかし、何よりも大切なことは、基本的な知識で後れをとらないことだ。理科が苦手という生徒は何も覚えもしないでそんなことを口にすることが多い。知識が不十分では持っている学力を発揮することも難しい。知識は問題を解くための大事な鍵になるので、いやがることなく暗記に努めよう。それを果たした上でも点数が伸びなければ「理科は苦手だ」と言う資格がある。まずはそこからである。

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2022年度「中央大学附属横浜中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

テスト時間35分で大問は4、小問は30題と標準的な分量の域を出ないが、テスト形式・問題形式に特徴があるため、そのポイントをつかんだ上でテストに臨まないと思わぬ時間不足・得点不足に陥る可能性がある。形式については後述する。

本年度は昨年度同様平易な問題が多く、前半の大問の中にいくつか難度の高い設問が見られるにとどまった。しかし、全体に大長文問題が続き、その分量には目を見張るものがある。設問は平易でも、ねばり強い性格を持たないと途中でイヤになってしまうかもしれない。

【大問1】物理分野…ものの運動

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分

なめらかな斜面上を木片がすべり降りる運動についての実験結果から設問に答えていくという問題で、前半と後半では聞かれている内容が異なるにもかかわらず、それぞれにヤマになる問題があり、面白い作りとなっている。

<実験1>では、図1・表1からわかるように「等加速度(直線)運動」についての内容アになっている。設問のからまではほぼ問題はない。(あ)も0,1,4,(あ),16から平方数があてはまることがわかる。もまた、その続きになっている。ここまでは答えられるだろう。

前半のポイントは<実験2>、つまり重さの異なる木片をすべらせたときにかかる時間に関する問いである。木片と木片をつなぎあわせた木片のどれが一番早くすべり降りるのか?太郎さんはが遅くなる、逆に次郎さんはが最も早くなると予測。そしてその結果に関しても設問がエで、答えは「3」、つまり二人とも予想が外れたのだ。実験の結果に関しては問題文には書かれていないのでの設問と一緒に答えるならば、「とも同じ」というものである。理科好きな生徒の中には、ガリレオのピサの斜塔での実験が思い浮かべられただろう。をはずすとも答えられなくなるのでここが前半のヤマである。

<実験3>では、斜面から滑り降りてくる木片を、水平な面に置いてある別の木片に衝突させるというもの。これもよく見かける実験だが、【太郎さんのメモ2】と表2の結果をうまく使うことが大切だ。はふりこなどでよく聞かれる質問だ。

<実験4>に続くの設問は難しい。こちらが後半のヤマ。

では、「すべての衝突が起きて、その後木片の間で衝突が起きない状態」になったときの速さという点に注意したい。XYに衝突し、YZに衝突したあとの速さである。

では、Zに木片を置いているので衝突の数がとは異なる。の設問とも連動していてここが最大の難関。Xの木片Yの木片に衝突(1回)、そのあとYの木片が右に動いてZの木片に衝突(2回)、Yの木片は反動で逆向きに進みYで止まっている元Xの木片に衝突(3回)、Yの木片は止まるが元Xの木片は斜面を上がっていく。そして再び元Xの木片Yにある木片に衝突(4回)する。したがって、Xにおいてあった木片の速さは0に、Zにおいてあった木片表2の2段目の結果から秒速100cmで動くことになる。

は難問、それ以外は正解したいところである。

【大問2】化学分野…食塩の結晶

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分

太郎と父の会話をよく読んでから問題に取りかかること。

(ア)(ウ)は簡単な計算で求められる、平易な設問である。「0(ゼロ)」の数には注意したい。(エ)では「ものがちゃんと溶けていても粒が大きいとにごって見える場合があるんだ。このような溶液をコロイド溶液と呼んでいるよ」という父の言葉を参考にして選びたい。にごって見えるものは一つしかない。

次の段階(図5に関する設問)に至ると、これは理科の問題と言うより算数の立体図形の問題と言った方が近いように思われる。

では、大きさが異なるものの断片Aと断片Cの形から考える。断片Aは球形のAを4等分したもので、Cはさらにそれを2等分したものである。

では図4(b)を参考にする。この図では4つのマイナスの粒と接しているが実際には前後のマイナスの粒にも接している。

もまさに立体図形の問題さながらに考える。図5に見える断片A,B,Cの個数を調べての結果などから球体の粒がいくつになるかを計算する。

では、図5の立方体の1つの辺に注目すると、断片Cが2つと断片A1つから成り立っている。それぞれの長さは与えられているのでそれを用いて立方体の1辺の長さを求めれば良い。

本年度の【大問1】【大問2】は大変にやりがいのある大問だった。

【大問3】生物分野…植物と季節

  • 難度:
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

本年度の生物分野の大問は、問題自体は長いことは長いけれど質は標準的なもので取り組みやすかった。

(ア)は春夏秋冬の植物の組み合わせを選ぶ平易なもの。植物が苦手な生徒でも容易に選べただろう。また、共通することがらの方は正解ではない選択肢、つまり「7→単性花、8→双子葉類、10→双子葉類」の特徴であることも確認しておこう。

次に来る三郎さんのアサガオの実験、「温度と暗くなる時間を変更して開花するか否かを調べる」実験は珍しいもの設問(イ)は凡庸なものであった。

さらにアサガオの生理学から「偏差成長」というこれまたあまり聞かれない言葉が出てくるものの、設問である(ウ)は結果を読めば答えが出てくるレベルのもの。しかし解いている限りでは面白い。

最後は植物と季節に関する基本的知識の確認だ。(エ)は漢字指定というところがポイントで、理科ではあまり漢字指定がないので普段「じょうりょくじゅ」などをひらがなで書いて手を抜いていると痛い目に遭う。(オ)(エ)の続きで平易な設問。

(カ)も正解できたと思うが動物が冬眠をするように植物も越冬するのは大変な仕事である。(キ)は冬の過ごし方のうち誤っているものを1つ選べ、ということだと、おなじみにアサガオの冬越しが誤っていることが分かるだろう。アサガオは種を採ってまた来年蒔くと良い。

【大問4】地学分野…太陽や月の運動

  • 難度:
  • 時間配分:7分
  • ★必答問題

『本年度は2年ぶりにくみしやすい地学分野の大問に戻った。しかし、来年以降の保証をするものではない。ただし、総じて地学分野の大問は解きやすい場合が多いのは確かである』は昨年度の問題に対するコメントで、本年度は案の定その通りになった。

前半は太陽の動きに関する問題。

(ア)は地球が左回りに自転(時計と反対回り)、北極が太陽の方を向いているときが夏至と分かれば解ける。(イ)では夏至における太陽の動きを選ぶもので、簡単すぎて人形も泣いている。1年を通して、と考えると1は冬至、2は春分・秋分のころの太陽の動きと分かる。

(ウ)は問題文のはじめにあった説明「地軸の傾き」を参考に、「90-35.5-23.4」の計算で求める。夏至のときは+23.4、春分・秋分では「90-35.5」だけでよいのも周知の事実かと。

ここから先は月の動きに関する問題で、(エ)は知らないと家に入れてもらえないレベル、(オ)は太陽の方向に気をつけて見てみると、上弦の月と満月のちょうど真ん中の月の形を選べば良いことが分かる。月の南中時刻は上弦の月が18時、満月が0時(真夜中)なのでその間をとる。

日食についての問題が残っていた。
(キ)は言うまでもない。(ク)では、日食がいつも観察されるわけではない理由と皆既日食・金環日食の時の地球と月の離れ具合を図から選ぶ問題。

日食・月食に関する問いも頻出なので、その内容はしっかり覚えておくこと。

攻略のポイント

テスト時間は35分で100点満点。
受験者平均点は「62.5点」と、昨年度(2021年)の「62.1点」とほぼ変わらないが、その前の年(2020年度)「48.9点」に比べると2年連続でかなり上昇している。受験生の質は変わらないと思われるので、問題のレベルも連続して平易な設問が中心であってそれに連動して平均点も変わったと考えるのが妥当である。本年度であれば、理科の目標点を70点~75点としておこう。

中大横浜の理科は「前半→物理・化学、後半→生物・地学」という問題編成を行っている。それであれば、【大問1】【大問2】から解くのではなく後半の【大問3】または【大問4】から解くべきである。これがテストの大きな攻略ポイントだ。本年度は特にそれが功を奏した。

例年並みのテストであれば基礎~標準的な設問が多く散見されるのでそこをしっかりと正解して点数をかせぎたい。

そして中大横浜独自の大長文問題に対応するには過去問を何年分も解いて「耐性」をつけるしかない。「一行問題大好き」受験生は自分の体質を問題に合わせられるよう努力しよう。

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