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中央大学附属中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「中央大学附属中学校の国語」
攻略のための学習方法

[問題構成の特徴]

例年、説明的文章と文学的文章の計2題の長文読解が出題されている。漢字やことばの知識も合わせて出題される。選択式問題が大半を占め、数問の書き抜き問題が出される場合もある。総解答数は45~55問ほどと多めである。
読む分量が多い点が大きな特徴である。素材文2題で計10000字超、それに加えて設問で使われる解説・補足文が900字ほどと、総計12000字程度(2019年度)の文に目を通さなくてはならない。過去には15000字ほどにもなったことがある。この解説文は主題や要旨について穴埋め選択で答えさせるもので、問題も兼ねているのでしっかり読む必要がある。
選択肢問題と読解のスピードを意識して、過去問・類似問題でよく練習しておかれたい。

[読解問題]

読解の基本を身に付けよう。

論説文の読解

段落――形式段落と意味段落の整理をし、段落ごとのつながり・まとまりを把握する。意味段落の内容を小見出しのように簡単にメモしておくとあとでわかりやすい。
要点と細部――各段落の最重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておくとよい。細部には要点を捕捉する説明や例え・言い換えなどがあるので注意しておく。
要約と要旨――要点をつなげれば要約ができ、その中でも筆者の一番言いたいことが要旨である。

論説文には専門的な用語や難解な考えなどが含まれているが、つまるところ、それらをわかりやすく端的に短くまとめるという作業が、論説文の読解の基本となる。本校の場合、設問の中の解説文がその役割を果たしてくれている部分があり、大きなヒントにもなっている。過去問を多くこなして、試験の特色をうまく利用できるように慣れておこう。

小説の読解

登場人物――名前・人数・それぞれの関係を整理する。それぞれの性格も把握しておく。
場面分け――時間・場所・人物の入出などで、場面の変わり目を見つける。場面の変わり目自体が問題となる場合もある。
心情把握――人物の言動・表情さらには情景などから人物の気持ちを読み取る。人物の性格が異なれば、その言動の意味するところも変わってくる。
主題――作者が描きたかったのはどんなことか。人物の成長や苦難・挫折などいくつかのパターンがある。小説を多く読んでいろいろなパターンに触れておこう。

本校の場合、この分野でも人物の心情や小説のテーマなどについて解説文で問題にしてくれている。そこには詳しい説明など解答のヒントも多く含まれているので、しっかり読んで正解につなげたい。

[まとめ]

文量の多さへの対処が重要になる。速く・正確に読めるように多くの文章を読んで経験値を上げておきたい。
問題も兼ねている解説文については、多くの試験では記述で答えたりたりする部分を選択式の穴埋め問題にしてあるので、手がかりも多くなり取り組みやすくなっているとも言える。記述問題への特別な対策が必要でない分は荷が軽いので、しっかり読解力を養うことに注力しよう。言語事項もひととおり訊かれるので手を抜かないように。

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2019年度「中央大学附属中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

読む分量の多さに対処する必要がある。解説・補足文も解答に直結するためしっかり読まなければならない。読むスピードをつけておくこと。
解答数は43問と多い方であるが、選択式問題がほとんどであり、記述式ほど時間は取られない。

【大問1】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:30分
  • ★必答問題

心が弱っていた時に昔使っていたランドセルを再び手にしたことで、大人になった自分の世界の広がりや得たもの・失ったものに思いが及び、主人公は前向きな気持ちになる。

問1 a. 包装――物などを包むこと。また、包むのに使用された物のこと。
   d. 一節――文章や歌詞の一部。

問2 アも良さそうだが、「申し訳なさや感謝の思い」を感じていたことは描かれていない。自分の置かれた状況は理解していたが、それを明確に定義・言語化できなかったということなので、が選べる。

問3 大人になれば世界が広がり、考えを変えてみたり逃げ場を作ったりできるが、子どもではそれができず同じ絶望でもそのダメージは大きくなってしまう。

問4 A. 卒園式は普段とは「まるで」違うスケージュール・行事が詰まった一日である。
   . 春休み中は「もはや」幼稚園児ではなく「まだ」小学生ではない期間である。

問5 新入学の学用品は新しい学校生活の象徴として希望に満ちた喜ばしいものとして描かれることが多いが、主人公にとっては幼稚園時代の経験がこの先も続くという思いの現実化でしかなく、あまり希望を持てないでいるのである。

問6 ランドセルをもらって、「気に入りのものを全部詰めて、絶望的な場所から逃げよう」と思いついている。逃げられる可能性が出来たことで、絶望感が薄まっているのである。

問7 後半に大人になってランドセルを見て、その小ささに笑ってしまっている場面がある。そこに入るだけのもので「地の果てまで逃げられる」と思っていた子ども時代の自分の浅はかさをおかしくも懐かしく思い出しているのである。

問8 問6参照。考え方を変えるきっかけになっている。

問9 最初は心配していたが、実際には小学校ではごく普通の生活ができたと書かれている。赤点を気に病まず捨ててしまうように、悩みがあっても昔のようには絶望しなくなったのである。

問10 大人になった主人公は多くの人を通してさまざまな経験をしている。祖母の死・夢の挫折・両親の離婚・大恋愛と失恋など。挙げられた実例はすべて人との出会い・つながりを通しての出来事で、経験は増えたがわからないことも増えてゆく。そんな状況の説明として、選択肢が選べる。

問11 直前の「身軽な荷物で世界の果てまで逃げられる」と思っていた昔の自分を笑っている場面を受けて、空欄「これじゃ逃げられないよ」と続く。

問12 (1) 昔も今も「ルの字に座って膝の上に置いて」いる。

    (4) 大人になって思い通りにならない現実がいくつも挙げられている。

    (5)(6) 子どものころは「すべてをランドセルに詰め込んで逃げられる可能性」で絶望をやり過ごしていたが、今では簡単に逃げ出せないほど多くのもので人生が形作られていると実感している。

【大問2】論説文の読解

  • 難度:やや難
  • 時間配分:20分

芸術に必要なのは技ではなく感性であり、それは作品を見る側の心の自由=自分が自分であることを唯一根拠とするものであると説いている。

問1 私たち=日本人は努力・苦行・「修行」を高く評価すると述べている。

問2 「判官」は薄幸の英雄・源義経のこと。義経を贔屓する→不遇な者や弱者に味方したり応援したりすること。「行雲流水」は雲や水のような自然に任せた自由な行動、「多情仏心」は情が多く移り気だが、非情にはなれないこと。

問3 苦行自体がいいことであるという考えなので、が合う。

問4 直前に知識や経験を地道に積み上げる基礎教育について言及がある。その前に芸術に必要なのは感性であることが述べられており、「感性」を「知識や経験」で「教育」できるのかと疑問を呈しているのである。

問5 芸術に触れた時、人の心にはさまざまな動きが起こる。哀しみ・憎しみ・喜び・怒り・ポジティブ・ネガティブな感情、その他わけもわからず名状しがたい気持ちなど……。
それらは一言では表現できないものであるはずなのに、「感動」などとひとくくりにしてしまう。そして、「画家の努力」「波乱万丈の道程」などの「描かれた過程」を分析しすべてをわかったつもりになってしまう、それがいけないと筆者は主張しているので、が選べる。

問6 問5とも関連している。感動するために「知識や技術」にばかり目が行ってしまい、「ただ見て心を動かされる」という「感性」の働きがさまたげられてしまうのである。

問7 「無理やりにでも感動」「もっともっと勉強」「努力して感性をみがく」→「そういうのは疲れる」というわけで、に入れればうまくつながる。

問8 直後に、「感性の根拠が作者の側にあると思い込んでしまう不幸」が語られている。芸術は見た者がどう感じるかがすべてであって、作品がどんな努力で描かれたとかどんな流派に属するとかいう「作者の側」とは関係ないと筆者は言いたいのであるから、が選べる。

問9 「感性の根拠が作者(他人)の側にあると思い込んでしまうことは不幸である」から始まって、「(カ)他人のことはわからない」→「(エ)ましてや他人の感性などわかるはずがない」→「(イ)結局、自分で見るしかない」→「(ア)それはあなただけの体験だ」→「(オ)言い換えれば個が全責任を負って見るのが芸術だ」→「(ウ)これがすべてだ」という流れになる。

問10 「よくできている」例として、「見事な技を持ち」「歴史的な文脈を踏まえ」「一個の構造物のようによく練られた」「作品」を挙げている。それは「知識や技の痕跡」が見えて「学習の対象」にはなっても、「感性を呼び覚ます力」がなく「心を動かされない」と否定している。こうした筆者の主張から、が選べそうである。

問11 自分の心の中を知ることは怖いのでふだんはそっとしまっておくのだが、芸術に触れることは「感性を通じて自分の心のなかを覗き込んでいる」ことなので、自分でも気づかない内面に気づくことがあるのである。

問12 感性は見る側にあり、自由に感じたことを受け取ればよい。自分の感じたことがすなわちその作品の価値なのであるから、が合っている。また、文章の最後部に知識や技の無い者の作品に心を動かされることがあると書かれているので、も選べる。

攻略のポイント

問題自体は特別に高難度というわけではないので、時間が足りずに問題に手が付けられないという事態になったらもったいない。過去問で文章量の多さによく慣れておき、とにかくひととおりは目を通せるように、長文を読むスピードはぜひともつけておきたい。
解説文の穴埋め選択肢という形式にも十分に慣れておくこと。選択肢問題が大半であることも意識して類似問題をこなしておくこと。
漢字やことばの知識も難問ではないので、地道に覚えておいて得点を稼ごう。

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