中央大学附属中学校 入試対策
2021年度「中央大学附属中学校の国語」
攻略のための学習方法
[問題構成の特徴]
例年、説明的文章と文学的文章の計2題の長文読解が出題されている。漢字やことばの知識も合わせて出題される。選択式問題が大半を占め、数問の書き抜き問題が出される場合もある。総解答数は40~55問ほどと多めである。
読む分量が多い点が大きな特徴である。素材文2題で計10000字超、それに加えて設問で使われる解説・補足文が900字ほどと、総計12000字程度(2019年度)の文に目を通さなくてはならない。2021年度では計13000字ほどにもなっている。この解説文は主題や要旨について穴埋め選択で答えさせるもので、問題も兼ねているのでしっかり読む必要がある。
選択肢問題と読解のスピードを意識して、過去問・類似問題でよく練習しておきたい。
[読解問題]
読解の基本を身に付けよう。
・論説文の読解
段落――形式段落と意味段落の整理をし、段落ごとのつながり・まとまりを把握する。意味段落の内容を小見出しのように簡単にメモしておくとあとでわかりやすい。
要点と細部――各段落の最重要な1文を見つける。傍線などで目立つようにしておくとよい。細部には要点を捕捉する説明や例え・言い換えなどがあるので注意しておく。
要約と要旨――要点をつなげれば要約ができ、その中でも筆者の一番言いたいことが要旨である。
論説文には専門的な用語や難解な考えなどが含まれているが、つまるところ、それらをわかりやすく端的に短くまとめるという作業が、論説文の読解の基本となる。本校の場合、設問の中の解説文がその役割を果たしてくれている部分があり、大きなヒントにもなっている。過去問を多くこなして、試験の特色をうまく利用できるように慣れておこう。
・小説の読解
登場人物――名前・人数・それぞれの関係を整理する。それぞれの性格も把握しておく。
場面分け――時間・場所・人物の入出などで、場面の変わり目を見つける。場面の変わり目自体が問題となる場合もある。
心情把握――人物の言動・表情さらには情景などから人物の気持ちを読み取る。人物の性格が異なれば、その言動の意味するところも変わってくる。
主題――作者が描きたかったのはどんなことか。人物の成長や苦難・挫折などいくつかのパターンがある。小説を多く読んでいろいろなパターンに触れておこう。本校の場合、この分野でも人物の心情や小説のテーマなどについて解説文で問題にしてくれている。そこには詳しい説明など解答のヒントも多く含まれているので、しっかり読んで正解につなげたい。
[まとめ]
文量の多さへの対処が重要になる。速く・正確に読めるように多くの文章を読んで経験値を上げておきたい。
問題も兼ねている解説文については、多くの試験では記述で答えたりたりする部分を選択式の穴埋め問題にしてあるので、手がかりも多くなり取り組みやすくなっているとも言える。記述問題への特別な対策が必要でない分は荷が軽いので、しっかり読解力を養うことに注力しよう。言語事項もひととおり訊かれるので手を抜かないように。
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2021年度「中央大学附属中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
読む分量の多さに対処する必要がある。解説・補足文も解答に直結するためしっかり読まなければならない。読むスピードをつけておくこと。
解答数は54問とかなり多いが、選択式問題がほとんどであり記述式ほど時間は取られない。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:26分
- ★必答問題
一時的な職場であると思っていた旋盤工場だったが、工員たちの働き方に触れていくうちに主人公は新たな気持ちが生じたことに気づく。
問1 a 察知――推し量って知ること。
b 幹部――団体や組織で中心となる人物。
c 奇異――普通と様子が違っていること。
d 招(いた)
e 皮肉――遠回しに意地悪く相手を非難すること。
問2 自暴自棄――失望などでやけくそになり、投げやりな行動で自分を駄目にすること。水に(が)合わない――土地の環境や組織などに適応できないこと。
問3 高学歴である主人公は大企業や学術的な分野で働くつもりでいたので、小さな旋盤工場で配達の運転手をすることは想像していなかった。
問4 A. なんとなく、惰性で半年も勤めてしまった→「ずるずると」。
B. 社長の困ったような顔を見て、自分が何か失敗でもしたのかと思った→「おずおずと」。
問5 主人公は「妙に居心地が良い」と感じ始めている。長く働くつもりはないのだが、このままい続けるとこの仕事を辞めづらくなるのではないかと思っているのである。
問6 主人公に相談なく求人を始めたら、主人公の働きが悪いため早く辞めてもらいたがっているという意味に取られ、主人公の気を悪くするのではないかと社長は気遣っている。
問7 取引先との関係を褒めてくれているのだが、それは主人公が運転手を長く続けるつもりがないために「自分にとっては関係の薄いこと」と割り切っているが故の結果であり、褒められるような経過ではないと自身で思っているのである。
問8 他の工員のように社長をオヤジとは呼ばず吉沢さんと「さん」付けで呼んでいることから、自ら一定の距離を空けようとしていることがわかる。そんな主人公を工員たちも自分たちとは出身が違う大学出の「坊ちゃん」だとあだ名をつけている。居心地が良いと感じたのは「競争から逃れた一時の休息だったから」だと思って、辞めることに対して気を楽にしようとしている。そして旋盤工場で工員と社長が近しく身を寄せて働いている雰囲気を「巣」に例えている。
問9 主人公はこれまでの自分の経験から道を譲ろうとしているが、秋庭はまた自らの経験で譲る必要はないと考えており、そうした二人の押し引きに沿って並べ替えればよい。
問10 主人公が以前いた環境で車が接触することは裁判にもなりかねない事故であるが、秋庭のような町工場の労働者からすればそんな綺麗な仕事ぶりでは下請けの仕事はままならないもので、古いトラックが多少壊れようが納期を守ることのほうが重要なのであり、相手の車も同様だと秋庭は見抜いている。主人公はそんな世界観の違いに気づかされ、愉快になっているのである。
問11 小説のあらすじの説明である。流れに沿って類似の表現・内容を拾い上げていき、順番に埋めていこう。
【大問二】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:24分
身体に障がいがある筆者が、身体外や身体内の協応構造に隙間が生じた場合について、便意を例にとって詳細に、時にユーモアを交えて大げさな表現も使いながら説明している。
用語がわかりにくいが、問題(便意)が発生し(隙間が生じた)、スムーズに解決(所定の場所で排便する)された場合(環境に適応できている)が協応関係が確立されたということだと考えれば、多少はわかりやすいであろうか。
問1 人間である筆者の運動機能が両生類と爬虫類の中間であるということは、環境(人間社会)に適応できていない(協応構造が結べていない)ので不自由を強いられるが、「両生類と爬虫類」は同等の運動機能で彼らの環境(自然界)には十分適応できているので筆者におけるような不自由はないのである。
問2 人間には生まれてばかりの時に「不適応期間があるからこそ、世界との関係の取り結び方や動きのレパートリーを多様に分化させることができた」、とある。→選択肢ウが合う。
問3 先ほどの「問題」「解決」の言い方を使えば、すぐ解消されない問題が発生した状態が「隙間」であると言えよう。それは尿意という形で筆者に知らされるのであるが、筆者のように障がいを持つ人には「便意を感じてトイレに行き排便する(隙間を埋める行動を取り生理的欲求を満たして解決する)」ことが簡単ではない場合も多いのである。ここで言われている「社会におけるルール」とは「失禁せずにトイレで排泄すること」である。
問4 「自分の生理的欲求と向き合う」というのは、【い】の直前にある「したくなったらいつでもどこでもする」わけにはいかない状態(おあずけ期間)での意識・行動である。
問5 「協応構造が取り結ばれていないという状態」は生物にとって不快であり危険でもあるのだが、人間にとっては「その隙間を埋めるように、他の人とつながるための言葉をつむぐ」のだし「外界にあるモノや自己身体との対話や手探りを通して、対象のイメージを繊細に分節化していく」こともでき、人間ならではの協応構造(障がい者と健常者が助け合うなど)も見いだせるわけで、そう悪いものでもないのである。
問6 排泄が便器に向かって行われなかったということと、通常社会からは受け入れられていない行いであるということとをかけて、「空を切る」と表現している。
問7 A. 直前の「厳しい条件」の例を挙げているので、「たとえば」。
B. 障がい者がトイレに行くには段差がないことや他者の協力などの条件が必要である。「しかし」そうした条件がそろう可能性は、非常に低い。
C. 自分はトイレに行けず失禁する可能性が高い。「それゆえ」便意を抑え込もうとしてしまう。
問8 いったん退けた便意が先ほどより強い調子で絡んでくる→それでも無視するがやがて通らなくなる(エ)→そうしたら行動を中断して相手と向き合う(イ)→そして脂汗をかきながら穏やかに説得する(ア)→(ウ)、という流れである。
問9 必死に便意と戦っている様子をユーモラスに表現している。強い便意が襲ってきて(腸が自己主張)、筆者はなんとかそれを抑えようとしている(対面交渉)のである。
問10 失禁してしまえば腹痛や便意を抑えようとする努力から解放されるわけで、腸との協応構造は安定したことになる。一方、社会的には周囲に不快を感じさせる不衛生な行動なので、社会から外れた存在になることを意味するのである。
問11 失禁という社会的に受け入れられない行為をした筆者は社会からの疎外感を感じる。一方で、内臓・地面・空気・太陽といった自然の存在は失禁した筆者を変わらず受け入れてくれる。失禁は社会的な疎外でもあり、社会から自然への解放でもあると筆者は感じるのである。
攻略のポイント
問題自体は特別に高難度というわけではないので、時間が足りずに問題に手が付けられないという事態になったらもったいない。過去問で文章量の多さによく慣れておき、とにかくひととおりは目を通せるように、長文を読むスピードはぜひともつけておきたい。解説文の穴埋め選択肢という形式にも十分に慣れておくこと。選択肢問題が大半であることも意識して類似問題をこなしておくこと。
漢字やことばの知識も難問ではないので、地道に覚えておいて得点を稼ごう。
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